こんなことで逮捕とは…ブレーキなし自転車(ピスト)で全国初逮捕 | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜
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こんなことで逮捕とは…ブレーキなし自転車(ピスト)で全国初逮捕


ブレーキなしの自転車運転で全国初の逮捕者が出てしまいました。

警視庁交通執行課は11日、後輪にブレーキがついていない自転車を運転したとして、東京都の男性を道路交通法違反(制御装置不良自転車運転)容疑で逮捕しました。

男性は、昨年3月に同じ自転車を運転しているところを同容疑で摘発されたにもかかわらず、出頭要請を7回も無視し続けたことで同課は逮捕する必要があると判断したようです。

男性は、「こんなもので逮捕されるとは思わなかった」と供述しているとのことです。

参考人ならまだしも、被疑者としての出頭要請ですから、出頭すべきですね。

ところで、ブレーキのない自転車=ピストバイクとはどういうものなのか簡単に説明しておきましょう。

ピストバイクは競技用の自転車(トラックレーサー)で、もともとは公道を走るためのものではありません。

そのためブレーキがついておらず、しかも固定ギアのためペダルを逆回転に回して自転車を止めるのですが、制動力は脚力に依存するため、相当の脚力がないと、急に止まることができないでしょう。

2000年代半ばに日本にも輸入されるようになり、そのシンプルなスタイリングが美しいということで、ストリートカルチャーやファッションの面で人気になりました。
壊れにくく、乗り心地が独特ということで愛好家もいます。

しかし、2年前にはお笑い芸人がブレーキなしのピストバイクを運転していて道路交通法違反(制動装置不良)で交通違反切符を切られたように、このところ摘発者が増えているようです。

みなさん、ここでもう一度、確認してください!
ブレーキなしの自転車を運転することは法律で禁じられています。
もちろん、前輪後輪両方ついていなければいけません。

道路交通法 第63条の9第1項(自転車の制動装置等)

自転車の運転者は、内閣府令で定める基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車を運転してはならない。

道路交通法施行規則 第9条の3

1.前輪及び後輪を制動すること。
2.乾燥した平たんな舗装道路において、制動初速度が10キロメートル毎時のとき、制動装置の操作を開始した場所から3メートル以内の距離で円滑に自転車を停止させる性能を有すること。

これに違反すると、道路交通法の第120条により5万円以下の罰金となります。

今年7月に施行された東京都の「自転車安全利用条例」によって、道路交通法に違反する自転車の販売が禁止されたので、ブレーキのない自転車の一般販売も禁止される、ということになります。この動きは全国に広がっています。

また近年、交通事故は減少しているにもかかわらず、自転車による事故は全体の約2割にも達し増加の一途をたどっています。

自転車は道路交通法上、「軽車両」です。

格好いいからという理由だけでブレーキなしの自転車には乗らないこと。
自分も人も傷つけないよう、安全に十分配慮して自転車を楽しんでほしいと思います。