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金太郎、山でマニアックな罪を犯す
2017年10月29日では、金太郎その2です。
まだ、金太郎その1を読んでない方は、読んでみてください。
詳しくはこちら⇒
「金太郎その1~里に下りて大騒動」「金太郎、法律を知らずに山で次々と罪を犯すの巻」
のどかな山奥で、金太郎とゆかいな仲間たちは今日も平和に暮らしていました。
相変わらず、相撲を取ったり、川遊びをして楽しむ毎日です。
すると、ある日、サルが言いました。
「なぁ金ちゃん、隣の山にクリ拾いに行かないか?」秋には隣の山にクリの実がたくさん実ります。
それをみんなで採りに行こうというのです。そこで、金太郎は、ゆかいな仲間たちといっしょにクリ拾いに出かけました。
しばらく山道を歩くと、目の前に川が現れました。
川は思いのほか深く、流れが速く、とても渡れない様子です。みんなが困ってしまって立ちすくんでいると、サルが言いました。
「金ちゃん、橋作っちゃいなよ!」少し考えていた金太郎に何かが閃めきました!
金太郎は、近くにあった木を根っこごと引き抜いて、川の向こう岸に投げ倒してしまったのです。ドドーンッ!!
物凄い轟音とともに立ち込めた土煙の先には、
なんと、丸太の橋ができていました。「すごいな、さすが金ちゃん!」
みんなが大よろこびです。そうして、金太郎とサル、シカ、ウサギ、リスたちは無事に川の向こう岸に渡ることができ、たくさんのクリを拾うことができたのです。
翌日、みんなが山で遊んでいると大変なことが起きました。
大きなツキノワグマがやって来たのです。
どうやら、昨日渡した丸太橋を渡ってきたようです。「お前、いい体してるな、俺と勝負しろ!決闘だ!」
クマは金太郎にケンカを申し込んできました。「いいだろう。ただし、相撲で勝負だ!」
金太郎が言いました。サル、シカ、ウサギ、リスたちは、「よし!じゃあ、僕らが決闘の立会人だ!」と立会人を買ってでました。
みんながハラハラと見守る中、戦いの火ぶたが切って落とされました。
金太郎とクマは、どちらも譲らず一進一退の好勝負です。
クマの鋭い爪が食い込み、金太郎のわき腹が赤く染まり始めました。
「これ以上、長引かせるわけにはいかない…」
苦痛に顔を歪めた金太郎は一気に勝負をかけようと、クマの腰の毛を握った拳にさらに力を込めました。その時です、クマが叫びました。
「お前の母ちゃん、デベソ!」金太郎の中で、何かがプチンッと音を立てて切れました。
怒りに我を忘れた金太郎は、握った拳をクマの顔面にお見舞いしました。
左右の連打からアッパー、倒れ込んだところをすかさずマウントポジションで抑え込み、強烈なパンチを顔面に浴びせ続けました。すでに意識が飛んだクマの体は、まるでボロ人形のようにめった打ちされ、顔面からは流血の大惨事です。
そこで、金太郎のあまりの迫力に圧倒されていたサル、シカ、ウサギ、リスが慌てて両者の間に入り、レフェリーストップ。
我に返った金太郎は、足元に転がる血だらけのクマを抱きかかえて言いました。
「大丈夫か、クマくん!」
「大丈夫じゃねえよ…おまえ犯罪だよ…」
「犯罪?」
「でも…いいパンチだったぜ…」みんなが口々に言いました。
「今日からクマくんも仲間だ!」大いに盛り上がる金太郎とゆかいな仲間たちですが、この時はまだ、次の騒動が起こることを知る由もなかったのです。
つづく…
【法律メモ】
今回は、マニアックな法律です。
①山で木の実やキノコなどの産物を無断で採取すると、「森林窃盗」という罪になる可能性があります。
「森林法」
第197条
森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。②動植物を損傷する行為は以下の法律で罰せられる可能性があります。
これは、1989(平成元)年に起きた「朝日新聞珊瑚記事捏造事件」を機に法改正されたものです。「自然環境保全法」
第17条(行為の制限)
原生自然環境保全地域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、環境大臣が学術研究その他公益上の事由により特に必要と認めて許可した場合又は非常災害のために必要な応急措置として行う場合は、この限りでない。六 木竹を伐採し、又は損傷すること。
十 動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。これに違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。(第53条1項)
③クマは金太郎の母親のことを「デベソ」と事実を適示して名誉を毀損しているので名誉棄損罪が成立する可能性があります。
なお、罪に問うための要件には、不特定または多数の人が認識し得る状態であることが必要となります。「刑法」
第230条(名誉毀損)
1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。④クマやキツネ、タヌキ、イノシシ、シカなどの哺乳類や、マガモなどのカモ類やヤマドリ、キジ、スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、カラスなどの鳥類を許可なく捕獲したり、傷つけたりすると処罰されます。
