法律講座 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
TV出演、取材、出版、研修、セミナー講師を受け付けています。
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  • 会話を続けるテクニック

    2021年11月15日

    メルマガより

    今回のYouTube動画は、

    【会話が続く】雑談を続けられない時は●●を引き出す!10万部著者が解説。

    他人と2人でいて、沈黙ほど辛いものはありません。

    なんとか場をつなぎたい。

    でも、何も思い浮かばない。

    そんな気持ち、もうなくなります。

    会話を続けるテクニックです。

    You Tubeで解説しました。

    ぜひ、ご覧ください。

    https://youtu.be/aA5HcoIC2A8

    さて、

    私は雑談が苦手です。

    特に話したいことがないためです。

    可能であれば、必要なことだけ話したいです。

    でも、社会生活を営んでいると、そういうわけにもいきません。

    雑談をして、人間関係を作っていく必要があります。

    そのために、私は、雑談が苦手であっても、雑談をする方法を考えました。

    雑談をする際にも、私は、質問力を多用します。

    質問をし、相手から情報を引き出し、それを広げていく、という方法です。

    質問をすれば、相手はとにかく質問に答えてくれます。

    沈黙を破ることができる、ということです。

    そして、言葉のキャッチボールの中で、会話が終わりそうな時、質問をすると、会話が終わるのを防いでくれます。

    相手が質問に答えてくれるからです。

    これは、相手を主役にして、雑談を続ける方法です。

    今回、ご紹介するのは、この方法とは違います。

    雑談の本質から、会話を続けるためのテクニックです。

    そのためには、相手の●●を引き出し、自分の●●を伝える、ということがポイントでした。

    誰とでも会話を15分以上続ける方法。

    You Tubeで解説しました。

    ご覧ください。

    https://youtu.be/aA5HcoIC2A8

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    https://www.mag2.com/m/0000143169

  • 【税理士向け】クラブの代金を交際費計上で重加算税

    2021年11月05日

    今回は、社長のクラブ利用代金の支払いについて損金計上が否認され、重加算税が課せられた裁判例をご紹介します。

    東京地裁令和2年3月26日判決(TAINS Z888-2321)です。

    (事案)

    原告らは、人材派遣業、飲食店経営などを営む株式会社であり、Aが代表者あるいは実質的な経営者であった。

    Aは銀座のクラブ4店舗を合計372回利用して、利用代金を業務のための交際費として計上して法人税及び消費税の申告をした。

    その後、税務調査により、本件クラブ利用代金の中に、個人的な飲食代金が含まれていると指摘を受け、うち6607万1110円をAに対する貸付金として計上した修正申告書を提出した。

    税務署長は、本件過少申告について、重加算税賦課決定をした。

    (判決)

    (事実認定)

    ●各クラブに反面調査を行い、売上集計表から来店者の88%が1名での来店であった。

    ●Aはひいきにしているホステスが移籍するたびにそのクラブを利用していた

    ●本件ホステスと頻繁に同伴出勤及びアフターをしていたこと

    ●修正申告を前提として個人的な飲食代金を抽出した書面に異議を述べていないこと

    ●税務調査において、個人的利用であることを自認したこと

    ●原告らを名宛人とする本件各クラブの領収証に基づいて、本件各支出額を交際費に計上した総勘定元帳を作成することにより、本件各支出額を交際費と仮装した

    (結論)

    結論としては、重加算税賦課決定を適法とした。

    ===================

    以上です。

    中小企業の場合、社長が1人でクラブに行った時に、会社宛の領収証をもらって交際費に計上しているケースが少なくないように推測されます。

    この場合、税務調査で各クラブ店舗に反面調査をされることあること、仮に会社の代表者を妻などにしている場合には、「社長にも話を聞かなければならない」などと言われることもあります。

