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  • 幼稚園児の死亡事故で園長に有罪判決:業務上過失致死傷罪

    2016年05月31日

    幼稚園での事故により園児が死亡した事件で、園長に有罪判決が出たようです。

    今回は、学校事故と刑事事件について解説します。

    「元幼稚園長のみ有罪、愛媛 川遊び事故死判決、2人無罪」(2016年5月30日 共同通信)

    2012年、愛媛県西条市で宿泊保育中に川遊びをしていた私立幼稚園の園児らが流され、当時5歳の男の子が死亡、2人がケガをした事故について、業務上過失致死傷の罪に問われた当時の園長や教諭ら3人の判決がありました。

    松山地裁は、当時の園長(75歳)にのみ罰金50万円(求刑罰金100万円)の判決を言い渡し、共に起訴された教諭ら2人は無罪(いずれも求刑罰金50万円)としたとのことです。

    裁判長は判決理由の中で、「上流の天候を確認せず、遊泳場所の増水の危険性がないと判断したのは園長として安易な態度だった」と指摘したということです。

    では、条文を見てみましょう。

    「刑法」
    第211条(業務上過失致死傷等)
    1.業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

    今回は、宿泊保育中だということですので、園長は業務中という認定をされています。

    そして、園児に川遊びをさせる際には、川に流されてしまう可能性があるわけですから、自らあるいは教諭をして、常時看視し、監督しなければならないことになります。

    この注意義務を怠った場合には、業務上必要な注意を怠った、ということで、業務上過失致死傷罪が成立する可能性があります。

    教諭2人は無罪が言い渡されていますが、この理由は明らかにはなっていません。
    学校における子供の事故については以前にも解説しています。

    詳しい解説はこちら⇒
    「学校での柔道事故で8150万賠償命令【国家賠償法】」
    https://taniharamakoto.com/archives/2031

    「学校での人間ピラミッドや組み体操事故の法的責任は?」
    https://taniharamakoto.com/archives/2062

    学校(保育所)の管理下における子供の事故、災害では、被害者や親は学校に損害賠償請求することができます。

    この場合、公立校であれば国家賠償法、私立校ならば民法715条が適用されます。

    ちなみに、学校(保育所)の管理下とは、授業中(保育所における保育中を含む)、部活動や課外授業中、休憩時間(始業前、放課後を含む)、通学(通園)中などが該当します。

    今回も、幼稚園、園長、教諭などに対しては、刑罰の他、民事の損害賠償請求ができる可能性があります。
    子供たちが傷つかず、安全に学校(保育所)生活が送れるよう、運営者を含めた関係者には今一度、注意義務の徹底を図ってほしいと思います。

    学校事故のご相談は、こちらから。
    http://www.bengoshi-sos.com/school/

  • 自転車で遺失物等横領罪!?

    2016年05月17日

    お魚くわえたドラ猫ならぬ、自転車を担いだ男を追いかけて逮捕したという事件がありました。

    まるで、漫画のようなシチュエーションです…。

    「コンビニ客お手柄 窃盗犯を追跡、実況中継で逮捕」(2016年5月16日 神戸新聞)

    兵庫県尼崎市のコンビニエンスストア駐輪場で、自転車を担いで持ち去ろうとしている男を男性客が発見。

    110番した後、男性客は電話をつないだまま尾行を開始。

    「白い自転車の後輪を持ち上げて押している」「今、公園にいる」などと実況中継しながら、約230メートル離れた公園まで男を追跡したところで、駆けつけた尼崎北署の警察官が占有離脱物横領の疑いで逮捕したようです。

    逮捕されたのは住所不定、無職の男(63)で、同署によると、「ホームレスの友人に取ってきてと言われた」と容疑を認めているということです。
    他人の物を領得すると、横領罪になります。
    領得とは、自己または第三者のものとする目的で他人の物を不法に取得することです。

    横領罪には、「単純横領罪」(刑法第252条)、「業務上横領罪」(刑法第253条)、「遺失物等(占有離脱物)横領罪」(刑法第252条)があります。

    では、今回は占有離脱物横領について条文を見てみましょう。

    「刑法」
    第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
    条文にあるように、遺失物等(占有離脱物)横領罪の対象になるのは、遺失物、漂流物、その他占有を離れた他人の物です。

    ・遺失物……占有者の意思によらないで、その占有を離れ、誰の占有にも属さないもの。
    ・漂流物……水面、または水中に存在するもの。
    今回の事件では、男が担いで持ち去ろうとしたのは所有者のわからない放置自転車だったのでしょう。

