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  • 【昔話法律講座】「かちかち山 その1~隣人トラブルが殺人に発展!」

    2018年02月17日

    昔話の裏に隠された法律違反について考えるシリーズ「昔話法律講座」、第2弾は「かちかち山」です。

     

    毎日、畑に来ては悪さをするタヌキ。

    これに怒ったおじいさんがタヌキを捕まえて、タヌキ汁にして食べてしまおうとしますが、タヌキに騙されたおばあさんが大変なことに……。

     

    果たして、「かちかち山」を法律の世界から見ると、どうなるのでしょうか?

     

     

    「意地の悪いタヌキとの隣人トラブルが殺人事件に発展!の巻」

     

    昔、あるところに、畑を耕して仲良く暮らす、おじいさんとおばあさんがいました。

     

    しかし、2人は厄介な隣人トラブルを抱えていました。

    それは、いたずらが過ぎるタヌキの存在です。

     

    タヌキは、ことあるごとに畑に不法侵入しては、おじいさんをからかったり、農作物が実らないようにタヌキ囃子で騒ぎ立てたりしました。

    さらには、夜になると畑のイモや種をほじくり返して食べてしまうのです。

     

    「まったく、タヌキの奴め…困った厄介者だ。なんとかならんものか…」

     

    おじいさんが言うと、おばあさんが答えました。

     

    「騒音トラブルは、直接取り締まる法律がないんじゃよ。ただし過去の判例では、被害者がうつ症状の健康被害を訴えたことで、加害者に傷害罪(注1)が確定したものがあるのぉ」

     

    「ばあさん? 何だって?」

     

    「あと…可能性としては、軽犯罪法違反に問うことができるかもしれんの。14号の静穏妨害の罪(注2)じゃ。ただし、警察官などの公務員が注意、制止しても言うことを聞かなかった場合に限るがのぉ…」

    軽犯罪法第1条14号 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者
     

    「おーい、ばあさんや…何を言っておるのじゃ?」

    「法律の話じゃ。それから…住居侵入罪(注3)の可能性もあるが、田畑の場合は門や塀で囲われていることが条件という判例もあるからのぉ、うちの畑の場合は微妙じゃ。畑が踏み荒らされていれば器物損壊罪(注4)、畑仕事の邪魔をされているということでは威力業務妨害罪(注5)も考えられるがなぁ…」
    刑法第130条(住居侵入罪)

    正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
     
    刑法第261条(器物損壊罪)

    前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
     
    刑法第234条(威力業務妨害罪)

    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

     

    刑法第233条(偽計業務妨害罪)

    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
     

    あっけにとられているおじいさんを尻目に、おばあさんは続けました。

    「であれば、軽犯罪法の32号の可能性もあるのぉ。これは、田畑等侵入の罪(注6)じゃ。ただし“立ち入り禁止”の看板を立てておかないといかん。おっと、忘れておったぞ、じいさんや、窃盗罪(注7)じゃ!」
    軽犯罪法第1条32号 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者
     
    刑法第235条(窃盗罪)

    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
     

    「いや、ばあさんや…しかし、お前なんでそんなこと知っとるんじゃ?」

     

    「若い頃ちょっと学んだっていうか、かじったっていうか」

     

    そういうと、おばあさんは戸棚から古びた六法全書を持ち出してきました。

    「ずいぶん勉強したさ…青春の1ページじゃ」

     

    おじいさんは、驚いて言いました。

    「お前は他の女とは違うと思うとったが…法律とは、こりゃたまげたわい」

     

    すると、おばあさんは遠い目をして言いました。

    「誰にでも秘密にしている過去があるものじゃよ」

     

    「それよりも、タヌキのことじゃ。わしに法律よりもいい考えがある」

    そう言うと、おじいさんは畑に罠を仕掛けてタヌキを捕まえることにしました。

     

     

    翌朝、おじいさんが畑に行ってみると、まんまとタヌキが罠に引っかかっていました。

     

    おじいさんは高々とガッツポーズを上げて言いました。

    「クソタヌキめ、思い知ったか! 今夜はお前をタヌキ汁にして食べてやるぞ!!」

     

     

    その日の午後、おばあさんが夕食の支度をしていると、柱に吊るされたタヌキが弱々しい声で言いました。

    「おばあさん…腰は痛くないかい?」

     

    「なんじゃ、タヌキ…わしは腰は痛くないわい」

     

    「ねぇ、おばあさん、ちょっと体が痛いから縄をゆるめてくれないかい?」

     

