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日本でも司法取引が始まります。

 >日本でも司法取引が始まります。

2018年1月25日

日本の司法取引制度に関する法案に動きがあったようなので解説します。

「司法取引6月1日に導入 政府、政令を閣議決定へ」(2018年1月24日 産経新聞)

法務省は1月24日、司法取引を導入する改正刑事訴訟法について、施行日を6月1日とする方針を固めました。

司法取引については、施行日を「公布から2年以内」としていましたが、政府は近く施行日を定めた政令を閣議決定するということです。

【司法取引とは?】
司法取引とは、逮捕された容疑者や起訴された被告人と検察官が司法における取引をすることです。

具体的には、容疑者や被告人が共犯者らの犯罪を明らかにするために捜査機関に証拠の提出や供述などをした場合、その見返りとして検察官は起訴を見送ったり(不起訴処分)、求刑を軽減したりできるというものです。

【司法取引制度成立の背景】
アメリカ映画などを見ていると、司法取引の場面が描かれていることがありますが、これまで日本では司法取引は法律で認められていませんでした。

しかし、証拠収集手段の適正化や多様化、充実した公判審理の実現などを目指し、2016(平成28)年5月に成立した「改正刑事訴訟法」に、検察と警察の取り調べの録音・録画(可視化)の義務付けとともに司法取引の導入が盛り込まれました。

ちなみに、改正刑事訴訟法は2017(平成29)年6月に公布されています。

【対象となる犯罪】
・薬物・銃器関連の犯罪
・贈収賄、汚職、背任、脱税、談合などの経済犯罪
・組織犯罪処罰法の組織的詐欺(振り込め詐欺など)
・独占禁止法違反
・特許法違反
・会社法違反
・破産法違反
・詐欺罪
・窃盗罪 など

【司法取引制度のポイント】
・司法取引の協議は、検察官と容疑者・被告人およびその弁護人との間で行なわれ、合意するには弁護人の同意が必要となります。

・組織犯罪における主犯格の情報を引き出したり、共犯者の解明に役立つと期待されていますが、一方で嘘の供述で他人を陥れたり、共犯者に自分の罪をかぶせたりといった冤罪を生む危険性も指摘されています。

従来、日本の刑事手続きでは、自白を重視するあまり過酷な取り調べが問題視されていました。
そこで、取り調べを可視化することで容疑者への自白の強要を防ぎ、また立証が困難な汚職や背任などの企業犯罪や詐欺などの組織犯罪の捜査の効率化を図るという目的が改正刑事訴訟法にはあります。

さて、この制度が日本に根付くかどうか、今後の進展を見守りたいと思います。

火炎放射器をむやみに作ると・・・

 >火炎放射器をむやみに作ると・・・

2018年1月24日

社会生活を送るうえでは、作っていいもの、使っていい場所などのルールや一般常識がありますが、それを逸脱したら、たとえ法律に明確な規定がなくても犯罪となる場合があります。

今回は、そんな事件を解説します。

「自作火炎放射器“自慢したくて”公園で使用動画」(2018年1月23日 読売新聞)

神奈川県警横須賀署は、自作した火炎放射器を公園で使用したとして、横須賀市の派遣工員の男(20)を軽犯罪法違反(火気乱用)容疑で横浜地検横須賀支部に書類送検しました。

事件が起きたのは、2017年8月と9月の未明。
同市の公園内で、建物などへの延焼の恐れがあることに注意せず、火炎放射器を使って炎を出し、その様子を撮影した映像を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。
「次はガソリンを使う」などと話していたということです。

容疑者の男は、作り方をインターネットで知ったとみられ、調べに対して「動画を見せて自慢したかった。インターネットで販売もしたかった」などと供述しているようです。

自作した火炎放射器は鉄やアルミによる金属製で小銃のような形をしており、長さ約60センチ、重さ約3キロ。
先端の火にガスを使って灯油を霧状に噴射することで火炎を出す仕組みで、同署が行なった実験では2メートルほどの炎が出たということで、ガソリンを使えば、さらに威力が増すとしています。

では、条文を見てみましょう。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

9 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の附近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の附近で火気を用いた者

本号は「火気乱用の罪」とも呼ばれるもので、ポイントとなるのは次の3点です。

①燃えるようなもの
又は
②引火しやすいもの

③附近で火をたく、火気を用いる

建物や森林以外で燃えるようなものといえば、身の回りにたくさんありますが、たとえばこの罪では、数枚の紙や小枝など燃えても公共の危険が発生するようなおそれがないものは該当しないと考えてよいでしょう。