    仮に、奪ったのがコンビニのお客さんの自転車だったなら、一時的にコンビニに寄っているだけで、まだお客さんの「占有を離れた」とは言えないでしょうから、「窃盗罪」(刑法第235条)で10年以下の懲役又は50万円以下の罰金になるでしょう。

    また、人が乗っている自転車を暴行や脅迫を用いてひったくったような場合は「強盗罪」(刑法第236条)で5年以上の有期懲役になる可能性があります。

    ところで、どんなものを横領すると遺失物等(占有離脱物)横領罪になるのでしょうか。
    以下に事例をあげます。

    ・窃盗犯人が乗り捨てた自転車(東京高判昭34・8・15高集12-8-845)
    ・逃走中の窃盗犯が落としていった盗品(最判昭23・12・24集2-14-1877)
    ・紙屑屋が購入した紙屑の中に混入していた現金(大判明29・4・14録2-
    4-33)
    ・集配人が誤配した郵便物(大判大6・10・15録23-1113)
    ・生けすから逃げ出した鯉(最決昭56・2・20集35-1-15)
    ※逃げた家畜なども同様
    ・古墳内の宝石、鏡、刀剣(大判昭8・3・9集12-232、大判昭9・6・13集13-747)

    では、次のような一見、占有者がいないような物はどうでしょうか。

    ・旅館内に置き忘れた財布(大判大8・4・4録25-382)
    ・公衆浴場内の遺留品(大判大12・7・3集2-624)
    ・自動車会社の営業所内のゴミ箱の上に遺留されていた靴(高松高判昭25・6・2判特11-204)
    ・ゴルフ場内の池に打ち込んだロストボール(最決昭62・4・10集41-3-221)

    じつはこれらの場合、それぞれ旅館主、公衆浴場主、営業所管理者、ゴルフ場管理者等の占有に属すると判断されます。
    よって、横領罪ではなく窃盗罪が適用されるということになります。
    いずれにせよ、人の物を勝手に担いで手に入れようとしてはいけません。
    担ぐなら、験(げん)や神輿(みこし)にしておきましょう。

  • 迷惑電話は犯罪です

    2016年04月15日

    東京都千代田区にある法律事務所に迷惑電話をかけまくった女が逮捕されたという報道がありました。

    「東京都千代田区にある法律事務所??」

    安心してください、私の法律事務所ではありません。

    それにしても何が原因、問題だったのでしょうか?

    「法律事務所に迷惑電話300回超 35歳女を逮捕」(2016年4月14日 テレビ朝日)

    警視庁は、東京都千代田区にある法律事務所に300回以上も執拗に迷惑電話をかけて業務を妨害したとして、35歳の女を逮捕しました。

    以前、勤務していた大手通信会社で、容疑者の女が上司からパワハラを受けたと会社に訴えたところ、調査を担当した法律事務所は「パワハラはなかった」とする報告書をまとめていたようです。

    その後、女は2014年2月に会社を退社。
    今年の3月4日から9日にかけて、「死んでしまえ」などの電話や無言電話を計約330回、法律事務所にかけていたということです。

    取り調べに対し、「真偽を問うために電話したのであって、業務妨害ではない」と容疑を否認しているということです。
    罪名は報道されていませんが、過去の判例で、中華料理店に3ヶ月足らずの間に約970回にわたって無言電話をかけた事例で「偽計業務妨害罪」を認めた判例があるので(東京高裁昭和48年8月7日判決)、おそらくは、「偽計業務妨害罪」でしょう。

    「刑法」

    第233条(信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

    ちなみに、偽計とは人をあざむく計略のことです。
    詳しい解説はこちら⇒「いたずらが犯罪になる場合とは?」
    https://taniharamakoto.com/archives/1405

    「ウソの注文をすると犯罪になります。」
    https://taniharamakoto.com/archives/1957

     

    なお、いたずら電話であれば、「軽犯罪法」の第1条31号の「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」が適用される可能性もありますが、今回のように300回以上も迷惑電話をかけて、「死んでしまえ」という暴言を浴びせたことから考えれば、これはとても“いたずら”とはいえない脅迫行為であると判断されてしかるべき、といえます。

    よりによって法律事務所に迷惑電話をかけたとは、相手が悪かったといえるでしょう。

    すぐに証拠化して、刑事告訴されてしまいます。

    こうした迷惑電話で困っている場合には、まず、証拠化します。

    電話がかかってくるたびに、日時、電話の内容をメモします。録音ができるなら、録音します。この証拠が重要です。

    その証拠がある程度の数になったら、刑事告訴をします。

    刑事告訴の仕方がわからない、という時は、弁護士に依頼して行うとよいでしょう。

    相談はこちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/

  • 強要罪と脅迫罪の違いとは?