「鳥獣保護法」
第8条(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の禁止)
鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。
二 第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
三 第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。これに違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。(第83条1項の1)
もちろん、相手が人間の場合は傷害罪に問われる可能性があります。
⑤金太郎とクマは、決闘をしていますが、実は、決闘をすると、罪に問われる可能性があります。
「決闘罪に関する件」
第1条 決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス第2条 決闘ヲ行ヒタル者ハ三年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス
そして、サル、シカ、ウサギ、リスたちは、決闘の立会人をしていますが、決闘に立ち会うのも犯罪です。
第3条 決闘ノ立会ヲ為シ又ハ立会ヲ為スコトヲ約シタル者ハ証人介添人等何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス一月以上一年以下ノ重禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス
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些細なことに心を奪われないようにしよう
2012年02月11日キツネ君が朝起きてくると、妻が台所にいたので、妻に「おはよう」と挨拶をしたが、妻は、何も答えなかった。
キツネ君は「挨拶くらいしたらどうだ!?」と怒鳴ったが、妻は「あら?聞こえなかったわよ」と答えた。
キツネ君は、「聞こえないはずないじゃないか。わざと無視したに決まっている」とイライラしながら朝食を食べたが、イライラしていたので、味もよくわからなかった。
キツネ君は、家を出て、電車で会社に向かったが、混み合った車内で、隣の人がこっちを押してくるような気がした。
キツネ君は、朝のこともあり、気が立っていたので、負けずに押し返したところ、相手もまた押し返してきた。そんなことを繰り返しながら、ますますイライラしながら会社についた。
キツネ君が仕事の準備をしていたら、今日は弁当を持ってくるのを忘れたことに気がついた。
「ああ、なんてついてないんだ。妻も確認ぐらいすればいいのに!後で家に電話して、文句の一つも言ってやろう!」と、ますますイライラいがつのってしまった。
そんなことで、キツネ君は、頭に血が上ったままになってしまい、仕事に集中できず、ミスを犯し、さらにイライラしてしまった。
結局その日は、ろくに仕事らしい仕事ができなかったので、イライラしながら会社を出て家に帰った。
家に帰る途中も、「今日はついてなかった。もとはといえば、妻が朝挨拶をしなかったからだ。
もう二度と挨拶なんかするものか」と、今夜の家庭内の雰囲気も悪くなりそうなキツネ君だった。
シロクマ君が朝起きてくると、妻が台所にいたので、「おはよう」と挨拶したが、妻は答えなかった。
シロクマ君は、「聞こえなかったのかな?」と思い、もっと近くで「おはよう」とさわやかに挨拶した。
すると、妻は、ようやく聞こえたようで、「おはよう」と笑顔で挨拶を返した。
シロクマ君は、妻と会話を楽しみながら、朝食を食べ、会社に向かった。
混み合う電車内で、隣の人がこっちを押してくるような気がした。
シロクマ君は、「なんだろう?」と思ったが、気にしないでいた。
ところが、まだ隣の人がこちらを押してくるような気がした。奥の方に行きたいのかと思ったので、「こちらの場所の方が良かったら、場所を変わりましょうか?」とさわやかに聞いた。
すると、隣の人は、「あっ、すみません。さっきから当たってしまって。なんでもありません」と恐縮していた。
シロクマ君が会社に着くと、弁当を持ってくるのを忘れたことに気づいた。
シロクマ君は、すぐに妻に連絡して、弁当を忘れたことを謝り、昼に食べておくように伝えた。
そして、「せっかく外食するのだから、友人と食べよう」と思い、友人に連絡をして、昼食の約束をして、情報交換などしながら、楽しく昼食を食べた。
有益な情報を得ることができた。
シロクマ君は、1日中仕事に集中し、成果を上げ、帰宅した。よく働いてお腹がすいたので、夕食もたっぷり食べ、ぐっすり眠った。
普段、生活をしていると、日常生活の些細なことが気になったり、悩んだり、頭にきたり、することがあります。
しかし、それにより、もっと大事な仕事などが影響を受けてしまうことがあります。
しかし、その些細なことを思い悩んで、何か解決するでしょうか?
