地獄におちるわよ!
2006年11月15日
ヤフーニュースで発見しました。
女性看護師(28)が、東京都内の大学病院に勤務する男性医師に、メールで「くたばれ」「許さない」などというメールを、今年1月から9月の間、3回にわたり、送信したとして、脅迫罪で逮捕したそうです。
脅迫罪は、他人の生命、身体、自由または財産に対し害を加えるべきことをもって人を脅迫した場合に成立し、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。(刑法第222条)
脅迫といえるためには、相手方の性質や状況から判断して、一般に人を畏怖させるに足りる程度の害を告知しなければなりません。
このニュースでは「くたばれ」「許さない」というメールでしたが、これだけでは一般的に人を畏怖させるに足りる程度とは言えないでしょう。
よほどコワイ看護師であり、この看護師に「許さない」と言われたら、一般に震え上がる程度だったのかもしれません。
そして、相手方を畏怖させるには、害悪の発生を現実に左右できると一般の人が感じる場合でなければなりません。
「地獄におちるわよ!」と言われても、言った人に「地獄におちるかどうか」を左右できる力があるとは一般には思えません。したがって、一般的には「地獄におちるわよ!」では、脅迫罪が成立しません。
しかし、たとえば宗教の教祖と信者の関係で、教祖を信じ切っており、その教祖が「地獄におちるわよ!」と言った場合には、信者は、「地獄におちるかどうかは教祖次第!」と信じている場合もあり得ますので、脅迫罪の成立もあり得るように思えます。
※学説により見解が異なります。