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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

増加中の投資詐欺にご注意を!


2014年11月6日

人をだますのはいけないことだと子供のころから教えられているはずですが、古今東西いつの時代もどこにでも、だます人間はいるものです。

私のところにも、日々さまざまな相談が寄せられますが、近年増加しているものに投資詐欺の被害があります。

投資詐欺とは、文字通り投資に関する詐欺のことです。
主な手法としては次のようなものがあります。

〇架空の未公開株や社債を高額で不当に売りつけて、姿を消す。
〇リゾート開発などの架空のビジネスを持ち込み、違法な勧誘で出資を募る。
〇競馬や競輪、宝くじなどの偽の予想や当選情報を不当に高額で投資名目で売りつける。
〇価値が上がる見込みのない水源地や山林などを売りつける。

振り込め詐欺と同様に、投資詐欺の被害は年々増加していて、その手口も巧妙化しているのが実態です。

今年に入ってからも、さまざまな投資詐欺に関連した事件が起きています。

「6億円被害か、詐欺容疑で男逮捕」(2014年10月29日 佐賀新聞)

国交省が発注する交通量調査事業に出資すれば、元本を保証した上で2~3%の配当を支払うとうそをつき、知り合いの男性に現金2400万円を指定の金融機関口座に振り込ませ、だまし取ったとして、愛知県警は無職の男(58)を詐欺の疑いで逮捕した。口座記録などから、九州を中心に12都府県の少なくとも150人から約6億円を集めた疑いがあるという。
「地下水開発で高配当 架空投資詐欺で7人が再逮捕」(2014年10月23日 神奈川新聞)

山形県の架空の水源地開発事業への投資話で現金をだまし取ったとして、神奈川、千葉、山形、秋田各県警の合同捜査本部は、経営コンサルタントの男(50)ら7人を詐欺の疑いで再逮捕した。7人は共謀し、千葉県の女性(84)に地下水開発で高配当が得られると話を持ち掛け、900万円を口座に振り込ませてだまし取ったとしている。神奈川県警は、グループは約3千人から計約160億円を詐取し、ほかにも仲間がいるとみて調べている。
「競馬で高配当約束:出資法違反容疑…“重い詐欺罪を”告訴」(2014年10月21日 毎日新聞)

競馬で運用して高配当をすると約束し、全国44都道府県の約3000人から、70億円以上を不正に集めた男ら4人を出資法違反容疑で逮捕した事件で、京都や大阪、兵庫、奈良など2府5県の約80人の被害者が計約3億円をだましとられたとして、詐欺容疑で4人に対する告訴状を京都地検に提出した。容疑者らは全く競馬投資をしていないにも関わらずセミナーで宣伝を続け、「預けた金が5週間で2倍になる」などとうたい出資金を募集していた。約330万円を出資したという兵庫県の女性(77)は「最初は支払いがあり信用し、知人も紹介してしまった。途中からうそばかりつかれた」と話した。告訴代理人は「4人は当初からだますつもりで、出資法違反より罪が重い詐欺罪で裁くべきだ」としている。
「“ロト6の当選番号教えます”被害額は約1億円か 詐欺容疑で男2人を再逮捕 警視庁」(2014年8月19日 産経ニュース)

数字選択式宝くじ「ロト6」の当選番号を教えると持ちかけて現金をだまし取ったとして、警視庁組織犯罪対策総務課は大阪市の韓国籍の男(24)らを詐欺容疑などで再逮捕した。男らは滋賀県の男性(66)に、「ロト6の当選番号を購入期限前に知るにはカネが必要だ」などと嘘の話をし、現金計205万円を指定した銀行口座に入金させ、だまし取ったなどとしている。
「“社長は水野晴郎の弟”虚偽で出資募る 映画制作会社に訴訟相次ぐ」(2014年7月25日 産経新聞)

映画評論家の故・水野晴郎さんの弟が社長を務めている会社だとPRされ、出資金をだまし取られたとして、東京の映画制作会社(破産手続き中)に損害賠償を求める訴訟が相次いで起こされている。訴状によると、京都府の70代の女性は平成24年3月ごろ、同社の営業担当者に「配当金は出資額の2倍になる」と勧誘され、映画のDVDやグッズ販売名目で25年5月まで14回にわたり計約2400万円を出資した。しかし配当金は最初の2回しか支払われず、契約解除を申し出ても「システムが故障している」といわれ、対応してもらえなかったという。
さて、これらの詐欺事件、法的にはどのような罪に問われるのでしょうか?
条文を見てみましょう。

「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」
第1条(出資金の受入の制限)
何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。
これは通称、「出資法」と呼ばれるものです。

「私に1,000万円出資してください。私が儲かる投資をします。1,000万円を保証した上に、配当として年10%お支払いしますよ」などと言って、不特定多数の人からお金を集めるような行為をする場合です。

