東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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  • 相続と遺言の本出版です!

    2015年10月12日

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    新刊出しました。今回は、【相続】です。

    自分が死んだ後、30年間、自分の思い通りに
    遺産をコントロールする方法を解説しました。


    マイケル・ジャクソンの遺産は、どうやって
    わけられたか、についても解説してあります。

    税理士が悩んでいる「名義預金」の回避法も
    説明してあります。

    名義預金の回避法はない、と言われていましたが、
    この方法はどうでしょうか?

    読んでみていただければと思います。

    会社を経営している人で、将来、会社が
    倒産してしまうとき、自宅を守れないか、
    と思っている人も多いと思います。

    ぜひ、読んでください。

    遺言書を書きたいけれど、遺留分が心配だ、
    という人がいるでしょう。

    ぜひ、読んでください。

    回避可能かもしれません。

    知識は力です。

    知っておくだけで、違います。

    「遺言と贈与はまだするな!
    「信託」で自分の死後三〇年間財産を支配し続ける方法 」
    (万来舎)

    http://www.amazon.co.jp/dp/4901221930/

  • 未成年の子供が行った契約を解除することができる?

    2015年04月28日

    新年度が始まってから少し経ちました。

    希望に燃えて社会人生活をスタートした人もいるでしょう。
    残念ながら、すでに5月病? で会社に行きたくないという人もいるかもしれません。

    何事も、新しく始めるにはエネルギーが必要ですが、それが間違った方向に向かってしまうとトラブルの原因にもなってしまいます。

    今回は、勢い余って問題を起こしてしまった? 息子の親御さんからの相談です。
    一体、何をやらかしてしまったのでしょうか?
    Q)お恥ずかしい話なのですが…18歳の息子が私たち親に無断で、しかも年齢を誤魔化して自動車を買っていました。叱ったところ本人は反省していましたが、問題は自動車です。法的には、ディーラーに対して契約を取り消すことはできるのでしょうか?

    A)子供が親に無断で買った車の契約を解除したいということですが、基本的には取り消すことができます。
    しかし今回の場合、息子さんは年齢を誤魔化して相手方をだましています。
    このような場合、法的には「民法」第21条により、契約を取り消すことはできません。
    【未成年者と売買契約の関係とは?】
    近年、選挙権の18歳への引き下げ問題や民法改正などの報道がありますが、日本の法律上、18歳は未成年です。

    「民法」
    第4条(成年)
    年齢20歳をもって、成年とする。
    また、未成年者は原則として親の同意がなければ、物の売買や貸し借りなどはできません。

    第5条(未成年者の法律行為)
    1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
    法定代理人とは、法律により代理権を有することを定められた者のことですが、本人が未成年者の場合は親権者であり、原則は父母になります。(第818条)

    同意の内容は具体的なものでなくてもよく、今回のケースでは「車を買ってもいい」という親の同意で十分とされています。

    なお、旅費や学費などのように使い道が決められているものや、小遣いなどは親の同意はなくても使っていいということになっています。
    【未成年者の売買契約は取り消すことができる?】
    では、親の同意を得ないで行った子供の売買契約を取り消すことはできるでしょうか?

    民法の第5条の2項では次のように規定されています。

    2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

     

    全国の親御さんは安心してください、子供が無断で買った物、契約は取り消すことができます。
    仮に代金を支払っているなら返金請求ができます。

    なお、契約の取り消しができるのは本人と親で、その時効は5年です。(第126条)
    5年間、「取消権」を使わないと取り消すことができなくなりますので注意してください。

    ところが…今回のケースでは、すんなりと事が運ばない可能性があります。
    条文を見てみましょう。

    第21条(制限能力者の詐術)
    制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
    何やら1度読んだだけでは、よくわからないかもしれませんが、今回のケースに当てはめてみると以下のようになります。

    未成年の息子(制限行為能力者)が、自分は成年(行為能力者)であるとディーラーにうそをつき、だまして(詐術を用いて)契約したので、今回の自動車を購入した契約は、本人も親も取り消すことができない。

    実際、どのような状況だったのか相談内容からだけではわからないので詳しくは言えませんが、たとえば、偽造した免許証を提示するような行為は詐術になりますし、自分は20歳以上の成年だと言わなくても、言葉巧みに相手に誤信させて信じ込ませる言動をしていれば詐術とみなされる可能性があります。

    この法律には、人をだますような未成年者は法律で保護する必要はないとするのと同時に、相手方が契約を取り消されないための保護という観点もあります。

    人をだますことは、たとえ未成年者でも許されないということは親も子供も肝に銘じておきましょう。

    今回の件、最終的には先方と交渉してみないことにはどうなるかは何とも言えないところですが、法的な部分では弁護士などの専門家に相談することをお薦めします。

    ご相談はこちらから⇒ http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/

  • 妻の借金、夫にも返済義務はある?

