平成26年度統計から見える交通事故の現状と問題点とは?
昨年の交通事故についての統計「平成26年中の交通事故死者数について」が、警察庁から発表されました。
交通事故の件数、死傷者数ともに減少していますが、新たな問題が浮き彫りになってきたようです。
「昨年の交通死4113人…高齢者の割合過去最高」(2015年1月5日 読売新聞)
平成26(2014)年の全国の交通事故の死者は4113人で、前年よりも260人(5・9%)少なかったことが警察庁のまとめで分かりました。
死者数は、平成13(2001)年から14年連続で前年より減少していますが、目立っているのは65歳以上の高齢者で、2193人が死亡。
死者の総数に占める割合は53・3%で、統計がある昭和42(1967)年以降で最も高かったようです。
原因について警察庁は、高齢者の人口が増えていることや、体力が衰えた高齢者の場合、事故にあった後に死亡する確率が若い世代に比べて高いためと分析しているということです。
前者の理由はわかりますが、後者の理由は、死亡事故における高齢者の占める割合が増加した理由にはなりませんね。
高齢者の体力が衰えているのは、昔も今も変わらないわけですから。
さて、この統計からは交通事故に関するさまざまな事象が読み取れます。
順番に見ていきましょう。
【事故件数】
まず事故件数ですが、前年より5万4783件少ない57万3465件で、昭和62(1987)年以来、27年ぶりに60万件を下回っています。
ちなみに昭和23(1948)年以降のデータを見ると、ピークは平成16(2004)年の95万2709件で、比較すると約40%も減少しています。
【死者数】
死者数は4113人で、前年(平成25年)よりも260人(5・9%)減少しています。
死者数のピークは、昭和45(1970)年の1万6765人だったことから比較すると、75.5%減少しています。
【負傷者数】
負傷者数は、70万9989人で前年よりも7万1505人の減少。
ピーク時は、平成16(2004)年の118万3616人ですから47万3627人減少しています。
【月別交通事故死者数】
12月が440人で最多、ついで10月の400人、11月の377人と続きます。
最少は8月の301人となっています。
過去15年分のデータを見ても、年末に死者数が増加する傾向は変わっていません。
【都道府県別交通事故死者数】
最も多かったのは愛知県で204人。
ついで、神奈川県の185人、千葉県・兵庫県の182人、埼玉県の173人の順となっています。
ちなみに、最も少なかったのは島根県の26人、ついで徳島県の31人、鳥取県の34人。
都市部に多いことからも、人口と死者数は比例している傾向があります。
【高齢者の死者数】
65歳以上の高齢者の死者数は2193人で、死者の総数に占める割合は53・3%になりました。
これは、統計がある昭和42年以降で最も高く、この10年間は毎年増加傾向にあります。
【飲酒事故件数】
飲酒運転による事故件数は、この10年で見ると、平成16(2004)年が最多で1万5180件。
平成25(2013)年の飲酒事故件数は4335件ですから、この10年ほどで1万件以上減少しています。
また、昨年の飲酒運転による死亡事故は227件で、統計がある平成2(1990)年以降で最少となっています。
これには、ドライバーの安全運転への意識が向上していることや、飲酒運転の厳罰化が影響していると考えられます。
以上、統計データから読み取れる現状の交通事故の問題点には以下のことが挙げられます。
〇交通事故数、死者数ともに毎年減少しているが、交通事故死者数の減少幅は縮小している。
〇交通事故による死者における高齢者の割合は年々増加傾向にある。
〇「自動車運転死傷行為処罰法」(2014年5月施行)の悪質運転への抑制効果は確認できたが、依然として飲酒運転はなくならず、また危険ドラッグによる悲惨な死亡事故が増加している。
「自動車運転死傷行為処罰法」の詳しい解説はこちら
⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236
こうした統計を踏まえ、ドライバーの人たちには、さらなる安全運転への意識向上を目指してほしいと思います。
我々も新年を迎え、今一度気を引き締め、今年も交通事故被害者の救済に全力を尽くしていきたいと思っています。
交通事故の相談は、こちらから
http://samuraiz.net/