税法 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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  • 【税理士向け】重加算税の最高裁ルール2

    2022年06月24日

    今回は、重加算税に関する最高裁【ルール2】を解説します。

    重加算税賦課決定が適法かどうかを判断するためには、最高裁の6つのルールに関する知識が不可欠です。

    古い重加算税に関する裁判例を検討する際にも、その知識は必要となります。

    今回は、そのうち、【ルール2】であり、つまみ申告の場合の判断基準です。

    いわゆるつまみ申告というのは、不正経理や二重帳簿の作成等の積極的行為がなく、所得金額や収入金額の一部のみを故意につまみ出して過少な所得金額などを記載した申告書を提出するような場合です。

    最高裁平成6年11月22日判決は、つまみ申告の場合に、重加算税の賦課要件を満たすには、以下の要件を充足する必要がある旨判示しました。

    (1)各確定申告の時点において、真実の所得金額を隠ぺいしようという確定的な意図を持っており

    (2)必要に応じ事後的にも隠ぺいのための具体的工作を行うことも予定して、

    (3)会計帳簿類から明らかに算出し得る所得金額の大部分を脱漏し、所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出したというような事情が認められる場合には、

    ⇒重加算税の賦課要件を満たすことになる

    =====================

    したがって、つまみ申告で重加算税指摘を受けた場合には、上記最高裁判例を指摘して、

    ・所得金額の大部分を脱漏しているわけではないこと

    ・所得金額を脱漏したのは過失に基づくものであること

    ・事後的に具体的工作を行う意図と矛盾する行動があること

    などの事実を見つけて反論することになるかと思います。

    残りのルール3~6が気になる先生は、私の次の書籍もご参照ください。

    「税務のわかる弁護士が教える 税務調査における重加算税の回避ポイント」
    (ぎょうせい)

    「税理士を守る会」は、こちら
    https://myhoumu.jp/zeiprotect/new/

  • 同一人に給与と外注費

    2022年06月17日

    今回は、【税理士を守る会】でされた質疑応答をご紹介します。

    (質問)

    顧問先の業務で、定型的な業務と、時間が散発的で業務時間外にも発生する流動的な業務があります。

    そこで、1人の社員と定型的な業務については雇用契約を、流動的な業務について業務委託契約を締結したいと考えていますが、法律上可能でしょうか。

    (回答)

    当該社員をAとし、使用者を会社と仮定します。

    雇用契約の場合、Aは会社の指揮監督下にあり、業務委託契約の場合、Aは会社から独立しており、仕事の諾否の自由を有しています。

    この2つは二者択一であり、指揮監督下にありながら、独立している、ということはありえません。

    したがって、たとえば、Aの雇用契約における勤務時間が9時~17時である場合、この時間内に業務委託契約上の仕事が発生することはありえません。

    流動的な業務が勤務時間外である場合には、理論的には可能ですが、運用が非常に難しいです。

    なぜならその業務については、Aは会社から空間的時間的支配を受けず、指揮命令から解放されており、業務を受けるかどうかは自由であり、業務に対する危険と責任を負担する、という性質を持っており、A及び会社双方がその認識のもとに業務を行うことは難しいためです。

    なお、同一人に給与と外注費を支給することを認めたかのように誤解されることがある国税不服審判所平成29年2月9日裁決がありますが、これは外注費部分についてしか国税不服審判所の判断はされておらず、給与部分については判断されていないので、参考になりません。

    また、所得税通達204-22で保険外交員について給与所得と事業所得の両方を認めるものがありますが、これはそもそも外交員等については、給与所得か事業所得か判断するのが難しいケースが多いために租税職員が現場で判断できるよう判断基準を決めておく、という趣旨から例外的に定められたものと解されます。

    それ以外については、上記の結論になると考えます。

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  • 重加算税最高裁ルール1

    2022年06月10日

    今回は、重加算税に関する最高裁【ルール1】を解説します。

    重加算税賦課決定が適法かどうかを判断するためには、最高裁の6つのルールに関する知識が不可欠です。

    古い重加算税に関する裁判例を検討する際にも、その知識は必要となります。

    今回は、そのうち、【ルール1】です。

    (最高裁平成7年4月28日判決)