些細なことを思い悩むメリットがどこにあるでしょうか?
些細なことを思い悩まないで済ますデメリットは?
答えは、すべて「ノー」です。
いいことは何もありません。
フランクリンは、自分が守るべき13の徳目の11で、「平静」つまり、「小さなこと、つまり、日常茶飯事や、避けがたい出来事で心を乱さないこと。」をあげています。
それほど、普段から意識していなければ、日常の些細なことは、私たちの心を支配しやすく、また集中力を奪ってしまいます。
些細なことに心を奪われそうになったら、「ああ、また私の心を奪おうとしているな。いけない。いけない。どうせ些細なことだ」と思って、やり過ごしましょう。
肩肘張らず、些細なことを気に病むのはやめましょう。
その方が、ずっと幸せな生活を送ることができるでしょう。
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読むか、行動するか?
2011年12月29日
今日も、私のメルマガから。キツネ君は、大学を出て、ある会社に入社した。
ビジネスを憶え、将来は自分の会社を持ちたいと希望に胸をふくらませていた。
キツネ君は、勉強するためにビジネス書をたくさん読んだ。
仕事で他の人よりも抜きん出るために、仕事に関する本をたくさん読んだ。
すると、どの本も切り口は違っても、だいたい同じようなことが書いていることに気づいた。
「なんだ。この本に書いてあることは、先日読んだ、あの本にも書いてあったぞ。たいした本じゃないな」
そして、もっと良い本がないかと、他の本も読んでみた。
すると、また同じようなことが書いてあった。
キツネ君は思った。
「なんだ。みんな昔の本の焼き直しじゃないか。もっと独自性のあることが書けないのかな」
そして、また本を探しては読んでみるのだった。
しかし、やはりどれも同じようなことが書いてあった。
「結局みんな同じようなことが書いてあるな。あまり読んでも意味がないぞ」
そして、キツネ君は、本を読むのをやめてしまった。
キツネ君は、本を読むのをやめてしまったので、なかなかモチベーションも上がらず、仕事で他の人より抜きん出ることができなかった。
そして、いつまでも独立できず、いつまでもその会社で働き続けた。
シロクマ君は、キツネ君と同じ大学を出て、同じ会社に同期入社した。
ビジネスを憶え、将来は自分の会社を持ちたいと希望に胸をふくらませていた。
シロクマ君は、勉強するためにビジネス書をたくさん読んだ。
仕事で他の人よりも抜きん出るために、仕事に関する本をたくさん読んだ。
ある本では、「ビジネスで成功するには、目標を明確にし、そこから逆算して今すべきことを考えろ」と書いてあった。
そこでシロクマ君は、改めて目標を立て、そこから逆算して今すべきことを明確にした。
そして、それを実行した。
ある本では、「他人の立場にたって考えられる人が、ビジネスで成功する」と書いてあった。
そこで、シロクマ君は、営業の仕事に時に、「この人は、何を望んでいるのだろう?私が何をしてあげれば嬉しいと感じるだろう?」と一生懸命考えた。
そして、それを実行したら、顧客の信頼を得るととも、顧客のニーズにぴったりのサービスを提案できるようになり、営業成績がぐんぐんあがっていった。
シロクマ君は、本を読んだら、その本に書いてあることを、最低1つ、必ず実行することにしていた。
シロクマ君は、どんどん実力をつけ、会社内でも目立つ存在となり、どんどん昇進していった。
それでもシロクマ君は、勉強を続けた。
本を読み、その中に書いてあることを必ず実行し続けた。
ついにシロクマ君は、独立をはたし、自分の会社を持つことになった。
シロクマ君は、経営の本、マーケティングの本を読むようになった。
そこに書いてあることも、強い意志で、必ず実行するようにした。
失敗もあったが、シロクマ君の会社は、順調に発展していった。
そして、シロクマ君は最後に自分の本を書いた。
その本には、こう書いてあった。
「全ての人から、全ての本から学ぶことが重要だ。
しかし、もっと重要なことは、学んだことを実行することだ。」
私たちは、知識が増えてくると、シロクマ君ではなく、キツネ君になりがちです。
つまり、頭だけで考えて行動せず、単なる批評家になりがちです。
しかし、それでは、この物語のキツネ君に成り下がってしまいます。
シロクマ君のように成功したかったら、常に学ぶこと、そして、それを必ず実行に移すことです。
今週は、私のはじめての仕事術の本が出ます。
成功するための行動力について、書いています。
ぜひ、読んで、そして、行動に移していただければと思います。
同業の弁護士から「どうしてそんなに仕事ができるの」 と言われる私の5つの仕事術/谷原 誠
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気分が乗るのを待ちましょう??
