ブログ | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 58
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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  • 交通事故で目撃者探しだし略式命令

    2005年04月28日

    2001年11月3日午後6時半ごろ豊橋市で、79歳の女性が交通事故で亡くなった業務上過失致死被疑事件について、名古屋地検は2002年3月、男性が静枝さんに気付くのは困難だったと判断、嫌疑不十分で不起訴にしました。

    ところが、死亡した女性の長男が、事故の目撃者を捜し出して再捜査につなげ、いったんは不起訴処分となった加害者が一転して略式起訴されたそうです。加害者は、は今年3月に略式命令を受け、事故から3年半を経て罰金刑が確定したそうです。

    警察でも目撃者を捜し出すことができなかったのに、よく見つけました。どうしても許すことができない無念さが可能にしたのでしょう。

    ところで、略式命令とは、正式な裁判手続である公判手続を経ずに、50万円以下の罰金または科料を科す簡略化された刑事手続のことを言います。検察官が被疑者の処分を決める際に、罰金刑の場合、被疑者に略式命令にしても良いかどうか、意思確認をし、異議がない時だけ行うことができます。

    手続は、簡易裁判所で簡単な手続で終わります。死亡事故を起こしておいて罰金で済ませて良いのか、という感じ方もあるでしょうが、事件ごとにそれぞれ事情がありますし、これまでの裁判例の集積により量刑が定められていますので、一概に評価することはできません。

  • 脱線事故と補償問題

    2005年04月28日

    兵庫県尼崎市のJR福知山線塚口と尼崎間で快速電車が脱線した事故は、死者は106人(男性59人、女性47人)に達したようです。
     
    復旧工事が落ち着いた後は、補償の問題が出てきます。運転士が死亡してしまいましたが、JRは、使用者責任を負担し、死傷者に対して損害賠償をしなければなりません。
     
    死傷者1人1人には、それぞれ仕事があり、家族があります。「死者1人につき〇〇円」とかという画一的取扱いではなく、1人1人の事情に応じ、十分な補償をして欲しいと思います。

  • 自賠責と複数人被害

    2005年04月22日

    22日午前4時15分ごろ、宮城県多賀城市の国道で、横断歩道を渡っていた仙台育英学園高校の生徒の列に乗用車が突っ込み、生徒の3人が死亡し、20人が重軽傷を負ったそうです。
     
    高校生といえば、これから社会に出て活躍しようという人達です。ご両親の無念も大変なことだと思います。
     
    加害者は刑事手続きにより処罰されることになりますが、お亡くなりになったお子さんは戻ってはきません。そこで、法律では、民事損害賠償制度を設けています。
     
    しかし、莫大な損害賠償になるため、通常加害者の資力では支払うことは不可能です。そこで保険制度が存在します。自賠責保険は、必ず加入しなければならない強制保険、自賠責保険でカバーしきれない損害賠償を填補するのが任意保険です。
     
    加害者が任意保険に加入していることを願うばかりですが、仮に加入していないときは自賠責保険で損害を賄わなければなりません。ところで、自賠責保険の支払限度額は、死亡の場合で3,000万円です(治療費等除く)。
     
    では、死亡者が3人の場合には、3分の1になってしまうのでしょうか。
     
    この点は、被害者の保護が考えられており、1人につき、3,000万円の限度が設けられています。
     
    逆に、加害車両が複数台の場合(2台以上の自動車の過失により事故が生じた場合)には、自賠責保険に加入している自動車の台数分だけ支払限度額がありますので、その分被害者に有利に働きます。

  • 弁護士募集

    2005年04月21日

    今、私の事務所で新しい弁護士を募集しています。
    10月に新人1人の採用が決まっていますが、良い方がいれば、もう1人採用する予定です。パートナー(経営側)ではなく、アソシエイト(勤務弁護士)を募集します。
     
    詳しくは、こちらへ→東京弁護士会募集要項
     
    9月に司法研修所を卒業する予定の方でもいいし、現役弁護士でも結構です。
     
    事務所のHP→みらい総合法律事務所
     
    私が運営する交通事故HP→弁護士による交通事故SOS

  • 詐害行為(財産分与取消)

    2005年04月17日

    大阪高裁平成16年10月15日判決(判例時報1886号52頁)
     
    会社が倒産したため、信用保証協会から、会社の連帯保証人である夫に対し、会社の保証債務の求償がされましたが、夫は、その時点で、すでに妻と離婚し、所有不動産を財産分与を原因として、妻に譲渡して(所有権移転登記)しまっていました。
     
    そこで、信用保証協会は、元妻に対し、不動産の財産分与は詐害行為であるとして、取消を求める裁判を起こしました。
     
    ところで、詐害行為とは、このような債務者(本件では夫)の財産処分行為(贈与したり、売却したり)によって債務者(夫)が財産を失い、総債権者が弁済を受けられなくなる場合に、その処分行為を取り消す制度です。
     
    判決では、実質上この不動産は、夫婦の共同財産であり、半分の財産分与は正当であるが、半分を超える部分は不当に過大であって、財産分与に仮託してなされたものであるとして、半分を超える部分の譲渡を取り消しました。
     
    しかし、取り消すとは言っても、不動産を二つに切るわけにはいきませんので、裁判所は、半分を超える部分をお金で評価して、お金で賠償せよと命じました。
     
    一般に、債権者の追及を免れるため、夫婦が離婚し、その財産を妻に移してしまえば大丈夫だ、という情報が流れているようです。しかし、それほど甘くはないということです。
     

  • 社外取締役義務づけ

    2005年04月16日

    金融庁は、取引所に上場するすべての企業に対し、経営陣から独立した社外取締役の起用を義務付けるルールを採用するよう、東京証券取引所など主要な取引所に要請するそうです。
     
