遺留分対策10選
今回は、被相続人による遺留分対策10選をざっと簡単に説明します。
【遺留分権利者の協力が得られる場合】
(1)家庭裁判所による生前の遺留分放棄許可(当事者間の合意書のみでは効力なし。かつ一旦遺留分放棄許可決定がされても、その後の事情変更で許可が取り消されるリスクあり。)
(2)経営承継円滑化法の除外合意、固定合意(法定相続人全員の合意、家庭裁判所の許可、経済産業大臣の確認)
【遺留分権利者の協力が得られない場合】
(3)早めの生前贈与(原則)
遺留分を算定するための財産に含まれる「贈与財産」は、
・相続人以外の者に対して相続開始前の1年間にしたもの
及び
・相続人に対して相続開始前の10年間にしたもの
が原則です。(例外あり)
(4)生前贈与+相続放棄
相続放棄をすると、「初めから相続人でない」ことになります。
そうすると、(3)に関しては、「相続人以外の者に対する贈与」となり相続開始前の1年間にしたものが遺留分算定のための財産になるのが原則です。(例外あり)
(5)有償譲渡
「相続開始の時に有した財産」及び「贈与財産」となるため。
但し、「不相当対価」での優勝譲渡の場合は、一部負担付き贈与とみなされる可能性があります。
(6)遺言で遺留分の負担の順序を指定
遺言者は、遺言で遺留分の負担をどの順序で行うかを指定することができます。
(7)生命保険で侵害額を準備する。
【同族会社株式の評価額が高額の場合】
(8)同族会社の経営の安定のため、無議決権株式の利用し、遺留分権利者には無議決権株式を相続させる遺言をする。
(9)同族会社の経営の安定のため、属人的株式を利用し、事業承継者の議決権を多くする(あるいは遺留分権利者の議決権を少なくする)
(10)同族会社の経営の安定のため、株式を信託し、受益権のみ遺留分に相当する分を与える。