ガソリン以外で引火しやすいものとは、たとえば灯油、軽油などの石油製品の液体燃料やアルコール類、ガスなどの気体燃料、火薬類などが含まれます。

また、火をたく、火気を用いる行為については、一般常識として考えられる範囲、程度の注意を払わなかった場合に本号が適用されると考えられます。
逆に、相当な注意をしていれば本号の罪は成立しないということになります。

今回のケースでは、火炎放射器の製造や所持を直接的に規制する法律がなかったため、警察は燃えやすいものの近くで火を使った者を罰する「火気乱用の罪」に踏み切ったということですが、公園で火炎放射器を使ったら、いくら「相当の注意を払っていた」と弁解しても、それは認められないでしょう。
2メートルの炎が飛び出すというのですから、危険極まりない行為です。

なお、火炎放射器で出した炎が近隣の建物などに延焼して火災を引き起こした場合には、刑法の「放火及び失火の罪」や「重過失失火罪」などに問われる可能性があります。

また、損害賠償責任も発生します。

詳しい解説はこちら⇒
「放火をしたのに器物損壊罪で逮捕された真相は!?」
https://taniharamakoto.com/archives/2321/

「失火責任の場合の損害賠償責任は!?(隣人トラブル)」
https://taniharamakoto.com/archives/2189/

放火罪は非常に重い罪です。
最高刑は殺人罪と同様に死刑となるので、安易な火の取扱いは絶対にしてはいけません。

火炎放射器の歴史は古く、ヨーロッパでは中世の東ローマ帝国、アジアでは宋の時代にすでに兵器として使われていたようですが、現在の形になったのは、1901年にドイツの技師が開発してからだそうです。

その後、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争でも使用され、大きな被害をもたらしました。

また、一般には除草や害虫駆除にも使われたようですが、やはり趣味で使ってはいけませんね。

鉄パイプ落下で死亡事故(刑事責任と民事責任)

 >鉄パイプ落下で死亡事故(刑事責任と民事責任)

2017年12月22日

今回は、空から落ちてきた鉄パイプによって起きた死亡事故について解説します。

一体、誰の責任なのでしょうか?

「鉄パイプ落下死亡事故、現場監督ら2人を書類送検 東京・六本木 警視庁」(2017年12月21日 産経新聞)

東京都港区六本木のマンション工事現場で、足場用の鉄パイプが歩道に落下し、歩行中の男性(当時77歳)が死亡した事故で、安全対策を怠ったとして警視庁捜査1課は工事を担当したリフォーム会社(川崎市)の現場監督(52)と、足場を組んだ下請け会社(横浜市)の作業責任者(30)の男性2人を業務上過失致死容疑で書類送検しました。

報道によると、事件が起きたのは、2016(平成28)年10月14日午前9時50分頃。

現場で足場の解体作業中、作業員が足場板をロープにくくりつけ、高所から降ろす作業をしていた際、つり下げた板が下の階の足場に触れ、留め具の固定が不十分だった「下さん」と呼ばれる部分の鉄パイプ(直径2・9センチ、長さ188センチ、重さ約1・9キロ)が落下。
約24メートル下の歩行者用の迂回路を歩いていた被害者男性の頭部に直撃し、死亡させたというものです。

現場監督と作業責任者の2人は、足場を設置した同年6月以降、鉄パイプを固定する留め具の点検を一度も行なっていなかったほか、歩行者の適切な誘導などの安全対策を怠ったようで、調べに対し、「危険性は認識していた」などと話し、容疑を認めているということです。

 

まずは、該当する条文を見てみましょう。

「刑法」
第211条(業務上過失致死傷等)
1.業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 

業務上過失致死傷罪は、故意ではなく、業務上の必要な注意を怠ったことで傷害、死亡事故を発生させた場合に適用されます。
今回は、被害者が死亡しているので業務上過失致死罪ということになります。

街を歩いていると、ビル工事現場に出くわすことがあります。
上から何か落ちてきやしないかと心配になりますが、そうしたことが現実に起きてしまった事件ということです。

ところで、今回の報道は刑事事件についてのものですが、このような事故では民事損害賠償の問題になる可能性が高いと思います。

遺族としては、故人の損害賠償請求権を相続しますので、民事事件とし損害賠償請求を行なうことができます。

今回の事件の場合、遺族が訴えることができる可能性のある相手は次のようになります。

・作業者本人
・工事会社の責任者
・法人としての工事会社
・下請会社の責任者
・法人としての下請会社

作業者本人に対しては、不法行為責任が争点になります。

「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

法人と責任者に対しては使用者責任が争点になります。

「民法」
第715条(使用者等の責任)
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

 

使用者責任は、交通事故や労災事故の損害賠償においても問題になるものです。

たとえば、加害者が業務中の交通事故の場合、被害者は運転者だけでなく会社に対しても使用者責任を問うことができます。

また、業務中の事故で従業員が死傷した場合も、被害者や遺族は労災事故として会社の使用者責任を問うことができます。

民事訴訟の基礎知識として、これらのことは覚えておいていただきたいと思います。

万が一の事故で、死亡事故や後遺症が残ったことによる民事訴訟の法律相談はこちらから
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殺人未遂に使われた武器・狼牙棒とは?

