リベンジポルノには新たな法律が適用されます!
今年の2月、福島県で元交際相手の女性の裸の写真をショッピングセンターの駐車場でばらまいたとして、会社員の男(33)がリベンジポルノ被害防止法で初逮捕という事件がありました。
この数年で問題化してきたリベンジポルノは、元配偶者や元恋人への復讐目的で裸の画像や動画を投稿などする嫌がらせ行為のことですが、収まる気配はなく、また新たな逮捕者が出たようです。
「ツイッターに裸写真…リベンジポルノ法違反容疑で男を再逮捕 ネットでの適用は全国初」(2015年3月11日 産経新聞)
神奈川県警は、元交際相手の女性の裸の写真をインターネット上で公開したとして、鳥取県境港市の無職の男(39)をリベンジポルノ被害防止法で再逮捕しました。
ネット上に画像をアップロードする行為としては、同法では全国初の検挙ということです。
報道によると、今年1月、男は自らの簡易投稿サイト「ツイッター」に、元交際相手で専門学校生の女性(20)の裸の写真10枚を掲載。
写真は平成24年7月から25年1月までの交際中などに撮影されたようです。
2014年12月にも、男は写真1枚を掲載しており、友人に知らされた女性が今年1月に県警に相談したことで発覚。
男は、「(別れた後に)彼女が返事しなくなり、恨みが募った」などと供述し、容疑を認めているようです。
なお男は、すでに脅迫などの容疑で逮捕後に処分保留となっており、今回、神奈川県警が再逮捕したということです。
【リベンジポルノ被害防止法とは?】
リベンジポルノ被害防止法は、正式名称を「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます。
(なんと長い、26文字もあります!)
この法律は2013年10月に発生した、三鷹ストーカー殺人事件をきっかけにリベンジポルノに対処するために、2014年11月、国会で成立しています。
全部で6条からなるリベンジポルノ被害防止法の目的は、以下の通りです。
私事性的画像記録の提供等により、私生活の平穏を侵害する行為を処罰するとともに、私事性的画像記録に係る情報の流通によって、個人の名誉及び私生活の平穏が侵害される被害の発生、又はその拡大を防止することを目的とする。(第1条)
次に、「私事性的画像記録」とは、以下のような人の姿態が撮影されたものをいいます。
1.性交又は性交類似行為に係る人の姿態
2.他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3.衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
(第2条)
【どのような刑罰が科せられるのか?】
今回の事件では、ツイッターに女性の裸の写真を投稿したということですから、「私事性的画像記録提供等」の罪に問われたということになります。
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、プライベートで撮影した画像を不特定、または多数の者に提供した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第3条)
以前の事件のときにはリベンジポルノ被害防止法が成立していなかったので罪に問うことができず、今回の事件では、発生が同法の施行直後だったため、脅迫など別の容疑を適用し、今回、時期を待って再逮捕ということになったのでしょう。
ちなみに、脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金ですから、リベンジポルノ被害防止法の方が重い罪になるということです。
新たな法律ができ、初の逮捕者が出たことによって、今後は取り締まりが厳しくなされていくでしょう。
また、米Twitterは現地時間の3月11日、ユーザーポリシーの「Twitterルール」と「嫌がらせ行為に関するポリシー」を改定したということです。
「撮影されている人物の同意なく撮影または配布された、私的な画像や動画を投稿することを禁じます。」という一文を追加し、リベンジポルノの禁止を明文化したようです。
リベンジポルノに関しては、日本だけでなく世界的にも厳罰化に向かっています。
スポーツや資格試験には、おおいにリベンジしても結構ですが、元交際相手にリベンジはいけません。
世の男性諸氏は十分気をつけましょう。
「善とは何か。後味の良いことだ。
悪とは何か。後味の悪いことだ。」
(アーネスト・ヘミングウェイ/アメリカのノーベル賞作家)