刑法犯 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 6
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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  • ネットに書き込むことは名誉を毀損することだ

    2015年03月12日

    恥は若者にとって名誉であり、老人には屈辱である。

    これは、紀元前の古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの言葉だそうです。

    若者にとって、自分からかく恥は、確かに偉大な哲学者が言うように名誉といえるかもしれません。
    しかし、他人からかかされた恥は、やはり若者にとっても屈辱でしょう。

    名誉を傷つけられれば、誰だって怒り心頭になるでしょうし、人の名誉を傷つければ、それは犯罪になる可能性があります。
    そんな事件が起きました。

    「“彼女取られて仕返したかった”大学生 ネットに書き込み名誉毀損容疑で逮捕」(2015年3月9日 産経新聞)

    女性を装って、「同じ大学に通う男性にストーカー行為をされている」とウェブサイトに書き込んだとして、札幌東署は札幌市の大学生の男(22)を名誉毀損の疑いで逮捕しました。

    報道によると、男は「彼女を取られて仕返ししてやりたかった」と供述。大学生の男性の名誉を傷つけるためにウェブサイトに書き込み、顔写真を掲載したようです。

    また同署は、男がかつて交際していた女性の裸の写真をインターネット上に投稿していることを確認しており、リベンジポルノに当たるとみて、私事性的画像記録の提供被害防止法違反の疑いでも捜査しているとのことです。

    今回は、リベンジポルノではなく、名誉毀損について解説したいと思います。

    では早速、条文を見てみましょう。

    「刑法」
    第230条(名誉棄損)
    1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
    公然とは、不特定または多数の人が認識し得る状態をいいます。

    毀損とは、利益や体面などを損なうことですが、法律上では人の社会的評価が害される危険を生じさせることとされ、実際に社会的評価が害されることは要しないとされています。

    また、条文にあるように名誉棄損罪は、事実の有無、真偽を問いません。

    つまり、今回の事件では、事実無根の事実(男性がストーカーをしているかのような事実)をネット上に摘示して、不特定多数に公開し、男性の名誉を毀損したことで罪に問われた、ということになります。

    ところで今回の事件、じつは見逃せないポイントがあります。
    実際には、名誉棄損での逮捕というのは珍しいのですが、今回なぜ逮捕に至ったのでしょうか。

    それは容疑者に、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」違反の疑いがあるからでしょう。

    聞きなれない法律だと思いますが、これは通称「リベンジポルノ防止法」といわれるもので、2014年11月に成立したものです。

    リベンジポルノが社会問題化している現状も踏まえ、この法律については次の機会に詳しく解説したいと思います。
    では今回は、締めの言葉もアリストテレスです。

    「私は敵を倒した者より、自分の欲望を克服した者を勇者と見る。
    自分に勝つことこそ、もっとも難しいことだからだ」

  • チケット転売で逮捕!?

    2015年02月07日

    クイズです。

    「あさかぜ」「富士」「さくら」「出雲」「つるぎ」「はやぶさ」…さて、これらに共通することは何でしょうか?

    鉄道ファンなら、すぐにわかってしまうかもしれませんが…

    正解はブルートレインの名前です。

    ブルートレインの愛称で根強い人気があった寝台特急は、1970年代後半には、大人のマニアだけでなく小中学生までもがカメラを持って撮影するというブームが巻き起こりました。
    ベッドに食堂車もついたブルートレインに、当時あこがれた読者もいるかもしれませんね。

    しかし、その後、利用客の減少などで次々に廃止されていく中、ついに2009年には東京駅発着のブルートレインは全廃。

    最後に残った「北斗星」(上野駅‐札幌駅)も、今年の3月13日での運行終了が発表され、臨時列車としての最終運行日である8月22日(札幌発)をもって、ついに廃止となる予定だそうです。

    日本のブルートレインは、約60年の歴史の幕を閉じようとしています。
    さようなら、ブルートレイン!

    みなさん、ごきげんよう!
    と、なんだかもう終わりのような感じになってしまいましたが、今回のブログはまだ終わりません。
    ブルートレインに関係する事件が起きたようなので解説します。

    「ダフ屋行為:ブルトレ信州の切符ネットで高額転売」(2015年2月5日 毎日新聞)

    警視庁生活安全特別捜査隊は、JRの臨時快速列車「ブルートレイン信州」の指定席券を転売目的で購入したとして、無職の男(47)ら男女2人を東京都迷惑防止条例違反(常習ダフ屋行為)容疑で逮捕しました。

    報道によると、容疑者の男らは2014年の8月~9月、品川区のJR大崎駅でブルートレイン信州の指定席券4枚を含む切符6枚(3120円)を転売目的で購入した後、インターネットオークションに出品し、神奈川県の男性(53)ら3人に計約11万円で転売していたということです。

    男は、「2013年の夏ごろから(ダフ屋行為を)始め、他にもやった」と容疑を認めているようです。

    ブルートレイン信州は中央線富士見駅(長野県富士見町)の開業110周年を記念し、2014年9月28日に1日だけ運行。
    男は、全国各地で記念切符が発売される際、先頭に並んで購入する「熱心なコレクター」として、鉄道ファンの間で有名だったということです。
    以前、ダフ屋行為について解説しました。
    詳しい解説はこちら⇒「AKB総選挙とダフ屋行為」
    https://taniharamakoto.com/archives/155

    ダフ屋行為の禁止については、東京都内の場合には、「東京都迷惑防止条例」の第2条に規定されています。

    条例ですから、都道府県別に規定されているわけですね。

    ところで、ここに出てくるダフ屋とは、どんな人たちか、ご存じですか?