 >殺人未遂に使われた武器・狼牙棒とは?

2017年11月29日

今回は、マニアックな武器を使った殺人未遂事件の裁判の判決について解説します。

「先端にとげ…中国の武器「狼牙棒」で殴打 殺人未遂罪で54歳男に懲役4年判決」(2017年11月27日 産経新聞)

中国古来の武器「狼牙棒(ろうげぼう)」(全長約186センチ、重量約2.3キロ)で、近くに住むバングラデシュ人男性を殴ったとして殺人未遂罪に問われた千葉県富里市の無職の男(54)に対する裁判員裁判の判決公判が千葉地裁で開かれました。

判決によると、事件があったのは2017(平成29)年4月13日午後10時50分頃。
被告の男は同市内の駐車場内で、殺意をもって、狼牙棒を男性の頭にむけて2回振り下ろし、頭蓋骨骨折など全治1ヵ月の重傷を負わせたとしています。

裁判長は「殺意があったと認定できる」として、懲役4年(求刑懲役8年)を言い渡したということです。

犯行に使われた狼牙棒という武器は一般的には知らない人が多いでしょう。

狼牙棒(ろうげぼう)とは、実際に存在する金属製の棒状武器で、棒の先端部分にサボテンのような多数の棘(とげ)がついた紡錘の形をしたおもりを取りつけたもの。今回のサイズは、全長約186センチ、重量約2.3キロ。

強烈ですね。

近年では、中国の武装警察にも配備されているようです。

もともとの起源は古代中国の春秋時代とされ、時代が下った宋の時代(960~1279年)に発達し、その後の明の時代に書かれたとされる伝奇歴史小説『水滸伝(すいこでん)』に登場する猛将・秦明(しんめい)が使いこなす武器としても知られます。

『水滸伝』には、秦明が狼牙棒で敵を兜や鎧の上から叩き潰すという場面があったりしますが、鉄のおもりで兜や鎧ごと叩き潰し、しかも無数の棘が貫通して肉体を突き刺すわけですから、かなり殺傷能力の高い武器だといえます。

中国の武装警察、どんな場面で使うのでしょうか。。

さて、武器の話はこのくらいにして、法律の解説にいきましょう。

まずは、関係する条文を見てみます。

「刑法」
第203条(未遂罪)
第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

ちなみに前条とは、第202条(自殺関与及び同意殺人)で、「自殺教唆罪」と「自殺幇助罪」、「嘱託殺人罪」、「承諾殺人罪」などの罪について規定しているものです。

ところで、未遂罪の場合は刑の減免があります。

第43条(未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

平成20~23年の殺人未遂の判決を見ると、大体の相場としては、殺人罪の量刑から減軽されて、7年以下の懲役(執行猶予を含む)が判決全体の80%以上を占めるというデータがあります。

比率としては、3年以下(執行猶予)が31.75%、5年以下が23.16%、7年以下が20.18%で、重いものとしては15年以下が1.93%、13年以下が2.46%、11年以下が5.09%となっています。

今回の判決では、被告が使用した武器は狼牙棒という殺傷能力が高いものであったことからも、殺意があったと認められたということだと思います。

ちなみに、武器に関する犯罪としては以前、ヌンチャクに関する事件について解説しています。

詳しい解説はこちら⇒「ブルース・リーは軽犯罪法違反か?」
https://taniharamakoto.com/archives/2566/

なお、仮に人を殺傷しなくても、狼牙棒のような武器を所持、携帯していると軽犯罪法違反などの罪に問われる可能性があります。

武器が好きな人は、くれぐれも気をつけましょう。

卑わいな言動(迷惑防止条例)は、危ない

 >卑わいな言動(迷惑防止条例)は、危ない

2017年11月2日

今回は“おもちゃ”を使った犯罪について解説します。

おもちゃはおもちゃでも……

「“驚くのが快感”玩具使って下半身露出装う 古物商の63歳男を書類送検」(2017年10月30日 産経新聞)

