飲み屋のツケの時効は1年
最近はツケで飲む人はめっきり減ってしまったが、それでも「取りっぱぐれた」というよう話をたまに耳にする。
飲み屋のツケ(飲食代金の売掛金)の時効は、1年だ。
1年間、払ってもらえなければ、時効によって消滅し、一切支払ってもらえなくなる。
だから、店側は、1年以内に払わせるよう工夫することになる。
時効にならないようにする方法は、いくつかある。
1つは、「認めさせること」だ。
債務があることを認めたら、そこから、時効は1年となる。
だから「飲食代金10万円の支払い義務があることを認めます」というような念書にサインをさせれば、そこから時効は1年だ。
「認める」ことの2つ目は、いくらか払わせることだ。
10万円のうち1万円でも支払えば「債務があることを認めた」ということになり、そこから時効は1年となる。
だから、店側は、客を訪問し、「1,000円でも2,000円でも払ってもらえるまでは帰りません」と粘って、少しでも払わせようとする。
成功したら、時効が延びる。
「請求書を送っていれば、時効にならないんでしょう?」
と言われることがあるが、それは間違いだ。
請求書を送って時効が延びるのは、1度だけ、しかも6ヶ月間だけだ。
その後はいくら請求書を送っても同じだ。
客がどうしても、認めもしないし、払いもしないときは、どうするか。
その時はやはり法的手続しかないことになる。
裁判を起こして判決を得れば、時効は10年に延びる。
あとは、景気が良くなり、客が復活するのを待つのだ。
悲しいかな、そういう客が復活したのを聞いたことはない。
上記が正攻法だ。
実は、法的手続以外にも時効を10年に延ばすワザはあるが、ここでは言及しない。
ちなみに、芸能人やプロレスラー、音楽の演奏家などの報酬請求権の時効も1年なので、注意を要する。
なんにしても、お金の不払いが発生したら、即回収することだ。
時間が経過すればするほど回収は難しくなってしまう。