    2015年03月31日

    「一蓮托生」という言葉があります。

    もともとは仏教思想が由来のようで、善い行いをした者は死後、極楽浄土で同じ蓮の花の上に身を託して生まれ変わることができる、という意味だそうです。

    そこから転じて、物事の善悪や、結果の良し悪しにかかわらず、仲間として行動や運命をともにする、という意味で使います。

    会社の社長と社員も、スポーツなどのチームの監督と選手も一蓮托生でしょう。
    さらには、何らかの犯罪組織や反社会的活動をする団体も一蓮托生ということになります。

    ところで、夫婦というのも運命共同体、もしくは修行のようなものだという人もいますが、配偶者がしたことに関して法的に責任を負う義務があるのか? というのが今回のテーマです。

    相談内容は……すばり、お金絡みです。

    Q)どうやら妻が借金をしているようなのです。私の会社に、消費者金融の会社から催促の電話が入るようになりました。これから妻とも話さなければいけませんが、その前に法的には、妻が借りたお金の返済について、夫にも責任があるのか知りたいのです。よろしくお願いします。

    A)妻が借りたお金の返済に関して、夫にも支払い義務はあるのか? ということですが、「民法」第761条により、「夫婦の日常家事における債務」については、夫もその債務について連帯責任があると規定しています。
    よって、妻が返済できない借金については、夫であるあなたにも返済義務が生じる可能性があります。
    夫婦が結婚生活を続けていくには、生活必需品、例えば衣食住にかかるお金や、電気・ガス・水道などの光熱費、医療費、自動車の費用、交際費、子供の教育費など、さまざまなお金が必要です。
    家計は妻任せ、毎月の収入から生活費を渡して、やりくりしてもらう男性も多いでしょう。

    こうした日常の家事に関して、仮に妻が第三者に対して行った法律行為の債務については、夫も連帯責任を免れません。
    「妻が勝手にやったことだから、私は知らない、関係ない」というのは通用しないということです。

    では、条文を見てみましょう。

    「民法」
    第761条(日常家事に関する債務の連帯責任)
    夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
    実際、今回の相談内容からは借金がいくらあって、妻は何に使ったのかがわからないので正確に回答はできませんが、「日常家事に関する債務」かどうかがポイントになります。

    しかし、日常の家事の債務について明確に規定するのは難しく、裁判で争われる場合は、その夫婦の収入額やライフスタイルなどによってケースバイケースで判断されます。

    ちなみに、過去の判例では、次のものなどが日常家事債務として認められています。
    ・月収が手取り30万円の家庭が購入した約60万円の子供向け学習教材
    ・夫婦が共同生活を営むための家屋の家賃
    ・妻が買った子供の洋服代
    ・テレビの受信料 など。

    一方、日常家事債務として認められなかったものには以下のようなものなどがあります。
    ・月収が約8万円の家庭が購入した約41万円の太陽熱温水器
    ・妻が知人の借金債務を保証する目的で負担した連帯債務
    ・ギャンブル代 など。

    たとえば妻が、ホストクラブに使った借金の場合は、通常は妻個人の債務ということになるでしょう。

    いずれにせよ、「夫婦の事情」があることですが、相談者の方はまず妻と話し合いの機会を作って、事の次第について訊いてみることが必要でしょう。

    隣人トラブルでもそうですが、未然に問題を防ぐためにも、起こってしまった問題の解決にも、やはり人間同士のコミュニケーションが大切なことは言うまでもありません。

    もし、話し合いがまとまらなかったり、法的な対応の必要がある場合は弁護士などの専門家に相談することをお薦めします。
    ご相談はこちらから⇒
    http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/

  • 増え続ける空き家に空き家対策法が施行

    2015年03月04日

    総務省が公表した「人口推計(2015年2月概算値)」では、日本の総人口は1億2697万人で、前年同月比22万人減となっています。

    また、厚生労働省の人口推計では、2060年には9000万人を割り込み、高齢化率は約40%にもなる見込みだということです。

    この先、一体どんな未来が待っているのでしょうか?

    ところで、少子高齢化にともなって、近年クローズアップされてきたもののひとつに「空き家問題」があります。

    今回、空き家問題に関する法律に関して動きがあったので解説したいと思います。

    「1年間使われなければ“空き家”利用促進へ指針」(2015年2月26日 読売新聞)

    国土交通省と総務省は、荒れ果てた「空き家」の撤去や利用促進のための基本指針を公表しました。

    これは、2014年11月に成立・公布された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称、空家対策特別措置法)が2月26日に一部施行されたことに合わせて公表されたもので、判断基準として、建物が1年間を通して使用されていないことなどを示したものです。

    市区町村は今後、指針に沿って対策計画を作り、取り組みを本格化させるとしています。

    なお、同法では、近隣に危険や迷惑を及ぼす「特定空き家」について、市区町村に解体の指導や命令、行政代執行を行うことが認められましたが、この部分は5月に施行されることになっています。
    【空き家とは?】
    総務省が公表した「平成25年住宅・土地統計調査」によると、全国の住宅総数は6063万戸、総世帯数は5025万世帯。
    そのうち、約820万戸が空き家で、空き家率は13.5%となり年々増加しています。

    こうした現状を踏まえて成立したのが「空家対策特別措置法」です。

    この法律は全部で16条から成り、「適切な管理がされていない空き家が防災、衛生、景観などで地域住民の生活環境に深刻な影響をおよぼしていることから、その生命、身体、財産を保護するとともに、空き家の活用を促進する」(第1条)ことを目的としています。

