地面師逮捕
2005年04月14日
地面師が詐欺罪で逮捕されたそうです。地面師というのは、土地(地面)を利用して行う詐欺師のことです。完全な所有権がないのに、あるように偽って取引を行い、相手から金を詐取します。
今回は、容疑者は、自分が所有している土地について、債権者の抵当権が設定されていたにもかかわらず、虚偽の抵当権抹消書類を法務局に提出し、抵当権を抹消しました。そして、担保のついていない完全な所有権があるように見せかけ、消費者金融から、土地を担保に5,700万円を借り入れたということです。
正当な抵当権者がいるのですから、すぐバレると思うのですが。
さて、消費者金融は、土地に抵当権が設定されていれば、5,700万円を貸すことはなかったのであり、その意味で詐欺罪が成立することになります。
地面師は、このように、自分の土地を使うこともあれば、他人の土地を使うこともあります。他人の土地を使う場合には、次のような手口があります。
①土地を所有している他人(「福地さん」とします)、及びその他1人(「身代さん」とします)の住民票を勝手に他の市町村に移動し、そこで新しい印鑑証明書を登録します。そうすると、自分が持っている印鑑で他人の実印登録をすることができます。(なお、この行為自体も犯罪ですのでやってはいけません。)
②詐欺師の1人が福地さんになりすまし、新しい実印と印鑑証明書を使い、保証書方式で、身代さんの名義に土地の所有権を移転します。
③詐欺師のもう1人が、身代さんになりすまし、新しい権利証(福地さんから身代さんに所有権が移転したので、新しい権利証ができます。)、新しい身代さんの実印、印鑑証明書を使って金を借り、または第三者に土地を売却して金を詐取します。
④その後逃走します。後で気付いた関係者がびっくり仰天ですが、詐欺師達の痕跡は残っていません。
土地を所有している他人(福地さん)の他に、もう1人(身代さん)になりすますのは、福地さんになりすますだけでは、土地の権利証がなく(福地さんが持っています)、金融機関ないし買主に取引を拒絶される可能性が高いからです。
不動産取引をしようとする人は、次の兆候がある場合には注意が必要です。
①取引直前に所有者の住所が移転し、すぐに売買され、または担保が抹消されている。
②不動産を譲り受けた直後に、合理的な理由なくすぐ不動産を売ろうとしている。
③取引を急いでいる。
④建物付きの場合には、内見できない。
なお、不動産登記法が改正され、権利証制度が変わりましたので、上記の方法はそのまま使えません。でも新しい方法を考えるでしょう。不動産取引の際はお気を付けください。