    「ダメじゃ、お前が逃げたら、じいさんに怒られる」

     

    少し考えてから、タヌキが言いました。

    「ねぇねぇ、おばあさん、もう悪さはしないから縄をほどいておくれよ。おわびに料理の支度を手伝うから。手伝いが終わったら、また縛ればいいだろ?」

     

    少し疲れてきたおばあさんは腰をさすりながら言いました。

    「それもそうじゃの…じゃあ、手伝ってもらうかの」

     

    そうして、おばあさんはタヌキを縛っていた縄をほどいてやりました。

    ところが、その瞬間、タヌキ豹変です。

     

    「よくもやってくれたな」

    そう言うと、いきなり杵を持っておばあさんに殴りかかり、撲殺。

    皮をはいで、おばあさんの肉を鍋に入れて煮込み始めました。

     

     

    夕方になり、おじいさんが帰ってくると、タヌキはおばあさんの皮をかぶって言いました。

    「おじいさん、美味しいタヌキ汁ができてるよ」

     

    何も知らないおじいさんは、その汁を食べてしまいました。

    すると、タヌキは皮を脱いで言いました。

     

    「やーい、食ったな! お前が食ったのは、ばあさんの肉で作った“婆汁”だ。ざまあみろ!でも、俺は殺してないぞ!」

     

    そう言うと、一目散に山に逃げていきました。

     

    1人残されたおじいさんは、涙を流して後悔しました。

    そして、足元にあったおばあさんの形見の六法全書を開きました。

     
    刑法第199条(殺人)

    人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
     

    (しかし、タヌキは、「俺は殺してないぞ!」と言ってたな・・・。殺人罪は、殺人の故意(殺そうとする意思)がないと成立しないと聞いている。どうしたらいいのか・・・)

     

    すると、次の条文が目に飛び込んできました。

     
    刑法第190条(死体損壊罪)

    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
     

    (そうだ!タヌキは、婆さんの死体を損壊して“婆汁”にしたじゃないか。よし。まずはこれで逮捕して自白させてやる!)

     

    おじいさんは復讐を誓ったのでした。

     

    つづく…

     

     

    【法律メモ】

    注1:傷害罪

    刑法第204条(傷害)

    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    他人の毛を無断で抜くと傷害罪?切ると暴行罪?


     

     

    注2:静穏妨害の罪

    軽犯罪法第1条

    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    14 公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    大声を出すだけで犯罪が成立する場合とは?


     

     

    注3:住居侵入罪

    刑法第130条(住居侵入等)

    正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    肝試しもほどほどに。


     

     

    注4:器物損壊罪

    刑法第261条(器物損壊等)

    前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    ジョージ・ワシントンは、器物損壊罪か!?


     

     

    注5:威力業務妨害罪

    刑法第234条(威力業務妨害)

    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    悪ふざけが犯罪に!?


     

     

    刑法第233条(信用棄損及び業務妨害)

    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    ウソの注文をすると犯罪になります。


     

     

    注6:田畑等侵入の罪

    軽犯罪法第1条

    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    32 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

     

     

    注7:窃盗罪

    刑法第235条(窃盗)

    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

     

     

    詳しい解説はこちら⇒

    お店での無断充電は犯罪です。

     

  • 【昔話法律講座】金太郎 その3~仲間との別れ、そして旅立ち

    2018年01月21日

    金太郎シリーズも、ついに最終回。

    これまで数々の騒動を巻き起こし、さまざまな罪を犯してきた金太郎とゆかいな仲間たちに不穏な魔の手が忍び寄ります。
    そして、金太郎は大きな人生のターニングポイントを迎えることになるのです。

    彼らに忍び寄る魔の手の正体とは?
    新たな犯罪が起きる可能性は?
    さてさて、金太郎の運命やいかに!