    「重加算税を課するためには、納税者のした過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要する」

    ポイントは、

    ・過少申告行為だけでは重加算税の要件を満たさない

    ・過少申告行為とは【別の】隠蔽仮装行為が必要である

    ということです。

    税務調査において、過少申告があり、納税者が【故意に】過少申告をしたと疑われた場合には、重加算税指摘がされやすいと思います。

    しかし、重加算税賦課要件を満たすためには故意に過少申告をしただけでは足りず、過少申告とは、【別に】隠蔽仮装行為が必要となる、ということです。

    この点「課税処分に当たっての留意点」(平成25年4月 大阪国税局 法人課税課、TAINS H250400課税処分留意点、179頁)は、次のように記載しています。
    ====================
    過少な所得金額を記載した申告書を提出した行為のみをもって直ちに(1)で掲げた重加算税賦課の課税要件を満たしたことにはならないので注意が必要である」「くれぐれも、所得金額が過小の確定申告書を提出して税額の一部を免れたことを内容とする『確認書』のみで安易に重加算税を賦課することがないよう留意する。

    ====================

    税務調査で、上記のような指摘があった場合には、最高裁判決及び上記留意点を指摘して、反論すると良いと思います。

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  • 分掌変更退職給与が否認された裁判例・東京地裁平成29年1月12日判決

    2022年06月02日

    今回は、分掌変更退職給与が認められなかった裁判例をご紹介します。

    東京地裁平成29年1月12日判決(TAINS Z267-12952)、控訴棄却、上告棄却です。

    (事案)

    乙は、原告会社において平成16年5月28日から平成23年5月30日まで代表取締役の職にいた。

    乙は、平成23年5月30日に取締役に再任されたが、甲が代表取締役に選任され、乙は代表取締役を退任した。

    乙の月額報酬は、代表取締役を退任する前の205万円から約3分の1に相当する70万円に引き下げられた。

    原告は、乙の退職慰労金を5609万6610円とする旨の決議をし、損金に参入した。

    後日の税務調査により指摘を受け、原告は、修正申告をしたが、その後、本件退職慰労金は損金に参入されるべきであるとして更正の請求をした。

    税務署長は、更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。

    (判決)

    役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的には退職したと同様の事情にあると認められるときは、その分掌変更等の時に退職給与として支給される金員も、従前の役員としての在任期間中における継続的な職務執行に対する対価の一部の後払いとしての性質を有する限りにおいて、退職給与に該当する。

    その上で、判決では、退職の事実を否定するにあたり、次の事実を認定しています。

    ●乙は、原告の代表取締役を退任した後も、常勤の相談役として毎日出社をし、退任前と同じ代表取締役の執務室の席において執務をしていた

    ●甲の席は乙の席の隣に設けられ、乙と甲が共同して原告の経営に当たる執務環境が整えられていた

    ●代表者の甲は、原告の売上げや粗利、従業員の成績の管理、棚卸し、従業員からの報告事項、夏季賞与の査定やその支払のための借入れ、冬季賞与の査定、マシニングの管理や設置などについて、案件ごとに乙に確認を求め、その助言に従って業務を実施するなどしていた

    ●税務調査において、代表取締役を退任した後も退任前と同様の業務を継続しており、甲に対し引継ぎとして仕事を教えている旨述べている

    ●代表取締役を退任した後も、代表者会議への出席を継続し、出席をしなくなった営業会議及び合同会議についても、各会議の議事録に甲が決裁印を押した後のものを確認した上で「相談役」欄に押印していた

    ●10万円を超える支出について必要となる決裁のための稟議書についても、原則として甲が決裁欄に押印した後に「相談役」欄に押印をしていた。

    ●乙は、原告の資金調達等のため、多数回にわたり、単独でE銀行結城支店の担当者との面談や交渉をしており、同銀行の担当者も、原告の交渉窓口で原告の実権を有するのは乙であると認識し、交渉等のために原告を訪問するに当たり、乙に対し面談の約束を取り付けていた

    (結論)

    乙は、原告の代表取締役を退任した後も、引き続き相談役として原告の経営判断に関与し、対内的にも対外的にも原告の経営上主要な地位を占めていたものと認められるから、甲が代表取締役に就任したことにより乙の業務の負担が軽減されたといえるとしても、本件金員の支給及び退職金勘定への計上の当時、役員としての地位又は職務の内容が激変して実質的には退職したと同様の事情にあったとは認められない。

