自動車運転死傷行為処罰法:「無免許過失運転致傷」が初適用! | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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自動車運転死傷行為処罰法:「無免許過失運転致傷」が初適用!

2014年06月10日

5月20日に施行された「自動車運転死傷行為処罰法」関連の事故で、今度は「無免許過失運転致傷罪」(無免許運転による加重)が適用された事故が起きてしまいました。

早速、解説していきます。

「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236

「無免許で車運転の16歳少年、軽傷ひき逃げで逮捕」(2014年6月8日 産経新聞)

滋賀県警守山署などは7日、無免許運転で相手車両の男性にケガを負わせたまま逃げたとして、建設作業員の少年(16)を自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)の疑いなどで逮捕しました。

報道によると、少年は滋賀県野洲市の県道で軽乗用車を運転中、信号が赤色点滅だった交差点に進入し、トラックと出合い頭に衝突。

トラックを運転していた男性(46)の両足に軽傷を負わせながら、救護措置を取らず現場から車で逃げ去ったということです。

「無免許運転による加重」は、今回新たに加えられた犯罪類型で、以下の罪を犯した者が、事故の時に無免許だった場合に成立するものです。

〇危険運転致傷罪(死亡の場合や、「進行を制御する技能を有しない」犯罪類型を除く。死亡の場合を除くのは、すでに最高刑が規定されているため)

〇準危険運転致死傷罪

〇過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

〇過失運転致死傷罪

過去、無免許のよる重大事故が発生したにもかかわらず、「自動車運転過失致死傷罪」と「道路交通法違反」という軽い罰則しか科せられず社会的批判が高まったことから、世論の後押しもあって今回新たに規定されたのが、この「無免許運転による加重」です。

従前は、たとえ無免許でも運転する技術があれば危険運転致死傷罪が適用されず、刑罰は軽すぎる、と批判がありました。

しかし、無免許運転は、基本的な交通ルールの無視という規範意識の低さとともに、それ自体が危険な行為であるため厳罰化となったわけです。

無免許運転による罪が加重されると、最高刑は次のようになります。

〇危険運転致傷罪(懲役15年)+無免許→懲役20年

〇アルコール等で不覚にも運転困難に至って事故を起こした罪(懲役15年)+無免許→懲役20年

〇アルコール等影響発覚免脱罪(懲役12年)+無免許→懲役15年

〇過失運転致死傷罪(旧自動車運転過失致死傷罪)(懲役7年)+無免許→懲役10年

今回の事故の場合、加害者は、
過失運転致傷罪+無免許+道交法違反(救護義務違反)となり、最高で懲役15年の可能性があります。

ただ、今回は、16歳の未成年者が加害者ですので、少年法が適用され、将来の更正を期待した処分になると思います。

とにかく、成年でも未成年でも、当然のことながら無免許運転は以前よりも格段に重い罪が科せられるということです。

ドライバーの人には、肝に銘じてほしいと思います。

「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236