東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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弁護士法律解説 リーガルアイ

 

「税経通信」掲載


2016年7月15日

2016年8月号の「税経通信」に「クライアントと契約書を締結する際の留意点」というタイトルの論考が掲載されました。

・なぜ、税理士は契約書を締結することが必要か?
・契約書には、どのような役割があるか?
・業務の範囲は、どう記載すべきか?
・資料の提供などの責任分担はどう記載すべきか?
・税理士の説明助言義務をどう契約書に反映させるか?
・契約書で損害賠償責任の制限をすることが可能か?
・無償の場合には損害賠償責任を負担しないか?
・結論

という内容になっています。

自転車保険への加入義務付けの流れが加速


2016年7月1日

大阪府で、自転車に関する新たな条例の適用が開始されるようです。

「自転車保険の義務化次々 背景に相次ぐ高額賠償判決」(2016年6月29日 朝日新聞デジタル)

7月1日から、大阪府では自転車に乗るすべての人に対して事故の損害賠償をする保険への加入が義務づけられることになったようです。

これは「自転車利用者は、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない」という条例の適用によるもので、府内で自転車を使う場合は府民かどうかを問わず加入を義務づけ、子供の場合は保護者が加入させる義務があるとしています。

大阪府は条例に合わせて損害保険会社などと協定を結び、本人のみの加入なら月150円、家族タイプだと月270円の保険料で補償は最大1億円という保険を開発。
保険料の一部は、交通安全活動などに寄付されるとしています。

なお、2015年の大阪府内で起きた自転車事故件数は1万2222件で全国ワースト1、死者は前年から16人増え50人になったということです。
今までこのブログでも、自転車による交通事故や法律、損害賠償と保険、法改正などについて解説してきました。

そこで、今回の大阪府の条例制定の背景について考えてみたいと思います。

①相次ぐ自転車事故による高額賠償金支払い判決
2008年9月、神戸市の住宅街の坂道で当時11歳の少年がマウンテンバイクで走行中、散歩をしていた60代の女性に正面衝突。
頭を強打した女性に意識不明で寝たきりの重い障害を負わせる事故が起きました。
神戸地裁は2013年、少年の母親(当時40歳)に9521万円の支払いを命じたことで、自転車事故による損害賠償が社会的にも注目され、自転車事故による高額賠償金支払い判決が相次ぐことになりました。

②自転車保険の加入者が増加
そのため、自転車保険の加入者や希望者が増え、損保会社もさまざまな保険商品を打ち出していきました。

詳しい解説はこちら⇒
「自転車保険の契約者が急増中!その理由とは?」
http://taniharamakoto.com/archives/2003

③条例を制定する都道府県の増加
こうした流れを受けて、各自治体も条例制定に動き始めました。
2015年10月、兵庫県が全国に先駆けて自転車保険加入義務を条例化。
今年、2016年10月には滋賀県でも義務化の予定で、保険加入を「努力義務」としている東京都や埼玉県も「他県の状況を見て義務化の必要性を考えたい」としているようです。

また自治体以外でも、立命館大学では学生が起こした自転車死亡事故をきっかけに、2012年度から自転車通学する学生に警察官らの講習を受けたうえで補償額が最高1億円以上の保険加入を義務づけ、これまでに約1万7千人が登録したということです。

④自転車の危険運転に対する法律の厳罰化
さらに、法律も自転車の危険運転に対して厳罰化の方向に進みました。
信号無視や一時不停止、酒酔い運転、歩道での歩行者妨害、また携帯電話の使用やイヤホンを装着しながらの運転等の安全運転義務違反など14の危険行為に対して道路交通法を改正。
悪質な危険運転の取り締まりを強化し、3年以内に2回以上の違反で安全講習の義務化、受講しないと5万円以下の罰金を科すことになりました。

詳しい解説はこちら⇒
「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
http://taniharamakoto.com/archives/1854

また、自転車によるひき逃げや飲酒運転を起こした場合、自動車の運転でも事故を起こす恐れがあると判断され30~180日間の範囲で自動車の運転免許の停止処分が出されるという事例も増えています。

こうした背景から今回の条例制定という流れになったのだと思われます。
報道によれば、前述の神戸での自転車事故の被害者の方(70)は、今も寝たきり状態が続いており、旦那さん(68)がつきっきりで介護をしているようです。
加害者少年の母親は事故の損害賠償をカバーする保険に入っておらず、判決の翌年には自己破産。
そのため、被害者の方は慰謝料などの損害賠償金を受け取ることもできず、二重の苦しみだといいます。