    =====================

    以上です。

    今回の判決で指摘された内容から、顧問先への助言で参考になるポイントは、以下です。

    ・毎日出勤しない

    ・代表取締役の時の執務室は使わない

    ・現代表取締役と同列とみなされる机の配置にしない

    ・経営上の重要な意志決定に関与しない

    ・人事に関与しない

    ・経営上の重要な会議に参加しない

    ・議事録を決裁しない

    ・支出に関し、決裁しない

    ・金融機関などとの交渉に関与しない

    なお、顧問先に助言をしたら、助言をしたことを証拠化しておくことをお忘れなく。

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  • 損害賠償請求権の益金計上時期

    2022年05月26日

    今回は、不法行為に基づく損害賠償請求権の益金計上時期についての東京高裁平成21年2月18日判決(TAINS Z259-11144)です。

    (事案)

    平成16年4月に、X法人に対する税務調査で、架空外注費の損金計上が発覚した。

    調査の結果、経理部長Aの詐取行為であることが判明した。

    調査の結果、平成9年9月から平成16年3月までの間に、約1億9000万円詐取したことが判明したため、平成16年9月に損害賠償請求訴訟を提起し、同額の判決が確定した。

    (争点)

    損害賠償請求権を益金に計上すべき時期は、不法行為時か、その他の時期か?

    (判決)

    【原則】
    本件各事業年度において詐取行為により被控訴人が受けた損失額を損金に計上すると同時に益金として損害賠償請求権の額を計上するのが原則

    【例外】
    本件各事業年度当時の客観的状況に照らすと、通常人を基準にしても、本件損害賠償請求権の存在・内容等を把握し得ず、権利行使が期待できないといえるとすれば、当該事業年度の益金に計上しない取扱いが許される

    【あてはめ】

    詐取行為は、経理担当取締役が本件預金口座からの払戻し及び外注先への振込み依頼について決裁する際に乙が持参した正規の振込依頼書をチェックすれば容易に発覚する。

    決算期等において、会計資料として保管されていた請求書と外注費として支払った金額とを照合すれば、容易に発覚。

    【結論】

    通常人を基準とすると、本件各事業年度当時において、本件損害賠償請求権につき、その存在、内容等を把握できず、権利行使を期待できないような客観的状況にない。
    各事業年度において益金に計上すべき。

    ======================

    以上です。

    通常人を基準にして、

    ・本件損害賠償請求権の存在・内容等を把握し得ず、

    ・権利行使が期待できない

    場合には、例外的に不法行為のあった時の事業年度に計上しないことができる、ということになりますが、あてはめでやや厳しめに判断されることに注意が必要です。

    安易に「それは知り得なかったですね」と判断すると、誤ることがある、ということです。

    なお、本件は社内の者でしたが、社外の「他の者」からの不法行為の場合には、法人税基本通達2-1-43があります。

    ===================

    他の者から支払を受ける損害賠償金(債務の履行遅滞による損害金を含む。以下2-1-43において同じ。)の額は、その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。

    ===================

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  • 総則6項最高裁R4.4.19

    2022年05月05日

    今回は、相続税に関して総則6項が適用された事案において、納税者が敗訴した最高裁令和4年4月19日判決をご紹介します。

    すでにお読みになったもしれませんが、私の視点で解説します。

    (事案)

    被相続人は、平成21年1月30日、信託銀行から6億3000万円を借入、甲不動産を8億3700万円で購入した。

    被相続人は、平成21年12月21日付けで共同相続人らのうちの1名から4700万円を借り入れ、同月25日付けで信託銀行から3億7800万円を借り入れた上、同日付けで本件乙不動産を代金5億5000万円で購入した。

    平成24年6月17日(購入から約3年後)、94歳の被相続人の相続が開始した。

    本件購入と借入がなければ、課税価格は6億円以上であった。

    相続人らは、評価通達の定める方法により、本件甲不動産の価額を合計2億0004万1474円、本件乙不動産の価額を合計1億3366万4767円と評価し、課税価格の合計額は2826万1000円とされ、基礎控除の結果、相続税の総額は0円とされた。

    税務署長は、総則6項を適用し、鑑定評価額に基づき、本件甲不動産の価額が合計7億5400万円、本件乙不動産の価額が合計5億1900万円として、課税価格を8億8874万9000円、相続税の総額を2億4049万8600円とする更正処分等を行った。

    (判決)

    (原則)
    租税法における【平等原則】により、課税庁が、特定の者の相続財産の価額についてのみ評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは、合理的な理由がない限り、平等原則に違反するものとして違法。

    (例外)
    評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが【実質的な租税負担の公平に反する】というべき事情がある場合には、評価通達によらない合理的な理由がある

    (本件では)

