沖縄県立病院未収金を回収業者に
2007年02月03日
沖縄県立病院の医療費などの未収金について、民間の債権回収業者に回収を委託したそうです。
「回収を委託」というのは違うような気がします。「民間の債権回収業者」というのは、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づいて設立された「債権回収会社」(サービサー)ですが、このサービサーが取り扱うことのできる債権は限定されており、医療費は入っておりません。
したがって、回収行為はできないはずです。医療費について、サービサーができることは、「回収に関する事務」を受託し、通知を発送したり、入金の案内をしたりすることです。未払いの患者と交渉したり督促したりすることはできません。
したがって、沖縄県立病院が、サービサーに委託したのは、回収ではなく、単に事務を委託しただけでしょう。
ニュースでは、「今回からは、支払い能力があるのに払わない悪質な者には強制執行をするつもりだ」と強調したとありますが、これもサービサーはできません。自分でやるか、弁護士に委託するか、ということになります。
さらに、対象となる債権は、3年以上経過した未収金を主な対象にするそうです。
しかし、医療費債権は、平成17年11月21日付け最高裁判決により、消滅時効は3年とされています。時効消滅した債権のみを主な対象として回収を開始するのはどうかと思います。
なお、私の法律事務所では、病院の医療費などの未収金回収業務を受託しております。
思いどおりに他人を動かす交渉・説得の技術―現役弁護士が書いた