不特定多数というところがキモですね。

法定刑は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科となります。

次に「刑法」を見てみましょう。

「刑法」
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

こちらは、お金をだまし取る場合ですね。

儲かる可能性がないのに、「ラクダに投資すると、今配当率が年50%ですよ」などとウソをついてお金を出資させるような場合です。

こちらは不特定多数である必要はなく、1人を騙しても詐欺罪が成立します。

法定刑は、こちらは重く10年以下の懲役となります。
また、組織的に行った場合は、「組織的犯罪処罰法」により、1年以上の有期懲役(1年以上20年以下)となり、さらに刑が重くなります。

ところで、被害にあってしまった方にとっては、犯人が逮捕され罪に問われることも大切ですが、やはり投資したお金が戻ってくるのが一番大切なことでしょう。

相手の所在がわかり、交渉できるようであれば被害金の返金要求や損害賠償請求の訴訟を起こすことができますが、逃げて姿をくらまし連絡もつかないために泣き寝入りせざるを得ないケースが後を絶たないのも現状です。

被害を未然に防ぐには、まずは都合のいい儲け話は世の中に存在しないことを再確認しなければなりません。

儲け話を簡単に信用しない、会ったこともない人間からの電話での勧誘には応じないようにしましょう。

万が一、被害にあった場合、「恥ずかしい」「家族などに迷惑かけたくない」といった理由で誰にも相談しない人もいます。

そうした時は、1人で悩まず、家族や公的機関、または弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

「間違いを犯したことのない人というのは、
何も新しいことをしていない人のことだ」
(アルベルト・アインシュタイン/物理学者)

 

会社の経費で飲みに行ったら犯罪!?


2014年9月9日

会社の経費が余ったから、同僚や後輩を誘って、そのお金で飲みに行っった経験のある人、いませんか?

最近、ある警察署で、そんな行為が「事件」として問題になったようです。

「捜査諸雑費で同僚や部下と飲食、警部補書類送検」
(2014年9月4日 読売新聞)

捜査諸雑費を私的に流用したとして、山梨県警は韮崎署の男性警部補(56)を業務上横領容疑で甲府地検に書類送検し、同日付で停職6ヵ月の懲戒処分にしたと発表しました。

県警によると、男性警部補は2009年3月~2011年3月にかけて当時勤務していた南甲府署で3回、また、2014年3月に南アルプス署で1回の計4回、捜査諸雑費として支給された現金(計1万868円)を同僚や部下との飲食代に流用して横領した疑い、としています。

今年4月、県警会計課監査室が行った監査で発覚したようで、男性警部補は容疑を認めており、横領した全額を返済、依願退職したとのことです。
以前、「領収書の改ざん」について解説しました。
詳しい解説はこちら⇒ http://taniharamakoto.com/archives/1615

会社に提出する領収書を勝手に改ざんして、使った分以上のお金を手に入れた場合、「詐欺罪」(刑法第246条)や「私文書偽造罪」(刑法第159条)になる可能性があり、さらに「民法」では損害賠償請求され、会社からは懲戒処分を受ける可能性もあるというものでした。

さて今回は、警察の経費を業務以外の飲み代に使ってしまった場合のケースですが、これはなにも警察官がやったから書類送検されたわけではありません。

一般の会社の社員がやっても同じ罪に問われる可能性があるのです。

営業経費として認められているからといって、仲間だけで飲みに行って、会社の領収証をもらって、営業経費として申請し、飲食代金を会社から受け取る、というようなことをしていませんか?

ドキッとした人もいるでしょう。

詐欺罪になる可能性があります。

会社としては、社員が営業として取引先などを接待していると思って飲食代金を支払うのですが、仲間だけで飲みに行くことは、会社を騙していることになるためです。

今回は、詐欺罪ではなく、「業務上横領罪」です。

どんな犯罪でしょうか。

では、条文を見てみましょう。

「刑法」
第253条(業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
ちなみに、業務上ではない「横領罪」は第252条にあり、こちらは5年以下の懲役ですから、業務上のほうが罪は重いということになります。

いずれにしても、罰金刑がなく懲役刑のみであることから、横領罪は重い罪だと言えますね。

自分が占有しているお金を私的に流用して横領した、ということなので、詐欺罪ではなく、業務上横領罪になったわけです。

ところで、お金だけでなく会社の備品、たとえばボールペンやハサミ、ホチキスなどを家に持って帰るとどうなるでしょうか?

これは、「業務上横領罪」や「窃盗罪」に問われる可能性があります。

さらに、会社のお金やものを横領すると、領収書の改ざんと同様に、「民法」第703条(不当利得の返還義務)、第709条(不法行為による損害賠償)により会社から損害賠償請求され、さらには懲戒処分を受ける可能性があることも覚えておいてください。

ほんの出来心でやってしまったことで、それまでのキャリアも、職も誇りもすべて失ってしまう恐れがあります。

「これくらいはいいだろう」とか「みんなやってるから大丈夫だろう」と安易に行動すると、後で後悔することになります。

小さなことだと感じるかもしれませんが、会社は法律に基づいて動いています。

会社のものと自分個人のものとは、厳格に区別して取り扱うことが大切です。

宿題代行業は、詐欺罪!?


