脱線事故と損害賠償の法律構成
2005年04月29日
兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故では、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。
今後JR西日本の遺族や被害者に対する補償問題(損害賠償問題)が出てきます。
民事上の責任としては、運転士の過失に基づいて脱線したならば、運転士に不法行為に基づく損害賠償義務が発生します。
その場合、JR西日本は、運転士を事業のために使用していたものですから、使用者としての損害賠償義務が発生します。また、JR西日本は、乗客との間で旅客運送契約を締結していますが、安全に運送するという債務も契約に含まれていますから、債務不履行に基づく損害賠償義務も発生します。
運転士に過失がなかったとしても、線路に何らかの瑕疵があった場合には、土地工作物の所有者・占有者としての損害賠償義務が発生する可能性があります。
また、列車は動産ですから、列車が通常有すべき安全性を欠いていた場合には、製造物責任法も検討する余地があります。
マンションの住民側からは、マンションの瑕疵があったかどうかも検討することになるでしょう。