    そして、個人的な飲食費だった場合には、会社宛の領収証及び会計帳簿で仮装していたと認定され、重加算税を賦課される可能性がある、ということになります。

    「税理士に助言されなかった」などと言われないように注意したいところです。

    なお、本件では、原告らは、「税理士が勝手に修正申告書を提出した」などと主張しています。

    このような主張がされないよう、内容の説明及び承諾の証拠は保全しておきたいところです。

    「税理士を守る会」は、こちら
    https://myhoumu.jp/zeiprotect/new/

  • 会社がデッドロック状態になった時

    2021年10月22日

    今回は、株主間の対立があり、会社の意思決定ができない状態になった場合の対策についてです。

    たとえば、仲間同士で起業し、株式を50%ずつ持ちあったとします。

    何年かは順調に経営したものの、次第に経営に対する考え方がずれてきて、意見が対立するようになり、取締役の選任決議もできず、会社の意思決定ができない状態に陥る、ということがあります。

    そうなると、お互いの合意ができないわけですから、会社を辞めようにも解散決議もできません。

    いわゆる「デッドロック」状態です。

    このような場合には、「会社解散の訴え」を裁判所に起こすことになります。

    会社解散の訴えは、総株主の議決権の10分の1以上の議決権を有する株主または発行済株式の10分の1以上の数の株式を有する株主が提起することができます。

    会社解散の訴えの要件としては、

    (1)株式会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。

    (2)株式会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該株式会社の存立を危うくするとき。

    (3)やむを得ない事由がある場合

    であり、デッドロック状態は、(1)ということになります。

    会社がデッドロック状態になると、法人税の申告もできず、無申告状態になってしまうこともあります。

    裁判は時間がかかりますので、早めに行動を起こしましょう。

  • エッセンシャル思考の自動化

    2021年10月18日

    メルマガより

    今回のYouTube動画は、

    【エッセンシャル思考を自動化】3ステップで重要なことだけに集中できる。10万部著者が解説。

    エッセンシャル思考が重要なことはわかります。

    しかし、常に重要なことを自分の意志で選択するのは大変です。

    自動化してしまいましょう。

    動画で解説しました。

    ぜひ、ご覧ください。

    さて、

    これまで3回にわたり、エッセンシャル思考を解説してきました。

    エッセンシャル思考は、重要なことに自分の時間とエネルギーを集中させる、という思考です。

    もちろん、それがとても有意義に人生を生きる秘訣であることはわかります。

    しかし、そのためには、いくつかのプロセスを踏む必要があります。

    (1) 自分の価値観を知ること

    これは、自分にとって何が重要なことなのかを明らかにすることです。

    (2) 優先順位をつける

    (3) 常に重要なことを選択する

    ここでは、ウィルパワーが必要となります。

    (4) 自分の使える時間を把握する

    (5) 自分の時間を重要なことに配分する

    (6) そのとおり「実行」する

    ここも、ウィルパワーを消耗します。

    こう書き出すと、結構大変なプロセスです。

    これを自分のウィルパワーを使って行っていると、ウィルパワーを消耗してしまい、他のことに使えなくなってしまいます。

    そこで、何とか自動化できないものか、と考えます。

    その方法をYou Tubeで解説しました。

    ご覧ください。

    https://youtu.be/_fG9RTtzqas

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  • 税務調査の非協力と仕入税額控除の否認

    今回は、税務調査の非協力と仕入税額控除の否認について解説します。

    最高裁平成16年12月16日判決(百選第6版89事件)です。

    (事案)

    ●納税者は、大工工事業を営む個人事業者です。

    ●平成2年分確定申告について、税務調査がありましたが、納税者は、税務職員が帳簿書類を提示して調査に協力を求めたにもかかわらず、一部領収書を提示しただけで、その余の帳簿書類の提示を拒否し、調査に協力しませんでした。

    ●そこで、税務署長は、提示されなかった部分の課税仕入れについては、消費税法30条7項の「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当するとして、消費税額の控除を否認しました。

    (争点)

    ●税務調査の際に、納税者が仕入税額控除に係る帳簿又は請求書等を提示しなかった場合に、消費税法30条7項の「保存しない」場合に該当するか?