    2016年03月18日

    今回は、ゲーム仲間を脅迫したことで逮捕されたという事件を法的に解説します。

    ゲームの世界と現実の区別がつかなくなってしまったのでしょうか?

    「“大勢を敵に、逃げたまえ”ゲーム仲間を脅迫、転居させる 強要容疑で男女を逮捕」(2016年3月15日 産経ニュース)

    福岡県警春日署は、携帯電話のゲームサイトで知り合った女性らを脅して転居させたとして、長野県諏訪市の無職の女(40)と福岡県筑紫野市の自営業の男(44)を逮捕しました。

    2015年7月12日~9月5日にかけて、男は福岡県の39歳の女性の自宅に、「最終通告です。大勢を敵に回しており、攻撃される準備が行われている。逃亡したまえ」などと脅す手紙、はがき計7通を郵送。
    女性と同居の友人女性に引っ越しをさせたようです。

    警察によると、容疑者の女と被害者女性はゲームサイトで知り合い交流していたところ、交友関係を解消すると言われたことに女が腹を立て、会員制交流サイト(SNS)で知り合った容疑者の男に嫌がらせを依頼。
    男が被害者女性に手紙などを送り付けたということです。
    さて今回の事件、脅迫をしたのに強要罪で逮捕とは、どういうことでしょうか。
    脅迫罪と強要罪は何が違うのでしょうか。

    まずは条文を見比べてみましょう。

    「刑法」
    第223条(強要)
    1.生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
    第222条(脅迫)
    1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
    脅迫罪は、相手に危害を加えることを告げるだけで成立します。
    一方、強要罪は、危害を加えることを告げて相手に義務のないことを行わせると成立します。

    つまり、被害者女性が引っ越さなければ脅迫罪が適用された可能性がありますが、義務がなかったのに引っ越しを余儀なくされたために強要罪が適用されたということになります。

    強要罪といえば、しまむらの土下座事件が記憶に新しいところです。
    詳しい解説はこちら⇒
    「半沢直樹による大和田常務への強要罪は成立するか?」
    https://taniharamakoto.com/archives/1171

    客として商品を購入した女が、商品を不良品だと訴えて従業員に土下座をさせて逮捕された事件でした。

    ちなみに、強要罪について過去には次のような判例があります。
    ・辞職願を書かせた(最判 昭28・11・26 裁判集88-861)

    ・謝罪文の書面を読み上げさせた(最判 昭34・4・28 集13-4-466)

    ・口頭で物品の譲渡等を約束させた(最大判 昭24・5・18 集3-6-772)

    ・第三者を解雇させた(大判 昭7・7・20 集11-1104)

    ・医師に麻薬を注射させた(高松高判 昭34・4・28 集13-4-466)

    ・株主総会の議事進行を妨害した(東京地判 昭50・12・26 判タ333-357)

    ・動物の競技会への参加を妨害した(岡山地判 昭43・4・30 下集10-4-416)
    子どもの頃は、後輩を脅してジュースを買いに行かせたり、荷物を持たせたりした人もいるのではないでしょうか。

    これ、強要罪が成立するかもしれません。

    また、大人になっても、会社の部下を脅して一気飲みさせたり、裸踊りをさせたりしても強要罪が成立する可能性がありますので気をつけてください。

  • 警察官をかたると、犯罪が成立する可能性があります。

    2016年02月17日

    突然警察から電話がかかってきて、自分が犯罪に関係している、と言われたらビックリしますね。

    そして、捜査に必要だと言われ、下着のサイズや色などを聞かれたら?

    つい答えてしまう人も多いでしょう。

    今回は、そんな犯罪です。

    「警察官かたり、下着“サイズは”“色は”…わいせつ電話相次ぐ 奈良・大阪で93件」(2016年2月16日 産経新聞)

    奈良県と大阪府で、警察官をかたった不審な「わいせつ電話」がかかってくるという事件が相次いでいるようです。

    奈良県警によると、不審なわいせつ電話の声は中年の男で、昼前から夕方にかけて個人宅に電話をかけてきて、女性が電話に出ると警察署の警官をかたり、「下着泥棒を捕まえたら、犯人がお宅の電話番号を書いたメモを持っていた」、「被害はありませんでしたか?」などと言い、女性から下着のサイズや色などを執拗に聞き出そうとするようです。

