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自転車の危険運転に安全講習義務づけに

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2015年1月28日

普段、何気なく気軽に乗っている自転車ですが、近年、自転車運転に関する重大な事故が問題になっています。

そうした実態を受けて、政府は今年6月の施行に向けた新たな「改正道路交通法」の施行令を閣議決定しました。
違反者に対して厳しい規定になるようです。

「酒酔い、信号無視、携帯使用運転… 悪質自転車にブレーキ」(2015年1月20日 東京新聞)

自転車運転による違反の取り締まり強化と事故抑制を目指して、悪質な自転車運転者に対して安全講習の義務化を盛り込んだ改正道路交通法の施行令が閣議決定されました。

施行令では、酒酔い運転や信号無視など計14項目の悪質運転を危険行為と規定。

危険行為をした運転者はまず、警察官から指導・警告を受け、従わない場合には、交通違反切符を交付されるが、3年以内に2回以上の交付で講習の対象となり、受講しないと5万円以下の罰金が科せられることになるようです。
なお、講習は3時間で内容や方法は施行までに決めるとしています。

所管する警察庁によると、全国での対象者は年間数百人になる見通しだということです。
2013年6月に成立した改正道路交通法で、都道府県の公安委員会は危険行為を繰り返した運転者に対して、講習の受講を命じることができるようになったことで、警察庁は危険行為の具体的な中身や対象者、開始時期を検討していたようですね。

自転車での危険行為に規定されているのは以下の14の行為です(道路交通法施行令41条の3)。

・信号無視(法7条)

・遮断機が下りた踏切への立ち入り(法33条2項)

・安全運転義務違反(携帯電話の使用やイヤホンを装着しながらの運転、傘差し運転など)(法70条)

・一時停止違反(法43条)

・ブレーキ不良自転車の運転(法63条の9第1項)

・酒酔い運転(法65条1項)

・歩道での歩行者妨害(法63条の4第2項)

・通行区分違反(法17条1項、4項または6項)

・通行禁止違反(法8条1項)

・歩行者専用道路での車両の徐行違反(法9条)

・路側帯の歩行者通行妨害(法17条の2第2項)

・交差点での安全進行義務違反(法36条)

・交差点での優先道路通行車の妨害(法37条)

・環状交差点での安全進行義務違反(法37条の2)

これらの行為が違反だということ知っている人も、知らない人もいるでしょうが、どれも重大事故につながる危険性のある行為だということは、しっかり認識してほしいと思います。

ところで、警察庁の統計によれば、平成25年度の交通事故件数は573,465件で、そのうち自転車の事故は121,040件。
死亡者数は、4,373人のうち自転車によるものは603人です。

詳しく見ていくと、自転車事故の類型でもっとも多いのが、車両同士の出会いがしらの衝突で約64,000件、以下、左折時の衝突と右折時の衝突が、それぞれ約15,000件となっています。

警察庁が平成24年に公表した「自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状」によれば、自転車運転の交通違反による検挙数は平成16年の85件から、平成23年には約7倍の3,956件に急増。
もっとも多い違反は、平成23年では制動装置不良自転車運転で1,277件、次いで遮断踏切立ち入り、信号無視となっていて、自転車乗用中の死傷者のじつに3分の2が何らかの法令違反をしていたということです。

交通事故全体の2割以上が自転車による事故という状況は改善していかなければならない問題でしょう。

また、自転車事故による高額賠償金の問題も忘れてはいけません。

自転車による死亡事故については以前、解説しました。
詳しい解説はこちら⇒
「自転車での死亡事故が多発中!損害賠償金は一体いくら?」
http://taniharamakoto.com/archives/1648

死亡事故では、9,000万円以上の高額賠償金が認められたケースもあります。

自転車の事故で9,000万円とは高すぎる! と思う人もいるかもしれませんが、被害者や家族にとっては人生を狂わされた慰謝料や今後働いて得られたはずの収入もあります。
寝たきりであれば、生涯にわたる介護費用の負担が莫大なものになることを考えれば、けっして高すぎる金額ではないことがわかるでしょう。

こうした問題に対処するためには、保険制度の整備も急務です。

自転車には、自動車の自賠責保険のような強制保険制度がないため、任意の自転車保険に加入するか、火災保険や自動車保険、傷害保険の「個人賠償責任補償」の特約をつけるなどして、個人で自衛することも大切です。

自転車は、大人から子供まで楽しめて、便利だからといって、ルールを無視していいわけではありません。
ましてや、人を傷つけてしまうことがあれば、被害者も加害者も双方の人生が台無しになってしまいます。

取り返しがつかないことになる前に、まずは子供から大人まで、自転車の交通法規をしっかり学んで実践していくという自覚が望まれます。

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