贈与の解除について
2022年04月29日
生前贈与と解除についてです。
書面によらない贈与は、履行が終わってない限り、当事者が解除することができます(民法550条)。
そして、税務上は、相続税基本通達1の3・1の4共-8で、「贈与の場合 書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時」に財産を取得したものとされます。
しかし、過去には、贈与契約を公正証書でしながら、登記など贈与したのであれば当然すべきことをしなかったことなどを理由として、贈与契約が認定されなかった裁判例があります(名古屋地裁平成10年9月11日判決、名古屋高裁平成10年12月25日判決(百選76事件、TAINS Z239-8313))。
また、不動産の贈与契約をした上で、引き渡しを終えたものの、所有権移転登記をしていない事例について、「履行が終わった」ものとして贈与の解除を認めなかったもの(最高裁昭和31年1月27日判決)、反対に所有権移転登記をしたものの、引き渡しをしていない事例について、「履行が終わった」ものとして贈与の解除を認めなかったもの(最高裁昭和40年3月26日判決)があります。
このように、法律問題は、契約書の形式や条文の文言のみからは、なかなか判断できないことが多いので、幅広い知識を習得した上で、その都度、基本書や判例などにあたって確認することが大切になってきます。