「リベンジポルノ」は罪になります。 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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「リベンジポルノ」は罪になります。

2013年12月11日


別れた元恋人のプライベート写真や動画をネットに公開する「リベンジポルノ」が問題化しているようです。

「元交際女性にリベンジポルノ容疑の男を逮捕“裸の写真ばらまく”」

元交際相手の女性に「交際を続けなければ裸の写真をばらまく」などと脅した容疑で、警視庁青梅署は強要未遂の疑いで無職の男(30)を逮捕しました。男は容疑を認めているということです。

女性が別れ話を切り出した直後から、男は6日間に4回に渡って携帯電話から写真や動画を添付したメールを送信し、脅していたようです。

ネットに流出した写真や動画などの情報は完全に回収するのが難しく、いったん流出すると半永久的に世界中でさらされ続けることになります。

恋人にふられたからといって、その恨みからプライベートな情報をネット上にばらまくことは、卑劣な行為と言わざるを得ません。

ネット社会の現代、リベンジ(復讐)ポルノの問題は世界各国で起きています。

アメリカでは、2013年10月1日に施行された「リベンジポルノ非合法化法」によって、嫌がらせ目的で個人的な写真・映像を流出させたとして有罪になると、最高で禁錮6ヵ月もしくは最高1000ドルの罰金刑の対象となりました。

この法律では、合意の上で撮影された写真であっても写った人の同意なく投稿されれば違法とみなされるそうです。一緒に撮影した写真を、相手の同意を得ず、別れた後にネットに投稿すると違法になるということです。

ちなみに、同法では流出者と撮影者が同一人物でない限りこの法律は適用されないという制限があるようです。

日本でも、このリベンジポルノの問題は国会でも取り上げられ、法規制の議論も起きています。

今年10月、東京都三鷹市で起きた女子高生ストーカー殺人事件で加害者が被害者のプライベート写真と動画をウェブサイトで拡散させたことで一気に問題化しました。

谷垣禎一法相は、「名誉棄損罪が適用できる。被害者が18歳未満なら、児童売春・児童ポルノ禁止法の可能性がある。現行法で対処できる」と国会で答弁しました。

では、仮に今回の事件を現行法で見ていくと、どのような罪に問われるでしょうか。

まず、交際を続けるように強要したので、強要罪が適用されます。

刑法第223条(強要)
1.生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

強要は、しなくても、「裸の写真をばらまくぞ!」などと脅すと、脅迫罪になります。

刑法第222条(強迫)
1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

また、写真の内容によっては、社会的評価を低下させるので、名誉毀損罪にもなりえます。

刑法第230条(名誉棄損)
1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

さらに、「裸の写真をばらまかれたくなければ、金を払え!」などと、お金を要求すると恐喝罪になってしまいます。

刑法第249条(恐喝)
1.人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
卑劣な行為をした報いは、やはり、罪に問われることになるのです。

「そんな写真撮らせなければいいのだ」という声もありますが、2人の関係性から断れない場合もあるでしょうし、知らないうちに撮られている場合もあるでしょう。

やはり、そのような行動自体を罰する方が合理的だと思います。

少し前に、店の冷蔵庫などに入って写真を撮り、Twitterなどにアップロードする行為が話題になりました。

インターネットとソーシャルメディアが発達して個人が容易に全世界に意見などを発表することが容易になりました。

それは良いことですが、その反面として、情報拡散が容易であるがゆえの危険性も高まっています。

情報が容易かつ無限に拡散するインターネットの危険性を、1人1人が十分認識することが必要です。

社員教育や学校教育にも取り入れてゆくことも必要ではないでしょうか。