    ところで、空き家とはどういうものを指すのかといえば、同法では以下のように定義しています。

    「建築物又はこれに付属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」(第2条1項)で、立木、門、塀、ネオン看板なども含みます。

    こうした空き家について、今回の指針には以下のようなことが盛り込まれています。

    ・空き家の所有者が自らの責任で的確に管理、対応すること。
    ・所有者が経済的な理由等から十分管理できない場合は、各市区町村が地域の実情に応じて地域活性化などの観点から有効活用を図る。
    ・周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空き家は、各市区町村が適切な措置を講じ、かつ情報を提供する。
    ・使用実態の有無については、建築物等の用途、人の出入りの有無、電気・ガス・水道の使用状況及びそれらが使用可能な状態か否か、所有者の利用実査気についての主張などから客観的に判断する。
    ・建物等の使用実績が、概ね1年間ないことを空き家の基準とする。
    ・空き家に関するエータベースの整備。
    ・空き家及びその跡地の活用促進 など。
    【特定空き家とは?】
    次に、報道の中にもあった「特定空き家」について見ていきましょう。
    こちらは、今年5月の施行です。

    特定空き家とは、以下のものをいいます。(第2条2項)
    ・倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
    ・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
    ・適切な管理が行われないことにより、著しく景観を損なっている状態
    ・その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

    また、空家対策特別措置法では、特定空き家に対して以下のような措置を取ることができると定めています。
    ・市町村長は、所有者に対して除去・修繕・立木竹野伐採・その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるように助言、指導することができる。(第14条1項)
    ・改善されない場合は、助言・指導を受けた者に対して必要な措置をとるように勧告・命令することができる。(第14条2項、3項)
    ・それでもなお必要な措置を講じない場合は、行政代執行法が定める通り、市町村長は強制執行することができる。(第14条9項)
    ・市町村長は、当該職員や委任した者に空き家と認められる場所に立ち入り調査をさせることができる。(第9条2項)

    罰則については、第14条3項に違反した場合、50万円以下の過料、第9条2項に違反した場合は、20万円以下の過料となります。
    さて、ここまで見てくると、空家対策特別措置法には2つの目的があることがわかります。
    ひとつは、問題のある空き家に対する除去などの対策強化。
    もうひとつが、空き家の有効活用の促進です。
    【空き家対策に関連したさまざまな問題】
    なお、空き家の固定資産税について政府・与党は、平成27年度与党税制改正大綱に、税金面の優遇措置をなくし増税する方針を盛り込んでいます。

    今まで、住宅が建つ200平方メートル以下の土地の場合、税率は6分の1に軽減されていました。
    しかし、空き家を取り壊して更地にした場合、この特例措置が受けられなくなっていたため、空き家が増え続ける要因にもなっていました。

    ところが今回の税制改正で、倒壊の恐れのある危険な空き家にも今までの6倍の固定資産税がかかるようになるわけです。

    また、2019年に日本の世帯総数がピークに達し、その後減少に転じることでマイホーム需要も減少して、住宅不況が起こることを危惧する、いわゆる2019年問題も控えています。

    空き家対策が進まないと、2023年には空き家率が21.0%にまで増加するという野村総合研究所の予測もあるようです。

    まだまだ不透明な部分もありますが、今後の空家対策特別措置法の動向を見守っていきたいと思います。

  • 酒の席での口約束に効力はあるのか?

    2014年12月26日

    年末年始は、何かとお酒を飲む機会が増えるものです。

    酔った勢いで気が大きくなって、ついつい大風呂敷を広げてしまった…、安請け合いをして、あとから後悔するハメに…そんな経験をした人もいるのではないでしょうか。

    今回は、お酒に酔って仕事の契約をしてしまったらしい方からのご相談です。

    Q)食品会社を経営する者です。先日、ある取引先の社長、専務と飲み会をしました。その席に、私は初めてお会いした別会社の社長Aさんと営業部長Bさんがいました。みなさん、お酒が好きで私もついつい飲みすぎました。後日、そのAさんから電話があり、「先日の案件について契約を結びたい」といいます。どうやら、お酒の席で契約の約束をしたようなのですが、私はその場のノリで応えたつもりでした。取引先の社長に確認すると、Aさんは本気らしいといいます。まさか…いや、本気ならば困ったことに…。酒の席での口約束に効力はないですよね? 法律的にどうなのか教えてください。

    A)法律上は口約束でも契約は成立します。契約書がなければ契約の効力はない、というわけではないのです。ただし、訴訟となった場合には、①口約束の内容に契約書に相当するような具体性があるか、②契約内容について双方が合意しているか、③それらを、訴えを起こした側がきちんと証明できるか、が争点となってきます。
    【契約とは】
    法人を含む人と人との間で、何らかの私法上の効果を生じさせる(権利義務を発生させる)合意のことを「契約」といいます。

    たとえば、ある物を「売りたい人」と「買いたい人」との間で意思表示が合致すれば、売主はその物を引き渡す義務と、代金を請求できる権利を取得します。
    一方、買主は代金を支払う義務と、物を請求できる権利を取得するという私法上の効果が生じます。

