小学生の犯罪はどのように処罰されるのか? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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小学生の犯罪はどのように処罰されるのか?

2015年05月18日

警察庁公表の「少年非行情勢(平成26年1月~12月)」によると、2014(平成26)年中の刑法犯少年の検挙人数は4万8361人で、11年連続で減少しているということです。

しかし、少年による凄惨な事件が発生したほか、再犯者率の上昇、少年非行の低年齢化が続いていることなど、少年非行を取り巻く情勢は引き続き厳しい状況にある、としています。

凶悪事件の例としては、少年2名を自動車で跳ね飛ばし1名を殺害、もう1名に重傷を負わせた事件(愛知)、同級生の後頭部を殴打したうえ、首を絞めて殺害した事件(長崎)、集団で少女に暴行を加えて死亡させた事件(愛媛)などが挙げられています。

犯罪で一番多かったのは窃盗犯の2万8246人、次いでその他の刑法犯が1万1737人、粗暴犯(傷害・暴行等)が6243人で、知能犯(詐欺等)が(987人)。
凶悪犯(殺人・強盗・放火・強姦)は703人でした。

さて今回、なぜ少年犯罪の統計データから始まったかというと、子供の犯罪に悩む親御さんからの相談が届いたからです。
一体、子供は何をしてしまったのでしょうか?

Q)12歳の息子がスーパーで万引きをしました。お店の責任者の方から連絡があり迎えに行ったのですが…どうやら今まで何回も万引きしていたようです。警察に通報しないでもらったのですが、親として、これからどうすればいいのでしょうか? 法的には、どのように処罰されるのでしょうか?

A)大人の場合、窃盗罪は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金(「刑法」第235条)となりますが、子供の場合、今回は12歳なので仮に警察に補導されたならば、その後、児童相談所に通告されることになっています。
前述の「刑法犯少年」とは、14歳以上20歳未満で刑法犯の罪を犯した少年のことで、14歳未満の場合は「触法少年」といいます。(少年法3条1項2号)。

「刑法」第41条では、「14歳に満たない者の行為は、罰しない。」と規定しているため、今回の相談のように12歳の子供の万引きは警察に補導されても罰せられることはありませんが、警察は児童相談所に通告することになっています。

児童相談所とは、「児童福祉法」第12条に基づき、各都道府県に設けられた児童福祉の専門機関で、0歳から17歳の者を対象に以下のような業務を行っています。(児童福祉法11条の2)

・児童に関するさまざまな問題について、家庭や学校などからの相談に応じる。
・児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行う。
・児童及びその保護者につき、上記の調査又は判定に基づいて必要な指導を行う。
・児童の一時保護を行う。

通告を受けた児童相談所は、以下のような措置を取ります。

・児童、または保護者に訓戒を加え、または誓約書を提出させる。
・児童、または保護者を児童福祉司、または児童委員に指導させる。
・児童を、里親もしくは保護受託者に委託し、または児童施設等に入所させる。(保護者のいない児童、または保護者に監護させることが不適当だと認められる児童の場合)
・14歳未満でも、家庭裁判所の審判に付することが適当だと認められる児童は、家庭裁判所に送致する。(都道府県知事、または児童相談所長から送致を受けた場合など)
ところで、前述の統計データによれば、2014(平成26)年中の触法少年の補導人数を見てみると、1万1846人で前年比-746人。
平成17年と比べると、この約10年で8673人減少しています。

窃盗犯が最も多く7728人で、そのうち万引きは4797人。
暴行・傷害などの粗暴犯は1429人、殺人・放火などの凶悪犯は76人が検挙されています。

犯罪の低年齢化が懸念されます。

若いころに身についた遵法精神は大人になってからも生き続けます。

小学校や中学校の段階での法教育が望まれるところです。