シューシポスにさせない
今回は、部下や子供に対して、決してしてはいけないことをお伝えします。
行動経済学者ダン・アリエリーの実験です。
アリエリーは参加者にレゴの組み立てを依頼しました。1体完成するごとに報酬はわずかに減っていく。いつ辞めてもいい。
グループは二つ。
ひとつは、完成品を実験者が「ありがとう」と受け取り、丁寧に机の下へ並べていくグループ。
もうひとつは、参加者が次の作品を作っているその目の前で、前の作品を黙々と分解されるグループ。神話の王にちなんで「シーシュポス条件」
結果は前者は平均11体、後者はわずか7体で手を止めました。
別の実験では、作業結果を「承認する」「無視する」「シュレッダーにかける」の3条件で比較しました。
驚くべきことに、ただ目も通されずに放り置かれた人たちは、目の前でシュレッダーにかけられた人たちと、ほぼ同じダメージを受けていたのです。
無視は、破壊と同義なのです。
こんなことをしていないでしょうか。
部下に、「明日の会議で使うから、徹夜してでもデータ資料をまとめてくれ」と依頼。
部下は睡眠時間を削り、完璧な資料を完成させました。
しかし、翌朝、資料を届けに来た部下に、「気が変わって別の戦略で行くことになったから、その資料はもう必要ない。破棄しておいて」と目も見ずに伝える。
小さな子どもが一生懸命に絵を描いて完成させて持ってきたのに、見ることもせずに、「もう寝る時間だよ」と突き放す。
これらの瞬間、部下や子供は、「シーシュポスの山」に登ることになります。
モチベーションが打ち砕かれ、将来の仕事や勉強などの意欲を失ってしまう可能性があります。
対策は難しくありません。
アリエリーはこう書いています。「意味とは安上がりなものである。しかしそれを無視することは、極めて高くつく」。
必要なのは、差し出されたものに、目を通すこと。「見たよ」と頷くこと。
こんな簡単なことで結果が大きく違ってきます。
内容が良ければ、素直に称賛するとなお良いでしょう。
人は、自分の作業の意味を見出したいのだ、ということを忘れないようにしたいものです。
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