    「金太郎 その1・その2」を読んでいない方はこちらから⇒

    金太郎その1~里に下りて大騒動

    金太郎その2~山でマニアックな罪を犯す

    「金太郎、仲間たちとの別れ、そして旅立ちの巻」

    新しく仲間に加わったクマとともに、今日も金太郎とゆかいな仲間たちは山で楽しい時間を過ごしていました。

    この日は金太郎がクマにまたがり、お馬のけいこです。

    「クマくんの背中は毛がチクチクして嫌だなぁ…」

    金太郎の言葉にカチンときたクマが言い返しました。
    「だったら降りろや、こら!」

    クマは突然立ち上がると、振り落とされた金太郎は、もんどりうって草むらの中に転げ落ちてしまいました。

    「イタタタ…おしりをすりむいちゃったよ」
    血のにじんだおしりをさすりながら金太郎がつぶやくと、草むらの中で怪しい物音がしました。
    ハッとして見てみると、そこには怪しく光る2つの目が金太郎をジーッと見ていたのです。

    「み、見えちゃった?」
    思わず金太郎は頬を赤らめ、おしりに手を当てて尋ねました。

    駆け寄ったウサギが言いました
    「のぞきよ! 軽犯罪法違反よ!!勝手に入ってきて、住居侵入罪よ!!」

    「い、いや…あのぉ…わしは怪しいものではござらぬ」
    そう言いながら草むらから出てきたのは、立派なお侍でした。

    「わしは碓井貞光というものだ。これから丹波の国の大江山に棲む酒呑童子という悪い鬼を退治に行くのだが、うちの親分の源頼光さまから仲間となる強い男を探してこいと言われてな、それで日本中を旅しているのだが…ごめん!!」

    そういうと、お侍は、突然金太郎に殴りかかりました。

    金太郎は、殴られないよう咄嗟に両手を前に出したところ、手がお侍の顔に当たって、お侍は後ろに倒れてしまいました。

    お侍は、叫びました。
    「何をする!暴行罪だ!」

    見ていたウサギは言い返しました。
    「違うわ。あなたの方から殴りかかったから、金太郎は『正当防衛』よ」

    お侍は、金太郎に話しかけました。
    「キミはなかなかの使い手だな。どうだ。うちの軍団に入らないか?」

    「いやぁ、ここでの生活は楽しいし、鬼には興味ないし…僕はいいっす、遠慮するっす」
    金太郎は、気だるそうに手を振りながら答えました。

    しかし、お侍は続けました。
    「仕方ない。このきび団子をやろう。犬、猿、雉も仲間にいるぞ」

    「それ、『桃太郎』っす」

    すると、お侍は、凄みを効かせて言いました。
    「どうでもいい。キミが鬼退治に行かないなら、キミの母親がどうなるかわかっているのか!」

    「うぐっ!」

    ウサギは、つぶやきました。
    「これ、強要罪じゃないかしら・・」

    ともかく、そんな経緯で金太郎は、鬼退治に行くことになりました。

    「金ちゃん、行っちゃうの?」
    ウサギは泣きながら言いました。

    金太郎は、ウサギの頭をやさしく撫でながら言いました。
    「I’ll be back…」

    おしまい

    【法律メモ】

    ①のぞき行為は、軽犯罪法違反になる可能性があります。

    「軽犯罪法」
    第1条
    左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

    23.正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

    しかし、今回は、山の中での出来事であり、「通常衣服をつけないでいるような場所」に該当しないので、犯罪不成立です。

    詳しい解説はこちら⇒「のぞきと犯罪


    ②住居侵入罪

    刑法
    第130条
    正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

    しかし、今回は、山の中での出来事であり、「住居」に侵入したわけではないので、犯罪不成立です。

    ③金太郎がお侍を倒した行為は、正当防衛でしょうか?

    まず、金太郎がお侍の顔に手を当てる行為は、暴行罪です。

    しかし、事の発端は、お侍の方が金太郎に殴りかかったためです。

    このような場合には、「正当防衛」が問題となります。

    刑法第36条
    急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

    今回、お侍が殴りかかった行為は、金太郎にとって「急迫不正の侵害」です。これに対して、金太郎は身を守るため、必要最小限の防衛行為をしたと評価できそうです。

    したがって、正当防衛が成立し、無罪となる可能性が高いでしょう。

    これに対し、金太郎がお侍の攻撃をよけて、お侍が戦闘意欲を失っているのに殴る蹴るの暴行を加えたりすると、「過剰防衛」となり、金太郎は罪に問われることになります。

    ④人を脅迫し、義務のないことを行なわせると強要罪になる可能性があります。

    「刑法」
    第223条(強要)
    1.生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

    詳しい解説はこちら⇒「強要罪と脅迫罪の違いとは?