    野球場やライブ会場の付近で、「チケットあるよ~」とか言って、チケットがなくて入れない人達にチケットを転売している人達のことを言います。

    都道県の各条例では、このダフ屋行為が禁止されています。

    以下に詳しく見ていきます。

    【転売の対象となるもの】
    対象となるのは、乗車券や入場券、観覧券などのチケットです。

    野球やライブの入場券は、該当しますし、今回のブルートレインの乗車券も該当することになります。

    【違反となる転売の目的】
    ①不特定の者に転売する目的
    ②転売目的者に交付する目的

    ダフ屋は、もともと自分で行くつもりはなく、「チケットあるよ~」と不特定の人に転売する目的があるので、これにあたります。

    自分で行こうと思って買ったチケットだけど、行けなくなったので他の人に転売したという経験のある人もいると思いますが、そうした場合は初めから転売目的ではないため、罪には問われないということです。

    今回の容疑者も、自分でブルートレインに乗る目的ではなく、転売目的であった、と認定されたわけですね。
    【違反となる行為】
    転売目的で入手したチケットを「公共の場」あるいは「公共の乗り物」で売る行為についても以下の行為が禁止されています。
    ①売る
    ②うろつく
    ③つきまとう
    ④呼びかける
    ⑤ビラなどを配る
    ⑥展示して売ろうとする

    ちなみに条文では、公共の場とは、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所となっています。

    ダフ屋は、野球場やライブ会場の付近で「チケットあるよ~」と呼びかけているので、④に該当するわけですね。

    【法定刑】
    6月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
    さて、今回の事件では、容疑者はチケットをインターネットのオークションで売っていました。
    ネットオークションとダフ屋行為は法的には問題となるのでしょうか?

    まず、迷惑防止条例の目的は、公衆に迷惑をかける行為を防止することです。
    そのため、売る行為自体に関しては、ネット上は「公共の場所」でも「公共の乗り物」でもないので違反とはなりません。
    では、なぜ、今回、逮捕されたのでしょうか?

    容疑者は、チケットを大崎駅で買っています。

    実は、東京都迷惑防止条例では、次のような行為も禁止されています。

    転売目的で、「公共の場」あるいは「公共の乗り物」での以下のような行為をすることです。
    ①買う
    ②うろつく
    ③つきまとう
    ④呼びかける
    ⑤ビラなどを配る
    ⑥列に並んで買おうとする

    駅は公共の場です。

    駅で、ブルートレインの乗車券を転売目的で購入すると、この規定に違反することになります。

    よって、東京都迷惑防止条例違反、ということになります。

    そうすると、公共の場で買わなければ、東京都迷惑防止条例違反にはならない、ということです。

    ネットオークションで買って、ネットオークションで売るような場合ですね。

    さて、今回の容疑者は、乗車券を買って、ネットオークションで売っただけですが、なぜ、【転売目的】と認定されたのでしょうか?

    行動だけを見ると、転売目的なのか、自分で行く目的なのか、わからないはずです。

    このあたりは、報道内容だけではわかりません。

    たとえば、過去にも、何度もチケットをネットオークションで出品していると、今回も転売目的ではないか、と推測が働きます。

    また、その時の枚数が多く、今回も6枚と比較的多いと、転売目的の推測が働きます。

    チケット購入からネットオークション出品までが短時間だと、乗車目的ではないのではないか、と推測されますね。

    今は、SNSの時代です。自分でSNSで、「入手困難のチケットを6枚ゲット!欲しい人は売りますよ~」などとつぶやいていると、転売目的バレバレとなります。

    「転売目的」は、あくまで内心のことですから、逮捕の後、転売目的であったことを自白するかどうかがポイントとなるでしょう。

    「えっ!?これって犯罪なの?」

    と思った人も多いかもしれません。

    このブログをよく読んで、十分気をつけて下さい。

    日常に犯罪行為は潜んでいます。

    「1日だけ幸せでいたいならば、床屋にいけ。
    1週間だけ幸せでいたいなら、車を買え。
    1ヵ月だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ。
    1年だけ幸せでいたいなら、家を買え。
    一生幸せでいたいなら、正直でいることだ」(イギリスのことわざ)

  • ケンカでの正当防衛は成立するのか?

    2015年02月04日

    「目には目を、歯には歯を」という言葉があります。
    「やられたら、やり返せ!」という意味にとられがちですが、本来の意味は違うといわれます。

    紀元前1792年から1750年に、古代メソポタミアのバビロニアを統治したハンムラビ王。
    彼が制定したとされる「ハンムラビ法典」は、世界で2番目に古い法典といわれますが、ここにある「目には目を、歯には歯を」に関連する条文は報復を認めて奨励しているわけではなく、無制限な報復を抑制、制限するために、何が犯罪行為であるかを明らかにして、その行為に対して刑罰を科すという、現在の司法制度と同じ考えに基づいているとされます。

    相手に傷つけられたら、同じように相手を傷つけてもいいわけではなく、現代の日本の刑法のように傷害罪なら15年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰の代わりに、自分も傷つけられるという罰を受けるという考えということですね。

    しかし、古今東西さまざまな法律があっても、やはり人間は感情の生き物なので、やられたら、やり返したい感情が湧いてくるものです。

    「相手が悪い」、「あいつが先に手を出してきた」、「自分は悪くない」、「お前が先に言ったんだろ」、「正当防衛だ!」などという些細なことからトラブルが起きるのも現実です。

    今回は、身近なトラブルから「やられたから、やり返した」が法的に許されるのか検証します。

    Q)飲み屋でたまたま知り合った奴と、初めは意気投合して盛り上がったんですが、そのうち殴り合いのケンカになってしまいました。酔っていたから、あまり覚えていないんですが…後日、相手から内容証明というものが送られてきて、ケガに対する損害賠償をしなければ、警察に訴えるっていうんです。強く殴ってないからケガしてないはずだし、そもそも殴りかかってきたのは相手なんだから、これは正当防衛でしょ? 法的に反撃したいんだけど、どうすればいいんですか?

