自転車の検査を拒否すると犯罪になる!? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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自転車の検査を拒否すると犯罪になる!?

2014年06月23日

平成25年12月1日に、「改正道路交通法」が施行されたのを、みなさんご存じだったでしょうか?

今回の改正で、新たに規定されたものに「自転車の検査拒否」があります。

一見、地味な印象もありますが、一体、どんな法律なのでしょうか?

先日、全国で初摘発された事件が起きたので、これを例にして解説したいと思います。

「自転車検査拒否疑い初摘発 23歳男を書類送検」(2014年6月19日 産経新聞)

埼玉県警蕨署は19日、ブレーキのない自転車を運転し、警察官が検査のため停止を命じたのに従わなかったとして、道交法違反(検査拒否と制動装置不良)の疑いで、同県川口市のアルバイトの男(23)を書類送検しました。

事件が起きたのは、3月17日午後4時半ごろ。
男は同県戸田市の公道をブレーキのない自転車で走行していたところ、検査のため警察官がパトカーのマイクで停止を命じたにも関わらず、これに従わずに逃走。

近くのマンションの駐車場に入り込んだところを、追跡したパトカーの署員に取り押さえられたということです。

同署によると、自転車は男が組み立てた曲芸などでも使われる小型の競技用のもので、ブレーキは前輪、後輪ともになかったようです。

男は、「捕まるのが嫌で逃げました」と容疑を認めているということです。

以前、ブレーキのついていない自転車を運転して逮捕された事件を解説しました。

詳しい解説はこちら⇒
「こんなことで逮捕とは…ブレーキなし自転車(ピスト)で全国初逮捕」
https://taniharamakoto.com/archives/1208

この事件では、道路交通法違反(制御装置不良自転車運転)容疑でした。

今回はさらに、「自転車の検査拒否」の容疑です。

「道路交通法」第63条の10(自転車の検査等)
1.警察官は、前条第一項の内閣府令で定める基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車と認められる自転車が運転されているときは、当該自転車を停止させ、及び当該自転車の制動装置について検査をすることができる。

2.前項の場合において、警察官は、当該自転車の運転者に対し、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要な応急の措置をとることを命じ、また、応急の措置によつては必要な整備をすることができないと認められる自転車については、当該自転車の運転を継続してはならない旨を命ずることができる。

ブレーキのない自転車で通行しているときは、警察官がこれを停止させて検査し、応急措置では必要な整備ができない場合は、その自転車を運転しないよう命ずることができるようになったわけです。

罰則は、5万円以下の罰金です。

もちろん、「ブレーキがついていないから止まれなかった」という言い訳は通用しませんよ。

ちなみに、昨年12月の施行では、以下についても刑罰が追加されています。

「悪質・危険運転への対策」
無免許運転や、無免許運転の幇助行為、免許証の不正取得について、これまでの罰則は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金だったものが、改正後は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に引上げられています。

「自転車の路側帯通行を左側に限定」
自転車等の軽車両が通行できる路側帯は、道路の左側部分に設けられた路側帯に限ることとされました。
路側帯の右側通行をした場合は、通行区分違反として、3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。

ブレーキなしの競技用の自転車はかっこいい、乗り心地がいいという理由で公道を走ってはいけません。

自転車愛好者は、法律に違反した自転車に乗りたいという気持ちにもブレーキをかけなければいけませんね。