    2015年6月から2016年2月12日までの間に奈良県警に寄せられた相談は93件にも上っており、同県警は軽犯罪法違反容疑で捜査を進めるとともに注意を呼びかけているということです。
    今回の事件では犯人は特定されていないようですが容疑は軽犯罪法違反です。
    報道内容からは正確なところはわかりませんが、15号に規定される「官名詐称」容疑だと思われます。

    「軽犯罪法」
    第1条
    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    15.官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者

    軽犯罪法については以前にも解説しています。
    詳しい解説はこちら⇒「ナンパは軽犯罪法違反!?」
    https://taniharamakoto.com/archives/2191

    軽犯罪法では、軽微な秩序違反行為として33の行為を罪として規定していますが、今回の事件、場合によっては上記以外の罪にも問われる可能性があります。

    会社などに電話をして従業員の業務を妨害したり、個人宅でも自営業を営んでいる人の業務を妨害すれば、31号の「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」に該当する可能性があります。

    また、業務妨害の程度によっては「刑法」の「威力業務妨害罪」や「偽計業務妨害罪」に該当するかもしれません。

    「刑法」
    第233条(信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

    「偽計」とは人をあざむく計略のことで、実際、過去には「中華料理店に3ヵ月足らずの間に約970回にわたって無言電話をかけた」(東京高判昭48・8・7高集26-3-322)という判例もあります。

    じつは日本には、迷惑電話そのものを直接規制する法律はありません。
    しかし、迷惑電話を受けた相手が相当の迷惑を被った場合は、上記以外にもさまざまな法律で罰せられる可能性があります。

    たとえば、迷惑電話には各都道府県で定められている「迷惑防止条例」です。
    奈良県の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では次のように規定されています。

    第10条(電話等による嫌がらせ行為等の禁止)
    何人も、正当な理由がないのに、電話その他の電気通信の手段、文書又は図画により、他人に対し、反復して、虚偽の事項、卑わいな事項等を告げ、粗野若しくは乱暴な言語を用いて、又は電話で何も告げず、著しく不安又は迷惑を覚えさせるような行為をしてはならない。

    さらには、迷惑電話を受けた人が、うつ病などの神経疾患を発症した場合には傷害罪に問われるおそれもあります。

    「刑法」
    第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

    昔、探偵のドラマとかで、探偵が、黒い警察手帳のような手帳をサッと出して、「警察ですが、この男を知りませんか?」などと聞き込みをしているシーンを観たことがありますが、あれは、実は軽犯罪法違反だったのかもしれません。

    また、コスプレで婦人警官の格好をして街を練り歩き、通行人に「逮捕しちゃうぞ」とか話しかける行為は、軽犯罪法違反なのかもしれません。

    世の中、不用意な行為が思わぬ犯罪に該当してしまうことがあります。

    気をつけましょう。

  • ナンパは軽犯罪法違反!?

    2016年02月11日

    男性が街角で好みの女性を見つけ、アプローチしたいとき、どうするでしょうか?

    当然、挨拶をし、話しかけ、会話をしようとします。

    歩きながら話すと、最低でも5.5メートルは必要でしょう。

    ところが、この行為が犯罪になる場合があります。

    「“彼女になってもらえると…”警官装い、女子高生につきまとった60歳無職男を書類送検」(2016年2月9日 産経新聞)

    大阪府警天王寺署は、警察官を装って女子高校生につきまとったとして、大阪市天王寺区の無職の男(60)を軽犯罪法違反(官名詐称、つきまとい)の疑いで書類送検しました。

    事件が起きたのは2015年11月4日。
    男は同区内の地下街で警察官を装い、大阪府内に住む10代の女子高生に接触。
    「はよちゃんと帰りや。おっちゃん少年課の人間やからほっとかれへんねん」などと声をかけ、その場から逃げようとする女子高生に約5・5メートルつきまとったため、女子高校生が同署に相談。
    現場の防犯カメラの映像から男の関与が浮上したということです。

    男は、2015年の夏ごろから女子高生に声をかけるようになったといい、声をかける際、自分の本名と住所が書かれた紙切れを渡していたようです。

    警察の取り調べに対し、「独り身でさみしかった」、「警官だと名乗れば補導の名目で名前や連絡先を知ることができると思った。その後に連絡を取り合い、彼女のような存在になってくれることを期待していた」などと話し、容疑を認めているということです。
    今回の書類送検の容疑は軽犯罪法違反です。
    早速、条文を見ていきましょう。