    本件各通達評価額と本件各鑑定評価額との間には大きなかい離があるということができるものの、このことをもって上記事情があるということはできない。

    本件購入・借入れが行われなければ本件相続に係る課税価格の合計額は6億円を超えるものであったにもかかわらず、これが行われたことにより、本件各不動産の価額を評価通達の定める方法により評価すると、課税価格の合計額は2826万1000円にとどまり、基礎控除の結果、相続税の総額が0円になるというのであるから、上告人らの相続税の負担は著しく軽減されることになるというべきである。

    そして、被相続人及び上告人らは、本件購入・借入れが近い将来発生することが予想される被相続人からの相続において上告人らの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、あえて本件購入・借入れを企画して実行したというのであるから、租税負担の軽減をも意図してこれを行ったものといえる。

    そうすると、本件各不動産の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことは、本件購入・借入れのような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と上告人らとの間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであるから、上記事情があるものということができる。

    ===================

    以上です。

    ポイントは、

    ・実質的な租税負担の公平に反する場合は、評価通達によらない合理的理由がある。

    ・通達評価額と鑑定評価額の差が大きいだけでは理由にならない。

    ・相続税額の差が大きく、かつ、関係者が相続税の軽減を知り、期待して行った場合には、実質的な租税負担の公平に反する。

    ということになります。

    税負担の軽減という「客観的要素」だけではなく、税負担の軽減目的と認識という「主観的要素」を判断要素に取り入れた、ということになります。

    したがって、行為計算否認規定の場合と同様、税負担の軽減以外の合理的目的を有し、かつ、その証拠を残しておくことが大切となってきます。

    銀行融資を受ける際に、購入目的を「相続税の軽減」と説明すると、それが稟議書に記載され、反面調査で明らかになりますので、税負担の軽減以外の目的の場合には、きちんとその目的を正しく説明しておくことが大切です。

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  • 名義預金が否定された裁決例

    2022年04月21日

    今回は、課税庁による名義預金の認定が裁決により覆された事例をご紹介します。

    国税不服審判所令和3年9月17日公表裁決です。

    事案は、争点に絞って簡略化します。

    (事案)

    被相続人は、生前、「私は、平成拾参年度より以後、毎年八月中に左記の四名の者に金、○○○○円也を各々に贈与する。但し、法律により贈与額が変動した場合は、この金額を見直す。」と記載した贈与証を作成し、署名押印をしたが、預金名義である子らの署名押印はいずれもなかった。

    Aは、被相続人と配偶者ではないBとの子であり、未成年者である。

    Bは、Aの唯一の法定代理人親権者である。

    被相続人は、母Bを通して、Aの預金口座に金員を複数回に渡り入金した。

    課税庁は、母Bが本件贈与証の具体的内容を理解しておらず、被相続人の指示に従い本件預金口座に入金していたにすぎず、当該入金がAへ贈与されたものとは認識していないから、被相続人からAへの贈与は成立しておらず、本件預金口座に係る預金は被相続人の相続財産に含まれるとして、更正処分をした。

    (争点)

    本件預金口座に係る預金が名義預金として被相続人の相続財産に含まれるか。

    ※贈与は、「契約」ですので、当事者双方の意思表示の合致が必要です。

    今回のケースでは、Aは未成年者ですので、母Aが法定代理人として贈与を受諾する意思表示をしたかどうかが問題となります。

    (裁決)

    母Bは、本件贈与証を預かるとともに、被相続人の依頼により本件預金口座へ毎年入金していた。

    母Bは、本件預金口座の通帳等を口座開設当時から管理していた。

    当時、長女の唯一の親権者であった長女の母は、長女の法定代理人として、本件贈与証による贈与の申込みを受諾し、その履行として本件預金口座へ毎年入金していたと認めるのが相当である。

    本件預金口座には、利息を除き、毎年の入金以外に入金はないから、本件預金口座に係る預金は、平成13年の口座開設当初からAに帰属するものであって、相続財産には含まれない。

