眠っている人にわいせつな行為をすると? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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眠っている人にわいせつな行為をすると?

2012年02月25日

私立高校教諭(40)が準強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。

ところが、この事件、よくあるニュース記事とは違います。

何が違うかというと、被害者が違うのです。

私立教諭は男性。

そして、被害者も男性です。

事実としては、3月25日午前7時25分ごろ、大阪市のサウナ施設の仮眠室で、寝ていた男性(25)の下半身を触った疑いとのことです。

男性が気付いて取り押さえ、警察官に引き渡したそうです。

男性が、男性に強制わいせつって、あまり聞かないですよね?

ちなみに、強姦罪は、次のように定めています。

刑法第177条
暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。(13歳未満は、同意があっても罪になります)

強姦罪の被害者は、女性だけなのです。

では、強制わいせつ罪は、どうか?

刑法176条
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。(13歳未満は、同意があっても罪になります)

強制わいせつ罪は、男女とも被害者になるわけですね。

今回は、「準」強制わいせつ罪です。この「準」とは何でしょうか?

刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条(6月以上10年以下の懲役)の例による。

準強制わいせつ罪の場合は、「暴行又は脅迫」が要件となっていません。

今回の場合、眠っているわけですから、抗拒不能なわけです。

眠っている人は、男性であっても、女性であっても、わいせつな行為をすると、準強制わいせつ罪ですから、気をつけてくださいね。