    また、当事者間で意思表示の合致があれば、契約の内容も当事者間で自由に決めることができるのが原則です。
    これを、「契約自由の原則」といいます。

    契約は、基本的には当事者がお互いに納得していれば(意思表示が合致していれば)、契約書がなくても成立しますし、内容も自由に決定できるのです。

    ただ、事はそう簡単ではありません。

    【裁判における立証責任とは】
    裁判では、原則として訴えを起こした側に立証責任があります。

    ご相談のケースでは、仮に相手の社長Aさんが民事訴訟を起こした場合、飲み会で口約束した契約の内容をAさんが具体的に証明する必要があります。

    「言った」「言わない」の論争になるでしょう。

    また、酒席で、「売ります」「買います」と言ったことを立証できたとしても、それだけで契約が成立した、と認定されることは少ないでしょう。

    当事者の意思解釈としては、「売るつもりがあるので、別途打ち合わせしましょう」「買うつもりがあるので、別途打ち合わせしましょう」という趣旨であるとされるのが一般的でしょう。

    どうしても、酒席で契約を成立させたかったら、その場で、契約書を作成し、契約書の末尾に「酒席での契約ではあるが、双方細部まで確認し、真に契約を成立させる合意をした」旨記載しておくべきでしょう。
    また、その場に第三者がいる場合には、「双方契約の意思を確認しました」と、立会人として署名捺印をもらっておくとよいでしょう。

    法律の建前と現実は、異なる、ということです。

    ですから、「法律ではこうなっているよ」と言っても、現実には役に立たないこともありますので、注意が必要ですね。

    【契約書の重要性】
    契約書の作成は契約の成立要件ではありませんが、口約束ではあとから「そんな契約はしていない」、「契約の内容が違う」などと言われ紛争になる可能性があります。
    そうした紛争を未然に防ぐためにも、やはり契約書を作成するべきです。

    近年は、取引内容が複雑化している傾向があります。
    契約書に、きちんと契約内容を整理して明確化しておくことが、取引関係を良好に維持していく上で非常に重要となってきています。

    また、日本でも紛争解決の手段として裁判を起こすケースが増えてきましたが、裁判で重要な証拠となるのが契約書、覚書、合意書等の書面なのです。

    いずれにせよ、今回のケースでは相談者の方は社長Aさんに対し、酒の席での非礼をお詫びして理解してもらうのがよいでしょう。
    その上で、新たな商談など進めていければ、いい関係が築けるかもしれません。

    それでも、紛争に発展するような場合は弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

    相談はこちらから⇒「顧問弁護士相談SOS」
    http://www.bengoshi-sos.com/about/0903/
    「酒と人間とは、絶えず戦い絶えず和解している
    仲のよい2人の闘士のような感じがする。
    負けたほうが勝ったほうを抱擁する」
    (シャルル・ボードレール/フランスの詩人・評論家)

  • 落とし物に関する法律~遺失物法

    2014年08月25日

    道端で10円や100円の硬貨を拾うことがあります。

    子供の頃、それを交番に届けて警察官から「偉いな」、などとほめられたことがある人もいるでしょう。
    何か、いいことをした気分になったものです。

    ところが、それが高額なお金だった場合、さぁどうするでしょう?
    ・まずは、びっくりして驚く
    ・「どっきり」じゃないかと疑う
    ・手にとってニセ札じゃないか確認してみる
    ・怖くなって、その場から立ち去る
    ・とりあえず、警察に届ける
    ・あたりを見回して、そっとポケットに入れる

    あなたなら、どうしますか?

    そんな事件が起きました。

    「電話ボックスに100万円 茨城・小美玉市のスーパー」(2014年8月19日 産経新聞)

    茨城県小美玉市内のスーパー敷地内にある電話ボックスから、現金100万円が見つかり、石岡署は拾得物として持ち主を捜しているということです。

    報道によると、11日午前8:30頃、開店前の清掃作業をしていた従業員が発見。
    翌日、報告を受けた店長が110番通報をしたようです。

    落とした人が取りに来ることを想定して1日待って翌日届けたのだと思いますが、できれば当日届けたいところです。
    ところで、子供の頃、親や教師からこんなことを言われた記憶はないでしょうか?
    「お金や物を拾ったら交番に届けましょう」
    「拾ったお金の1割は拾った人がもらえる」
    「持ち主が現れない場合は、拾った人のものになる」

    それでは、これらの話の法的根拠を解説していきます。

    日本には、「遺失物法」という法律があります。
    これは、1899(明治32)年に公布され、その後、2006(平成18)年に表記を現代用語化する目的で全部改正されました。

    【拾得者の義務とは】
    「遺失物法」
    第4条(拾得者の義務)
    1.拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
    落としものを拾った人は、「速やかに」持ち主に返却するか、警察に届けなければいけないということです。
    これに違反すると犯罪になります。

    「刑法」
    第254条(遺失物等横領)
    遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

    【報労金とは】
    「遺失物法」
    第28条(報労金)
    1.物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定に より売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。
    つまり、100万円を拾って警察に届け出て、その後に落とし主が見つかった場合、落とし主は拾った人に対して報労金として5%(5万円)以上、20%(20万円)以下を支払わなければいけないわけです。