    (判決)

    ●消費税法30条7項(仕入れに係る消費税額の控除)の規定の反面として、事業者が帳簿又は請求書等を保存していない場合には同条1項が適用されないことになるが、このような法的不利益が特に定められたのは、資産の譲渡等が連鎖的に行われる中で、広く、かつ、薄く資産の譲渡等に課税するという消費税により適正な税収を確保するには、帳簿又は請求書等という確実な資料を保存させることが必要不可欠であると判断されたため。

    ●消費税法30条7項(仕入れに係る消費税額の控除)は、当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等が税務職員による検査の対象となり得ることを前提にしているものであり、事業者が、国内において行った課税仕入れに関し、同法30条8項1号所定の事項が記載されている帳簿を保存している場合又は同条9項1号所定の書類で同号所定の事項が記載されている請求書等を保存している場合において、税務職員がそのいずれかを検査することにより課税仕入れの事実を調査することが可能であるときに限り、同条1項を適用することができること
    を明らかにするものである

    ●消費税法30条7項(仕入れに係る消費税額の控除)に規定する帳簿又は請求書等を整理し、これらを所定の期間及び場所において、同法62条(当該職員の質問検査権)に基づく税務職員による検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していなかった場合は、同法30条7項にいう「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たる

    ===================

    消費税法の文言は、「保存しない場合」となっています。

    そこで、保存はしているが、税務調査で提示しない場合が、「保存しない場合」に該当するかどうかが問題となります。

    この点、裁判所は、保存は、税務調査で検査できることを前提とするものなので、税務調査で検査できないような保存状態である場合には、保存しているとは言えない、という判断をしました。

    したがって、税務調査において請求書等を提示拒否した場合には、仕入税額控除が否認される結果となります。

    同じ論点が青色申告承認取消にもあります。

    税務調査で帳簿書類を提示しない場合には、やはり「保存してない」と認定され、青色申告承認も取り消されることになります(最高裁平成17年3月10日判決)。

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  • 所在不明株主がいる時

    2021年05月27日

    事業承継や会社の売却等をしようとする場合に、少数株主で所在不明な株主がいる場合があります。

    そうすると、事業承継をしても、将来紛争の不安が残りますし、M&Aの場合には、買い取ってくれない、という事態が想定されます。

    そこで、早期に所在不明株主を解消しておく必要があります。

    この馬合、まずは、所在不明株主が真の株主かどうかの調査から開始します。

    名義株の問題です。

    今回は、この方法は割愛します。

    次に、所在調査を行います。

    弁護士に所在不明株主の解消を依頼すると、住民票を追いかけて、調査をしてくれます。

    事件処理を目的とした取得なので、住民票の取得のみを依頼しても受けてくれないでしょう。

    どうしても判明しない場合は、どうしたらいいでしょうか。

    会社法では、株主総会開催通知など、株式会社が株主に対してする通知又は催告が五年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知又は催告をすることを要しないとされています(会社法196条1項)。

    そして、この場合において、当該株主が継続して五年間剰余金の配当を受領しなかった場合には、会社はその株式を競売や買取りを行い、その代金を株主に交付することができます(会社法197条1項~3項)。

    五年以上かかりますが、これにより、所在不明株主を解消することができます。

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  • 外注費が給与と認定された裁判例

    2021年04月09日

    今回は、納税者が外注費として支払った金員が給与であると認定された裁判例をご紹介します。

    令和3年2月26日判決(TAINS Z888-2352)です。

    (事案)
    ●納税者は、塗装工事業等を営む株式会社であり、塗装工事に従事する従業員に対し、給与を支払っていたが、健康保険及び厚生年金保険に加入していなかった。

    ●ある事業年度から、健康保険及び厚生年金保険に加入し、各人の給与から健康保険及び厚生年金保険に係る各保険料を徴収する旨説明したところ、従業員であった甲らから、給与が減額されるのは困るので、「外注先」として取り扱ってほしいとの申出があった。

    ●そこで、その後、甲らを外注先として扱い、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出し、甲らに対し、外注費として支払、甲らは事業所得として申告するようになった。

    ●税務調査が実施され、当該支払は、給与であると認定され更正処分、過少申告加算税賦課決定処分などがなされた。

    (裁判所の判断)

    ●【事業所得】とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい

    ●【給与所得】とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいい、取り分け、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない(前掲最高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決参照)。

    ●本件各作業員が予定されていた作業を休むこととなった場合には、原告が代替の作業員を手配していた。このことは、本件各作業員は、原告の他の従業員と同様、代替性が認められていなかったことを示すものである。

