軽い交通事故でも逃げると重罰が!?
「ちょっとくらいならいいだろう」、「これくらいならバレないだろう」、
人生のさまざまな場面で、人はそんなふうに思ってしまうことがあります。
しかし、こと交通事故に関してはそんな考えは通用しません。
加害者には、「刑事責任」「民事責任」「行政責任」の3つの責任が科せられます。
そして、被害者は亡くなったり、重大な後遺症を背負ったりします。
誰も幸せにならないのが交通事故です。
ところで最近、ひき逃げで検挙された人への調査から、逃げた動機や理由がわかってきたという報道がありました。
心の甘えや油断が命取りになっているようです。
「ひき逃げ犯3割超が過小評価“大したことない”“半信半疑だった”」(2014年6月6日 産経新聞)
大阪府警の発表によると、ひき逃げ犯の30%以上が、「事故を起こしたかどうか半信半疑だった」「大したことないと思った」と事故を過小評価していたことがわかりました。
昨年1年間で、府内で起きたひき逃げ事故は1,351件。このうち摘発されたドライバー636人に動機を尋ねたところ、「半信半疑だった」102人(16・0%)、「飲酒・無免許が発覚するのがいやだった」107人(16・8%)、「大したことないと思った」101人(15・9%)、「恐ろしくなった」71人(11・2%)、「逃げたら分からないと思った」54人(8・5%)という割合だったということです。
また、死亡・重傷のひき逃げ事故にかぎると、摘発された76人のうち、「半信半疑だった」(17.1%)、「大したことないと思った」(7.9%)という割合から、4人に1人は交通事故を軽く考えていたために重大な結果につながった可能性もあるとしています。
以前、ひき逃げについて解説しました。
詳しい解説はこちら⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1403
ここでいう「自動車運転過失致死傷罪」は、今年5月20日に施行された「自動車運転死傷行為処罰法」では「過失運転致死傷罪」になっています。
「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236
ひき逃げの場合、自動車運転処罰法違反(過失致死傷罪)と道路交通法違反(救護義務違反)の併合罪で、最長で懲役15年になります。
仮にアルコールを飲んでいて逃げた場合は、「アルコール等影響発覚免脱罪」が併合され、最長で懲役18年です。
たとえ被害者が軽傷でも、ひき逃げには大変重い刑罰が科されます。
現場から逃げてしまったばかりに、罪の上にさらに罪を重ねてしまう…それが、ひき逃げという行為です。
ちなみに、法務省が公表している「平成25年版 犯罪白書」によると、平成24年度のひき逃げ犯の検挙率は、死亡事故98.8%、重傷事故69.6%になっています。
死亡事故のひき逃げ犯は、ほぼ100%近くが検挙されているということです。
検挙率のデータや罰則の厳罰化を考えれば、ひき逃げは、けっして「逃げ得」にはならないということがわかるでしょう。
自動車を運転中、何かに当たったら、「人と接触したかもしれない」と確認する習慣を徹底しましょう。
さもないと、長い懲役刑があなたを待っているかもしれません。