訊問の罠
2009年09月07日
訊問の罠 ――足利事件の真実 (角川oneテーマ21)
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著者は、菅家利和氏と佐藤博史氏。
菅家氏は、1990年、栃木県足利市で4歳の幼女が殺害された事件(足利事件)で、1991年に逮捕されて殺人罪で起訴。
1993年に宇都宮地裁で無期懲役の有罪判決が下され、その後東京高裁、最高裁で有罪となるも、再審請求却下からの即時抗告の末、2009年にDNA再鑑定。
その結果、DNA不一致により、犯人でないことがわかり、逮捕から17年半ぶりに釈放されました。佐藤氏は、第二審から再審請求までの弁護人です。
佐藤弁護士は、最高裁で有罪判決が確定した後も、菅家氏の無罪を信じ、再審請求を申し立てますが、2008年2月13日、再審請求が棄却されました。その日、佐藤弁護士は菅家氏と接見した後テレビカメラに向かい、涙ながらに次のように訴えました。
「神様がひとつだけ願いを叶えてやると言われれば、私はためらうことなく、菅家さんの無罪判決をとお願いするつもりで頑張ってきました。再審請求が棄却されたことは残念でなりません」
佐藤弁護士は、手弁当で、1,000万円以上持ち出しで弁護活動をやり抜いたそうです。菅家氏の無罪を信じ抜き、自分の信念に従い、国家権力と闘い続けています。さらに、菅家氏の釈放後は、自宅に招いて、社会復帰の助力も惜しみませんでした。
私は、弁護士として、そんな佐藤博史弁護士を尊敬します。
同時に、冤罪はなくさなければならないと、改めて思いました。