    ●本件各作業員は、本件支出金が支出されていた間も、従業員であった時期と同様に、原告から空間的、時間的な拘束を受け、原告の指揮命令に服し、原告に対して継続的ないし断続的に労務又は役務を提供していたものというべきであり、このことは、本件支出金の「給与等」該当性判断において最も重視されなければならない。

    ●本件各作業員には、完成すべき作業の定めはなく、依頼した作業が完成しなかったとしても、作業日数に応じた報酬が支払われていた。原告と本件各作業員との間で契約書は交わされておらず、危険負担についての定めもなかった。

    ●据置式の工具など高価な器具を所有しており、これを使用している場合には、事業者としての性格が強く、「給与等」該当性を弱める要素となる。本件についてみると、工具については、現場で着る作業着と手持ちの道具箱に入るくらいのコテとヘラを本件各作業員が用意し、それ以外の軍手、ハケ、ローラー、研磨機、マゼラーなどの道具や機械は原告から支給されたり貸与されたりしていた。これは、各作業員が従業員であった時期と同様であった。

    ===================

    工事業者が、雇用契約から外注契約に変更しようとする相談は、よく受けるところだと思います。

    たとえ、従業員本人の希望により外注契約にし、きちんと確定申告をしているとしても、実態が雇用契約であると判断されれば、給与と認定されてしまいます。

    税理士が判断を誤った場合には、税理士損害賠償に発展する場合もあります。

    また、税理士が給与と知りながら外注費として計上したことを理由として、懲戒処分を受けたケースもあります。

    気をつけたいところです。

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  • やることを絞り込もう

    2020年12月01日

    今回のYouTube動画は、

    「【他人の好意を獲得する方法】
    心理学的アプローチ」

    です。

    なぞかけもあります。

    ぜひ、ご覧ください。

    https://youtu.be/9e9-m6l2JBU

    野球の大谷翔平選手は、投手として一流で、打者としても一流です。

    投手と打者の「二刀流」と呼ばれています。

    しかし、他に二刀流で成功した人は多くありません。

    高校野球では、「四番ピッチャー」で投打に活躍する選手はある程度の数がいます。

    しかし、プロになると、どちらかを諦めなければならなくなります。

    なぜでしょうか。

    2つの技術ともに一流を維持することが困難だからです。

    力や時間を分散させなければならず、どちらも中途半端になってしまうからです。

    学校に通っている時は、色々な科目の総合点で評価されるので、苦手科目を作らないように努力します。

    私は大学時代、体育会の器械体操部に所属していましたが、体操競技では6種目も総合点で順位が決まるため、全ての種目を万遍なく練習する必要があります。

    子供の頃は、何でもできる子がモテたりします。

    社会に出るまでは、そのように、全てのことを万遍なくできるように努力をします。

    その延長で、私たちは、「あれも、これも」と色々なことに手を出し、全てが中途半端に終わってしまっています。

    しかし、社会に出ると、色々なことができる人よりも、一つのことに突出している人の方が成功を収めます。

    色々なことができる人は、世の中に溢れかえっていますが、ある分野の人を求める際には、何でもできる人よりも、その分野に突出した能力を持っている人が選ばれます。

    会社が独占禁止法の問題に直面した時、どの分野も扱っている弁護士に相談するより、独占禁止法を専門にしている弁護士に相談します。

    成功するためには、できる限りやることを絞り込むことが大切だ、と言えるでしょう。

    そして、そのためには、その他のことを全て諦めていく必要があります。

    膨大な時間をある分野に注ぎ込むためには、他の分野を諦めて、そのことに時間を使わない、という覚悟が必要となります。

    そして、それを実行するためには、根本的に考え方を変えていく必要があります。

    それを21のエピソードとともに、じっくり解説しましたので、ぜひご一読を。

    「超多忙な弁護士が教える時間を増やす思考法」(フォレスト出版)
    https://www.amazon.co.jp/dp/486680100X/ 

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  • 成人した子が起こした交通事故で親の責任を認めた裁判例を弁護士が解説

