脱法ハーブで危険運転致死傷罪か!? | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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脱法ハーブで危険運転致死傷罪か!?

2014年06月25日

6月24日の夜、池袋の路上で脱法ハーブを吸った男が自動車を運転し、8人が死傷するという事故を起こしたようです。

「“全く記憶がない”池袋脱法ハーブ事故、逮捕の男 危険運転致死傷適用検討」(2014年6月25日 産経新聞)

24日午後8時前、池袋駅近くの路上で自動車が歩道に突っ込み、歩行者を次々にはねながら約40メートルにわたって走行。20代の女性が死亡、男女3人が重傷、4人が軽傷を負いました。

運転していた埼玉県の飲食店経営の男(37)は調べに対し、「池袋で脱法ハーブを買い、運転前に車の中で吸った。途中からまったく記憶がない」と供述。

目撃者によると、男は事故後、酒に酔ったような状態で運転席からなかなか出ようとせず、よだれを垂らして口の周りには泡があふれた状態だったということです。

警視庁交通捜査課は当初、男を自動車運転処罰法違反の「過失運転致傷」の容疑で現行犯逮捕。

その後、死亡者が出たことから「過失運転致死傷」容疑に切り替えて調査していましたが、薬物の影響で正常な運転ができない状態だったとみて、さらに罰則の重い「危険運転致死傷」容疑の適用を検討しているようです。

自動車運転処罰法違反で危険運転致死傷罪となると、死亡の場合、最長で懲役20年です。

ところで、「過失運転致死傷」と「危険運転致死傷」の違いは何でしょうか?

大きく、2つのポイントがあります。

〇アルコールや薬物(脱法ハーブも含む)などの影響により、正常に運転ができない状態だった。
〇過失ではなく、故意に危険運転をした。

今回の事故で容疑者の男は、「脱法ハーブを吸った」「人をはねたのは間違いない」「脱法ハーブを車の中に置いてある」「過去にも吸ったことがある」「途中からまったく記憶がない」などと供述していることから、危険運転致死傷罪が成立する可能性は高いでしょう。

「自動車運転死傷行為処罰法」の
詳しい解説はこちら⇒ https://taniharamakoto.com/archives/1236

近年、脱法ハーブによる事件が多発しています。
また、こうした薬物の吸引が原因とみられる交通事故も増加しています。

「後絶たぬ脱法薬物交通事故 昨年の摘発は前年比2倍超」(2014年6月25日 産経新聞)

報道によりますと、平成25年の脱法ハーブを含む薬物の吸引が原因とみられる事故は前年比で2倍以上に増加。

今年4月施行の「改正薬事法」では、販売だけでなく所持にも罰則が科せられ厳罰化が進められていますが、乱用に歯止めがかからないとしています。

今後、脱法ハーブにも、新たな法整備が必要とされる事態も考えられます。

まずは脱法ハーブの危険性と違法性を十分に理解すること、そして安易な考えで車の運転をしないことの徹底が大切だと思います。