2014年8月29日

今年の夏も、もうすぐ終わりますね。

仕事に遊びに、みなさんはどんな夏を過ごしたでしょうか。

地域によって、期間には多少の違いがあるようですが、学生たちの夏休みも、もうすぐ終わります。

子供の頃、怠けていたばっかりに夏休みの終了直前になって、バタバタと宿題をやったり、親に怒られながらも手伝ってもらったという経験のある人も多いのではないでしょうか。

ところで、親が手伝ってあげるのはまだしも、親がお金を払って宿題代行業者に依頼するケースもあるようで、教育評論家のあの方が、そんな現状に激怒しているようです。

「尾木ママ“宿題代行業は詐欺罪だ”」(2014年8月27日 デイリースポーツ)

宿題代行業が大繁盛している現状に対して、「尾木ママ」こと、教育評論家の尾木直樹さんが自身のブログで激怒。
「子どもたちに対しては教育犯罪そのもの」「れっきとした詐欺罪です」と厳しく指摘したということです。

小中学生の宿題を代行する宿題代行業は、読書感想文や絵画、工作などを代行して制作。
ネット上では、読書感想文1枚3000円、絵画1枚4000円などの代金も表示されているようです。

尾木さんは、「お金でなんでもできるという歪んだ価値観教えることになります」、「こういう闇悪徳業者は追放するべきですね」などと訴えているということです。
他の報道では、「依頼主は病気で手がつけられない場合や、受験で忙しくて宿題に手が回らない人」という業者もいるようですが、やはり許される商売ではないでしょう。私も尾木さんには同感です。

ところで、ここで疑問が湧いてきます。
尾木さんは「詐欺罪だ」と書いていますが、実際法的には業者は詐欺罪になるのでしょうか?
まずは条文を見てみましょう。

「刑法」
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「詐欺罪」が認められ成立するには、その構成要件を満たしているかがポイントになります。

〇相手方を錯誤に陥らせ、財物や財産上の利益を処分させるような行為をすること((欺罔行為や詐欺行為)
〇相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
〇錯誤に陥った相手方が財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)
〇財物の占有または財産上の利益が行為者や第三者に移転すること(占有移転、利益の移転)
〇これら4つの間に因果関係が認められ、行為者に故意または不法領得の意思が認められること

なんだか、ややこしくて難しいですね。
簡単に言うと、次のような場合、詐欺罪が成立するわけです。

〇お金などを奪う目的で、Aが詐欺的な行為で故意にBをあざむく
〇BはAにあざむかれ、勘違いしてしまう
〇そこで、Bはお金などをAに渡す
〇Aはお金などを手に入れる

では、宿題代行業者の一件にこの要件を当てはめてみましょう。

業者が、初めからお金を奪う目的で「宿題を代行します」とウソを言って親からの依頼を受け、代金を受け取ったのに宿題を代行しなかったなら詐欺罪が成立します。

しかし、親は子どもの宿題が間に合わないので、ネットで見つけた業者にお金を払って宿題代行を依頼。
業者も商売として親から依頼を受け宿題を完成し報酬を得たわけですから、業者は親を騙しておらず、詐欺罪にはあたらないということになります。

ただ、宿題代行業は子ども本人の「宿題をやり遂げる力」や「正直に生きる機会」を奪い、「人生に損害を与える行為」をしたと考えれば、法律は別として国語辞典の定義である「詐欺」にはあたるかもしれませんね。

このように、刑法の「詐欺罪」と、国語辞典にある「詐欺」では概念が違うということは知っておいてもいいと思います。

さて、今回のような宿題代行業者は、犯罪になる可能性はないのでしょうか?

じつはあるのです。

「刑法」
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
学校や塾は、教育業務を行っているのであり、そのために宿題を課します。その宿題をあたかも本人がやったように偽って他人が行っていたとすれば、適正な教育業務は遂行できません。

したがって、偽計(人を欺く計略)によって、学校や塾の教育業務を妨害した、と言えなくもないのです。

さて、世の中には、さまざざまな「詐欺的行為」がありますが、法的な解釈では、その扱いが違ってきます。

たとえば、結婚詐欺があります。
既婚の男性が、「結婚していない」といって女性をあざむいて交際した場合、ウソが発覚すれば女性は、「だまされた」「詐欺だ」と思うでしょうが、つきあっていただけなら刑法上の詐欺罪にはなりません。

ところが、「俺に賭けてくれ」「俺を信じてくれ」などと言って、女性からお金をだまし取ったら詐欺罪になります。

ただし、刑法には問えなくても女性が民事で男性を訴えることはできます。

「詐欺だ」というのと、刑罰を科される「詐欺罪」というのは、違う概念である、ということを憶えておきましょう。

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