    これは、落とし主がどの程度支払うかを決めるわけですが、争いになった場合には、裁判所が決めることになります。

    なお、報労金は遺失者(落とし主)に返還された後、1ヵ月を過ぎると請求できなくなります。(「遺失物法」第29条)

    【遺失物の所有権とは】
    「民法」
    第240条(遺失物の拾得)
    遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後3ヵ月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。
    「遺失物法」の改正前は保管期間が6ヵ月でしたが、現在は3ヵ月経ても落とし主が現れなければ、拾った人のものになります。

    ちなみに、拾い主による落とし物の引取り期間は権利が発生してから2ヵ月間となっています。
    古い話ですが、バブルの頃の1989(平成1)年、川崎市の竹やぶでカバンに入った1億4500万円が見つかった事件がありました。

    その後さらに、9000万円が発見され、後に某通販会社社長が名乗り出て返還されましたが、脱税したお金の処理に困った末に捨てたものだとわかったというものでした。

    お金をわざと捨てる人がいるのか、と、ニュースで知った時は驚きました。L(゚□゚)」オーマイガッ!

    このケースはわざと捨てたものでしたが、今回の100万円のケースは、落としてしまったものと推測されます。

    ニュースを観て、早く取り戻せるといいですね!

    大切な物を落とさない秘訣は、第一に身につけてしまうこと、第二にいつも持ち歩くカバンと別なもの(紙袋など)に入れないこと、です。

    落とし物をすると、精神的なショックが大きいので、くれぐれも気をつけたいものです。

  • セクハラの代償・・・

    2014年08月11日

    先日、セクハラについて解説しました。

    詳しくはこちら⇒「会社の飲み会への強制参加はセクハラになる!?」
    https://taniharamakoto.com/archives/1586

    会社の強制参加の飲み会が苦痛だという、ある女性社員のお悩みについて、上司や先輩社員からの「まだ結婚しないの?」などの発言、肩を抱かれるなどの行為も含めて、強制参加が行われている場合は、飲み会の席は実質的に職場の延長と判断されるため、セクハラになるというものでした。

    ここでは、被害に遭った女性社員の立場からセクハラを解説したわけですが、今回は逆に、加害者と企業の法的責任について考えてみたいと思います。
    「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(厚生労働省告示第615号)というものをご存じでしょうか?

    これは、「男女雇用機会均等法」第11条2項に基づいて厚生労働大臣が定めるもので、職場における男女双方に対するセクシュアルハラスメント対策として、事業主に措置を講ずることが義務づけられているものです。

    全部で9つの項目が定められているのですが、以下に抜粋します。

    〇事業主の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に対してその方針を周知・啓発すること。

    〇相談、苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること。

    〇相談があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正に対処すること。

    〇相談者や行為者等のプライバシーを保護し、相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
    会社が、これらを怠ったり、相談・苦情に適切に対応しなかった場合、被害者が泣き寝入りせず、取り得る手段にはどのようなものがあるでしょうか?
    【労働基準監督署や労働局などに相談】
    各都道府県の労働基準監督署や労働局、労働委員会などにある窓口に相談すると、事業所への助言、行政指導、勧告、立ち入り調査などが行われます。

    これを受けて、事業主(会社)は行為者(加害者)に対して、減給・停職などの懲戒処分を行います。
    また、申立者(被害者)への慰謝料などの解決金の支払いや、再発防止策の徹底を行います。
    【民事訴訟】
    被害者は、加害者と会社に対して責任の追及と賠償請求をすることができます。

     

    過去のセクハラ裁判で有名なものに「北米トヨタ自動車セクハラ訴訟事件」というものがあります。

    これは、2006年、北米トヨタ自動車で社長アシスタントをしていた日本人女性(当時46歳)が、日本人社長からセクハラを受けたとして、同社と社長などを相手取って総額1億9,000万ドル(当時のレートで200億円以上)の損害賠償請求を起こした事件です。
    最終的には和解が成立し、女性は巨額の和解金を手にしたといいます。

    一体、いくら手にしたのでしょうか……。
    【刑事訴訟】
    被害者の訴えにより、セクハラは刑事事件になる場合もあります。
    現在、セクハラに直接抵触する法律はありませんが、加害者の刑事責任を追及する法律には次のようなものがあります。

    「刑法」第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
    ※怪我をさせた場合ですが、精神を衰弱させるような精神的傷害にも適用

    「刑法」第223条(強要)
    1.生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

    「刑法」第230条(名誉棄損)
    1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

    「刑法」第231条(侮辱)
    事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

    その他、場合によっては、暴行罪や強制わいせつ罪、強姦罪が適用される可能性もあります。
    「これくらいは平気だろう」と勝手に考えて行った言動が、相手にとっては不快なセクハラ行為と受け取られれば、セクハラになってしまいます。

    その結果、民事、刑事で告訴されることもあるということです。

    北米トヨタのセクハラ事件ほど巨額の賠償請求は、日本においてはそうあるわけではないとしても、民事でも刑事でも訴訟に発展すれば、社会的な信用を失うことにもなってしまいます。
    失うものは大きいですね。

    職場での言動には十分注意して、お互いが気持よく働ける職場環境を、会社も従業員も目指していきたいものです。

  • 医療業界に興味のある士業へ

    2014年07月20日

    今回は、弁護士・税理士・公認会計士・社労士・行政書士やコンサルタント向けです。

    特に医療マーケットに興味がある人向けですね。

    今、士業の業界はどこも非常に厳しい状況です。

    弁護士業界でも、軒並み「収入が落ちた」という声を聞きます。

    この状況は、これから続くでしょう。

    と、いうより、より深刻となると思われます。

    そんな時は、どうすればいいか?