実際、このような事例は全国で起きています。
こうした悲劇を繰り返さないように、法律を守り、注意深く自転車運転をしなければいけないのは当然ですが、同時に被害者の方への補償を考えるなら、自転車保険への加入義務化は一定の効果があるでしょう。

しかし、自転車の利用者全員の保険への加入の有無を調査するのは難しいことから、条例では保険に非加入でも罰則がないため、その効果に疑問の声もあるようです。

自転車は手軽で身近なものだからと安易に考えてはいけません。

交通ルールをしっかり守って運転し、条例がない都道府県でも、万が一に備えて、家族で保険の加入を検討することも大切でしょう。
交通事故の損害賠償請求のご相談はこちらから
http://www.jiko-sos.jp/

債務整理における司法書士の業務範囲についての最高裁判決


2016年6月29日

借金をした人の債務整理の際に、司法書士が弁護士に代わって取扱いができる金額の上限を争点とした訴訟について、最高裁判決が出たので解説します。

「債務整理、司法書士の業務可能範囲は個別債権額140万円以下 最高裁が初判断」(2016年6月27日 産経新聞)

弁護士と司法書士の債務整理業務に関する境界について争われた訴訟で、最高裁第1小法廷は、司法書士が弁護士の代わりに担当できる金額の範囲を「個別の債権額が140万円以下」とする初判断を示しました。

まずは、事の経緯を整理してみます。

・和歌山県の多重債務者らが、依頼した司法書士が業務可能な範囲を超えて違法な非弁行為を行ったとして報酬の返還や損害賠償を請求。
司法書士法が定める上限「140万円を超えない額」の解釈が争点となった。

・1審の和歌山地裁では、司法書士の業務範囲を広く見て、司法書士側の主張を採用。
司法書士側の主張は、債務の圧縮や弁済計画の変更などで、個々の業者ごとに依頼者が実際に受ける利益が140万円以下なら、債権額や請求額の総額が140万円超でも司法書士が担当可能である、というもの。

・これに対し多重債務者側は、債務整理の対象とされた全ての債権の総額又は債務者ごとにみた債権の総額が140万円を超える場合には、司法書士は担当できないと主張。
2審は司法書士側敗訴。
そこで、今回の最高裁判決では次のように指摘しています。

・司法書士法は、裁判外の紛争代理権を司法書士に認めているが、その範囲は、簡易裁判所の民事訴訟代理権に付随するものとして認められたものである。

・そうだとすると、裁判外で代理できる紛争は、簡易裁判所の民事訴訟代理権の範囲内と考えるべきである。

・複数の債権の債務整理は、最終的には個別の債権の裁判が起きる可能性があるから、代理できる範囲は債権総額ではなく、個別の債権額で判断すべきである。

・簡易裁判所の民事訴訟代理権は、個別の債権額が140万を超えるかどうかで判断される。

・司法書士が代理できる範囲は、客観的かつ明確な基準で判断されるべきである。

以上より、司法書士が裁判外で代理できる範囲は、個別の債権額が140万円を超えない場合である。

この「上限140万円」というのは、そもそもは2002(平成14)年の司法書士法の改正により規定されました。
司法書士も簡易裁判所での民事訴訟や裁判外の債務整理などについては140万円以下であれば代理人として担当することが可能になったわけです。

その後、2006(平成18)年に最高裁が「グレーゾーン金利」を違法と判断します。
すると、借金をした人がこのグレーゾーン金利で多く支払ったお金、いわゆる「過払い金」を取り戻すための請求訴訟を起こし、訴訟件数が急増しました。
そのため、弁護士と司法書士はそれぞれの解釈によって、ここまで業務を担当してきたわけです。

これまで、今回の最高裁判決とは異なる解釈で業務を行ってきた司法書士にとっては厳しい判決ですね。

現在、受任している案件も、個別の債権額が140万円を超える債務については、司法書士は業務を行うことができなくなるわけですから、解約しなければならないので、その処理も大変です。

なお、債務整理を専門家に依頼しようと考えている人は、それぞれの貸金業者からの請求額が140万円を超えるような場合には、司法書士には依頼できないので、ご注意ください。

弁護士へのご相談はこちらからどうぞ⇒
http://www.bengoshi-sos.com/soudan

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