2011年11月15日シロクマ君とキツネ君は、同じ高校に通っている高校生だ。
来年大学受験を控えている。
キツネ君は、頭はいいが、気分にムラがある。
母親が、「勉強しなさい」と言っても、「今は気分が乗らないんだ。気分が乗らない時に勉強しても、頭に入らないよ。やる気になれば、俺はできるんだから」と言って、昼間はゲームに夢中になっている。
そして、夜9時ころになると、「あっ、そろそろ勉強しないと、やばいな」と思い、焦りから、勉強を始めるのだった。
それでも、成績はそれなりだった。
シロクマ君は、頭はよくないが、努力家だ。
家に帰ると、すぐに教科書を開いて勉強を始める。
母親は、シロクマ君に「帰ったら少し休んだらどうなの?いきなり勉強しても、頭に入らないでしょう」と言うが、シロクマ君は、次のように言った。
「僕にはそんな余裕はないんだ。頭が良くないから、他人より多く勉強しなくちゃならない。気分が乗るのを待ってたら、いつまでたっても他人に勝てないんだよ」
母親は、これを聞いて、何も言えなくなってしまった。
月日が経ち、いよいよ大学受験になった。
誰が受かっただろうか?
キツネ君は、不合格だった。
キツネ君は、「自分はやろうと思えばいつでもできる」と自信満々だった。
しかし、毎日家に帰ると気分が乗らず、ゲームを続け、遅い時間になってようやく勉強を始める始末だったから、勉強時間が足りなかった。
他の人達の勉強時間の増加によって、成績が次第に落ちていった。
シロクマ君は合格した。
シロクマ君は、家に帰るとすぐさま勉強を開始した。大学に合格することが、自分が今すべきであることを知っていたからだ。
女流作家のパール・バックは、こう言っている。
「私は気分が乗るのを待ったりはしない。そんなことをしていては何も達成できないから。とにかく仕事に取りかかるのだという意識が必要なのだ。」
彼女は、愛娘の病気が悪化し、重度の知的障害をもつ子供となり、その世話に追われながら、偉大な作品「大地」を著し、ノーベル賞、ピューリッツァー賞を受賞した。
彼女は、もちろん、自分の気分など待ってはいられなかっただろう。
では、私たちは、自分の気分を待っていていいのだろうか?
それとも、目の前のやるべきことに、今すぐ取りかかるべきだろうか?
答えは、明らかだと思う。
さあ、今すぐ始めよう。
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変わるのは、トラかシロクマか?