    産業界では、「ビジネスの現場を知らない者が取締役になっても、経営判断ができないし、監視機能も担えない。」と反発する動きもあるそうです。
     
    しかし、ビジネスの現場感覚で行われる不適正な行為や違法行為等をチェックするのが社外取締役の役目だとするならば、ビジネスの現場を知らないことはむしろ望ましいこと、という考え方も成り立つでしょう。
     
    その意味で、コンプライアンスの一環として、顧問弁護士とは別の弁護士や、商法学者等を取締役に選任し、ブレーキとしての活用を積極的に考えてもよいのではないか、と考えます。
     
    経営は守りが7割、攻めが3割と言われることがありますが、最近特に守りの重要性が高まってきている気がします。

  • 地面師逮捕

    2005年04月14日

    地面師が詐欺罪で逮捕されたそうです。地面師というのは、土地(地面)を利用して行う詐欺師のことです。完全な所有権がないのに、あるように偽って取引を行い、相手から金を詐取します。
     
    今回は、容疑者は、自分が所有している土地について、債権者の抵当権が設定されていたにもかかわらず、虚偽の抵当権抹消書類を法務局に提出し、抵当権を抹消しました。そして、担保のついていない完全な所有権があるように見せかけ、消費者金融から、土地を担保に5,700万円を借り入れたということです。
     
    正当な抵当権者がいるのですから、すぐバレると思うのですが。
     
    さて、消費者金融は、土地に抵当権が設定されていれば、5,700万円を貸すことはなかったのであり、その意味で詐欺罪が成立することになります。
     
    地面師は、このように、自分の土地を使うこともあれば、他人の土地を使うこともあります。他人の土地を使う場合には、次のような手口があります。
     
    ①土地を所有している他人(「福地さん」とします)、及びその他1人(「身代さん」とします)の住民票を勝手に他の市町村に移動し、そこで新しい印鑑証明書を登録します。そうすると、自分が持っている印鑑で他人の実印登録をすることができます。(なお、この行為自体も犯罪ですのでやってはいけません。)
    ②詐欺師の1人が福地さんになりすまし、新しい実印と印鑑証明書を使い、保証書方式で、身代さんの名義に土地の所有権を移転します。
    ③詐欺師のもう1人が、身代さんになりすまし、新しい権利証(福地さんから身代さんに所有権が移転したので、新しい権利証ができます。)、新しい身代さんの実印、印鑑証明書を使って金を借り、または第三者に土地を売却して金を詐取します。
    ④その後逃走します。後で気付いた関係者がびっくり仰天ですが、詐欺師達の痕跡は残っていません。
     
    土地を所有している他人(福地さん)の他に、もう1人(身代さん)になりすますのは、福地さんになりすますだけでは、土地の権利証がなく(福地さんが持っています)、金融機関ないし買主に取引を拒絶される可能性が高いからです。
     
    不動産取引をしようとする人は、次の兆候がある場合には注意が必要です。
    ①取引直前に所有者の住所が移転し、すぐに売買され、または担保が抹消されている。
    ②不動産を譲り受けた直後に、合理的な理由なくすぐ不動産を売ろうとしている。
    ③取引を急いでいる。
    ④建物付きの場合には、内見できない。
     
    なお、不動産登記法が改正され、権利証制度が変わりましたので、上記の方法はそのまま使えません。でも新しい方法を考えるでしょう。不動産取引の際はお気を付けください。

  • 交通事故と慰謝料(死亡事故)

    2005年04月13日

    慰謝料は、交通事故の被害者が被った様々な損害のうち、精神的損害に対する賠償のことです。交通事故による損害賠償イコール慰謝料ではありません。
     
    死亡事故の場合も同様です。慰謝料の他、逸失利益や葬儀費用その他の賠償があります。
     
    このうち、慰謝料については、だいたいの金額の相場があります。
     
    交通事故により死亡した者の家庭における立場により、次のように分類されています(赤い本2005による)。
     
    一家の支柱 2,800万円
    母親、配偶者 2,400万円
    その他(独身者、子供、幼児等) 2,000万円~2,200万円
     
    この金額に、死ななかったら将来得られたであろう収入の概念である逸失利益が加算されることになります。
     
    子供や幼児が亡くなったときの両親の悲しみは、一般的に他の場合よりも精神的苦痛の程度は大きいような気がします。判例の集積により是正されることを期待します。

  • ひき逃げ犯逮捕

    2005年04月10日

    4月9日に、群馬県高崎市の交差点で、運転代行会社の乗用車が4WD車に側面衝突され乗務中の2人(40歳と50歳)が死亡した事故で、容疑者(29歳)が逮捕されたそうです。
     
    容疑は、業務上過失致死と道路交通法違反。容疑者は「酒を飲んでいたので免許を取り消されると思い、逃げた」と話しているとのこと。

    事故原因は、同容疑者が赤信号を無視して交差点に入ったとみて、危険運転致死容疑でも調べるということです。

    まだ容疑の段階なので、この容疑者が犯人かどうかわかりませんが、犯人は、信号無視とひき逃げと被害者2人死亡が重なると、実刑は免れないでしょう。 酒を飲んでいた情状が上乗せされると、何年の判決が出ることか。

    事故を起こしたときにはパニックになりますが、後のことを考えると、必ず救急車を呼んで救護し、謝罪し、きちんと誠意をもって対応していかなければなりません。

    ちなみに、悪質な交通事故のため、「慰謝料増額事由」に該当し、民事でも通常よりも高額の賠償となるでしょう。

  • 交通事故のホームページ

    2005年04月10日

    ゴールデンウイーク中に、交通事故SOSのホームページのデザインを変えてみました。
        ↓
     
    内容は変えていませんが、デザインを変えるだけで随分時間がかかりました。