判決に影響を及ぼすのか | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

判決に影響を及ぼすのか

2007年06月02日

2007年5月21日に千葉地裁は、死刑判決を言い渡しました。振り込め詐欺グループの仲間割れからメンバー4人が監禁され、暴行を受けて死亡した事件で、共同被告人のうちの1人に対してです。これに対し、千葉地検は6月1日に控訴しました。事実誤認が理由だそうです。

刑事訴訟法382条は、「事実の誤認があってその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に表れている事実であって明らかに判決に影響を及ぼすべき誤認があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。」と規定します。

つまり、判決に影響を及ぼす事実誤認である必要があるのです。今回の事件では、被害者3人に対する殺人罪を主張した検察側に対し、判決では2人に対する殺人罪と1人に対する傷害致死罪と認定し、その意味では事実誤認との判断がされるのはわかります。

しかし、仮に検察側が主張するように、傷害致死罪が殺人罪に変更になったとすると、刑罰も重くなることはあっても軽くなることはないはずです。しかるに、今回は、死刑を求刑して死刑になったのですから、これ以上刑罰が重くなることはありません。判決に影響を及ぼす事実誤認であるとは思われません。

 仮に、他の共同被告人に対する判決に影響を及ぼすという考えだとすると、本人の判決に影響しないような理由で控訴ができるのか、という疑問があります。

検察側がどのような考えなのか、見守りたいと思います。

大阪人はなぜ振り込め詐欺に引っかからないのか―カンニング竹山と考える