    A)もちろん、「やられたから、やり返した」、「先に手を出したのは相手だ」という理由だけでは、その正当性は法的には認められません。
    正当防衛が認められるには法的な要件が必要となります。
    正当防衛として要件を満たしていなければ、ケガの治療費や慰謝料などの損害賠償は免れないでしょう。
    【正当防衛とは】

    まず、人の身体を傷つけた場合、傷害罪に問われる可能性があります。
    これは、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(「刑法」第204条)

    一方、刑法では正当防衛も認められています。
    条文を見てみます。

    「刑法」
    第36条(正当防衛)
    1.急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
    2.防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
    以前、正当防衛について解説しました。
    詳しい解説はこちら⇒「”倍返し”には、犯罪が成立する!?」
    https://taniharamakoto.com/archives/1175

    自分や他人の生命・権利を違法に侵害するもの、またはそうした危機が間近に迫っている緊急状態で、防衛するためにやむを得ずにした行為を正当防衛といいます。

    ただし、正当防衛が成立するには以下の要件が必要になります。
    【正当防衛の要件】
    ①「急迫性の侵害があること」
    急迫とは、物事が差し迫った状態をいいます。
    つまり、生命や権利を脅かすような危機的な侵害が存在しているか、又は間近に差し迫っている状況であることが必要です。

    相手が急に殴りかかってきたら、急迫といえるでしょう。

    ②「その侵害が不正であること」
    その侵害が、法秩序に反する違法なものであることが必要です。

    一緒に飲んでいたのに、急に殴りかかってきたとしたら、それは不正です。

    そこで、やむを得ずした行為が相手を傷つけても正当防衛となる可能性があるわけです。

    ③「自己又は他人の権利の防衛であること」
    権利を守るための防衛が、生命、身体、自由、名誉、信用、財産、肖像権、住居の平穏などの権利を守るためであることが必要です。

    殴りかかられるというのは、身体、場合によっては生命の防衛を必要とします。

    以上は、「状況の要件」です。
    では、次に「行為の要件」について見ていきましょう。

    ④「やむを得ずにした行為であること」
    やむを得ずにした行為であるという必要性、社会通念上の相当性があることが正当防衛が認められる要件になります。
    相当性は、法益の種類や反撃の強度が相手と同程度であること、急迫性の程度、体格差、年齢差などを総合的にみて判断されます。
    たとえば、素手には素手で、武器には武器で対応する、というようなことです。

    ⑤「防衛の意思」
    自己又は他人の権利を守るためという防衛の意思があることも要件です。

    たとえば、以前から嫌っていた相手から攻撃されたことに乗じて、自分から積極的に反撃に打って出たり、防衛を理由に相手に対して積極的に攻撃したという場合は、防衛ではなく攻撃の意思ということになります。
    こうした場合、正当防衛ではなく「過剰防衛」として罪に問われる可能性があります。
    なかなか判断が微妙な部分がありますが、たとえば①の急迫性については、相手が殴ってきた、もしくは殴られそうになった場合は正当防衛が認められますが、殴ってくるかもしれないと考えて自分から先制パンチをお見舞いしたような場合は認められません。

    また、④のやむを得ずした行為では、相手に蹴られたからキックし返したところ相手がケガをした、というような場合は正当防衛が認められますが、殴られたので持っていたナイフで相手を刺したというような場合は認められないということになります。

    【ケンカと正当防衛】
    では、ケンカの場合は正当防衛が認められるでしょうか?

    そもそもケンカは、相手をやっつけるためにお互いに攻撃防御を繰り返すものです。

    はじめに殴りかかられ、ブロックような場合は、「急迫不正の侵害にやむを得ずした行為」と言えるでしょうが、反撃するうちに、「やむを得ずにした行為」とは言えなくなってしまいます。

    また、古くから日本では「喧嘩両成敗」という考えがあるように、ケンカで正当防衛は成立しにくいともいえます。

    しかし、ケンカで正当防衛が認められる可能性はあります。
    たとえば、初めは素手での殴り合いのケンカだったのが、途中で相手がナイフで攻撃してきたようなケースや、ケンカをする意思を放棄して攻撃を止めているにもかかわらず、なおも一方的に相手が攻撃し続けてきたケースなどです。

    こうしたケースでは、途中から「急迫性の侵害」が発生したと考えられることから、ケンカの場合は行為の一部分だけを見ずに全体的に見て判断されます。

    いずれにせよ、法律で解決する云々の前に、やはりケンカはしないに越したことはないですし、報復行為では何も問題は解決しないという事実は、大人も子供も、一般の人でも政治家でも心に留めておくべきことだと思います。

    「自己の向上を心がけている者は、喧嘩などする暇がないはずだ。
    おまけに、喧嘩の結果、不機嫌になったり自制心を失ったりすることを思えば、いよいよ喧嘩はできなくなる」
    (エイブラハム・リンカーン/アメリカ合衆国第16代大統領)

    こんな考え方ができたら、とっくに聖人になってますね。(>_<)

    万が一のときの法律相談は、こちらから。
    http://www.bengoshi-sos.com/about/0902/

  • 「いやよ」「いやよ」も罪のうち!?