大阪府警枚方署は、枚方市の古物商の男(63)を大阪府迷惑防止条例違反(ひわいな言動など)の疑いなどで書類送検しました。

事件があったのは、2017(平成29)年3月30日と6月27日の午前。
男は枚方市の路上で、男性器を模した玩具を使い下半身を露出したように装ったということです。

同署によると、男は実際には衣服は脱いでいなかったものの、周辺の防犯カメラの画像などから容疑者として浮上したようです。

男は、「2年半ぐらい前からやっている。女性に見せると相手が驚くのが快感だった」などと供述し、容疑を認めているということです。

 

迷惑防止条例は名称に違いはありますが、現在47の都道府県すべてで定められています。
その目的は、各都道府県民に対する迷惑行為や暴力行為などを防止し、生活の安全と秩序を維持することとなっています。

「大阪府迷惑防止条例」
第6条(卑わいな行為の禁止)
1.何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

四 前三号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をすること。

これに違反した場合は、6ヵ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第17条1項2号)

とは言え、今回は、局部を露出したわけではなく、局部を露出したように装っていただけで、見えていたのは、おもちゃです。

一体何が「卑わいな言動」だったのでしょうか。

最高裁平成20年11月10日判決を見てみましょう。

この事件は、平成18年7月21日午後7時ころ,旭川市内のショッピングセンター1階の出入口付近から女性靴売場にかけて、当時27歳の女性客の少なくとも約5分間、40m余りにわたって付けねらい、背後の約1ないし3mの距離から、右手に所持したデジタルカメラ機能付きの携帯電話を自己の腰部付近まで下げて、細身のズボンを着用した同女の臀部を同カメラでねらい、約11回これを撮影した、というものです。

北海道の迷惑防止条例違反に問われた事件です。

要するに、女性の臀部をズボンの上から撮影した、ということです。

この事件で、最高裁は、「被告人の本件撮影行為は、・・・・社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるものといえる」として、有罪にしています。

この基準から考えると、たとえ身体を露出していないとしても、男性器を模した玩具を使い下半身を露出したように装う行為は、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ、被害者に不安を覚えさせるものといえるでしょう。

そこで、迷惑防止条例に違反する、と判断されたのでしょう。

ちなみに、過去の報道で、迷惑防止条例違反に問われたものには、次のようなものがあります。

・帰宅途中の小学1年生の女児(6)に声をかけ、腕や腰を触った69歳の男が群馬県迷惑防止条例違反(卑猥な行為の禁止)の疑いで逮捕。
(2017年5月28日 産経新聞)

・2011(平成23)年6月、17年前から約4000人の女児に「唾の研究をしている」などと声をかけ、500人以上の唾を収集していた男が東京都迷惑防止条例違反(常習ひわい行為)容疑で逮捕。
(2017年1月24日 産経新聞)

・靴に仕込んだ小型ビデオカメラで小学生女児のスカートの中を撮影しようとした男が大阪府迷惑防止条例違反(ひわいな言動)容疑で逮捕。
(2014年7月20日 産経新聞)

・10年間毎日、若い女性にわいせつな電話をかけ続けていた男(72)が、奈良県迷惑防止条例違反容疑で逮捕。
(2016年12月19日 産経新聞)

・側溝の中で寝そべり、側溝のふた越しに女性の下着を仰ぎ見ていた男が兵庫県惑防止条例違反容疑で逮捕。
(2015年12月7日 産経新聞)

実際に触ったり、局部を露出したり、というようなことをしなければ迷惑防止条例に違反しないと思っている人もいるでしょうが、「卑わいな言動」というのは意外に広い概念です。

他人が嫌悪するような行為は法律違反になる可能性があるので、いたずら半分に行わないように気をつけましょう。

SNSのなりすまし行為で名誉毀損に。

 >SNSのなりすまし行為で名誉毀損に。

2017年9月14日

SNS上で何者かが自分なりすまし、他の利用者を罵倒する書き込みをしていたら…あなたはどうしますか?

