自転車事故で、2人死亡? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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自転車事故で、2人死亡?

2011年11月29日

2011年5月、大阪市浪速区で、タンクローリーが歩道に乗り上げ2人が死亡した事故で、自転車で道路を横断して事故を誘発したとして重過失致死罪に問われた男の裁判があり、大阪地裁は28日、禁錮2年(求刑・禁錮3年6月)の実刑判決を言い渡したそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111128-00000373-yom-soci

この事件は、以前もこのブログで書きました。

http://ameblo.jp/mtanihara/entry-10946090231.html

こんな事件です。

ワゴン車が急に車線変更し、タンクローリーの直前に飛び込んできたため、タンクローリーがワゴン車を回避するため、急転回したところ、タンクローリーが歩道に乗り上げ、男性2人をはねて、2人が死亡したという事件。

当初、ワゴン車とタンクローリーの運転手を、自動車運転過失致死の疑いで逮捕したものの、捜査を進めるうちに、事故の原因は、彼らの過失ではなく、自転車運転手の過失であったことが判明。

つまり、ワゴン車が急な車線変更をしたのは、ワゴン車の目前に、突然自転車が飛び出してきたので、それを避けようとしたことが原因であることが判明したのです。

そこで、ワゴン車とタンクローリーの運転手を処分保留で釈放し、かわりに自転車の運転手を逮捕、起訴しました。

その判決が、冒頭の、禁錮2年の実刑判決です。

自転車に乗っている人は、「自転車と自動車だったら、自動車が避けるのが当然だ」とばかり、傍若無人な運転をする人をたまに見かけます。

しかし、自転車の運転がきっかけで、それを避けようとした自動車が事故を起こした場合、自転車の運転手が、その事故の責任を負う結果になる場合もあります。

この事件の場合、自転車の運転手は、実刑で2年間の禁錮刑になるだけではありません。

2人の死亡した遺族から民事の損害賠償請求を受けるでしょう。

その損害賠償額は莫大です。

自転車に保険をかけているでしょうか?

ほとんどの人はかけていません。

全てを自分で負担しなければならないのです。

他人事ではありません。

気をつけたいものです。