    ⑤「I’ll be back…」
    アーノルド・シュワルツネッガーが映画「ターミネーター」などで言う台詞であるが、一般的な表現のため、著作権は成立しない。

  • 【昔話法律講座】「金太郎その1」~里に下りて大騒動

    2017年09月26日

    現代に伝わる昔話には、古の人々の知恵や教訓が詰まっています。

    現代で解釈しなおすと、それは、法的な知恵や教訓を教えてくれる物語ともなりえます。

    以下は、フィクションです。

    タイトルは、【金太郎】。

    足柄山に住んでいた力自慢の金太郎は、熊と相撲を取ったりしながら山の動物たちと仲良く暮らしていました。
    その後の金太郎は、源頼光という武将にスカウトされ、坂田金時という名の武士になり、酒呑童子という鬼を退治するために丹波の国の大江山に向かうというお話です。

    「金太郎、里に遊びに行って大騒動の巻」

    昔々、相模国の足柄山の山奥に「金太郎」という名前の少年が母親と暮らしていました。

    金太郎は生まれた時から並外れた怪力の持ち主で、重い石臼を引きずってハイハイするほどでした。

    金太郎が歩き始めた頃、母親は真っ赤な腹掛けを作ってくれました。
    着けてみると、まだ大きくブカブカな感じでしたが、金太郎は気に入って、いつも真っ赤な腹賭けをかけて、森の動物たちを相手に遊んでいました。

    しばらくすると、さらに力強くなった金太郎に母親は“まさかり”を手渡して、こう言いました。
    「お前は力が強いから、このまさかりで薪割りの手伝いをしておくれ」

    数年が経ち、金太郎と動物たちは少し大人になっていました。

    すると、ある日、サルが言いました。
    「なぁ金ちゃん、みんなで里に遊びに行ってみないか?」
    「さと?」

    金太郎は山でしか暮らしたことがないので里のことを知りませんでしたが、なにやら楽しそうです。
    「人里は危険だ」という意見もありましたが、冒険心に火がついた一行は“善は急げ”とばかりに早速、山を下ることにしました。

    麓の村にはたくさんの人たちがいて、にぎやかです。
    子供たちは楽しそうに竹で作った不思議なおもちゃで遊んでいました。
    見たこともない食べ物を美味しそうに頬張っている人もいます。

    その様子を物陰から見ていた金太郎たちのところに、どこからともなく美味しそうな匂いが漂ってきました。
    金太郎は辛抱たまらず、引き寄せられるように、ふらふらと無意識のうちに村の通りの真ん中に歩み出てしまいました。

    すると、一瞬の静寂の後、女たちの悲鳴が村に響き渡りました。
    「キャアァァァ~、変態ぃぃぃ~、誰か捕まえて~!」

    それを聞きつけた村のお役人が2人、急いで駆けつけました。

    そこには、おかっぱ頭の金太郎が立っていたのですが、真っ赤な腹掛けがブカブカで、下半身が露出していたのです。

    そして、手には大きなまさかりが。

    お役人は叫びました。
    「公然わいせつ罪、および、銃刀法違反で逮捕する!」
    2人のお役人は金太郎に飛び掛かかると、縄で体を縛り付けようとしました。

    一体、何が起きているのかわからない金太郎でしたが、縛られるのはイヤなので、「ヒョイッ」とお役人を振りほどくと、2人はもんどりうって地面に叩きつけられてしまいました。

    薄れゆく意識の中で、お役人はつぶやきました。
    「こ…公務…執行…妨害……」

    物陰に隠れていたサル、シカ、ウサギ、リスは慌てて飛び出し、金太郎を回収して山の隠れ家にかくまいました。

    お役人は、さらに薄れゆく意識の中で、夢を見ました。
    「サルたちよ。お前らもか・・・犯人蔵匿罪・・・」

    こうしてお尋ね者となった金太郎とゆかいな仲間達は、またしばらく山で暮らすことになりました。

    つづく…

     

    【法律メモ】

    「刑法」
    第174条(公然わいせつ)
    公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

     

    詳しい解説はこちら⇒
    「公然わいせつ罪」と「身体露出の罪」の違いとは?


     

    「銃刀法」
    第22条(刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止)
    何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

     

    これに違反をした場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金。(第31条の18の3号)

    詳しい解説はこちら⇒
    日本刀の模造刀でも銃刀法違反!?


     

    「刑法」
    第95条(公務執行妨害及び職務強要)
    1.公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
    2.公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。

     

    詳しい解説はこちら⇒
    ひき逃げが殺人罪に!?


     

    「刑法」
    第103条(犯人蔵匿罪及び隠避罪)
    罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

    詳しい解説はこちら⇒
    犯人を匿うと犯罪です