【税理士向け】重加算税の最高裁ルール2
今回は、重加算税に関する最高裁【ルール2】を解説します。
重加算税賦課決定が適法かどうかを判断するためには、最高裁の6つのルールに関する知識が不可欠です。
古い重加算税に関する裁判例を検討する際にも、その知識は必要となります。
今回は、そのうち、【ルール2】であり、つまみ申告の場合の判断基準です。
いわゆるつまみ申告というのは、不正経理や二重帳簿の作成等の積極的行為がなく、所得金額や収入金額の一部のみを故意につまみ出して過少な所得金額などを記載した申告書を提出するような場合です。
最高裁平成6年11月22日判決は、つまみ申告の場合に、重加算税の賦課要件を満たすには、以下の要件を充足する必要がある旨判示しました。
(1)各確定申告の時点において、真実の所得金額を隠ぺいしようという確定的な意図を持っており
(2)必要に応じ事後的にも隠ぺいのための具体的工作を行うことも予定して、
(3)会計帳簿類から明らかに算出し得る所得金額の大部分を脱漏し、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出したというような事情が認められる場合には、
⇒重加算税の賦課要件を満たすことになる
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したがって、つまみ申告で重加算税指摘を受けた場合には、上記最高裁判例を指摘して、
・所得金額の大部分を脱漏しているわけではないこと
・所得金額を脱漏したのは過失に基づくものであること
・事後的に具体的工作を行う意図と矛盾する行動があること
などの事実を見つけて反論することになるかと思います。
残りのルール3~6が気になる先生は、私の次の書籍もご参照ください。
「税務のわかる弁護士が教える 税務調査における重加算税の回避ポイント」
(ぎょうせい)
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https://myhoumu.jp/zeiprotect/new/