2011年11月03日キツネ君は、トラ君が工場長を務める工場で働いていた。
トラ君は、いつも機嫌が悪く、すぐに怒鳴っていた。
「作業が遅いぞ!」
「休憩なんかとるんじゃない!」
「終わるまで帰るな!」キツネ君は、肉体的にも精神的にもヘトヘトになり、帰りには、いつも作業員仲間と一緒に赤提灯で酒を飲み、工場長の愚痴を言い合って、ストレスを発散するのが日課だった。
「俺だって一生懸命やってるんだ。トラ君がそんなことを言うなら、自分でやってみろってんだ。何も知らないくせに文句ばかり言うんじゃない。無能な上司を持つと疲れるよ」
そんな愚痴を言い合うのだった。
次の日も、また次の日も、同じことの繰り返しだった。
キツネ君は、思った。
「どうしてあんなに分からず屋なんだ。いい加減こっちの事情も理解して欲しいよ」
しかし、トラ君は変わらず怒鳴り続けるのだった。
ついにキツネ君はストレスから工場を辞めた。
シロクマ君は、キツネ君と入れ替わりに工場に勤めだした。
トラ君があまりに怒鳴り散らすので、シロクマ君も、次第にストレスがたまり、キツネ君と同じように赤提灯で愚痴を言い合っていた。
しかし、シロクマ君はふと思った。
「こんなことしていても何も変わらない。トラ君だって、自分の立場があるから、怒鳴っているだけだ。工場の業績を良くしたいという点では利害が一致するはずだ」
そして、シロクマ君は、翌日から態度を変えた。
作業員の効率が上がるように、作業員同士の作業量を競争形式にし、成績によって給料を上乗せするようトラ君に提案し、採用された。
仕入金額を下げるために他の工場と共同購入するよう提案し、採用された。
1日の作業効率を向上させるために、作業手順を見直すことを提案し、採用された。
工場の業績がみるみる上がっていった。作業時間も短縮された。
次第に、トラ君が怒鳴る回数が減り、ついには怒鳴り声を聞くことがなくなった。
トラ君は、自分の工場の業績を上げたいと願い、怒鳴ることによって皆にハッパをかけようとしていたのだ。
しかし、シロクマ君の行動により、その必要がなくなり、怒鳴ることをやめたのである。
それだけではない。
工場の運営について、ことあるごとにトラ君は、シロクマ君に相談をするようになり、2人はとても良い関係になった。
人事異動の時期が来て、トラ君は、他の工場に異動になった。
その後工場長に任命されたのは、シロクマ君だった。
トラ君が、人事部に後任をシロクマ君を推薦していたのだった。
誰かを変えたいと思った時、その人にどうやって働きかけたらよいでしょうか?
どういう影響を与えれば、その人は変わってくれるでしょうか?
その人に強い影響力を持っていれば、「変わってくれ」と言えば変わってくれるかもしれません。
しかし、そうでないとしたら?
キツネ君やシロクマ君が、トラ君に「怒鳴らないでくれ」と頼んだら、トラ君は、変わってくれたでしょうか?
無理な話でしょう。
相手を変えるには、まず自分を変えることです。
自分を変えることにより、その人に影響を与え、その人を変えてゆくという方法です。
小手先の説得術ではありません。
自分を変えることにより、周囲も変わってくると思います。
世界までも変えられるか?
私には到底無理ですが、本気でそれを願い、実行しようとした偉大なる人がいます。
世界に変革を求めるなら、自分自身を変えることだ(ガンジー) -
同じ言葉は、違って聞こえる
2011年09月28日キツネ君は、オシャレなスーツを着て、出かけた。
ネコ君は、キツネ君を見かけ、「オシャレなスーツだな」と思って、キツネ君に「今日のスーツはオシャレだね」と誉めた。
ところが、キツネ君は、「『今日は』って、どういうことだよ。いつもはオシャレじゃないのかよ!」と怒り出した。
キツネ君は、ネコ君に軽蔑され、からかわれたと感じたのだ。
シロクマ君も、その日、オシャレなスーツを着て、出かけた。
ネコ君は、シロクマ君を見かけ、「オシャレなスーツだな」と思ったが、キツネ君の一件があったので、言おうかどうか、躊躇した。
しかし、言った方がよいと思い直し、「今日のスーツはオシャレだね」と誉めた。
シロクマ君は、喜んで「そうだろう。ずっと欲しかったスーツさ。ありがとう」と笑顔で返した。
ネコ君は、やはり、言って良かったと思った。
キツネ君とシロクマ君は、同じネコ君から、全く同じ言葉をかけられたのに、キツネ君は軽蔑されたと感じ、シロクマ君は誉められたと感じています。
キツネ君が自分に自信を持っていれば、軽蔑されたとは感じなかったでしょう。
仮に軽蔑されたと感じたとしても、自分に自信があれば、「何を言っているんだろう」と、気にもしないでしょう。
しかし、自分に自信がないと、他人の自分に対する評価が気になり、ちょっとしたことでも軽蔑されているような気がしてしまいます。
幼少の頃、親が自分にどのような態度で接したか、にもよってくるでしょうが、大人になってからでも自分に自信を持つことは可能だと思います。
自信を持って生きていきたいものです。
人は軽蔑されたと感じるときによく怒る。だから自信のある者はあまり怒らない。(三木清)
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謝るタイミングとは?
