飲酒強要がなぜ傷害罪!?
小樽商科大学アメフト部の花見で、部員9名が、急性アルコール中毒とみられる症状で病院に運び込まれ、うち1人が意識不明の重体、ということです。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5024160.html
飲酒の強要があったのではないか、ということで、警察は傷害容疑で捜査を進めています。
ちょっと、違和感を覚えませんか?
「飲酒の強要が傷害!?」
普通、傷害罪といえば、暴力をふるって、その結果、怪我をさせた場合に成立します。
しかし、今回は、暴力行為はなかったとされています。
では、なぜ傷害罪が!?
実は、刑法上の傷害罪は、暴力をふるわなくても成立することとされています。
例をあげると、いやがらせ電話により精神衰弱症にさせた場合(東京地裁昭和54年8月10日判決)、長期間にわたりラジオや目覚まし時計のアラームを大音量で流し続け、全治不詳の慢性頭痛症にさせた場合(最高裁平成17年3月29日決定)などです。
但し、傷害罪は、「故意犯」ですので、相手が精神的疾患にかかることを意図して、あるいは未必の故意で行うことが必要なので、通常の生活騒音などで精神疾患にかかっても傷害罪は成立しませんので、お間違いなく。
今回の場合、飲酒を強要すれば、急性アルコール中毒になるかもしれないことは通常の人であればわかっています。わかっていながら、飲酒を強要し続け、急性アルコール中毒にさせた場合は、傷害罪の成立の可能性があります。
そこで、警察は捜査しているのです。
なお、9人のうち7人は未成年者だといいます。
未成年者の飲酒は、「未成年者飲酒禁止法」で禁止されています。
未成年者とは、20歳未満の人です。
未成年者が飲酒をしても、刑罰はありませんが、親権者あるいは親権者にかわって監督する立場にある人が飲酒をさせた時は、科料の罰則があります。
ご両親は気をつけてください。
あっ、もう1つ注意することがありました。
過去の判例で、自分が性病であることを隠して性交し、病毒を感染させた場合に傷害罪が成立するというものがあります(最高裁昭和27年6月6日判決)。
ご注意を。
注意不要でしたか。。。