東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士25人が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は約30冊あります。
TV 出演、取材、執筆、番組の法律監修を常時受け付けていますので、ご連絡ください。
会話を制する質問力
ブログ内検索

弁護士法律解説 リーガルアイ

 

通学路暴走動画投稿事件で逮捕!容疑は何罪?


2017年5月30日

通学路で自動車を暴走させ、その様子をツイッターに動画投稿していた男らが問題になっていましたが、逮捕されたようなので解説します。

「“子供ら邪魔”通学路暴走の動画投稿 少年ら2人逮捕 殺人未遂容疑で大阪府警」(2017年5月27日 産経新聞)

大阪府警門真署は、大阪府門真市の通学路を猛スピードで車を走らせる動画が投稿されていた問題で、車を運転していた同市の建設作業員の少年(19)と助手席に乗って動画を撮影したとみられる同市の会社員の男(20)を殺人未遂容疑で逮捕しました。

事件の経緯は次の通りです。

・2017年5月19日午後4時頃、容疑者の男らは門真市の市道で、乗用車を暴走させ、その様子を撮影した動画をツイッターに投稿。
市道は住宅街の中を通る通学路になっており、下校中の小中学生数十人が歩いていた。

・投稿された動画には、容疑者が「どけ、こら!」と言いながらクラクションを鳴らし猛スピードで車を走行させ、小中学生たちが慌てて車をよける様子が写っていた。
また、少年はツイッターに、「ほんまこいつらひいたろか」と投稿していた。

・ネット上では動画を見た視聴者から、「危険すぎる」、「逮捕しろ」などの批判が殺到。
警察が動画から人物の割り出しを開始。

・5月26日午後、2人がそれぞれ門真署に出頭。

・5月27日、殺人未遂の容疑で2人を逮捕。

・少年は「小中学生が広がって歩いていて邪魔なので思い知らせるために猛スピードで車を走らせたが、殺してやろうとは思っていない」と殺意を否認。
この事件の逮捕容疑は、殺人未遂です。
自動車で故意に暴走運転をして、通行中の小中学生をひき殺そうとしたが未遂に終わった容疑、ということになると思います。

「刑法」
第203条(未遂罪)
第199条(殺人)及び前条(第202条 自殺関与及び同意殺人)の罪の未遂は、罰する。

今回、動画を観る限り、本当にひき殺そうという故意があるようには感じられません。

しかし、「未必の故意」が疑われた可能性があります。

「未必の故意」とは、ある行為が犯罪の被害を生むかもしれないと予測しながら、それでもかまわないと考え、あえてその行為を行う心理状態をいいます。

刑法では、「故意」か、それとも「過失」かというのがとても重要なポイントになります。

結果の発生を認識していながら、これを容認して行為をすることが「故意」です。
刑法上、故意とは「罪を犯す意思」のことをいいます。

それに対して、結果が予測できたにもかかわらず、その予測できた結果を回避する注意や義務を怠ったことが「過失」です。

そして、故意と過失の境界線にあるのが、未必の故意ということになります。

今回は、殺人未遂で逮捕されたわけですが、容疑者が「子供たちが死んでもかまわない」と思って自動車を暴走させたのか、つまり殺人の故意があったのかについては疑問が残るところです。

しかし、「暴行罪」の未必の故意が認定される可能性はあると思います。

第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
つまり、今回の事件では、「ケガをするかもしれないが、それでもかまわない」とは思っていたと認定される可能性はあると思います。

なお、今回の事件では道路交通法違反にも問われる可能性もあります。

「道路交通法」
第70条(安全運転の義務)
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
これに違反した場合は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます。(第119条1項9号)

第54条(警音器の使用等)
2.車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。
これに違反した場合は、2万円以下の罰金又は科料に処されます。(第121条1項6号)

