相手に聞く耳を持たせるには?
思いどおりに他人を動かす交渉・説得の技術―現役弁護士が書いた (DO BOOKS)/谷原 誠
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交渉をするとき、相手に聞く耳を持たせるために、こちらが聞き手にまわることがある。
相手に聞く耳を持たせるために、聞き手にまわる?
これだけ聞くと、意味不明かもしれない。
特に、人の話を聞かず、自分の話ばかりする人の場合は特に聞き手にまわる必要がある。
交渉では、自分の利益を最大限にしなければならない。
そのためには、自分の主張を通さなければならない。
だから、お互いに自分の主張ばかりを言い合う場が交渉だ、と思っている人がいる。
もちろん、そういう場面もあるが、それは違うと思う。
人の話を聞かず、自分の話ばかりする人は、何とかして自分の事情をこちらに伝えようとしてくる。
事情や考えを漏らさずこちらに伝え、理解させ、それに従わせようとする。
そういう人は、こちらが話している時に、何を考えているか?
「さて、次は何を話そうか。どう話せばわかってもらえるか。おっ、こいつはまだこんなことを言っているな。私の言っていることをわかっていない証拠だ。よし、次はあのことを言おう」
こんな感じだ。
つまり、ほとんどこちらの言うことなど聞いていないし、心に浸透していない。
こんな状態で、いくら大声でわめいても、交渉成立には結びつかない。
違う角度から考えてみる。
そういう相手が、こちらの話を聞いてくれる状態は、どのような状態か?
それは、相手が、自分の言いたいことを全て言い切り、こちらに理解させた状態だ。
相手が望んでいるのは、まさにその状態だ。
その状態になった時、相手は、初めて話すのをやめ、こちらのことを考える余裕が出てくる。
つまり、その状態が聞く耳を持った状態だ。
この状態になれば、こちらが話すことに聞く耳を持ち、理解する余裕が出てくる。
だから、その状態になるまで、じっくりと相手の話を聞く必要があるのだ。
さらに、余裕があれば、聞き終わった後、次のように言おう。
「あなたのご事情を私が正しく理解したかどうか確認させてください。~ということでよろしいですか?まだ足りないことがありますか?」
ここまでくれば、相手はとりあえずは満足だ。
次はこちらが話す番だ。
「あなたのことを全て理解したところで、私の方の事情も少し聞いていただけますか?」
相手は聞いてくれるだろう。
交渉は、自分が言いたいことばかりを言う場ではないと思う。
自分の主張を通すため、相手の言い分にじっと耳を傾ける必要があるように思う。