    「軽犯罪法」
    第1条
    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    15.官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者

    28.他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者

    ※拘留…受刑者を1日以上30日未満で刑事施設に収容する刑罰
    科料…1000円以上、1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰
    軽犯罪法では軽微な秩序違反行為、たとえば、空き家に忍び込む、仕事をせずにうろつく、人などに害を加える動物を逃がす、騒音で近隣住民に迷惑をかける、うその犯罪や災害を申告した、他人の業務をいたずらで妨害したなど33の行為を罪として規定しています。

    ちなみに、28号のつきまとい行為は、条件が該当すれば「ストーカー規制法」が適用される可能性もあります。

    詳しい解説はこちら⇒「31歳年の差にストーカー規制法違反」
    https://taniharamakoto.com/archives/1944

    同法には「つきまとい行為」として次の8つが規定されています。
    1.待ち伏せ、尾行、および自宅や勤務先を見張り、押しかけること。
    2.行動を監視していると告げる行為。
    3.面会や交際、その他義務のないことを行うことの要求。
    4.著しく粗野、乱暴な言動。
    5.無言電話、連続した電話・FAX・メール。
    6.汚物・動物の死体等の送付。
    7.名誉を害する事項の告知。
    8.性的羞恥心を侵害する事項の告知、わいせつな写真・文章などの送付、公表。

    つきまとい行為は、同一の人に対して反復して行うことでストーカー行為になります。
    なお、上記のようなストーカー行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されるので注意が必要です。

    反復してつきまとわなくても、軽犯罪法には該当する、ということですね。

    道ばたで「ナンパ」をする人は、注意してください。

    声をかけて即座に笑わせたりすれば、「不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた」ことにはならないので、軽犯罪法違反にはなりません。

    しかし、相手が嫌がっているのに声をかけ続けていると、軽犯罪法違反になりうる、ということです。

    逆にナンパされて不安あるいは迷惑な女性は、ナンパ師に対し、「それ、軽犯罪法1条28号違反のつきまといですよ。連絡先交換したらすぐ被害届出しますから、やめた方がいいですよ」と言って、断る方法もアリですね。

    「俺の後ろに立つな」(ゴルゴ13)

  • 生卵を投げて書類送検…軽犯罪と暴行罪の違いとは

    2015年11月20日

    スーパーマーケットの入り口にいた女性の頭上から生卵が落ちてきて、肩に当たったそうです。

    ニワトリが産み落とした…わけではありません。
    人が投げ落としたなら犯罪になる可能性があります。

    一体、犯人は誰だったのでしょうか?

    「高層マンションから生卵30個投げつける 慶大生を書類送検“就活うまくいかず”」(2015年11月19日 産経新聞)

    川崎市中原区の高層マンションから東急東横線の線路内など地上に向けて生卵を投げつけたとして、神奈川県警中原署はマンションの住人である慶応大4年の男子学生(22)を軽犯罪法違反(危険物投注)の疑いで書類送検しました。

    大学生の男は、今年の10月26日~11月11日の間に、計7回30個の生卵を自宅マンションのベランダから東急東横線の線路内や商業施設の敷地内に向けて投げつけたと供述。
    「就職活動がうまくいかず、むしゃくしゃしてやってしまった」と容疑を認めているようです。

    現場は、東急東横線の武蔵小杉駅に近い高層マンションが立ち並ぶ人気のエリア。

    卵が肩に当たった女性にケガはなかったということです。
    では早速、「軽犯罪法」の条文を見てみましょう。

    「軽犯罪法」
    第1条
    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    11.相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
    拘留とは、受刑者を1日以上30日未満で刑事施設に収容する刑罰で、科料とは、1000円以上、1万円未満の金銭を強制的に徴収する刑罰です。

    1948(昭和23)年に施行された軽犯罪法は、軽微な秩序違反行為に対する法律で、騒音や迷惑行為、のぞき、露出、虚偽申告など33の行為を罪として規定しています。

    軽犯罪法については以前にも解説しました。
    詳しい解説はこちら⇒「犯罪になるストレス発散法とは!?」
    https://taniharamakoto.com/archives/1309

    これは、女性の顔につばを吐きかけた男が暴行容疑で逮捕された事件を取り上げたものでした。

    ところで、この記事でも解説したのですが、じつは軽犯罪法でも26号で、つばを吐く行為を禁止しています。
    しかし、逮捕容疑は暴行罪でした。

    今回の事件でも、投げた生卵が女性に当たっているわけですから、暴行罪が適用されてもいいのではないか、という疑問が湧いてきます。
    さて、この違いは何なのでしょうか? 条文から考えてみましょう。

