自転車での死亡事故が多発中!損害賠償金は一体いくら?
自転車による死傷事故が続発しています。注意してください!
「自転車:女子高生が下り坂で衝突、歩行者が死亡 京都」(2014年9月18日 毎日新聞)
京都府の府道で17日午後7時10分ごろ、歩いて横断していた女性(79)が府立高校2年の女子生徒(16)が運転する自転車と衝突。
女性は頭を強く打ち、病院に救急搬送されたが約6時間後に急性硬膜下血腫などで死亡。
女子生徒も転倒し、あごの骨にひびが入るなどの重傷とのことです。
府警によると、府道は西から東に向かう下り坂で、女子生徒はクラブ活動の帰りに坂を下っている途中で衝突したとみられ、「ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているようです。
府道は西から東に向かう下り坂。
散歩が日課の女性は当日、横断歩道や信号のない場所を横断していたようで、府警は女子生徒が前方をよく見ていなかった可能性もあるとして、重過失致死罪などの容疑で調べているとのことです。
「自転車同士が衝突 高齢の女性死亡、男子高校生重傷 旭川の歩道」(2014年9月16日 北海道新聞)
旭川市の道道の歩道上で、男子高校生(16)の自転車と、70代とみられる女性の自転車が正面衝突。
女性は頭を強く打ち、脳挫傷のため搬送先の病院で約6時間後に死亡。
男子高校生は鼻の骨を折る重傷を負ったということです。
道警によると、現場は道路の片側のみにある平たんな歩道で、歩道幅は約2メートル。
事故当時はすでに薄暗く、2人の自転車はともに無灯火だったとみられ、自転車のブレーキ痕はなかったということです。
以前、子供が起こした交通事故などの高額賠償金について解説しました。
詳しい解説はこちら⇒「子供が起こした事故の高額賠償金、あなたは支払えますか?」
https://taniharamakoto.com/archives/1217
交通事故の加害者には3つの責任が科せられます。
「刑事責任」「民事責任」「行政責任」です。
京都府の事件を例にとると、刑事では「重過失致死罪」に問われ、民事では損害賠償が発生します。
法定刑は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
重過失とは、どんな結果となるのか容易にわかる場合や著しい注意義務違反のために、起こる結果を予見・回避しなかったことをいいます。
また、未成年者の損害賠償責任について法的には、その未成年者に物事の是非善悪を理解する能力がある場合には、その未成年者本人が賠償義務を負い、その能力がない場合には親などが責任を負う、とされています。
「その能力」は、11~12歳くらいが境界線とされているので、今回の事故での女子生徒は16歳ですから本人が損害賠償をしなければいけません。
では、その金額は一体いくらになるでしょうか?
おおよその概算で計算してみます。
今回のケースは、ご高齢の方でしたが、ご高齢の場合、条件次第で金額にばらつきが出てしまうので、ここでは、専業主婦の女性(30)が、自転車事故で死亡してしまった場合を計算します。
そうすると、なんと、概算で7,400万円もの賠償金を支払わなければならなくなります。
自転車の危険性を認識せず、注意を怠ってしまったばかりに、人を死亡させてしまったことで約7,400万円もの損害賠償金を支払わなければいけないのです。
現状、この女子生徒に支払い能力があるとは考えられないので、親が7,400万円もの損害賠償金を支払うことになるでしょう。
一般的な家庭にとっては大変な金額です。
簡単に支払えるものではないですね。
仮に、この親が自己破産してしまった場合、被害者の女性の遺族は賠償金を回収できなくなってしまいます。
このブログでは何度も書いてきましたが、交通事故では被害者も加害者も、お互いが不幸な結果になってしまいます。
自転車は手軽で便利なものですが、一歩間違えば凶器にもなることを大人も子供も、今一度認識してほしいと思います。
また、交通事故は、ある日突然起きるものですから、まさかの時の備えとして自転車保険への加入などを検討するべきだと思います。