    2015年01月25日

    「恋と戦争においては、あらゆる戦術が許される」
    イギリスの劇作家であるジョン・フレッチャー(1579-1625)の言葉だそうです。

    恋でも戦争でも、劇中でなら大抵のことは許されるとしても、実際の社会においては何をしても許されるということはありませんね。

    男と女の問題でも、嫌がる相手にやる義務のないことを強制すれば犯罪になる可能性があります。

    「わいせつ動画ほのめかし不倫継続迫った疑い 年金事務所副所長を逮捕」(2015年1月20日 産経新聞)

    警視庁久松署は、交際中に撮影したわいせつな動画の公開をほのめかし、不倫相手の女性に関係を続けるよう迫ったとして、日本年金機構目黒年金事務所の副所長の男(58)を強要未遂の疑いで逮捕しました。

    昨年10月、男は交際していた都内の40代女性に別れ話を切り出された際、動画を見せて脅迫。
    翌11月には、「過去がリークされたら困るよね」というメールを送って、自分との交際を続けさせようとしたようです。

    女性が同署に相談して発覚したようですが、男は容疑の一部を否認しているとのとこです。
    この事件、容疑は強要未遂ですが、どんな罪なのでしょうか?
    まずは条文を見てみましょう。

    「刑法」
    第223条(強要)
    1.生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
    2.親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
    3.前2項の罪の未遂は、罰する。
    強要については、未遂でも処罰されるということです。

    ところで、「強要罪」は脅迫や暴行を手段とするわけですが、「暴行罪」(208条)や「脅迫罪」(222条)等とどこが違うのでしょうか?

    簡単にいうと、相手を脅して畏怖させた場合は脅迫罪で、脅してお金を脅し取ると恐喝罪です。

    お金ではなく、脅して相手がやる義務のないことをやらせたり、やる権利があることをやらせないのが強要罪です。

    暴行罪は暴行をするだけですが、強要罪は、暴行することによって、相手がやる義務のないことをやらせたり、やる権利があることをやらせないのが強要罪です。

    今回の事件では、相手には義務のない不倫関係の継続を迫ったものの、女性が首を縦に振らなかったために、強要未遂罪になったわけですね。

    ちなみに、どんなことをすると強要罪で処罰されてしまうのか、過去の判例から集めてみました。

    ・辞職願を書かせる
    ・謝罪文を書かせる、または読み上げさせる
    ・医師に麻薬を注射させる
    ・告訴権者に告訴を止めさせる
    ・契約上の請求権や解除権の行使などを妨げる
    ・株主総会の議事進行を妨げる
    ・土下座を強要する

    ついついやらせてしまいそうなものが入っていませか?

    脅して結婚させる、脅して離婚させる、脅して使いパシリをさせる、脅して裸の写真をメールで送らせるなど、あれこれ強要すれば犯罪になる可能性があるので注意してほしいと思います。

    人に何かをさせたいとき、暴力や脅しを使ってはいけません。

    いえ、むしろ、そんな必要はありません。

    人を動かしたい時は、質問をすることです。

    「人を動かす質問力」(角川書店)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4047101974/
    「あなたのために他人がいるわけではない。
    “◯◯してくれない”という悩みは、
    自分のことしか考えていない何よりの証拠である」
    (アルフレッド・アドラー /オーストリアの精神科医、心理学者
    『人生に革命が起きる100の言葉』より)

     

  • お店での無断充電は犯罪です。

    2015年01月20日

    宮崎駿さんの映画初監督作品としても有名な『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年公開)。
    そのラストで、銭形警部とヒロインのクラリス姫がこんな会話をします。

    銭形警部「くそー、一足遅かったかぁ!ルパンめ、まんまと盗みおって」
    クラリス「いいえ、あの方は何も盗らなかったわ。私のために戦ってくだ
    さったんです」
    銭形警部「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました」
    クラリス「……?」
    銭形警部「あなたの心です」
    クラリス「……はい!」

    さすがの銭形警部も、女性の心を盗んでだけではルパンを逮捕することはできないでしょう。
    しかし、現実の世界では、場合によっては形のないものでも盗むと犯罪になることがあります。

    今回は、何気なくやったことが犯罪になるのかどうか? という質問に、法的にお答えします。

    Q)先日、ある居酒屋で友人たちとお酒を飲んでいたところ、スマホの電池がなくなりかけていることに気づきました。ふと見ると、座敷の隅にコンセントを発見。単純にラッキー!と思って充電をしていたら、お店の人に見つかって怒られました。もちろん無断で充電したのは自分が悪いんですが、その店主が「警察に訴えるぞ、犯罪だ」というので、カチンときて心もモヤモヤ。なんだか納得いきません。本当に犯罪になるんですか?

    A)形のない「電気」であっても、他人の物を故意に、許可なく持ち去ったり、使用すると「窃盗罪」に問われる可能性があります。
    「少しの電気をもらったくらいでケチなこというな!」、「バレなければいいだろ」、「バレなければいいなら殺人や放火も許されるのか?」など、さまざまな意見があるでしょう。

    しかし、電気の窃盗については「刑法」で規定されています。

    「刑法」
    第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
    第245条(電気)
    この章の罪(注:窃盗及び強盗の罪)については、電気は、財物とみなす。
    財物とは、

    ①有体物で形のあるもの(個体・液体・気体に加え、電気や水力、火力、空気の圧力、人工冷熱気の冷熱等の自然力利用によるエネルギーなどの無体物も含まれるとされます)、

    ②管理ができるもの、

    ③持ち運ぶことができるもの、

    をいいます。

    ということは、水やガス、蒸気なども無断で使用したら窃盗になりますが、管理できないもの、たとえば目に見えないけれど飛び交っているテレビやラジオ、無線LANなどの電波や、電磁波、情報等は窃盗の対象にはならないわけですね。

    しかし、仮にIDやパスワードを入手して他人のパソコンやスマートフォンにアクセスすれば、「不正アクセス禁止法」違反となります。

    さて実際、電気の窃盗については過去には犯罪と認められた例もあります。

    〇出張中の会社員が、会社にメールを送るために名古屋駅にあった公衆電話の足元にあった清掃用のコンセントにパソコンをつないで5分間無断使用していたところ、鉄道警察隊に発見され窃盗容疑で書類送検。被害額約1円。(2004年)

    〇大阪で中学生が、コンビニの外壁の看板用コンセントから携帯電話に15分間充電していたとして、窃盗容疑で書類送検。被害額約1円。(2007年)

    1円!?L(゚□゚)」オーマイガッ!