    2019年08月03日

    成人した子が起こした交通事故で親の責任を認めた裁判例を弁護士が解説します。

    ○判決

    てんかん発作を起こしたクレーン車の運転者(事故当時26歳)による児童6人の死亡事故について、加害者と同居していた母親の責任も認めた判決(宇都宮地方裁判所 平成25年4月24日判決)

    ○事案の概要

    平成23年4月18日午前7時43分ころ、栃木県鹿沼市内の道路を加害者がクレーン車で進行中、突然てんかんの発作が起きて意識を喪失し、通学のための歩道を歩行していた児童らにクレーン車を追突させ、児童6名が死亡した。

    ○判決要旨

    以下の事情から、加害者の母親の不法行為責任を認めました。

    ・加害者の母親は、加害者と同居しており、加害者が小学校3年生のとき以来、てんかんに罹患していることを認識していたこと。

    ・加害者の母親は、加害者が高校を中退した平成13年8月以降は、加害者が抗てんかん薬を処方どおりに服用していなかったときには必ずてんかんの発作を起こしていたことを認識していたこと。

    ・加害者の母親は、加害者がてんかんに罹患しているため、自動車免許の欠格事由に該当することを認識していながら、加害者に原動機付自転車を買い与えたり、自動車教習所の費用を立て替えたり、普通自動車を買い与え、加害者が実際にてんかんの発作による交通事故を起こして自動車を破損させた後も、さらに新たな自動車を買い与えるなど、自動車の運転を継続することに積極的に加担してきたこと。

    ・クレーンの免許の取得についても、加害者がそれを取得することを単に黙認していたにとどまらず、運転免許試験当日の朝にてんかんの発作を起こしていた加害者を駅まで自動車で送り、免許の取得に加担したこと。

    ・加害者が本件事故の前に交通事故を5回も起こし、その原因がてんかんの発作であることを認識しながら、起こした事故の自動車運転過失致傷事件の裁判中に、事故原因について証言を拒むにとどめたのではなく、あえて加害者の供述内容に沿うように事故原因は事故前の寝不足である旨を証言したりするなど、嘘をついて加害者がてんかんであることを発覚するのを阻止したこと。

    ・事故当日の朝も、加害者の母親は、加害者が前日の夜服用すべきだった抗てんかん薬を服用していない状態で勤務先の会社へ出勤し、クレーン車等の運転を行うことを認識していたのであるから、会社に対して、加害者がてんかんに罹患していること、及び事故当日は抗てんかん薬を服用していないから特に発作を起こしやすい状態にあることを通報するなどしていれば、会社も加害者にクレーン車の運転をさせることはなく、事故を回避することができたと言えること。

    ○ポイント

    民法では、未成年者が他人に損害を与えても、責任能力がない場合には損害賠償責任を負わないと規定されています(民法712条)。さらに、未成年者に責任能力がなく責任を負わない場合は、その監督すべき法定の義務のある者は、未成年者が第三者に与えた損害を賠償する義務を負うと規定されています(民法714条)。
    ですので、未成年者が交通事故を起こして他人を死傷させた場合、その未成年者に責任能力が認められなければ、親が責任を負う場合があります。
    なお、責任能力は、個別の事情や本人の能力等にもよりますが、おおむね12歳程度になれば認められるとされています

    では、成人して責任能力がある子が交通事故で他人を死傷させた場合に、親は責任を負うことがあるのか、という疑問に答えるのが、上記の裁判例です。

    この裁判例では、親が、子がてんかんに罹患しており、子の運転行為により歩行者等の生命、身体及び財産に対する重大な事故が発生することを予見することができたこと、事故当日会社に通報することは容易であり、通報していれば事故の発生を防止することができたこと等の観点から、親の不法行為責任を認めたものです。

  • 4歳の息子が交通事故の死亡事故に遭った場合、慰謝料は?