2011年09月15日
キツネ君はサル君と海に出かけて、1日海水浴などして、たっぷり遊んだ。キツネ君が帰りに自分の財布を見ると、1万円足りなかった。
キツネ君は、自分が海で泳いでいる間に、サル君が財布から1万円抜き取ったのではないかと疑った。
この日は2人で遊んでいたので、他には考えられなかったからだ。
キツネ君は言った。
「サル君、僕の財布から1万円盗んだだろう。返してくれよ」
サル君「そんなことしないよ。よく探してみたら?」
キツネ君「よく探したよ。なんてひどいことをするんだ?見損なったよ。早く返してくれよ」
サル君「僕じゃないって。信じてくれよ」
そんな押し問答が続き、結局サル君は盗みを認めないまま、2人は別れた。
キツネ君が家に帰ると、ズボンのポケットの中に1万円が見つかった。
財布から離れることが予想されたので、念のために財布とは別にズボンのポケットに1万円だけ入れておいたのだ。
キツネ君は、サル君を疑ってしまったことを後悔した。本来ならすぐに謝らなければならないところだが、あれだけ言ってしまった手前、なかなかサル君に謝ることができなかった。
その事件以来、キツネ君とサル君は疎遠になってしまった。
それから5年が経つが、キツネ君は、サル君にひどいことを言ってしまったままであることが、ずっと心に引っかかっていた。
キツネ君は、そのことをシロクマ君に相談すると、シロクマ君は言った。
「それだったら、今からでもいいから、すぐサル君に謝った方がいいよ。それでキツネ君は後悔の呪縛から解放されるはずだし、サル君だって気にしているかもしれないよ」
キツネ君は、意を決してサル君を訪ねた。
すると、サル君の母親が出てきて、言った。
「サルは、去年亡くなったのよ。生前、キツネ君は元気かなあ、とよく言っていたよ。昔は仲が良かったのに、突然疎遠になってしまったからねえ」
キツネ君は、自分はなんてバカだったのか、と改めて思った。
謝罪は、タイミングを逃すと、時間の経過とともにできなくなってしまう。しかし、謝らないうちは、ずっとそれを引きずることになる。後悔の呪縛から解放されることはない。たとえ時間が経っていても、キツネ君のように、手遅れにならないうちに、今すぐ相手に連絡して、謝ってしまおう。
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千万人といえども我行かん
2011年09月10日
ネコ君は、魚が大好物だった。しかし、ネコ君は泳げなかったので、自力では魚を捕ることはできない。
陸地に魚が落ちているわけではなく、たまに人間が落としてゆく魚を食べられるくらいだった。
そこで、ネコ君は泳ぎを練習する一大決心をして練習を始めた。
それを見たキツネ君は笑った。
「バカだなあ。ネコは泳げないんだよ」
イヌ君も笑った。
「そうだよ。できっこないよ」
みんなが笑った。
それでもネコ君は諦めなかった。
誰になんと言われようと、泳げるようになろうと誓い、特訓した。
そして、ついにネコ君は、泳げるようになった。
ライト兄弟が空を飛びたいと言った時、他の人達は彼らを笑った。
しかし、ライト兄弟は諦めず、ついに大空を飛んだ。
他の人が何を言おうと、自分の信じる道を突き進めば、きっと成し遂げることができると思う。
「自らかえりみてなおくんば千万人といえどわれ行かん 」吉田松陰
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キツネと肉まんの物語
2011年09月09日シロクマ君は、朝、その日の食事を買い出ししようと街の市場に出掛けていった。
どこの店も開いていたが、とりあえずタヌキ君の店に行ってみると、肉まんがたくさんあった。
シロクマ君が値段を尋ねると、タヌキ君は、「500円だよ」と言った。
シロクマ君はビックリした。
普段は、100円で売っている肉まんだったのだ。
シロクマ君は「そんな値段じゃ買えないよ。100円で売ってくれよ」と言った。
タヌキ君は、「実は、父親の借金の返済をしないといけないから、お金がいるんだ。100円で売っていたら、足りないんだよ」と答えた。