    会社のオフィスで、無断で充電している人はいませんか?
    被害総額が1円でも、法的には犯罪となるので注意してください。

    ちなみに、過去の判例で窃盗と認められた財物を一部まとめてみました。
    こんなものまで! というものもあります。
    ・選挙の投票用紙
    ・大学入試試験問題用紙
    ・使用済みの切符
    ・消印のある収入印紙
    ・ゴルフ場に転がっているロストボール
    ・神社境内にあった石
    ・禁制品(麻薬、覚醒剤等)
    ・養殖場の稚貝
    ・土地から掘り出した土砂
    ・自宅に入って来たので捕獲した犬
    ・かつら用の毛髪
    ・医学標本
    ところで、警察庁が発表した「平成26年警察白書」によると、窃盗犯の認知件数は98万1233件。
    約33秒に1件の割合で窃盗が起きていることになります。
    かなりの件数です。

    何気なく、無断で物を持ち去ったり使用するのはいけません。

    いずれにせよ、法的には、バレなきゃいいだろう、少しくらいならOK、は通用しないということは肝に銘じておきましょう。

    盗んでいいのは・・・
    やはり、ルパンのように、

    ハートだけですね!

    「あなたの目は、こっそりと私の心を盗む。泥棒!泥棒!泥棒!」(モリエール・フランスの劇作家)

  • 他人のメールを自分宛に転送させると犯罪!?

    2015年01月14日

    普段、多くの人が考えていないような、まさか…というところに犯罪の芽があることがあります。

    「まさか、自分のメールが他人に盗み見されていたなんて!」

    そうなったら、どうしますか?

    会社の経営者や役員の人たちにとっては、寝耳に水な事件の初公判で被告が起訴内容を認めたようです。

    「役員宛てのメールを自分へ、元SEが不正転送認める 東京地裁公判」(2015年1月8日 産経新聞)

    勤務先の会社の役員らに送られたメールを自分に転送されるように設定をしたとして、私電磁的記録不正作出・同供用の罪に問われた元システムエンジニアの男(36)が東京地裁の初公判で起訴内容を認めたということです。

    起訴状によると、事件が起きたのは平成24年4月。
    被告の男は、当時勤務していた医療従事者向け求人情報紹介会社のパソコンを操作し、役員ら10人宛てのメールが自分に自動転送されるよう不正に設定したようです。

    検察側は冒頭陳述で、「被告はシステム管理を任され、メールアドレスの設定などをできる立場にいた」と指摘。

    被告の男は、医師らの個人情報を持ち出したとして、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)の疑いでも逮捕されていましたが、不起訴処分になったということです。
    さて、「私電磁的記録不正作出・同供用罪」とは、どんな犯罪なのでしょうか?
    早速、条文を見てみましょう。

    「刑法」
    第161条の2(電磁的記録不正作出及び供用)
    1.人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
    3.不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第1項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
    「電磁的記録」とは法律用語で、判例ではさまざまなものが認められているのですが、たとえば次のようなものがあります。
    ・フロッピーディスク(磁気ディスク)
    ・CD-ROM(光ディスク)
    ・USBメモリ
    ・電車などの定期券等の磁気部分
    ・キャッシュカードやクレジットカード、プリペイカードなどの磁気部分
    ・デジタル放送を観る際に使うB-CASカード
    ・オンラインゲーム内のアイテム
    ・電子メール
    ・電子計算機(コンピュータやパソコンを含む)による情報処理の用に供されるもの(「刑法」第7条の2) など。

    ※ただし、クレジットカードなど料金の支払い用のカード等については
    平成13年の法改正により、「刑法」第163条の2(支払用カード電磁
    的記録不正作出等)が適用される。

    また、「作出」とは新しく作り出すことで、「供用」とは、多くの人が使えるようにすることをいいます。

    さて、「私電磁的記録不正作出・同供用罪」というように、頭に「私」がついています。

    これは、どういう意味でしょうか。

    「私、電磁的記録不正作出罪です!」

    と宣言しているわけではありません。

    「私」というのは、「公」に対する言葉で、「公文書偽造罪」に対する「私文書偽造罪」に該当する電子データということです。

    つまり、今回の事件は、個人宛のメールを不正に転送させる設定をして電磁的記録を作り出し、さらに、その設定を役員達に使わせた罪、ということになります。

    まさか、社員や部下がこんなことをしていたとは…と驚く人もいるかもしれませんが、じつは案外、全国のさまざまな会社や組織などで行われているかもしれない? と考えると怖ろしいことです。

    システム管理を1人に任せてしまうと、このようなことが起こります。

    不正が発生しないようなチェック体制を確立することが大切ですね。

    不正を撲滅し、健全な経営を実現しましょう。

    「人生とは戦いであり、不正との格闘である」(ナイチンゲール)

    万が一のときの法律相談は、こちらから。
    http://www.bengoshi-sos.com/about/0902/

  • お釣りを多くもらったら、詐欺罪!?

