黒猫と牛と脅迫罪
小説家の伏見つかささんに「顔面に黒猫の死体を叩きつけてやりたい」などと書いたメールを送って脅迫した脅迫罪の容疑で、徳島県内に住む32歳の男が警視庁に逮捕されました。
ニュースによると、容疑者は伏見さんの作品のファンで、小説の内容が気に食わなかったため、上記のメールを送りつけた、ということです。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5002408.html
脅迫罪は、次のとおり。
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(刑法222条1項)。
今回の「顔面に黒猫の死体を叩きつけてやりたい」というのは、身体に対して害を加える旨を告知した、ということでしょう。
しかし、単に1回、このようなメールを送ったからといって、逮捕されることは考えにくいでしょう。
被害者が畏怖するに足る害悪の告知である必要があるからです。
今回は、なんと昨年11月から500回ほども同様のメールを送りつけたということで、逮捕に至っています。
では、こういうのは、どうでしょう?
「尻に黒猫の死体を叩きつけてやりたい」
ちょっと、畏怖の度合いが弱くなってきました。
では、これは?
「顔面に札束を叩きつけてやりたい」
中には、喜ぶ人も出てくるかもしれません。
過去の判例では、次のような行為が脅迫罪とされています。(最高裁昭和35年3月18日判決)
対立する一方の陣営の者が、反対陣営の者に、実際には火事がないのに「出火御見舞い申し上げます」と記載した葉書を郵送する行為。
下手なことをするものではありませんね。
今は、パソコンで書くでしょうが、打ち間違いと、変換ミスで、
「出馬お祝いも牛あげます」
となったら、反対陣営が大喜びで牛をもらいにくるでしょう。
脅迫罪にならないことは、もちろんです。