【税理士向け】税と民事の時効の違い | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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【税理士向け】税と民事の時効の違い

2021年12月30日

今回は、【税理士を守る会】の質疑応答をご紹介します。

先生方の参考になるのではないか、と考えるためです。

(質問)

他社から借り入れた債務がある場合に、何年もその状態になっていて、先方からも督促がされない場合に、時効のようなものが成立して債務が消滅することはありますでしょうか?

インターネットで調べると、法人の場合は5年となっているようです。

また、この時効成立がある場合に、このタイミングで債務免除益として税務上は益金算入が必須になるという理解になりますでしょうか?

(回答)

ご指摘のように、「消滅時効」という概念があります。

法人同士の貸金債務の場合、債務の承認や督促等がなければ5年で消滅時効が完成します。

この点、租税の時効と民事上の時効は異なりますので、ご注意ください。

租税債権の徴収権は、【原則として】、法定納期限から5年間です(国税通則法72条1項)。

5年経過すれば、何らの手続きを要せず、当然に消滅します。

しかし、民事上の債権は、たとえば、消滅時効期間が5年だったとしても、5年を経過しただけでは、当然には消滅しません。

債務者側が「援用」をしない限り、債権は存在し続ける、ということになります。

「援用」の手続きとしては、内容証明郵便等で、債権者に対し、「債権は時効で消滅したので、消滅時効を援用します」と送れば完了です。

法律上は、消滅時効の援用により、起算日である「権利を行使できる時」、たとえば、支払日などに遡って消滅し、その時からなかったことになります。

しかし、税務上の処理については、「請負代金等が発生した以上は、当該債権はその発生時点の事業年度の益金の額に算入すべきものであり、それが後に消滅時効の完成により消滅したとしても、さかのぼって当該債権が発生しなかったことになるわけではない」(東京高裁平成17年10月26日判決)とされていますので、遡って処理をするわけではありません。

「時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずる」(最高裁昭和61年3月17日判決)とされており、その時に担税力に変化が生じますので、時効が援用された時に債務が消滅したものとして処理をすることになります。

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