    2015年01月09日

    日本経済がバブルで湧いて元気だったころの話……

    お酒を飲みに行ったお店で、またはタクシーから降りるときなど、会計のあとで、「釣りはいらないよ、とっておいて!」などという大人がいたものでした。

    それが粋なのか?
    かっこいいのか?

    については個人の価値観によるところが大きいでしょうが、とにかく当時はそんな時代の空気がありました。

    さて、平成27年の年明け早々、お釣りにまつわるトラブルで逮捕事件が起きたようです。

    逮捕とは穏やかではないですが、一体お釣りの何が問題だったのでしょうか?

    「お釣り多くもらい詐欺容疑 消防士を逮捕、奈良」(2015年1月7日 共同通信)

    橿原署は7日、奈良県橿原市のコンビニで、店員が誤って渡したお釣り約4万6千円を申告せずに受け取ったとして、消防士の男(43)を詐欺の疑いで逮捕しました。

    報道によると、昨年12月、容疑者の男が携帯電話料金やたばこ代など約1万3千円の会計に1万5千円を支払った際、6万円を預かったと思い込んだアルバイト店員(16)が約4万6千円をお釣りとして渡したところ、これを受け取ったということです。

    なお、店員は「忙しくてパニックになり勘違いした」と話し、容疑者の男は「酒に酔って覚えていない」と容疑を否認しているとのことです。

    読者の中には、計算間違いでお釣りを多くもらっただけで逮捕とはおおげさじゃないか?

    店員にも罪があるんじゃないか?

    などと思う人もいるでしょうが、今回の容疑者の行為は法律的には犯罪となってしまいます。

    「刑法」
    第246条(詐欺)
    1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
    2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
    「詐欺罪」については以前、解説しました。
    「宿題代行業は、詐欺罪!?」
    https://taniharamakoto.com/archives/1617

    詐欺罪が成立するには、「騙そうとする意思」が必要です。

    「故意」が必要ということですね。

    したがって、お釣りが多いことに気付かず、家に帰ってから気付いた、というような場合には、「騙そうという意思」がありませんので、詐欺罪は成立しません。

    では、容疑者は初めから、故意に、店員を欺こうとしていたのでしょうか?

    5,000円札が「5万円札」のように見えるマジックを使ったのでしょうか。

    報道内容には、そうした記述はありません。

    ではなぜ、詐欺罪に問われたのでしょうか?

    じつは、行為者が積極的に相手を錯誤に陥らせて欺く場合だけでなく、事実を告知しないことによって相手が既に錯誤に陥っている状態を継続させて利用する場合にも詐欺罪は成立するのです。

    つまり容疑者は、お釣りが多いことに気づいていながら、店員が錯誤していることを利用して真実を伝えず、お金を手に入れたと判断されたということでしょう。

    ちなみに、黙っていることで詐欺が成立した場合について、過去の判例では次のようなものがあります。

    ・保険契約に当たって、被保険者の疾病を告知しなかった場合(大判昭10・3・23集14-294)
    ・生活保護費の不正受給につき、生計の状況等の変動等の届出をしなかった場合(東京高判昭31・12・27高集9-12-1362)
    ・目的物が係争中であることを秘して売却した場合(大判昭11・5・4集15-559)
    ・取引において信用状態の悪化を告知しなかった場合(東京高判昭35・3・9東時11-3-60)

    話は変わりますが、

    自分の最愛の人が、癌になってしまったら・・・・

    本人に言うべきか、言わざるべきか、迷うかもしれません。

    黙っている、という選択肢もあるでしょう。

    他にも、世の中には、本人に言わない方がいいこともあります。

    知らない方が本人のためになる場合があるからです。

    しかし、お釣りを多くもらったら・・・・

    やはり、正直に申告しなければなりません。

    言わないと、「詐欺罪」なのですから。

    「あなたには成功しなければならないという義務はない。ただ、自分自身に対して誠実でなければならないという義務があるだけだ。あなたが最善を尽くしたいと思うことに、全力投入しなさい。そうすれば魂の奥深くで自分が世界一の成功者であることを知るだろう」
    (オグ・マンディーノ/アメリカの作家)

    法律相談は、こちらから。
    http://www.bengoshi-sos.com/about/0902/

  • 凄まじい言葉の暴力=モラハラへの法的措置とは?

    2014年11月28日

    性的な嫌がらせは、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)、職場の権力を利用した上司などからの嫌がらせやいじめは、パワー・ハラスメント(パワハラ)と呼ばれます。

    現在、「ハラスメント」と定義されるものにはセクハラ、パワハラの他にも、モラル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、ドクター・ハラスメント、マタニティ・ハラスメントなど20種類以上もあるといわれています。

    その中の「モラハラ」に関する損害賠償請求訴訟の判決に関する報道が先日あったので、法律的に解説したいと思います。

    「“死に損ないのブタ”“盗っ人”…凄まじき職場のモラハラの実態」(2014年11月24日 産経新聞)

    大阪市内の衣料関係会社に勤務する50代の女性が、職場で2年間にわたり、「ほんまに臭いわ!何食べて毎日くさいねん」、「死に損ないのブタ」などの暴言や暴力を受けたとして、60代の同僚女性に損害賠償を求めた訴訟の判決が11月に大阪地裁でありました。

    原告の女性は、被告の女性の口添えで平成19年に会社に入社。
    2人は別の会社でも一緒に勤務したことがあったようで、誕生日を祝い合う仲だったといいます。

    しかし、その後、急激に関係が悪化。
    原告女性は、被告女性から凄まじい罵詈雑言を浴びせられ、椅子を蹴り飛ばされたり、出勤台帳で背中を叩く、ボールペンを持って頭を叩くなどの暴力を受け、防戦すると被告女性自らが警察呼び、病院の診断を受けるなどした挙句、代理人弁護士を通じ、原告に慰謝料150万円を要求してきたということです。