今回は、誰にでも起こるかもしれないSNSでの「なりすまし事件」の民事訴訟について解説します。

「SNSでなりすまし、他人を罵倒 名誉権侵害で賠償命令」(2017年8月30日 朝日新聞)

長野県在住の男性が、「インターネット上の掲示板に、自分になりすまして投稿され肖像権などを侵害された」として、大阪府枚方市の男性に723万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地裁でありました。

裁判所は、「社会的評価を低下させ、名誉権を侵害した」として被告側に130万円の支払いを命じました。

事件があったのは、2015年5月。
原告男性がSNS「GREE(グリー)」で使用していたプロフィール画像の顔写真や登録名を、被告男性が無断で使ってなりすまし、掲示板に「お前の性格の醜さは、みなが知った事だろう」などと別の利用者を罵倒する内容の書き込みをしたということです。

「正当な目的なく顔写真を使い、男性が他者を根拠なく侮辱、罵倒して掲示板の場を乱す人間であるとの誤解を与えるような投稿をした」と指摘し、原告男性の肖像権、名誉権を侵害したと結論づけました。

なお、原告男性は今回の訴訟に先立ち、2015(平成27)年10月にSNS運営会社に対し、発信者情報の開示を求めて大阪地裁に提訴しており、一審は棄却したものの、2016(平成28)年10月に大阪高裁の開示命令判決を受けたことで、被告を特定して損害賠償を求める訴訟を起こしていたとうことです。

 

まずは、民事における損害賠償請求について見ていきましょう。

民法の規定により、名誉を侵害された場合は不法行為による損害賠償を請求することができます。

「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

第710条(財産以外の損害の賠償)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

第723条(名誉毀損における原状回復)
他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

 

ここでのポイントは、なりすましをされただけでは一般的には名誉などの権利を侵害されたとはいえないことです。
つまり、今回の事件でいえば、被告がなりすましている間に、原告の「名誉を毀損した」、つまり、「社会的評価を低下させる」ような書き込みをしたかどうかが争点になるわけです。

なお、ネット上の中傷投稿に名誉毀損やプライバシーの侵害の内容が含まれている場合は、「発信者情報開示請求」をすることができます。

詳しい解説はこちら⇒
「中傷投稿やツイートに対抗する法的手段とは?」
https://taniharamakoto.com/archives/1299

ネット上の言動は、バレないと思っている人もいるかもしれません。

しかし、たとえば、ツイッターで爆破予告などをすると、すぐ特定されて、警察等の業務を妨害した、といことで逮捕されたりしますし、今回のように、損害賠償請求を受けたりします。

ネットやSNSの容易性を甘く見て、人生を棒に振らないように気をつけていただきたいところです。

武井咲さん(オスカー)は違約金を支払うのか?

 >武井咲さん(オスカー)は違約金を支払うのか?

2017年9月6日

女優の武井咲さんとEXILEのボーカル、TAKAHIROさんが結婚したとの報道がありました。

武井さんは妊娠3カ月で、2018年春に出産予定ということです。

おめでたいことですね。

と、思っていたら、マスコミでは、武井さんの所属事務所オスカープロモーションが違約金を支払う可能性があり、その額は10億円もありうる、などと言われています。

「違約金」というのは、約束に違反した場合に支払われる金員ですが、法的には「損害賠償金」の一種です。

損害賠償金には、約束に違反した場合である債務不履行に基づく損害賠償金と、違法な行為を行った場合である不法行為に基づく損害賠償金があります。

では、今回の場合は、どうなるのでしょうか?

登場するのは、

・武井さん
・TAKAHIROさん
・オスカープロモーション
・広告代理店等出演契約先

です。

このうち、TAKAHIROさんは、オスカーとも出演契約先とも何の契約もないので、違約金の話からは除外されます。

そして、契約関係は、

●武井さん - オスカー

●オスカー - 広告代理店等

となっており、

×武井さん - 広告代理店等

ではありません。

したがって、広告代理店等は、武井さん個人に対しては、契約責任を問えません。

違約金請求はできない、ということです。

では、不法行為責任はどうか?

武井さんが、広告代理店等に損害を与える目的で、妊娠していないのに嘘の情報を流してCMをキャンセルさせた、などの場合には、「不法行為」に基づく損害賠償ということもあり得ますが、今回は可能性が低そうですね。

ということは、損害賠償の問題としては、

●広告代理店等 → オスカー

ということになります。

そして、もし、オスカーが広告代理店等に対して損害賠償金を支払った時は、

●武井さん - オスカー

との専属契約書に基づき、オスカーが武井さんに損害賠償を請求する、という可能性もなくはありません。

さて、オスカーと広告代理店との契約関係としては、たとえばCM出演の場合には、「CM出演契約書」などが締結されているはずです。

そこには、出演者を武井さんとし、武井さんのタレントとしての良好なイメージを保持する義務が記載されているのが通常です。

契約によっては、CMの商品を特定し、その商品とのイメージを損なわないようイメージを保持する義務が謳われることもあるでしょう。

商品やサービスのCMで、結婚や出産によりイメージダウンするものがあるとは想定しがたい(離婚情報サービスなどなら別ですが、聞いたことがないですね)ので、イメージダウンを理由として損害賠償、というのは難しいと思います。

