大人も子供も知っておきたい!自転車法律ルール25 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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大人も子供も知っておきたい!自転車法律ルール25

2015年03月27日

あとから振り返ってみると、どうやってできるようになったのか?
思い出せないことがあります。

自転車の乗り方も、そのひとつかもしれません。
親や兄弟、友人から教えてもらった人もいるでしょうし、誰からも教えてもらうことなく、ある日突然乗れるようになったという人もいるでしょう。

私も子供の頃のことなのでよく覚えていませんが、乗れるようになったときはうれしくて、夢中でペダルを漕いだことは今でも覚えています。

ところで、自転車の乗り方を教えてもらったことのある人はいても、道路を走るときの自転車のルールについて教えてもらったことのある人は、あまりいないのではないでしょうか?

自動車の免許を取得するために、教習所に行ったときに初めて道路交通法の規則を知ったという人も多いかもしれません。

今回は、そんな状況にふと疑問を感じた、小学生のお子さんのいる読者の方からの質問にお答えします。

Q:9歳の息子がいます。だんだん、やんちゃになって危ないことに面白味を感じることも多くなってきたようです。ところで今、親として心配なのは交通事故についてです。息子は自転車が好きで、よく外出するのですが、見ていると危なっかしいのです。事故が起きる前に交通ルールを教えることは大切だと思っています。でも、交通ルールを教える授業などありませんから親が教えるしかありません。子供に教えるべき自転車のルールを教えてください。

A:まずは、「道路交通法」について学ぶ必要があります。しかし、1~132条まであるので、ここでは自転車に関する部分を中心に解説していきます。
【道路交通法とは?】
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としたものです。(第1条)

1960(昭和35)年に、それまであった「道路交通取締法」が廃止されて道路交通法が施行されました。

その後、1978年に自動二輪者のヘルメット着用義務化、1992年に運転席と助手席のシートベルト義務化(一般自動車道)、1999年に運転中の携帯電話の使用禁止、2000年に6歳未満の幼児に対するチャイルドシート義務化などが行われ、その他、飲酒運転やひき逃げなどの罰則強化等を経て、現在に至ります。
【自転車とは】
・道路交通法上、自転車は車両の一種である「軽車両」です。
・ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車であって、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものです。
・車体の長さは190センチ以内、幅は60センチ以内。(内閣府令)
・ブレーキが、走行中容易に操作できる位置にあること、など。
・一般の自転車の乗車人員は、16歳以上の運転者の場合、幼児用座席を設けた自転車に6歳未満の幼児を1人に限り乗車させることができます。
【自転車で禁止されている行為とは】
先月、2015年6月施行に向けた新たな「改正道路交通法」の施行令が閣議決定されました。

詳しい解説はこちら⇒
「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
https://taniharamakoto.com/archives/1854

この施行令は、自転車運転による違反の取り締まり強化と事故抑制を目指して、悪質な自転車運転者に対して安全講習の義務化を盛り込んだものですが、この中で自転車の悪質運転・危険行為について14項目を規定しています。

では、この14項目を中心に、大人から子供まで自転車に関する「してはいけないこと」を罰則が重い順に解説していきます。
<5年以下の懲役又は100万円以下の罰金>(第117条の2第1号)
〇酒酔い運転(第65条)
※もちろん子供はお酒を飲んではいけませんが、大人も自動車と同様に飲酒運転は違反行為です。
<1年以上の懲役又は30万円以下の罰金>
〇徹夜や過労などで自転車に乗ってフラフラと走行する(第66条)
<3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金>
〇信号無視(第7条)

〇通行禁止道路の走行(第8条)
※道路標識等によって禁止されている道路や場所は通行してはいけません。

〇右側通行(第17条の2)
※自転車は、道路の左側に設けられた路側帯を通行しなければいけません。

〇遮断機が下りた踏切への立ち入り(第33条2項)

〇交差点での優先道路通行車の妨害(第38条2項)

※交差道路が優先道路の場合、通行する車の妨害をしてはいけません。

〇横断歩道での歩行者優先(第38条1項)
※横断歩道で歩行者がいる時は、その直前で一時停止して、歩行を妨げてはいけません。

〇歩道での歩行者妨害(第63条の4の2項)

〇一時停止違反(第43条)
※道路標識のある場所では一時停止しなければいけません。

〇整備不良車の運転(第62条)
※壊れているなどの整備不良自転車を運転してはいけません。

〇環状交差点での安全進行義務違反(第37条の2)
<5万円以下の罰金>
〇無灯火運転(第52条)
※夜間(日没から日出まで)は灯火して運転しなければいけません。

〇ブレーキなし、もしくは故障したままでの自転車運転(第63条の9)

詳しい解説はこちら⇒
「こんなことで逮捕とは…ブレーキなし自転車(ピスト)で全国初逮捕」
https://taniharamakoto.com/archives/1208
<2万円以下の罰金又は科料>
〇路側帯の歩行者妨害(第17条2項)
※路側帯では歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければいけません。

〇並走の禁止(第19条)(第68条)

〇歩道での徐行違反(第63条の4の2項)

〇2人乗り運転(第55条)
※ただし、16歳以上の運転者が安全基準を満たした幼児2人同乗用自転車を運転する場合は、その幼児用座席に幼児2人を乗車させることができます。

〇ベルを鳴らしながら走って歩行者を退かせようとする行為(第54条2項)
※むやみに警報器を鳴らしてはいけません。
なお、道路交通法第71条6号に基づく各自治体の「道路交通規則」では、次の行為が禁止されています。(ここでは東京都道路交通規則から抜粋)
違反した場合は5万円以下の罰金です。

〇傘をさしての片手運転
〇携帯電話・メールをしながらの運転
〇ペットを連れての運転
〇イヤホンをつけたままでの運転
〇警音器の整備されていない自転車の運転
いかがだったでしょうか?
今回は、25個を紹介したので一度に覚えるのは大変かもしれませんね。

しかし、自転車に関する交通規則や法律は、自分の身を守るためにも、人を傷つけないためにも大切です。

この機会にぜひ、大人も子供もしっかり交通規則と法律を覚えて、自転車ライフを楽しんでほしいと思います。