    2019年08月03日

    交通事故で被害者が死亡した場合に、損害賠償額として請求できる項目には、主に以下のものが挙げられます。

    ①葬儀費
    ②死亡逸失利益
    ③慰謝料
    ④弁護士費用(裁判をした場合)
    上記以外でも、即死ではなく、治療の後に死亡した場合は、実際にかかった治療費、付添看護費、通院交通費等を請求することができます。また、損害賠償を請求するために必要な診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書等の取得にかかった文書費等も、損害賠償関係費として請求できます。

    では、上述の4歳の男児が死亡した場合の損害賠償額がいくらになるのかを具体的にみていきましょう。弁護士が依頼を受けて交渉や裁判を行う場合、損害賠償額の算定については、日弁連交通事故相談センターが出している書籍「民事交通事故訴訟損害賠償算定基準」(通称「赤い本」と言います)を使用しますが、この赤い本記載の基準を「裁判基準」といいます。以下の金額は裁判基準によりますが、通常、保険会社が示談の段階で提示してくる金額は裁判基準より低い場合がほとんどですので、注意が必要です。

    ①葬儀費

    原則150万円で、150万円を下回る場合は実際にかかった額となります。

    ②死亡逸失利益

    死亡逸失利益の算定式は下記の通りです。

    基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
    基礎収入とは、交通事故で死亡しなければ将来労働によって得られたであろう収入です。
    幼児の場合、将来の収入額は不確定であるため、男性労働者の学歴計の全年齢平均賃金を基礎収入とします。

    生活費控除とは、基礎収入から、生きていればかかったはずの生活費分を差し引くことです。生活費控除率の目安は、被害者が一家の支柱で被扶養者が1人の場合は40%、一家の支柱で被扶養者2人以上の場合は30%、女性(主婦、独身、幼児等含む)の場合30%、男性(独身、幼児等含む)の場合は50%です。
    したがって、4歳の男児の場合の生活費控除率は50%とします。

    就労可能年数は、原則として67歳までとなります。ただし、職種、地位、能力等によって、67歳を過ぎても就労することが可能であったと考えられる事情があるような場合には、67歳を超えた分についても認められることがあります。

    ライプニッツ係数とは、損害賠償の場合は将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るため、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをいいます。将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引くことを「中間利息を控除する」という言い方をします。

    4歳の男児の場合のライプニッツ係数についてですが、就労可能年数については、通常18歳から67歳までとするため、4歳の時点で損害賠償金を得るとすると、4歳から18歳までの期間について中間利息を控除する必要があります。そこで、4歳の男児の場合のライプニッツ係数は、4歳から67歳までの期間のライプニッツ係数から、4歳から18歳までの期間のライプニッツ係数を差し引いた数値を使用します。

    したがって、
    19.0751(4歳から67歳までの期間のライプニッツ係数)-9.8986(4歳から18歳までの期間のライプニッツ係数)=9.1765
    が4歳男児の場合のライプニッツ係数になります。

    以上から、4歳男児の死亡逸失利益の計算式は以下のとおりです。

    5,267,600円(賃金センサス平成23年男性学歴計全年齢平均賃金)×(1-0.5)×9.1765=24,169,066円

    ③慰謝料

    被害者が一家の支柱の場合2800万円、母親・配偶者の場合2400万円、その他
    (子供、成人独身者、高齢者等)の場合2000万円~2200万円が相場です。

    したがって、4歳の男児の場合として、2200万円を慰謝料とします。

    ④弁護士費用

    弁護士に依頼し裁判により損害賠償を請求した場合、請求認容額の10%程度が弁護士費
    用として認められます。この金額は実際に支払う弁護士費用とは無関係です。

    上述した請求額は、
    1,500,000円(葬儀費)+24,169,066円(死亡逸失利益)+22,0
    00,000円(慰謝料)=47,669,066円
    となりますので、弁護士費用は47,669,066円の10%の4,766,906円
    となります。

    したがって、4歳の男児が死亡した場合の損害賠償額の合計は、
    1,500,000円(葬儀費)+24,169,066円(死亡逸失利益)+22,0
    00,000円(慰謝料)+4,766,906円(弁護士費用)
    =52,435,972円
    となります。

    どうでしょうか?これが裁判のだいたいの基準です。

    ただし、事情により増減します。

    もし、自分に4歳の息子がいて、交通事故で死亡した場合、賠償金は、たった約5,000万円です。

    低いですね。これでは、とても心の傷が癒えるはずがありません。

    幼児の賠償額の増額を実現すべく、今後も頑張りたいと思います。