たとえば、日弁連も武井さんを起用したCMを作っています。
http://tinyurl.com/y9jbumyj

武井さんが結婚や出産することで、日弁連のイメージが損なわれるか、というと、それはないですね。

もう1つの論点は、オスカーが損害賠償責任を負担するには、契約内容にもよりますが、通常は、オスカーに「故意」や「過失」があることが必要とされます。

オスカーが、武井さんの結婚や妊娠がCMのイメージを損なうことを認識し、かつ、それ故に結婚や妊娠を防止する措置を講じることができることが必要なわけですね。

防止措置を講じることができたのに防止措置をとらなかったというようなことが過失と認定されるわけです。

確かに、プロダクションの専属契約書では、「恋愛禁止」などが盛り込まれることがあります。

そして、アイドルに関し、この恋愛禁止条項に違反した、として、プロダクションがアイドルに対して損害賠償請求をした、という事案があります。

これについては、平成27年9月18日東京地裁判決は、アイドルに対し、65万円の損害賠償を命じ、平成28年1月18日東京地裁判決は、アイドルは損害賠償責任はない、としています。

アイドルやタレントが恋愛や結婚をすると、人気が落ちてしまうのは、仕方のないことかもしれません。

しかし、人間として恋愛、結婚、出産をしたり、しなかったり、というのは、個人の尊厳に基づく幸福追求の権利の一つです。

したがって、これを専属契約期間の全てにわたって契約で禁止するのは、私個人としては、公序良俗に反し、無効だと考えています。

したがって、オスカーには故意も過失もなく、損害賠償責任は発生しないと考えたいと思います。

ただし、出演作品が、体型を強調するCMであったりする場合には、少なくともその間は仕事に支障がないように気をつける義務はあると思いますので、もし、妊娠による体型変化とCM撮影時期が重なるようなことがあると、損害賠償責任の発生の可能性もありえるかもしれません。しかし、そうであれば、事前協議により撮影前倒しなどで対応可能なので、問題は回避できるように思います。

ゴルフ場が酒を出したら賠償判決!

 >ゴルフ場が酒を出したら賠償判決!

2017年8月18日

「ゴルフ場で飲むビールは最高に旨い!」
「お酒を飲みながらゴルフをするのが楽しみ! 」
という人も多いと思います。

しかし今後は、プレイヤーもクラブ側も要注意という判決が出たようなので解説します。

「ゴルフ場でのカート飲酒運転事故、漫然と酒を提供したクラブにも“過失”-民事訴訟で大阪高裁判決」(2017年8月17日 産経新聞)

ゴルフ場での飲酒後、カートの運転ミスで起きた人身事故を巡る民事訴訟で、大阪高裁は2017(平成29)年7月14日、ゴルフ場の酒提供を過失と認める判決を言い渡していたことがわかりました。

事故が起きたのは、2009(平成21)年9月、兵庫県篠山市のゴルフクラブで行なわれたゴルフコンペ中でのこと。

生ビールを中ジョッキで2杯ずつ飲んだ4人がカートに乗り込んだ後、運転していた男性が坂道の急な右カーブでハンドルを右に切りすぎ、さらにはブレーキも踏まなかったため、カートが斜面を転落。
その際、助手席の男性が頸髄を損傷し、重い身体障害を負ったというものです。

2014(平成26)年5月、負傷者への賠償金を支払った共済組合が、「事故は飲酒が原因で、幇助(ほうじょ)した責任がある」とゴルフ場経営会社に賠償金の一部負担を求めて提訴。

2016(平成28)年11月の一審大阪地裁判決では、「ゴルフ場利用者は飲酒の危険を常識として認識しており、ゴルフ場側が酒の注文を断る義務はない」と判断し、共済組合側の請求を退けていました。

ところが今回の二審大阪高裁は、事故には飲酒が影響し、ゴルフ場側が幇助したと指摘。
「ビール注文時にセルフプレーの4人の誰かが運転し、事故を起こすことを予見できたのに漫然と酒を提供した」として、ゴルフ場経営会社の過失を認めたということです。

 

今回の判決では、大阪高裁がゴルフ場側の過失を認めたわけですが、その過失とは事故の原因になった飲酒を幇助したというものです。

幇助とは、手を貸す、手助けするという意味です。

飲酒運転で幇助といえば、道路交通法が思い浮かびます。

「道路交通法」
第65条(酒気帯び運転等の禁止)
1.何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2.何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3.何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4.何人も、車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。