    「刑法」
    第208条(暴行)
    暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
    法律上の「暴行」とは、人の身体に向けた「不法な有形力の行使」と定義され、相手が傷害を負わなければ暴行罪、傷害を負えば「傷害罪」となります。

    第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
    次にポイントとなるのは、「故意」であったかどうかです。
    暴行罪の場合、条文に「人の身体に向けた」とあるように、今回の事件で容疑者は「人を狙って」生卵を投げたのかどうかが焦点となってきます。

    容疑者は、線路内や敷地内に向かって投げていた、ということで、「人にぶつけようとして投げた」とは言っていません。

    また、状況から考えても人にぶつけようとして投げているようには見えなかったのでしょう。

    今のところ、人にぶつける意思があったことが認定できないので、暴行の故意が欠け、他人の身体又は物件に害を及ぼすおそれのある場所に生卵を投げた、ということで軽犯罪法となったものと思われます。

    今後、人を狙った旨の供述が出てくれば、幸い女性にケガがなかったことから傷害罪ではなく暴行罪になる可能性もあるということですね。

    ちなみに、今年6月には東京都中央区の自宅マンションから2リットルの水が入ったペットボトルを投げ、通行人にケガをさせた高校生(16)が逮捕されるという事件が起きています。

    こちらは、人がケガをしていることと、高校生が「投げればケガをさせることは想像した」と容疑を認めたことから傷害容疑での逮捕となったのでしょう。

    就職活動がうまくいかなかったとしても、生卵を投げるなどして他人に迷惑をかけてはいけませんね。

    投げるなら、せいぜい就職を諦めてさじを投げるくらいにして欲しいものです。

    お後がよろしいようで。M(_ _)m

  • 他人のフェイスブックに不正アクセスすると逮捕!?

    2015年11月13日

    他人のプライベートを盗み見したくなるのは、人間の性(さが)かもしれません。

    しかし、注意してください!
    見てはいけないものを見てしまうと…犯罪になる可能性があります。

    「不正アクセス:容疑者“写真を見て性的欲求を満たした”」(2015年11月10日 毎日新聞)

    警視庁サイバー犯罪対策課は、不正に入手したIDとパスワードを使って他人のフェイスブック(FB)に侵入したとして、東京都板橋区に住む携帯電話販売会社「光通信」社員の男(25)を不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕しました。

    逮捕容疑は今年1~3月、不正に入手した都内の20代の女性のIDとパスワードを使ったFBへのログインです。
    FBへの不正アクセスを立件するのは、今回が全国初だということです。

    事件の発端は、2014年7月。
    捜査員がサイバーパトロール中、ネットの掲示板にわいせつ画像が公開されているのを発見。
    捜査線上に容疑者の男が浮上したことで、わいせつ図画公然陳列容疑で自宅を家宅捜索。
    すると、パソコンのファイルから大量のIDとパスワードが見つかったため、さらに捜査を進めていたようです。

    今回、男のパソコンからはFBのほか、アップル社のデータ保存サービス「アイクラウド(iCloud)」利用者も合わせて770人以上のIDやパスワード、電話番号などが見つかり、さらには女性の私的な画像が複数保存されていたことから、FBなどに不正にアクセスしてプライベートを「のぞき見」し、入手していたとみているとのことです。

    容疑者の男は、「被害者のプライベートな写真を見て性的欲求を満たしていた」と供述し、容疑を認めているということです。
    夫婦や恋人、親族の間でも、メールやフェイスブックなどに不正にアクセスすれば犯罪になる可能性があります。

    不正にアクセスする、というのは、許可なく他人のIDとパスワードを使ってインターネットを通じてFacebookやメールシステムなどにアクセスすることです。

    これは、犯罪です。

    また、そのような不正アクセスをすることを目的として、他人のIDやパスワードを取得することも犯罪です。

    携帯電話やスマホにダウンロードされたメールを見ても、「不正アクセス」にはなりません。

    「不正アクセス」というくらいですから、インターネットなど通信回線を通じて他人のコンピュータに接続して利用する行為が罰せられます。

    詳しい解説はこちら⇒「アダムとイブと不正アクセス禁止法」
    https://taniharamakoto.com/archives/1326
    「不正アクセス禁止法」
    第3条(不正アクセス行為の禁止)
    何人も、不正アクセス行為をしてはならない。