    ======================

    以上です。

    相続において、相続人名義の預金が被相続人の相続財産であるという名義預金の問題が生ずることがあります。

    この場合、契約書があるかないかが事実認定にとって重要となってきます。

    しかし、税務では、実態で事実認定されますので、以下のこともおさえておく必要があります。

    ・預金通帳、印鑑を受贈者(法定代理人)が管理すること

    ・その預金から受贈者のための出費をすること

    ・通帳の届出住所を常に受贈者に一致させること

    ・必要な場合は贈与税の申告をすること

    そして、誤った更正がされた場合には、争うことも必要と考えます。

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  • 少額減価償却資産の判定単位

    2022年03月31日

    今回は、少額減価償却資産の判断基準について、裁判例から検討してみたいと思います。

    中小企業の場合、取得価額が30万円未満である減価償却資産について、一定の要件のもとに損金算入を認める特例があります。

    この特例の適用においては、他の資産と一体として30万円以上の資産になるのか、あるいは、当該資産が独立した資産として30万円未満の資産となるのか、という論点があります。

    この点、最高裁平成20年9月16日判決は、PHS電話事業において、エントランス回線利用権が一回線毎に少額減価償却資産となるのか、あるいは、PHS接続装置等と一体として30万円以上の減価償却資産となるのかが争われました。

    最高裁は、減価償却資産の判定基準として、

    (1)1単位として取引されているか

    (2)資産としての機能を発揮して、収益の獲得に寄与するものか

    の2点を検討すべきとしました。

    そして、

    (ア)エントランス回線は1回線でも取引の対象となり、

    (イ)エントランス回線1回線に係る権利一つでもって、被上告人のPHS事業において、上記の機能を発揮することができ、収益の獲得に寄与するものということができる。

    と判示しました。

    したがって、減価償却資産の判定単位について迷ったら、上記基準に当てはめて検討していただくのがよろしいかと思います。

    なお、上記最高裁以前にも同じ論点が争われている事例もありますが、最高裁以降は、全て上記基準によって判断されることになりますので、過去事例を上記最高裁基準にあてはめて考えていくことになります。

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  • 破産と債務免除益

    2022年03月17日

    今回は、【税理士を守る会】でされた質疑応答をご紹介します。

    (質問)

    顧問先が債務超過に陥ったため、法的整理手続きを進めています。

    顧問先が委任した弁護士は特別清算を検討しているようですが、特別清算の場合には、債務免除益が発生し、税金を払いきれない可能性があります。

    破産の場合には、債務免除益を計上しなくていいと聞いたことがあります。

    これは正しいのでしょうか。

    正しいとすると、社長からの借入金や未払い給与についても同様でしょうか。

    (回答)

    特別清算については、和解型か協定型かにかかわらず、債権者との合意によって、債権が放棄される、という構成をとります。

    したがって、債務が債権者側から免除されたことになり、債務免除益の計上が必要となります。

    しかし、破産の場合は、債権者が債権届出をし、破産管財人が破産会社の財産で換価できた範囲内で配当を実施し、残余の債権が残ったまま破産手続が終結します。

    この場合、「会社が破産宣告を受けた後破産終結決定がされて会社の法人格が消滅した場合には、これにより会社の負担していた債務も消滅するものと解すべき」(最高裁平成15年3月14日判決(民集57巻3号286頁)、とされており、債務が消滅する時点では、すでに債務免除益が生ずべき法人が存在しないことになります。

    つまり、破産終結前に、債権者からの債債務免除の意思表示、消滅時効の援用その他債権が消滅する事由が生じず、債務が残ったまま破産終結決定に至る場合には、債務免除益が成立する余地がない、ということになります。

    この場合には、債務者法人が存続している状態で債務が消滅することを前提とする法人税法59条2項、法人税法施行令117条の適用の場面ではありません。

    債権者側では、債務者が消滅したために、債権が消滅してしまった、ということになります。

    社長借入金や役員への未払い給与についても同様に免除を受けることなく消滅します。

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  • 従業員による架空請求書で重加算税

    2022年03月11日

    今回は、関連会社から派遣されていた経理担当従業員が行った架空仕入れ計上などで重加算税賦課決定がされた裁判例について、ご紹介します。

    大阪地裁令和元年8月9日判決(TAINS Z269-13303)です。

    請求棄却(重加算税適法)され、控訴しています。

    (事案)

    原告は、関連会社B社及びC社が医療機関に納入した医療機器等の保守・修理等を業とする株式会社であるが、従業員はおらず、B社の従業員が原告に派遣されて事務を行っていた。

    従業員乙は、B社の従業員であり、原告に派遣され、同じくB社から派遣されていた経理部門の責任者であるCの下で、経理業務を担当していた。

    乙は、また、関連会社C社の給与振込業務なども兼務していた。

    従業員乙は、複数回、C社から原告宛の架空請求書等を作成し、上司丙を経由して原告代表者宛に提出して決裁させ、C社の口座宛振り込ませた。

    従業員乙は、その一部を仕入高に計上し、その一部を売上から除外した。

    従業員乙は、原告から振り込まれた金員をC社の口座から、自分の口座に移動させて、着服した。

    課税庁は、原告に隠蔽又は仮装があるとして、重加算税賦課決定をした。

    (争点)

    従業員乙の行為が、原告の行為と同視できるか?