    そこで、原告女性はICレコーダーで録音したり、机の下にビデオカメラを設置するなどして証拠を確保。
    平成25年初頭に、約220万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こすと、被告女性もほぼ同額の損害賠償を求める反訴に打って出たようです。

    大阪地裁は、原告側のICレコーダーやビデオカメラによる録音・録画のほか、「原告が押し倒されたり、殴られるのを見た」とする同僚男性の証言を重視。
    判決で被告女性に165万円の支払いを命じ、被告女性の反訴については全面的に退けたということです。
    以前、パワハラについて解説しました。

    詳しい解説はこちら⇒「職場のいじめは、法律問題です。」
    https://taniharamakoto.com/archives/1303

    近年、セクハラ、パワハラについては社会問題化し、報道されることも増えたので多くの人が知っていると思いますが、モラハラにつては馴染みが薄いかもしれません。

    実際、厚生労働省や法務省などのサイトやパンフレットにはパワハラについて扱ってはいても、モラハラの表記はほとんどないのが実情でしょう。

    というのも、モラハラの大半は職場や家庭内での言葉による嫌がらせ、いじめのため表面化しにくく、企業もあまり問題視してこなかったという背景があるように思います。
    そのため、身体的暴力に関しては「DV防止法」など、これまで法整備が進められてきましたが、精神的暴力に関しては法整備が遅れているといえます。

    モラハラの特徴としては、以下のようなものが挙げられるようです。
    ・最初はやさしいが豹変する
    ・通常、肉体的暴力は使わず言葉で人を侮辱、冒涜する
    ・相手の同情を誘ったり、自分を正当化する
    ・平気で嘘をついたり、言うことがコロコロ変わる
    ・職場や家庭内でのみ嫌がらせをする

    時として、モラハラは肉体的な暴力以上に人を傷つけるものです。

    今回の報道にもあるように、モラハラ被害にあっているという認識がある人は、「民法」で定める「不法行為」によって被った被害に対して損害賠償請求の訴訟を起こすことができるというのは覚えておいた方がいいでしょう。

    ところで、モラハラの特徴である言葉の暴力について、犯罪に問うことはできるでしょうか?

    じつは、「刑法」の「侮辱罪」が適用される可能性があります。

    「刑法」
    231条(侮辱)
    事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
    法律上、「公然」とは、不特定または多数の人が知ることのできる状態にあることをいいます。

    また、通説では事実を摘示しなくても成立するのが「侮辱罪」で、事実の摘示がある場合は「名誉棄損罪」が成立するとされています。

    侮辱罪について過去の判例では、2006年、山梨県大月市のスナックで20代の女性客に対して「デブ」と数回言った市議会議員の男が、「29日間の拘留」を言い渡されています。

    他の客のいる店舗や不特定または多数人のいる場所で相手を侮辱すると犯罪になる可能性があります。

    相手を見下して貶める、はずかしめるような言動をする人は、それによって自分の自尊心を満足させているのでしょう。

    しかし、同じ自尊心を満足させるなら、褒められて嬉しくなり、自尊心が満足した方がよいのではないでしょうか。

    そのためには、むしろ他人を褒めた方が良いはずです。

    褒められた人は、逆に褒め返してくれます。

    そうやって双方が良い気分になれば、世の中から侮辱罪がなくなるかもしれませんね。

    「自分の名誉を傷つけられるのは、自分だけだ」
    (アンドリュー・カーネギー/アメリカの実業家)

  • Twitterのリツイートで逮捕!?

    2014年11月26日

    人から聞いたいい話や、ためになる情報、噂話などは誰かに話したくなる、それが人間というものですね。

    たとえば、ツイッター(Twitter)やフェイスブック(Facebook)などの、いわゆるソーシャルメディアは、そうした人間の欲求も刺激して、さらには手軽で便利で、ネットワークを使えば世界中の人たちとつながって情報を共有することができるということから、近年、爆発的に世界中に広まりました。

    報道によれば、Facebookの利用者数は、全世界で月に1回でも利用する人が12.8億人(2014年3月現在)。
    Twitterは2億4100万人で、1日の投稿数は約5億ツイートにもおよぶそうです(2013年の年間レポートによる)

    しかし、そうした便利なツールの裏には危険な落とし穴が潜んでいることがあります。

    軽い気持ちでツイッターでリツイート(RT)したことが犯罪になってしまうこともあります。
    そんな事件が起きました。

    「ツイッターの児童ポルノ画像転載、3人を初摘発」(2014年11月21日 読売新聞)

    神奈川県警は21日、簡易投稿サイト「ツイッター」に投稿された児童ポルノ画像を転載(リツイート)したとして、横浜市の男(23)と大阪府大東市の男(52)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)などの容疑で横浜地検に書類送検し、関東地方の中学2年の男子生徒(14)を同様の非行事実で児童相談所に通告しました。

    報道によると、横浜市の男は今年3月、ツイッターに児童ポルノの画像を投稿。
    自身が開設したもうひとつのツイッターに転載し、不特定多数の人が閲覧できる状態にした疑い。
    大東市の男と中学2年の男子生徒は、この画像を自身のツイッターに転載した疑いで、3人の閲覧者(フォロワー)は約4200人いたようです。

    神奈川県警によると、インターネット上には転載された児童ポルノ画像が拡散していて、これを抑え込むには投稿者だけでなく、転載者も取り締まる必要があると判断したとしています。

    ツイッターでの児童ポルノ画像の転載者を摘発するのは全国初だということです。
    児童買春・児童ポルノ禁止法は、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。

