スーパー銭湯に入ると詐欺罪?
スーパー銭湯で、男が逮捕されました。容疑は詐欺罪。
この男は、別の男と2人で、昨年12月31日、兵庫県のスーパー銭湯に入店し、すき焼き鍋を食べたり、全身マッサージを受けたりしたが、その料金約2万6000円を払わずに立ち去ったそうです。
男が今月8日に、再度来店した際、容姿を憶えていた従業員が警察に通報し、逮捕となったそうです。
ところで、詐欺罪とは、他人を騙して、財物を交付させた場合、あるいは財産上不法の利益を得た場合に成立します。
罰則は、10年以下の懲役です。
今回は、すき焼き鍋を食べたり、全身マッサージを受けたりした行為が、「財産上不法の利益を得た」ことになります。
では、この男は、スーパー銭湯の従業員を「騙した」と言えるでしょうか。
この男が、当初より、お金を払う意思がない場合には、その意思を秘して、すき焼き鍋を注文したり、全身マッサージを注文する行為が「騙す」行為ということになります。
そして、すき焼き鍋を食べたり、マッサージを受けた時点で、「既遂」となります。
最後に料金を払わなかった時点で既遂になるのではないことに注意です。
ところが、この男、警察の取り調べに対しては、「一緒に来ていたもう1人が払った」と供述しているということです。
ということは、この供述が本当だとしたら、「元々は払う気があった」ので、騙していないことになり、かつ、「一緒に来ていたもう1人が払った」と誤信していたので、やはり騙していない、ということになります。
警察は、現在、もう1人の男の行方を追っているうようです。
この男の供述を突き合わせてみないと、真実は浮かび上がってこないでしょう。
ポイントは、「注文時点で支払う意思があったのか、なかったのか」というところです。
注文時点では支払う意思があったが、帰りに会計をしようとしたら、財布を忘れたことに気がついて、店の従業員に事情を説明したところ、「詐欺だ!」と言われた場合、詐欺罪でしょうか?
この場合、自分は元々は財布を持ってきていると信じているので、店を騙す意思はありませんので、詐欺罪は成立しない、という結論になります。
ただし、「払う意思があったか、なかったか」は、第三者から見ると、不明確です。
そんなところで疑われて逮捕されたら大変です。
したがって、身分証明書を示し、逃げも隠れもしない態度を取り、速やかに支払う確約書を提出するなどして、「払う意思」があったことを示すことが大切です。