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学校の野球部活動での事故で県に賠償命令

 >学校の野球部活動での事故で県に賠償命令

2016年5月18日

高校の部活動中の事故により後遺症が残ったとして、被害者が損害賠償請求していた訴訟の判決が出たようです。

「部活中、打撃投手の頭部に打球…県に賠償命令」(2016年5月14日 読売新聞)

2011年5月、某県立高校の1年生だった男性が、野球部の練習中、グラウンドで打撃投手を務めていた際に右側頭部に打球を受け、頭蓋骨骨折などの重傷を負った。

日本高野連は打撃練習時に投手にヘッドギアを着用することを義務付けているが、男性は頭部を保護するヘッドギアを装着していなかったという。

男性は脳挫傷などの後遺症が残ったとして、県に約2400万円の損害賠償を求めて提訴していた。

静岡地裁の判決では、「職務上の注意義務に違反して事故を生じさせた」として教諭の過失を認定。
「指導教諭は注意義務に違反し、職務行為の違法性が認められる」として、県に約890万円の支払いを命じた。
大切な子供の人生が一瞬のうちに暗転してしまう学校での死傷事故。
一体、誰に責任があるのでしょうか? 損害賠償請求は誰に対して行うべきなのでしょうか?
【学校での事故によるケガには災害給付金が支払われる】
通常、学校や保育所の管理下における子供の事故、災害では、学校や保育所が加入している独立行政法人日本スポーツ振興センターから災害共済給付金(医療費、障害・死亡見舞金)が支払われることになります。

・災害共済給付金には、医療費の他、障害見舞金または死亡見舞金が含まれます。

・学校や保育所の管理下とは、授業中(保育中)、部活動や課外授業中、休憩時間(始業前、放課後を含む)、通学(通園)中をいいます。
しかし、大きなケガのため重い障害を負った場合など、災害共済給付金だけでは損害賠償金額をすべて賄えないことが多いという問題があります。

その場合、被害者と親御さんは学校に損害賠償請求することができます。
【使用者責任とは?】
学校で起きた事故で子供が死傷した場合、損害賠償請求する相手として、まず担当教員や部活の顧問教員を想定する方もいると思います。

しかし、その教員を雇用しているのは学校であり、学校には「使用者責任」があるため、教職員の故意または過失によって生じた事故では、使用者である学校も損害賠償義務を負うことになります。

公立校であれば「国家賠償法」、私立校ならば「民法第715条」が適用されます。
損害賠償請求に関しては、「民法第709条」が適用されます。

「国家賠償法」
第1条
1.国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
「民法」
第715条(使用者等の責任)
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

今回、県に賠償命令が下されたのは、教員が県立高校の公務員だった、ということですね。

部活動については、「学校の教育活動の一環として行われるものである以上、その実施について、顧問の教諭を始め学校側に生徒を指導監督し事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務のあることを否定することはできない」(最高裁昭和58年2月18日判決)とされています。

したがって、部活動において生徒が怪我をした場合、学校側が生徒を指導監督し事故の発生を未然に防止すべき注意義務を怠った場合には、教師や学校に損害賠償責任が発生することになります。

今回については、日本高野連は打撃練習時に投手にヘッドギアを着用することを義務付けているが、男性は頭部を保護するヘッドギアを装着していなかった、ということで、顧問の教師らの指導監督が不十分であった、と認定されたものと思われます。

【学校で起きた死亡・重度の障害事故の発生件数】
次に、平成10~21年度における、中学・高校での体育の授業、および運動部活動での死亡・重度の障害事故の発生件数について、日本スポーツ振興センターが公表している災害共済給付のデータから見てみましょう。

「中学・高校での体育の授業における死亡・重度の障害事故の発生件数」
・陸上競技/87人
・水泳/24人
・バスケットボール/17人
・サッカー/16人
・器械体操等/10人
・柔道/9人
・バレーボール/8人
「中学・高校での運動部活動における死亡・重度の障害事故の発生件数」
・柔道/50人
・野球/35人
・バスケットボール/33人
・ラグビー/31人
・サッカー/26人
・陸上競技/19人
・バレーボール/14人
・テニス/14人

格闘技である柔道や、硬いボールを使用する野球などで事故が多く発生していることが読み取れます。

もし、授業中、課外活動中などにお子さんが怪我をしたような場合には、加害者である生徒などの他に、教師や学校にも損害賠償できる可能性があることを憶えておきましょう。

そして、そのような場合には、法律が認めているわけですから、泣き寝入りする必要はありません。

弁護士などの専門家に相談して、慰謝料など適切な損害賠償金を手にするための対応をされることをお勧めします。

ご相談はこちらから⇒「弁護士による学校事故SOS」
http://www.bengoshi-sos.com/school/

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