    答えは・・・・
    「ブルーオーシャンを見つける!」

    ことですね。

    その昔、子供向けサーカス業界の人気がなくなり、どこのサーカスも経営が厳しくなって廃業を余儀なくされた時代がありました。

    その時、ブルーオーシャンを見つけた企業がありました。

    その企業は、

    サーカスを子供向けではなく、大人向けにやる、ということです。

    サーカスが大人マーケットに参入したのです。

    そのサーカスは、大ヒットとなり、サーカスの復活を遂げました。

    その企業とは、

    シルク・ドゥ・ソレイユ

    です。

    ところで、運送業は、企業から荷物を受け取り、企業へと運ぶ仕事が主流です。

    それ以外には仕事がなかった時代がありました。

    運送会社は、如何に企業に営業をかけるかにシノギを削り、値下げ競争も激しくなり、廃業を余儀なくされた時代がありました。

    その時、ブルーオーシャンを見つけた企業がありました。

    その企業は、その当時では誰も考えつかなかった、

    「個人宅配」

    を始めたのです。

    個人宅配は、大変な苦労はあったものの、その後大きなマーケットと成長し、それとともにその企業も成長を遂げました。

    その個人宅配の名称とは、

    クロネコヤマトの宅急便

    です。
    これらの例を見ると、業界が厳しい時には、ブルーオーシャンを見つけて、大復活を遂げることが、成功の秘訣だということがわかります。

    そこで、今回は、非常に厳しい士業・コンサルタントの方へ、一つのブルーオーシャンをご紹介したいと思います。

    ブルーオーシャンは競争相手があまりいないからこそ、ブルーオーシャンと呼べます。

    如何に早く参入し、自分のブランドを構築するかがキモとなってきます。

    その一つが医療マーケットです。

    今の厳しい状況から抜け出し、ブルーオーシャンを悠々と泳ぎたいと思う士業・コンサルタントの方は、ぜひご覧ください。

    http://e-skillup.biz/clinic/

     

     

  • 法律動画が見放題!

    2014年05月24日

    今回は、お知らせです。


    士業・経営者・個人事業主、総務部・経理部のスタッフの
    方々に役立つ法務情報サービス

    「マイ法務プレアミアム」
    http://myhoumu.jp/premium/?mtb

    を提供しています。

    オンライン講座や加筆修正可能な書式300種類以上、
    自社に有利な条項が入った契約書式などを
    ご利用できます。

    動画講座は、随時追加してまいります。

    【追加予定の講座】

    ○会社名や店舗名と商標権との関係(解説:弁理士)

    ○パワハラ・セクハラ防止対策(解説:弁護士)

    ○会社がやっておくべきSNS対策(解説:弁護士)

    ○インターネットで商品を販売する際に注意すべきポイント(解説:弁護士)

    ○経営者が知っておくべき会計と財務分析(解説:公認会計士)

    ○建設業法をズバッときる!許可等の手続編(解説:行政書士)

    ○建設業法をズバッときる!許可後のコンプライアンスと展望編(解説:行政書士)


    このマイ法務プレミアムは

    2014年6月1日まで、29,800円(初年度)ですが、
    2014年6月2日から、34,800円となります。

    ・スタッフ用の研修講座として利用したい

    ・今後の新規取引に備えて弁護士監修の書式を利用したい

    ・法務部がないので、法務チェックのスキルを社員に学ばせたい

    ・契約書の危ない条項を見抜ける力をつけたい

    という方は、この機会にご利用いただくとお得です。


    ◎経営やビジネスに役立つ講座6本

    ・今さら訊けないビジネスマナー
    ・アナウンサー直伝!スピーチ・プレゼンの技術
    ・仕事を呼び込む名刺、プロフィールの作り方
    ・クライアントに響く文章力アップの秘訣
    ・自然にお客様が集まる魔法の質問
    ・ボディーガードが教える!護身テクニック


    ◎弁護士による法務関係セミナー動画11本

    ・契約書を作る際に知っておくべき基礎知識
    ・結ぶと危ない契約条項のチェックポイント
    ・弁護士が教える債権回収マニュアル
    ・就業規則作成の5つのポイント
    ・会社のために許される解雇・許されない解雇
    ・残業代請求対策マニュアル
    ・取締役の法的責任
    ・事務所を賃借する際に注意する法的ポイント
    ・これから相続する人のための法律知識
    ・中小企業の事業譲渡M&Aで必須の法律知識と手続き
    ・請負契約における法律知識と契約実務


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    ◎甲有利・乙有利版の書式


    ●今までのご利用者様の声

    ————————-
    東京都練馬区 税理士 S先生

    私の顧問先は、20名前後の中小企業が多いのですが、
    顧問弁護士を雇っていない会社がほとんどです。

    税務面はサポートできても、契約書の締結や
    チェックなどの法務面については対応できません。
    そのため、新規の取引や契約について、
    相談を受けた時は、マイ法務さんの書式を
    使用することを勧めています。