    (判決)

    (規範)

    法人において、その従業員が隠蔽仮装行為をし、その隠蔽仮装行為をしたところに基づき過少申告がされた場合であっても、

    当該法人は、雇用契約等に基づき、当該従業員に対して業務全般について広く指揮監督を行う権限を有することに鑑みれば、

    当該法人において、当該従業員に対する指揮監督を通じ、当該従業員の隠蔽仮装行為を認識し、又は認識することができ、

    法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかかわらず、

    当該法人において、これを防止せずに隠蔽仮装行為が行われ、

    それに基づいて過少申告がされたときには、当該隠蔽仮装行為を納税者本人たる当該法人の行為と同視することができ、当該法人に対して重加算税を課することができると解するのが相当である。

    ※ この規範は、最高裁平成18年4月20日判決で示された規範です。

    (事実認定)

    原告としては、従業員乙は、C社の振込業務、原告の経理会計業務を行っていたのであるから、その地位を利用して、本件領得をする一連の行為を実行しうることについて、容易に予見することが可能だった。

    それにもかかわらず、原告代表者は、決裁の歳、請求書や支払内容を注意深く見ることすらしなかったのであり、隠蔽仮装・領得行為が行われないように指揮監督の権限を行使すべきであるところ、これを行使することなく、乙により隠蔽仮装・領得行為が行われ得る状況を放置した

    架空仕入高の原告の月次仕入高に占める割合は、

    平成24年12月 3503万5050円に対し、3500万円 約99.8%

    平成25年10月 4645万6135円に対し、3633万3825円 78%

    平成25年11月 8805万9593円に対し、7133万3825円 約81%

    と、相当高い割合である

    各期を比較しても、原告の仕入高は、

    平成23年11月期 1370万1147円
    平成24年11月期 3800万1192円
    平成25年11月期 8805万9563円

    と急増している

    また、請求書の書式も一見して異なる

    (当てはめ)

    振込依頼書の決裁等の際に、決裁のために添付された架空請求書の確認を自ら行い、又は他の従業員にさせていれば、その書式はC社が一般的に原告に対する機械代の請求に用いていた請求書の書式とは異なるものであることを容易に認識することができた

    乙から月次試算表の提出を受けた時点、平成25年11月期に係る確定申告をする時点等において、「仕入高」勘定の金額が記帳された元帳及び損益計算書や「買掛金」勘定の金額が記載された貸借対照表等の確認を自ら行い、又は他の従業員にさせていれば、平成25年11月期末の、平成25年11月期末における元帳の「仕入高」勘定の金額、貸借対照表の「買掛金」勘定の金額及び損益計算書の「仕入高」勘定の金額が相当高額であって、不自然なものになっていることを容易に認識することもできた

    これらの認識を踏まえて、隠蔽仮装・領得行為の一環として行われた隠蔽仮装行為たる本件各架空仕入計上を容易に認識することができ、法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたというべきである。そうであるにもかかわらず、原告において、これを防止せずに隠蔽仮装行為が行われ、それに基づいて過少申告がされたのであるから、本件各架空仕入計上は、納税者本人たる原告の行為と同視することができるものと解される。

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    以上です。

    納税者の代表者が従業員による領得行為について知らない場合でも、当該従業員の行為が納税者の行為と同視できる場合は、納税者が隠蔽仮装行為を行ったものとして、重加算税賦課要件を満たします。

    本件のポイントは、

    ・従業員は不正行為を行うことができる地位と権限があったので、不正行為を行うことが容易に予見できる

    ・決裁をきちんとしていれば、請求書の書式が違うことが認識できたはず

    ・試算表や確定申告の際に、元帳やPL、BSをチェックする体制を作っていれば、不自然さが容易に認識できたはず

    という事情をもって、従業員による隠蔽又は仮装行為について容易に認識できたものと認定しています。

    反対に、

    ・決裁で書類を確認しても、見抜くことは困難

    ・試算表や決算書の数字に特に不自然さはない

    などの事情があれば、争う余地がある、ということになります。

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