    1999年11月に、児童に対する性的搾取や性的虐待から児童の権利を守り、保護することを目的に施行されました。

    「児童買春・児童ポルノ禁止法」
    第7条(児童ポルノ所持、提供等)
    6.児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
    つまり、児童ポルノを不特定多数の人に提供したり見せたりするのは、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアのネット上で行っても犯罪になるし、リツイート(RT)で転載して動画や画像を自分のフォロワーに教えたり共有しても犯罪になるということです。

    なお、この法律では児童とは18歳に満たない者をいいます。

    ところで、児童買春・児童ポルノ禁止法は、2014年6月に「単純所持禁止」を盛り込んだ改正案が衆議院で可決・成立しました。

    単純所持とは、文字通りで、児童ポルノをただ単に持っているだけでも犯罪になるということです。
    2015年7月15日から適用されることになっています。

    児童ポルノは、自分がネタ元ではないからといって、簡単な気持ちで不用意にネット上に転載して拡散してしまったり、持っているだけでも逮捕される可能性があります。

    覚醒剤や麻薬等を持っているだけで逮捕されることはほとんどの人が知っていますが、児童ポルノも持っていると逮捕される時代になったのです。

    逆に、持っていて便利なのは、「顧問弁護士」です。

    ぜひ、ご検討を。
    http://roudou-sos.jp/price/

  • ポストに○○を入れると犯罪に!?

    2014年11月08日

    通常、郵便ポストに入れられるのは手紙や請求書などの郵便物やチラシ、電気料金や水道料金などの明細書、通販で購入した本などです。

    ところが、ある女性の部屋の郵便ポストに夜中の0時になると奇妙なものが届けられたのです。

    一体、何が届けられたのでしょうか?

    「郵便受けに“中古女性下着”詰め込む…24歳男を逮捕」(2014年11月5日 産経新聞)

    30代の女性が住むハイツのドアの郵便受けに中古のブラジャーなど女性用下着4点を入れたとして、大阪府警鶴見署は清掃作業員の男(24)を廃棄物処理法違反容疑で逮捕しました。

    同署によると、容疑者とよく似た人物が郵便受けに下着を入れたり、女性方付近をうろついたりする様子が防犯カメラに映っていたようです。

    9月上旬以降、女性は同様の被害に5回あっていたようですが、容疑者とは面識がないということです。

    何のために入れたのか?

    誰の下着だったのか?

    報道内容からは定かではありませんが、この事件の逮捕容疑は「廃棄物処理法」違反です。
    では、条文から見ていきましょう。

    「廃棄物処理法」
    第16条(投棄禁止)
    何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
    これに違反すると、5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又は併科です。
    かなり重い罰則ですね。

    では、捨てると罪になる廃棄物とは、どのようなものでしょうか?
    廃棄物処理法では、次のように規定されています。

    第2条(定義)
    1.この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
    確かに、どれも勝手に捨てられると迷惑なものばかりです。

    廃棄物をめぐっては過去、さまざまな事件がありました。

    「また犬27匹の死骸、生きている犬も5匹発見」(2014年11月5日 読売新聞)

    栃木県那珂川町の林道のがけ下で、県動物愛護指導センターの職員が27匹の犬の死骸を見つけ、県警に通報した。県警は廃棄物処理法違反の疑いで捜査している。県内では10月31日、約20キロ離れたさくら市の鬼怒川河川敷で、小型犬の成犬42匹の死骸が見つかっている。
    「アダルトビデオ500本捨てる“廃材と一緒に捨ててくれると思った”」(2014年10月18日 産経新聞)

    大阪府警西成署は、大阪市西成区の公園にアダルトビデオのテープ約500本と雑誌などが入った袋17個(計約200キロ)を捨てたなどとして、会社役員の男(70)と介護士の男(40)を廃棄物処理法違反容疑で逮捕した。「ここに置けば、廃材と一緒に捨ててくれると思った」、「ビデオは知人のもので、代わりに処分しようと思った」などと供述している。
    その他にも、ごみ屋敷のゴミ、引っ越しの際の廃品300キロ、乾電池2,250個(183キロ)、容器に溜めた尿などを捨てて逮捕された事件もあります。

    ところで単純な疑問がわいてきます。
    今回の事件、郵便ポストに入れ込まれた女性ものの中古下着が廃棄物と判断されたわけですが、そうであるなら、いわゆるブルセラショップで売られている使用済みのパンツやブルマ、スクール水着なども廃棄物とみなされるのでしょうか?

    じつは、昭和46年10月25日に公布された、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」という通知があります。

    これは、当時の厚生省環境衛生局環境整備課長から、各都道府県・各政令市廃棄物関係担当部(局)長あてに通知されたものですが、廃棄物の定義について次のように規定しています。

    第1 廃棄物の範囲等に関すること
    1.廃棄物とは、占有者が自ら、利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になつた物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであつて、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこと。
    ここから考えると、ブルセラショップの使用済みパンツは、有償でマニアに売却する価値があるので廃棄物ではない、ということになりますね。
    マニアでない人にとってはゴミ同然かもしれませんが……
    それはさておき、中国人など海外からの旅行者が日本に来て驚くことのひとつは、街が清潔なことだそうです。
    路上にゴミが落ちていない、靴の裏が汚れないことにびっくりするのだとか。

    住みよい環境の持続のためにも、安易に廃棄物を捨ててはいけません。

    捨てていいのは、〇〇〇〇。

    あなたなら、ここに何を入れますか?

    ○○○○に、「旅の恥」とかは、いいですが、

    決して、

    「旦那!」

    とか

    「女房!」

    とか、叫ばないようにしてください。L(゚□゚)」オーマイガッ!