    弁護士先生の監修が入っていることと
    自社に有利な条項が盛り込まれているからです。

    また、動画解説にある「債権回収」については、
    経営者の方にまず最初に見るように伝えています。

    ————————-

    埼玉県所沢市 税理士 A先生

    ワード形式で編集できる契約書式数の多さは魅力でした。

    それ以上にビジネスマナーやプレゼンテーションの仕方、
    文章力アップのスキルを学べる講座なども決め手でした。

    動画で学んだスキルを参考に、新規のお客様や
    相談者様に実践するようにしています。

    契約書による法律の守りの部分だけでなく、
    顧問先拡大につながるビジネススキルなどを
    学べるのはとてもお得です。
    これから追加される動画も楽しみです。


    ————————-
    東京都港区 セキュリティコンサルタント S様

    私は、危機管理マニュアル作成や社内犯罪や
    広報におけるリスクマネジメントの
    コンサルティング業務を行っています。

    今回は、お客様とコンサルタント契約を
    締結する際に活用させていただきました。

    案件やご依頼者様ごとに手を加える必要が
    あるのですが、基本的な項目が盛り込んであるので
    確認しやすく、注意点も明記されていたので、
    とても使い勝手が良いものでした。

    また、動画解説も役立ちました。
    盛り込むべき項目と注意すべき項目は、
    他の契約締結時にも注意するようにしています。

    契約書でのリスク回避のポイントが
    網羅されているので、経営者は、
    知っておくべき内容だと思います。

    ————————-

    デザイン会社 代表 S様

    下請けでデザイン制作の仕事をしております。
    お客様へのコンサルティング業務が
    発生したため、その契約書の締結のために
    書式を探していたところ、マイ法務さんに
    たどり着きました。

    いままでは、小さな案件の仕事
    は契約書を締結せずに進めていました。

    また、契約書を取り交わす際も相手に
    提示されるまま印鑑を押していました。

    契約書の基礎知識や危険な条項の解説を聞いて、
    何も知らずに契約を締結するコワさを
    教えていただき、いまでは、新規契約の際には、
    しっかりチェックするようにしています。
    ありがとうございました!

    ————————-

    介護関連会社 代表 M様

    従業員との労働問題に遭遇し、
    法律的な事項の理解が必要と感じていたところ、
    「マイ法務プレミアム」では解説動画やQ&A
    が充実していたため、申込みをしました。

    事前に監修された動画や情報が整理されていて、
    弁護士に聞くよりも容易に調べることが
    できる点がよかったです。

    ————————-

    ◇マイ法務プレミアムの詳細はこちら

    → http://myhoumu.jp/premium/?mtb

  • 探偵業の適正化は可能か?

    2014年02月20日




    2012年11月、神奈川県逗子市で起きたストーカー殺人事件などに端を発し、現状の規制が被害防止に役立っていないことや多発するトラブルなど、探偵業のあり方が問題になっているようです。

    いわゆる「逗子ストーカー殺人事件」は、元交際相手の男(当時40歳)が当時33歳の女性を逗子市のアパートで刺殺し、その後に首つり自殺をした事件でした。

    男は、女性が他の男性と結婚したことを知ると、1,000通を超えるいやがらせメールを送りつけ、探偵などに依頼して住所をつきとめた末に凶行におよびました。

    その後、他の事件から逗子ストーカー殺人事件は思わぬ展開を見せました。

    2013年11月、千葉県のガス会社の顧客情報が流出した事件で、苦情電話を装い威圧し、巧みに個人情報を奪ったとして東京都目黒区の調査会社の男が不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで逮捕。

    その後の取り調べで、この探偵業の男が逗子ストーカー殺人事件の被害者の住所の割り出しにも関わっていたことがわかったのです。

    「神奈川・逗子の女性殺害:ストーカー殺人 調査会社の男再逮捕 住所不正入手容疑」(2014年1月25日 毎日新聞)

    「探偵業者:虚偽説明で調査依頼のケース…念書形骸化」(2014年2月15日 毎日新聞)

    探偵業の男は、被害者女性の夫になりすまして逗子市納税課に電話。女性の住所を聞き出すなどして業務を妨害した疑いで、今年1月24日に偽計業務妨害容疑で再逮捕されました。

    「刑法」第233条(信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

    「偽計」とは、人をあざむく計略、策略のことです。

    被害者女性の夫であると欺いて、市の業務を妨害した、ということですね。

    一連の事件の流れを整理すると、探偵業者がストーカー殺人事件にどう関わったのかが見えてきます。以下のようになります。

    元交際相手の男が千葉県の探偵業者に依頼→千葉県の探偵業者が東京都目黒区の調査会社の男に外注→住所聞き出しを実行

    じつは、探偵業には「探偵業の業務の適正化に関する法律」(通称、探偵業法)というものがあります。

    これは、探偵業について必要な規制を定め、業務運営の適正を図り、個人の権利利益の保護に資するための法律です。

    この法律に違反すると、最高で「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」などの罰則と公安委員会による廃業命令などの行政処分があります。

    探偵業に関しては、調査依頼者との間における契約内容などをめぐるトラブルや違法な手段による調査、調査対象者などの秘密を利用した恐喝、従業者による犯罪の発生など、悪質な業者による不適正な営業活動があとを絶たないことから、2007年6月にこの法律が施行されました。
    しかし現実には、探偵業者による犯罪がなくなることはなく、逗子市の事件でも千葉県の探偵業者は探偵業法に基づき、ストーカー目的でないことを確認する文書にも署名させていたようですが、防ぐことができませんでした。

    ストーカーをしようと思っている人が、「ストーカー目的ではない」という書類に署名捺印することに躊躇するでしょうか?