    第4条(他人の識別符号を不正に取得する行為の禁止)
    何人も、不正アクセス行為の用に供する目的で、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を取得してはならない。
    ネットで不正にアクセスすれば3年以下の懲役又は100万円以下の罰金、IDやパスワードを不正に入手すれば1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

    近年、不正アクセスは大きな問題になっています。
    個人や、さまざまな業種の企業のサイトに不正にアクセスし、個人情報や企業秘密を奪ったり流出させる事件が相次いでいます。

    2014年には、無料通信アプリのLINE(ライン)のアカウント(IDとパスワード)が不正に乗っ取られる事件が多発したのを記憶している人も多いでしょう。

    詳しい解説はこちら⇒「LINEのアカウントの乗っ取りに要注意」
    https://taniharamakoto.com/archives/1552

    では、これらの被害に遭わないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
    不正アクセスでは本人が知らない間に被害に遭うケースが多いことを考えれば、まずは自衛対策が大切になります。

    やはり、以前からよく言われているように、
    ・すべてのWebサービスでIDやパスワードを異なるものにして管理する。
    ・生年月日や電話番号など、わかりやすく、個人が特定されやすいものは使わない。
    ・なるべく長いものを使う
    ・パスワード管理ツールを使う
    ・2段階認証やアプリなども併用する。
    などの対策をしておく必要があるでしょう。

    なお、不正アクセス禁止法では以下の項目についても禁止されていますので、合わせて覚えておいてください。

    ・他人のIDやパスワードをアクセス管理者や利用権者以外の者に提供してはいけない。(第5条)
    ・不正に取得した他人のIDやパスワードを保管してはいけない。(第6条)
    ・フィッシング行為などで他人のIDやパスワードを不正に要求してはいけない。(第7条)

    上記すべて、違反した場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。

    他人のプライベートの「のぞき見」、相手への復讐、いたずら等、動機はさまざまでも、不正をすれば高い代償を払うことになるということは肝に銘じておいてほしいと思います。

  • 帰れと言われて帰らないと不退去罪で逮捕される!?

    2015年11月11日

    今回は、少し珍しい? 罪について解説します。
    「不退去罪」といいます。
    一体、どんな罪なのでしょうか?

    「ラーメン店対応に立腹、3時間居座る 容疑で男逮捕 明石署」(2015年11月8日 神戸新聞NEXT)

    兵庫県警明石署は、ラーメン店の対応に腹を立て、約3時間も店に居座り続けた会社員の男(32)を不退去の疑いで現行犯逮捕しました。

    事件が起きたのは、11月8日。
    男は、明石市内のラーメン店に午前4時ころに来店。
    餃子の次にラーメンを出してくれるように注文したところ、ラーメンを先に出されたため男性店長(33)と口論。

    午前7時ころ、110番通報で駆けつけた同署員が説得したが応じなかったため逮捕されたということです。
    食べる順番に相当なこだわりがあったのでしょうか、それとも虫の居所が悪かったのでしょうか…いずれにせよ、罪は罪です。
    では、条文を見てみましょう。

    「刑法」
    第130条(住居侵入等)
    正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
    ・住居侵入罪は、正当な理由がなく住居などに不法に侵入した場合に成立します。
    ・一方、不退去罪の場合は、適法に又は過失により立ち入った場合に限られ、不法に侵入した場合は成立しないことに注意が必要です。この場合には、住居侵入罪が成立するためですね。

    ・不退去罪は、退去の要求を受けたら直ちに成立するものではなく、要求を受けた者が退去するのに必要な合理的時間、たとえば荷物を整理して持つ、服を着る、靴を履くなどの時間が経過して初めて成立するとされます。

    ・住居だけでなく、たとえば門柱や塀の内側、庭などの塀で囲まれた敷地内も不退去罪の対象になります。

    ところで、この罪が成立するにはどんな状況が考えられるでしょうか?

    たとえば、労働者と使用者間での労働争議において、使用者側の業務遂行を妨害するような不退去行為。

    しつこい訪問販売業者や新聞などの勧誘、布教活動のため居座り続ける行為。

    会社や店舗などにやってきて、いつまでも帰らないクレーマー。

    これらの行為は、不退去罪になる可能性があります。

    ただし、不退去罪を前提として退去を要求することができるのは、当該建物の管理権を有する者であるため、会社や店舗などの場合は、管理権者からの指示に基づいて退去を要求しないと不退去罪に該当しない可能性もあるので注意が必要です。

    仮に相手に非があったとしても、住居や会社、店舗などに居座り続けると犯罪になる可能性があることは覚えておいてください。

  • 日本刀の模造刀でも銃刀法違反!?