今回は、たまたま死傷事故には至らなかっただけかもしれません。

容疑者が、「子供たちが死んでもかまわない」とは思っていなかったとしても、非常に無謀で危険な運転であることは確かです。

目立つ行為をしてツイッターに投稿した結果、大騒ぎになってしまうケースが散見されます。

目立ちたいという気持ちからの行動だと思いますが、多数の人が驚く行動は、得てして犯罪になりやすいものです。

たとえば、コンビニに爆竹を投げ入れたり、牛丼屋の牛丼に異物を混入させた旨のツイッターの投稿、殺人予告、などです。

ちょっとしたいたずらのつもりが犯罪者になってしまうことがあります。

十分気をつけていただきたいところです。

道路上での犯罪行為解説


2016年11月18日

今回は、道路に大量の「ねじ」がばらまかれていたという事件について解説します。

じつはこの行為、犯罪になる可能性があります。

「路上にねじ数百本、ばらまかれる…長さ5センチ」(2016年11月17日 読売新聞)

三重県津市の県道で、長さ約5センチの金属製のねじ数百本が散乱しているのが見つかったようです。

11月15日午前5時半頃と16日午前6時頃の2回、津市の路上約4キロにかけてばらまかれていたようで、1台の車のタイヤに刺さったものの、ケガ人はいなかったということです。

津市によると、12日夜と16日朝も近くの市道でねじが見つかっていることから、何者かがばらまいたとみて防犯カメラの解析などを含め、道路交通法違反(禁止行為)の疑いで調査をしているということです。
普段、何気なく使いっている道路ですが、路上で何をやってもいいというわけではありません。
法律では道路での禁止行為が定められています。

「道路交通法違反」
第76条(禁止行為)
1.何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。

2.何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3.何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。

4.何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。

一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。

※ よく漫画であるように、オヤジさんが寿司のお土産を持って、道路をあっちにフラフラ、こっちにフラフラして歩いていると、道路交通法違反になる可能性がある、ということです。

二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。

※ たまに、酔って路上で寝ていて、車にひかれてしまう人がいますが、実は被害者の方も、道路交通法違反になる可能性がある、ということです。
※ 道路で車の前に立ちはだかり、「行くなら俺をひいてから行け!」と格好いいことを言っていると、逮捕される可能性がある、ということです。

三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。

四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。

五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。

※ タバコのポイ捨て、空き缶のポイ捨てはいけません。

六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。

※ 路面電車に飛び乗るのは、格好いいと思ってやってしまうと、道路交通法違反です。さすがに走っている自動車に飛び乗るのは難しいでしょう。

七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
今回のケースのように、ねじを道路上にばらまくような行為を含め、4項の各号に違反した場合、5万円以下の罰金に処されます。(第120条第1項第9号)

間もなく宴会シーズンがはじまります。

年末になると、道路のそこかしこで寝ている人を見かけますが、寝る場所を間違えると、道路交通法違反で警察行き、となるか、車にひかれてあの世行き、となりかねません。

くれぐれもご注意ください。

違反点数3点以下の「軽微な交通違反」一覧②


2016年4月12日

交通違反を犯しても、青キップが切られて反則金を納付すれば刑事処分されない「点数制度」というものがあります。

これは、軽微な交通違反(違反点数3点以下)の場合に適用されるもので、前回は違反点数が3点と2点の違反について解説しました。

そこで今回は、違反点数が1点の交通違反にはどういうものがあるのかについて解説します。

ただし、2016年4月12日時点です。改訂されますので、ご注意ください。

違反点数が1点の軽微な違反だからといって軽く考えてはいけません。

交通違反を繰り返し、累積点数が基準に達すれば免許の停止、取り消し処分となってしまいますし、死傷事故などの重大な交通事故につながる危険性もあるからです。
【違反点数1点】
・速度超過(15km/h以上20km/h未満)

・整備不良(尾灯等)
※ブレーキランプ、ライト、ウィンカーなど。(「道路交通法」第62条)

