葉山のひき逃げ交通事故は発覚免脱罪? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
メニュー
みらい総合法律事務所
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。

葉山のひき逃げ交通事故は発覚免脱罪?

2015年08月24日

2015年8月23日夕方、神奈川県葉山町で海水浴帰りの男女3人がひき逃げされ死傷した事件がありました。

男性一人が死亡したほか、女性が意識不明の重体、男性一人も大けがをしました。

逮捕された男性からは、アルコールが検出されましたが、「事故を起こして自宅に戻ったあと、怖くなって酒を飲んだ」と説明しているということで、警察は友人らから話を聴くなどして当時の状況を詳しく調べています。
酒を飲んで人身事故を起こした、ということであれば、当然「危険運転致死傷罪」が疑われますが、危険運転致死傷罪に問うことができるためには、事故を起こす時に、「酒に酔って正常な運転ができない状態」で運転したことを検察側が立証しなければなりません。
それは、今回、難しいでしょう。
しかし、法律では、酒に酔って自動車の運転に支障が生じるおそれがある状態で事故を起こし、その発覚を防ぐために酒を飲んだような場合には、「発覚免脱罪」として、罪を問われます。
危険運転致死傷罪(死亡)の場合が最高懲役20年に対し、発覚免脱罪は、最高懲役12年です。
しかし、発覚免脱罪は、たいてい「ひき逃げ」が加わります。
発覚免脱罪に「ひき逃げ」が加わると、最高懲役18年になります。
今回は、おそらく危険運転致死傷罪の適用は難しいでしょう。
しかし、事故前に相当程度飲酒したことが認定できるのであれば、この「発覚免脱罪」と「ひき逃げ」の併合罪で、最高懲役18年、の適用が可能となるかもしれません。
警察および検察の捜査を待ちたいと思います。