    2015年10月24日

    今回は、彼女が最近ハマっている、ある趣味が法律違反なのではないか? と心配する男性からの相談です。

    一体、どんなことにハマッているのでしょうか?

    Q)最近、「日本刀ブーム」だそうで、特に女性に人気があるらしく、私の彼女もハマっています。先日、誕生日のプレゼントは何が欲しいか訊いたところ、「日本刀の模造刀!」ということで、その後は延々とその魅力について聞かされました…。ところで、法律的には模造刀の所持については犯罪にならないのでしょうか? 職務質問ではナイフを持っているだけで逮捕される、という話も聞きますが、実際どうなのでしょうか?

    A)刃物を所持していると「軽犯罪法」、もしくは「銃刀法」違反として逮捕される可能性があるので注意してください。
    また、日本刀の模造刀であっても携帯して持ち歩くと犯罪になる可能性があります。
    以下に解説していきます。
    軽犯罪法は、1948(昭和23)年に施行されたもので、のぞきや露出、騒音、迷惑行為など、軽微な秩序違反行為に対する法律です。
    さまざまな行為が規定されており、全部で33の行為が罪として定められています。

    条文を見てみましょう。

    「軽犯罪法」
    第1条
    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    2.正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
    「拘留」とは、受刑者を刑事施設に1日以上、30日未満(最長29日間)の範囲で拘置する刑罰です。
    同じような刑罰に「禁固」がありますが、拘留は禁固とは違い執行猶予が付されないため、必ず実刑になります。
    また、懲役刑のように、刑務所などの刑事施設での所定の作業を行う必要はありませんが、禁固と同様に受刑者が望めば作業を行うこともできます。

    「科料」とは、1000円以上、1万円未満(9999円以下)の金銭を強制的に徴収するという刑罰です。
    1万円以上の金額の刑罰の場合は「罰金」になります。
    なお、科料の場合も検察庁が保管する「前科調書」に記載されるため、「前科」がついてしまいます。

    ちなみに、警視庁のサイトでは条文にある「正当な理由」としては、店で刃物を購入して自宅に持ち帰ることなどを挙げていて、繁華街等でからまれたときに身を守るための護身用に持ち歩く、というのは正当な理由にはあたらないとしています。

    また、ハサミやカッターナイフなどの文房具でも、自宅や居室以外の場所で、正当な理由なしに、すぐに使える状態で持ち歩くと取り締まりの対象になるとしていることにも注意が必要です。
    では次に、「銃刀法」について見ていきましょう。

    「銃刀法」は、正式名称を「銃砲刀剣類所持等取締法」といい、1958(昭和33)年に銃や刀剣などの取り締まりを目的として施行された法律です。

    「銃刀法」
    第2条(定義)
    2.この法律において「刀剣類」とは、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフをいう。
    第3条(所持の禁止)
    何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。

    1.法令に基づき職務のため所持する場合
    第4条(許可)
    次の各号のいずれかに該当する者は、所持しようとする銃砲又は刀剣類ごとに、その所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。
    わかりやすくまとめると、次のようになります。
    ・刃渡り15cm以上のものは「刀」、5.5cm以上のものは「剣」。
    ・法令に基づき職務のために所持する場合以外は、原則として所持は禁止。これに違反した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。(第31条の16の1号)
    ・所持するには、都道府県公安委員会の許可を受けなければいけない。
    ・18歳未満の者、精神障害等の政令で定めた病気がある者、アルコールや麻薬中毒者、住居が定まらない者などは所持を許可されない。

    また、刀剣については所持だけでなく携帯の禁止についても規定されています。

    第22条(刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止)
    何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
    これに違反をした場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。(第31条の18の3号)

    さらには、模造刀に関する規定もあります。

    第22条の4(模造刀剣類の携帯の禁止)
    何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類(金属で作られ、かつ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定めるものをいう。)を携帯してはならない。
    つまり、質問者の彼女の場合、趣味として日本刀の模造刀を手に入れて、家で触ったり、眺めたりするのは問題ありませんが、外に持ち出してしまうと銃刀法違反で逮捕、20万円以下の罰金(第35条の2号)に処される可能性があるということです。

    「刀剣女子」と呼ばれるマニアの人たちには、いくら模造刀とはいっても、その扱いには十分注意して法律を遵守して、趣味の世界を楽しんでほしいと思います。