ライオンになるな、ネズミとして生きよ
ある日、ねずみがうっかり眠っている獰猛なライオンの体の上を走ってしまい、ライオンを起こしてしまいました。
怒ったライオンは、ねずみを前足で押さえつけ、今にも食べてしまおうとします。
ねずみはガタガタ震えながら言いました。
「どうか命だけは助けてください。いつかきっと、お礼をします。」
ライオンは、そんな小さなねずみに何ができるのかと思いながらも、その言葉がおかしくて、ねずみを逃がしてやりました。
しばらくして、ライオンは猟師のしかけた網にかかってしまいます。
どんなに力を入れても、網から抜け出すことができません。
ライオンは大声でほえました。
その声を聞いたのが、以前助けてもらったあのねずみでした。
ねずみはすぐに駆けつけると、鋭い歯で網を少しずつかじり始めます。
やがて網は切れ、ライオンは無事に逃げることができました。
ライオンは驚いて、ねずみに言いました。
「おまえのような小さな者が、本当に私を助けてくれるとは思わなかった。」
(イソップ寓話「ライオンとねずみ」)
この話は、一般的には、
「どんなに小さな者でも、だれかの役に立つことがある」
「親切は、いつか自分に返ってくる」
が教訓だとされます。
しかし、私の捉え方は違います。
ライオンは強い。けれど、網を噛み切ることはできません。
ねずみは小さい。けれど、細い隙間に入り込み、鋭い歯で網を断ち切れます。
力の大きさではなく、力を発揮できる場面が違ったのです。
私たちは、自分にないものばかり見てしまいます。
あの人ほど目立てない。あの人ほど話せない。あの人ほど影響力がない。
しかし、社会で必要とされるのは、いつも「一番大きな力」ではありません。
その場に必要な力です。
丁寧さに優れる人がいます。
人の気持ちを察することに優れる人がいます。
粘り強く続けることに優れる人がいます。
それは派手ではなくても、確かな武器です。
そして、多くの場合、人を助けるのは、そういう力です。
成功とは、誰かの強さをまねることではありません。
自分に与えられた強みを見つけ、その刃を磨くことです。
小さいからこそ届く場所があり、目立たないからこそ果たせる役割があります。
ライオンになる必要はありません。
人は皆、必ずどこかで誰かに貢献できる力を持っています。
磨くべきなのは、ないものではなく、すでにあるものです。
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