・通行許可条件違反

・路線バス等優先通行帯違反

・軌道敷内違反
※軌道敷内とは、路面電車の線路内のこと。右左折や危険防止のために横切る場合を除いて軌道敷内を通行してはいけない。(「道路交通法」第21条)

・道路外出右左折方法違反
※車両は道路外に出る場合、左折の時はあらかじめその前からできる限り道路の左端に寄り、徐行しなければいけない。右折の場合は右端。(「道路交通法」第25条)

・道路外出右左折合図車妨害

・指定横断等禁止違反

・車間距離不保持(一般道)
※直前の車両等が急に停止したときに追突するのを避けることができるために必要な距離を保持しなければいけない。(「道路交通法」第26条)

・進路変更禁止違反

・追いつかれた車両の義務違反
※自車を追い越そうとしている車両の進路を妨害する行為。追い越されそうになったために急に速度を上げたり、追い越し車線の右側に寄ったりなど、自車を追い越そうとしている車両の進路を妨害する行為をしてはいけない。(「道路交通法」第27条)

・乗合自動車発信妨害

・割り込み等

・交差点右左折方法違反

・交差点右左折等合図車妨害

・指定通行区分違反

・交差点優先車妨害
※交差点内で右折する場合、直進車や左折車の進行を妨害してはいけない。(「道路交通法」第37条)

・緊急車妨害等

・駐停車違反(駐車禁止場所等)

・交差点等進入禁止違反

・合図不履行
※進路変更等をする時は、方向指示器や手で合図をしなければいけない。また、進路変更が終了したら合図を止めなければいけない。(「道路交通法」第53条)

・合図制限違反
※進路変更等をする時に、合図を出すのが早過ぎたり、方向指示器をつけたまま直進する行為など。(「道路交通法」第53条)

・警音器吹鳴義務違反
※左右の見通しがきかない交差点や曲がり角、山間部や上り坂の頂上など道路標識で指定された場所で警報器を鳴らさずに通行する行為など。
(「道路交通法」第54条)

・乗車積載方法違反

・定員外乗車

・積載物大きさ制限超過

・積載方法制限超過

・制限外許可条件違反

・けん引違反

・原付けん引違反

・転落等防止措置義務違反

・安全不確認ドア開放等
※後続車の有無など安全を確認せずにドアを開いてはいけない。(「道路交通法」第71条4項の3)

・停止措置義務違反
※車両から離れる時は、エンジンを止め、完全にブレーキを掛けなければいけない。(「道路交通法」第71条5項)

・初心運転者等保護義務違反
※仮免許運転者、初心運転者、高齢運転者のマークをつけた車両に幅寄せや煽り行為をしてはいけない。(「道路交通法」第71条5項の4)

・初心運転者標識表示義務違反

・聴覚障害者標識表示義務違反

・最低速度違反

・本線車道通行車妨害

・本線車道緊急車妨害

・本線車道出入方法違反

・けん引自動車本線車道通行帯違反

・故障車両表示義務違反

・仮免許練習標識表示義務違反

・転落積載物等危険防止措置義務違反

・通行帯違反

・携帯電話使用等(保持)
※携帯電話やスマートフォンでの通話や画面注視の状態で車両を運転する行為。(「道路交通法」第71条5項の5)

・座席ベルト装着義務違反

・乗車用ヘルメット着用義務違反

・幼児用補助装置使用義務違反
※幼児はチャイルドシートに乗せなければいけない。(「道路交通法」第71条の3の3)
以上、違反点数が1点の軽微な交通違反についてまとめました。

なお、自転車の違反行為についても以前、解説していますので、こちらも参照してください。

詳しい解説はこちら⇒
「大人も子供も知っておきたい!自転車法律ルール25」
http://taniharamakoto.com/archives/1917

違反行為について、この機会にしっかり覚えて、交通ルールや法律を守って自動車や自転車を運転をしてください。

東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所



Copyright© 2013 弁護士谷原誠のブログ All Rights Reserved.