    そうは思えません。もともと効果に疑問のある念書だと思います。

    なお、上記の報道記事によると、ここ数年の探偵や興信所が絡んだ事件やトラブルとして以下のような事件が発生しています。

    東京都渋谷区の女性(当時21歳)の誘拐事件で、容疑者らが事前調査として、対象女性の住所割り出しなど素行調査を探偵に依頼していたことが発覚。(2006年7月)

    警視庁立川署の巡査長が女性を射殺し自殺した事件で、巡査長が女性の素行調査を興信所に依頼していたことが発覚。(2007年8月)

    探偵業者などが弁護士や行政書士に依頼して、戸籍謄抄本を取得していた事案が相次いで発覚。使用目的を明示するよう謄抄本の取得方法が厳格化。(2008年5月)

    「別れさせ屋」をしていた探偵業の男が、離婚工作をした女性(当時32歳)と交際した末、殺害する事件が発生。(2009年4月)

    司法書士やハローワーク、携帯電話販売店などから個人情報を入手していた探偵業者などを愛知県警が摘発。(2011〜12年)

    神奈川県伊勢原市で、女性がDV被害を受けていた元夫に刃物で刺され重傷を負った事件で、元夫が探偵業者に依頼して女性の実家を割り出していたことが判明。(2013年5月)

    加古川市職員が探偵業者に住民情報を漏らし現金を受け取っていたことが判明。県公安委員会は同市の探偵業を45日間の営業停止とした。(2014年1月)

    警視庁の平成23年の資料「探偵業の業務の適正化に関する法律の附則に基づく検討結果について」によると、平成21年度の探偵業の届け出件数は4,953件、法令違反による検挙件数は2件、刑法等の法令違反による検挙件数は6件となっています。
    しかし、これらは氷山の一角でしょう。

    では、どうすれば探偵業界を浄化していけるでしょうか?

    弁護士は依頼を受ける時、依頼目的は当然聞きますし、相手に対する請求が正当かどうかを判断します。

    探偵業法は、業者に対し違法行為が目的ではない旨を確認する書面を依頼者に提出させることを義務付けていますが、形骸化している状況のようです。

    しかし、「秘密」を扱う探偵業者ならば、依頼の理由、背景、事情などを詳細に聞き取る必要が当然あると思います。こうした取り組みによって、犯罪の温床となることをある程度防げることになるでしょう。

    そして、違法行為やストーカー目的が疑われる調査依頼の場合には、その調査を断る義務を課してもよいでしょう。

    業務の適正化については、法務省の監督に服する債権回収会社制度が参考になるでしょう。

    報酬を得て債権回収業務を行うことは弁護士法により、弁護士にしか許されていません。

    特に、債権回収業務は、暴力団などの資金源になりうるところであり、かつ、恐喝などの違法行為が行われやすいところですから、安易に認めるわけにはいかないところです。

    しかし、バブル崩壊による大量の不良債権処理が必要となり、法務大臣の許可を得た債権回収会社は、弁護士法の例外として、債権回収業務を行えるようになりました。

    この債権回収会社が、業務を適法に行うため、会社には必ず1人は取締役に弁護士を就任させ、債務者との交渉を逐一記録・保存させて法務省が立入検査によって監督できるようにしています。

    そこで、この制度を参考に探偵業界の適正化を図ることが想定されます。

    まず、適正に業務するために、探偵業者には必ず弁護士を最低1人取締役として就任させ、どのような依頼を受けて良いのか、どのような調査をしてよいのか、コンプライアンスの観点から監督させると良いでしょう。

    そして、国家公安委員会などの許可法人のみが探偵業を営めるようにし、違法行為があれば許可を取り消すなど公安員会の監督に服する、という形式にすれば悪徳探偵業者は一掃されるように思います。

    さらに、調査費用の過大請求の問題もあります。この点については、探偵業者が行った調査業務を細かく記録して備え付けるよう法律で義務づけ、あとで監査できる体制にし、国会公安員会などの立入検査によって、業務と報酬の妥当性を監査する、という形にすれば法外な請求が防げるでしょう。


    つまり、探偵業者許可法人制への移行ということです。

    罪に対しては、法をもって厳格に対処していくのは当然ですが、罪を未然に防ぐことも重要です。

    法制度の整備と厳格化、制度化が、探偵業界にも必要となっている時期に来ているのではないでしょうか。

    小説や映画、漫画で活躍する探偵たちには、華やかなドラマや奇想天外な仕掛けが求められますが、リアルな現実世界の探偵には、厳格な倫理観に基づいた本物のプロフェッショナルが求められるということです。