 

もちろん、今回のケースは公道ではなくゴルフ場内で発生したものですから道路交通法違反にはなりません。
しかし近年、道路交通法で飲酒させた飲食店に刑事責任を発生させるようになった、という背景も今回の判決に影響していると思います。

つまり、飲酒運転は重大事故につながる危険性が高いものであり、「飲む人だけでなく、飲ませた人、飲んだことを知って同乗した人も同じく責任がある」という思想が法的に重視されているということです。

以前からゴルフのプレー中の飲酒については賛否両論があり、その危険性も指摘されていたようです。

今後は、ゴルフをする人だけでなく、ゴルフ場側にも警鐘を鳴らす必要があるでしょう。

道路交通法など、法律違反にならなくても、ゴルフ場が飲酒させたり、場合によっては、飲酒を知りながら運転させた人まで責任が発生する可能性がありますので、ご注意ください。

なお、飲食店でお酒を注文する時に、「自動車や自転車を運転する予定はありませんか?」と訊ねるマニュアルを作成しているお店が現時点でもあります。

今回の判決をきっかけに、ゴルフ場でも、たとえば、メニューに、「自動車や自転車、カートを運転する予定がある方へのアルコール類はご提供できません」と記載したり、アルコールの注文を受けた時に、「自動車や自転車、カートを運転する予定はありませんか?」と確認するというマニュアルが必要になるかもしれません。

事故の被害にあったときは、こちらから相談。

http://www.jikosos.net/

肝試しもほどほどに。

 >肝試しもほどほどに。

2017年7月29日

夏です。

今日も全国のどこかで「肝試し」が行なわれているでしょう。

しかし、ちょっと待ってください!
肝試しが犯罪になる可能性があります。

「廃旅館で肝試し、高校生9人を書類送検へ 春日井署」(2017年7月27日 中日新聞)

愛知県警春日井署は、春日井市内の廃虚となった旅館に「肝試し」の目的で立ち入ったとして、県内の男子高校生9人を軽犯罪法違反(立ち入り禁止場所への侵入)の疑いで書類送検する方針を固めました。

事件が起きたのは、今年(2017年)6月23日夜。

高校生たちは、肝試しの場所をインターネットで調べ、電車で行けそうなところを探し、懐中電灯持参で敷地と建物内に入ったということです。

この旅館は1928年創業で、川沿いの風光明媚な立地や、名物の日本料理などで人気を集めていたものの、バブル期以降に客足が鈍り、2003年に破産。
破産管財人と連絡が取れなくなり、窓ガラスが割れるなど廃虚状態になっていました。

春日井市は高さ3メートルのバリケードや、防犯カメラ6台を設置するなど侵入防止策を講じていましたが、2012年には白骨遺体が見つかり、インターネットで「心霊スポット」として紹介されたことから侵入者が後を絶たない状態になっていたようです。

同署によると、過去1年に近隣住民からの通報が10回以上あり、夏場には不審火も多発していることから、警戒を強めていたということです。

 

【軽犯罪法とは?】
軽犯罪法は、人がちょっとしたはずみで犯してしまうような軽微な秩序違反行為について定めている法律で、1948(昭和23)年に制定されました。

悪質な重大犯罪を未然に防ぐ目的もあり、全部で33の違反行為が罪として定められています。

今回の事件に該当するのは次の条文です。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
32 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者

 

拘留:受刑者を1日以上30日未満で刑事施設に収容する刑罰
科料:1000円以上、1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰です。

 

【立ち入り禁止場所とは?】
この32号は、条文にあるように「入ることを禁じた場所」と「他人の田畑」への立ち入りを禁止しています。

入ることを禁じた場所とは、占有者や管理者が立ち入り禁止を外部に表明した場所のことです。
表明の方法は、立札や貼り紙、縄(ロープ)を張る、柵などで囲うことでもいいですし、口頭でも成立します。

今回の事件では、春日井市がこれまで無断侵入の防止策を講じており、「立ち入り禁止」の看板も設置していたということなので、廃墟となった旅館は「入ることを禁じた場所」に該当します。

なお、「他人の田畑」には違和感を感じる人もいるかもしれませんが、これは軽犯罪法が成立した時代背景が関係しています。
戦後の治安が不安定で食糧難の時代にあっては、農作物の盗難や耕作地の損壊などを防止するために、他人の田畑への侵入を禁止する必要があったということです。

 