シロクマ君は、「100円だったら買ってもいいけど、500円と言い張るなら、ウサギ君の店で買うことにするよ」と言った。
タヌキ君は、その日、まだ肉まんが売れていなかった。100円ではお金は足りないが、ここでシロクマ君を逃すよりも、買ってもらって少しでもお金を稼いだ方が得ではないか、と思った。
そこで、タヌキ君は、シロクマ君に100円で肉まんを売った。
キツネ君は、その日、朝から何も食べていなかった。
夕方、どうしようもなくお腹がすいたので、街の市場に出掛けていった。
すでに遅い時間だったので、ほとんどの店は閉まっていたが、タヌキ君の店だけが開いていた。
早速、タヌキ君も店に行ってみると、肉まんが1つだけ残っていた。
キツネ君が値段を尋ねると、タヌキ君は、「500円だよ」と言った。
キツネ君は、ビックリした。
普段は、100円で売っている肉まんだったのだ。
しかし、キツネ君は、お腹がすいて、どうしようもなかったので、「どうしても肉まんが欲しいんだ。100円で売ってくれよ」と懇願した。
しかし、タヌキ君は、「ダメダメ。最後の肉まんなんだよ。500円出すなら売ってあげるよ」と言ってきかない。
キツネ君は周囲を見渡したが、どこの店も閉まっていて、開いているのは、やはりタヌキ君の店しかなかった。
キツネ君は、どうしてもその肉まんが欲しかったので、500円払って肉まんを買って大事そうに食べた。
この話からわかることは、交渉をするときには、「絶対にこの交渉を決裂させたくない」と、強く思えば思うほど、交渉力は弱くなる、ということだ。
キツネ君は、どうしても肉まんが欲しかったがゆえに、譲歩せざるを得なくなり、500円で肉まんを買ってしまった。
しかし、シロクマ君は、別の店でも食べ物を買うことができたので、交渉が決裂しても構わない立場だった。
だから、譲歩する必要がなかった。
このように、交渉するときには、「交渉が決裂した時の代替措置」を準備しておくことが重要だ。
そうすれば、強い立場で交渉することができるだろう。
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子供を不幸にする方法とは?
2011年07月28日
キツネ君は、自分の子どもをたいそう可愛がっていました。エサが欲しいと泣けばエサを与え、おもちゃが欲しいと泣けばおもちゃを与えました。
子どもはすくすくと育ち、大人になりました。
キツネ君は、もう歳です。
大人になった子どもは、それでもキツネ君にエサをせがみます。
キツネ君は、子どものためだと思い、老体にむち打ってエサを捕らえますが、ついにはそれもできなくなりました。
キツネ君は死んでしまい、子どもは嘆き悲しみました。
そして、エサは誰もくれなくなり、子どもも餓死してしまいました。
シロクマ君は、自分の子どもを可愛がっていましたが、エサに関してだけは厳しくあたっていました。
ある程度成長するまではエサを与えましたが、ある段階からは与えないようにしました。
エサが欲しいと泣けば、まず自分がアザラシを捕らえたところを見せましたが、そのエサは自分だけで食べてしまいました。
そして、「あそこの氷の下にアザラシがいるよ」と教えました。
子どもは何度も失敗しましたが、ついにアザラシを捕らえることができるようになりました。
子どもがアザラシを捕らえることができるようになると、アザラシの探し方だけ教え、子どもをおいて旅に出るようになりました。
子どもは教えられた方法で生きるために必死にアザラシを探し、捕らえ、生きながらえました。
シロクマ君は、歳をとり、死んでしまいました。
子どもは、嘆き悲しみました。
しかし、その後も、子どもは、シロクマ君に教えられた方法でアザラシを探し、捕らえることによって、たくましく生き抜いていきました。
子供を不幸にするいちばん確実な方法は、いつでも、なんでも手に入るようにしてやることだ。(ルソー)
逆に、子供が将来生き抜いていけるようにするためには、物を与えず、その物を手に入れる思考と方法をたたき込むことでしょう。