履歴書を書いて私文書偽造!?
大阪府警泉南署の警部補が、飲酒運転を取り締まるときにアルコールの測定値を水増ししたとして、警察はこの警部補を、虚偽公文書作成罪の疑いで、逮捕しました。
ニュースによると、この警部補は、去年9月、ミニバイクの男性を飲酒運転で摘発した際、本人の説明とは違う酒の量を記入して書類をねつ造したとのことです。
泉南署で去年1年間に飲酒運転を摘発した件数は山下容疑者が突出して多かったということです。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4970854.html
成績を上げるためだったのかもしれませんが、動機が知りたいところです。
なぜなら、警察官である以上、この行為が犯罪であることは当然知っていたこと、しかも、それはいずれバレることも予想がついたはずであるからです。
ちなみに、一般の方は、虚偽公文書作成罪は関係ないでしょうが、嘘の文書を作る罪に、私文書偽造罪というのがあります。
契約書、借用書、証明書、届出書などの権利義務や事実証明文書について、他人の名義を冒用して文書を作成した場合に成立するもので、印鑑や署名がある場合は、3ヶ月以上5年以下の懲役、印鑑や署名がない場合には、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
お金の貸し借りで、借用書がないのに、借用書を勝手に作る行為はこれにあたりますし、求職のための履歴書を他人名義を冒用して書く場合もこれにあたります(最高裁平成11年12月20日決定)。
また、私立大学入学試験の答案を他人名義を冒用して作成するのもこれにあたります(最高裁平成6年11月29日決定)。
本人の承諾を得て行う替え玉入試で、私文書偽造罪を認めた判例もあります(東京高裁平成5年4月5日判決)。
さらに、お金を借りるために、承諾を得て他人の健康保険証を消費者金融の自動契約機を通じて提示して他人名義で申込書を作成してローンカードの作成・交付を受ける行為も私文書偽造罪にあたる、とした判例もあります(仙台高裁平成18年9月12日判決)。
思わずやりそうになる行為もありますね。
これらについては、本人の承諾がある以上、犯罪は成立しない、という反対説もあります。
もちろん全ての場合に犯罪が成立するわけではないのですが、上記のような判例がある以上、基本的に、「本人の承諾があっても、他人名義の文書を作らない」という意識でいた方が無難といえるでしょう。
他人にかわって文書を作ってあげないといけない場面に遭遇した時は、弁護士に相談することをおすすめします。