【他の法律との関係は?】
立ち入りを禁止した場所といっても、その定義の違いによっては、同じく軽犯罪法の第1号(潜伏の罪)や、刑法の住居侵入罪に問われる可能性があります。

「軽犯罪法」
第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
1 人が住んでおらず、且つ、看守していない邸宅、建物又は船舶の内に正当な理由がなくてひそんでいた者

 

「刑法」
第130条(住居侵入等)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 

邸宅というと豪邸のような家をイメージするかもしれませんが、ここでは住居として使用されていない空き家や、閉鎖された別荘、廃家などをいいます。

建造物とは住宅以外の建物のことで、たとえば官公庁や学校、事務所、倉庫などが該当します。

つまり、人が住んでいなくても看守(管理)されている邸宅や建造物に正当な理由なく侵入すれば住居侵入罪、侵入した邸宅や建造物が管理されていない場合は軽犯罪法第1号が適用される可能性があるということになります。

さて、この高校生達、「肝試し」をしたわけですが、突然警察官が現れた時には、さぞかし「肝を冷やした」ことでしょう。

今回のように、肝を試すだけでは済まないこともありますので、くれぐれも気をつけるようにしましょう。

合唱。。

夫と息子に洗剤を盛った女が逮捕…その容疑は?

 >夫と息子に洗剤を盛った女が逮捕…その容疑は?

2017年7月19日

妻が夫と息子に毒を盛って逮捕されるという事件が起きたようです。
怖いです……。

「夫・子供のお茶に洗剤混入…女を逮捕 愛知」(2017年7月19日 日テレNEWS24)

愛知県知多市のパートの女(49)が、同居する夫(46)と子供(11)が飲むお茶に食器用洗剤を混入したとして逮捕されました。

事件があったのは7月15日。

自宅のお茶の味に違和感を感じた夫が台所にカメラを設置したところ、容疑者の女が冷蔵庫に保管していたペットボトルのお茶に洗剤を混入する様子が映っていたようです。

調べに対し容疑者の女は、「覚えていません」と容疑を否認しており、警察は詳しく調べているとしています。

なお、お茶を飲んだ夫と長男には目立った異変はないということです。

 

こっそり洗剤を混入する妻と、こっそり監視カメラを仕掛ける夫とは、なんともサスペンスな展開ですが、それはさておき、まずは法的に今回の事件を解説していきます。

「刑法」
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

以前、暴行罪と傷害罪の違いについて解説しました。

詳しい解説はこちら⇒
「他人の毛を無断で抜くと傷害罪?切ると暴行罪?」
https://taniharamakoto.com/archives/2329/

法律上、暴行とは、人の身体に向けた「不法な有形力の行使」と定義されます。
また、暴行罪は広義には傷害罪の一種とされており、条文にあるように、相手が「傷害するに至らなかったとき」は暴行罪、傷害を負えば傷害罪となります。

第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

 

暴行罪には、過去にさまざまな判例があります。

・通行人の数歩手前を狙って石を投げつける行為(東京高判昭25・6・10
高集3-2-222)

・人の乗っている自動車に石を投げて命中させ、窓ガラスを破損する行為(東京高判昭30・4・9高集8-4-495)

・驚かせるつもりでイスを投げつける行為(仙台高判昭30・12・8判特2-24-1267)

・携帯用拡声器を用い耳元で大声を発する行為(大阪地判昭42・5・13判時487-70)

・食塩を他人の顔、胸等に数回振り掛ける行為(福岡高判昭46・10・11判時655-98)

・通り掛かりの女性に抱きつき帽子でその口を塞ぐ行為(名古屋高金沢支判昭30・3・8裁特2-5-119)

通りすがりの女性に唾や尿をかけたという事件が起きることがありますが、人の体に直接触れなくても、相手の五感に直接間接に作用して不快感や苦痛を与えた場合は暴行罪になる可能性があります。

歴史上、洋の東西を問わず、暗殺の手段として“毒を盛る”ということが行なわれてきました。

気づかれないように食事に少しずつ毒を盛り、それを食べた相手は徐々に体調を壊していきます。
そして、最後には死んでしまうわけですが、こうした場合は身近な者の犯行である場合が多いでしょう。

先日も、千葉県の老人ホームで睡眠導入剤を混ぜたお茶を同僚に飲ませて体調不良を起こさせたり、自動車の運転をさせて交通事故を起こさせたという准看護師の女が逮捕されるという事件が起きました。

暑い夏、食欲が減退します。

山盛りご飯には挑戦して欲しいところですが、毒盛り飲料には気をつけてください。

なさん飲物には気をつけましょう。

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