2本の刀
戦国時代、武将の谷尻北斎は、病で寝込んでいた。谷尻には、息子が2人おり、長男は剣心、次男は、左之助だった。
ある日、谷尻は、家宝の二振りの刀を持ってこさせ、2人の息子に選ばせた。
「どちらを選ぶかは自由だ。だが、選び方を誤れば、命を落とすことになるぞ」
谷尻は刀の説明をした。
「万用の刀」 – すべての頼みに応えられるが、持つ者は自由を失う。
「選択の刀」 – 斬れないものが多いが、本当に斬るべきものだけは斬れる。
左之助は「万用の刀」を手にした。
「武士とは民と主君のために尽くすもの。この刀こそ、私にふさわしい」
彼は城の守備、民の訴えの対応、兵の指導、果ては雑用まで全てを引き受けた。
確かに彼の評価は高まったが、時間も体力も削られ、やがて戦場での鍛錬さえ満足にできなくなった。
戦が始まったとき、彼は疲労のあまり刀を握る手が震えていた。敵の斬撃を受け、彼は無念の最期を遂げた。
剣心は黙って「選択の刀」を取った。
「この刀は、多くのものは斬れないということか・・・」
彼は考えた。すべての戦いに臨むのではなく、「本当に斬るものだけを斬る」。
戦が始まると、剣心は、自分がどうするべきか考えた。
仲間が言った。
「最前線で戦おう!」
「東の門に応援に来てくれ!」
「鉄砲の弾が足りない。持ってきてくれ!」
しかし、剣心は、それに応じなかった。
剣心は、仲間からの評判を落としてしまった。
剣心は、「自分は、主君の近くにいて、主君をお守りしよう」
戦況が悪化し、敵が本丸に迫ってきた。
しかし、そこには、体力を温存し、気力が充実した剣心が守っていた。
剣心は、乱戦で疲れた敵を次から次へと斬り捨て、主君を守ることに成功し、また仲間からの評判が上がった。
剣心が他の仲間達の呼びかけに応じていたら、主君を守れなかっただろう。
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選択の刀は、私達の時間です。
万用の刀のように、他人から頼みに全て応じ、やりたいこと全てに手を出していたら、疲弊して、本当にやりたいこと、やるべきことに時間を使えなくなってしまいます。
選択の刀のように、やることをなるべく少なくし、大切なことに時間を使うことで、人生が豊かになるのだと思います。
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