東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
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「週刊朝日」から取材


2015年11月19日

雑誌「週刊朝日」2015年11月27日号から取材を受け、私のコメントが掲載されました。

内容としては、増加する自転車事故について、その損害賠償がどうなるのか、という件です。

自転車保険の契約者が急増中!その理由とは?


2015年7月16日

今年に入って、自転車保険の契約をする人が増加しているようです。
今回は、その背景について考えてみたいと思います。

「自転車保険、契約ペース倍増 賠償金の高額化など背景に」(2015年7月13日 朝日新聞デジタル)

自転車で人にケガをさせたときに損害賠償金などが補償される「自転車保険」の契約件数が、前年の2倍以上のペースで伸びていると新聞が報じています。

以前は、自転車の賠償責任保険といえば自動車保険や火災保険の「特約」が主流でした。
しかし、近年では損保各社がコンビニで申し込める保険や、スマホなどインターネットから加入できる自転車単独の保険を本格的に売り出していて、昨年の2倍以上の伸びを示しているようです。

年間保険料が4490円で1億円を保証するプランや、最大補償額2億円のプランなどもあり、各社とも事故の相手への賠償だけでなく、自分がケガをしたときの補償や自転車以外の交通事故、日常生活でモノを壊した際の賠償保障などもついているのが特徴だということです。
自転車保険への加入が増加している背景には、自転車事故での損害賠償金の高額化など、さまざまな理由が考えられます。
具体的に見ていきましょう。

【なぜ高額賠償金の判決が増えているのか?】
以前、自転車事故の高額賠償金について解説しました。
詳しい解説はこちら⇒
「自転車での死亡事故が多発中!損害賠償金は一体いくら?」
https://taniharamakoto.com/archives/1648

特に注目されたのは、兵庫県での判例でした。

2008年9月、神戸市の住宅街の坂道で当時11歳の少年がマウンテンバイクで走行中、知人と散歩をしていた60代の女性に正面衝突。
女性は頭を強打し、意識不明のまま寝たきりの状態が続いていることから、家族が損害賠償を求めて提訴。
2013年、神戸地裁は少年の母親(当時40歳)に約9500万円の支払いを命じたというものです。

子供が起こした自転車事故の場合、親には監督責任があるため多額の損害賠償金は親が支払わなければいけません。
しかし、仮に保険に加入していなければ最悪は自己破産の可能性もあり、被害者も金銭的補償を得られず救済されないという問題が起こります。
そうした万が一のときのために自転車保険は有効だということです。

では、なぜ損害賠償額が高額化しているのでしょうか?

最近になって裁判所の基準が変わったわけではありません。
賠償額は、被害の程度に応じて高額化します。
つまり、損害賠償額が高額化しているということは重大な被害を生じる自転車事故が増えているということになります。

たとえば、上記の損害賠償額9500万円について見てみます。

内訳は以下のようになっています。
・将来の介護費用:3940万円
・事故で得ることができなくなった逸失利益:2190万円
・ケガの後遺症に対する慰謝料:2800万円
・その他、治療費など。

介護費用は、「女性の1日あたりの介護費8000円×女性の平均余命年数」、で算出されていますが、今後、将来にわたって毎日介護が必要となることを考えれば、介護者の精神的、金額的な負担は相当なものになります。

逸失利益については、事故に遭わなければ将来得られたであろう収入ですから、専業主婦であったとしても、かなりの金額になります。

また、後遺症に対する慰謝料としては事故状況を考えて高額になっています。

9500万円は高すぎるのでは? と思う人もいるでしょうが、弁護士の立場からすれば、決して高くはない妥当な金額だといえます。
【自転車の危険運転の罰則は厳罰化の方向に進んでいる】
そこで、悪質で危険な自転車運転に対する罰則を厳しくするために2014年6月1日に「改正道路交通法」が施行されています。

詳しい解説はこちら⇒「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
https://taniharamakoto.com/archives/1854

信号無視や酒酔い運転、歩道での歩行者妨害、遮断機が下りた踏切への立ち入り、携帯電話を使用しながら運転するなどの安全運転義務違反等、14項目の危険行為を規定し、これらに違反した14歳以上の運転者は、まず警察官から指導・警告を受け、交通違反切符を交付されますが、3年以内に2回以上の交付で安全講習が義務づけられることになりました。
仮に受講しないと5万円以下の罰金が科せられることになります。
【自転車保険の加入を義務化した県もある】
これらの流れを受けて、なんと自転車保険の加入を県民に義務化した県もあります。

詳しい解説はこちら⇒「兵庫県条例で自転車保険の加入が義務化!」
https://taniharamakoto.com/archives/1911

兵庫県では、自転車が加害者となる事故が増加傾向にあるため、利用者の意識向上と被害者救済を目的に、県条例で今年(2015年)の10月からの保険加入が義務づけられました。

ちなみに、知らない人もいると思いますが、2013年には東京都と愛媛県で「保険加入を努力義務とする」条例が制定されています。
交通事故の件数自体は年々減少傾向にありますが、警察庁が公表している統計資料「平成26年中の交通事故の発生状況」によると、自転車関連の事故は10万9,269件で、この数年、交通事故全体に占める割合は約2割のまま推移しています。

不測の事態で困らないために保険に加入しておくのは大切なことですが、その前に大切なことは当然、事故を起こさないことです。

手軽で便利だからといって、軽い気持ちでスピードの出し過ぎや、ながら運転、ひき逃げなどの危険行為はしないように十分気を引き締めて自転車に乗ってほしいと思います。

万が一の自転車事故のご相談はこちらから
⇒「弁護士による自動車事故SOS」
http://www.jikosos.net/

 

自転車ひき逃げで書類送検


2015年4月21日

自転車でぶつかっただけ、では、済まない時代になりました。

「“自転車の事故はお互いさまでは…”自転車ひき逃げの19歳女子大生を書類送検」(2015年4月17日 産経新聞)

大阪府警高石署は、自転車同士の衝突事故で相手にケガを負わせたにも関わらず、そのまま走り去ったとして、府内の女子大生(19)を重過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で書類送検しました。

事故が起きたのは2015年1月26日午前10時すぎ。
女子大生が市道交差点を自転車で走行中、パートの女性(57)の自転車と衝突。
女性を転倒させ、右足首を骨折させたのに救護措置を取らずに逃走したようです。

女子大生は、テレビで事故のニュースを見た家族に付き添われ、事故当夜に自首。

「通学で急いでいた」、「自転車の事故なのでお互いさまと思って立ち去ってしまった」と話しているということです。

怪我をさせれば、損害賠償義務を負います。

ところで、今回の事故は、刑事事件での書類送検です。
ポイントは、大きく4点あります。

1.道路交通法の「救護義務違反」=ひき逃げとは?
事故を起こした場合、以下の措置等を取らなければいけません。(第72条)
①車両の運転者と同乗者は、ただちに運転を停止する。
②負傷者を救護する。
③道路での危険を防止するなど必要な措置を取る。
④警察官に、事故発生の日時、場所、死傷者の数、負傷の程度等を報告する。
⑤警察官が現場に到着するまで現場に留まる。

これらを怠ると、「ひき逃げ」という犯罪になりますので注意してください。

詳しい解説はこちら⇒「軽傷のひき逃げで懲役15年!?」
https://taniharamakoto.com/archives/1403
2.自転車も「車両」の一種
道路交通法では、自転車は車両の一種である「軽車両」です。
当然、自転車の事故も犯罪になるので注意してください。

ただし、自動車と自転車では刑罰に違いがあります。
自動車で、ひき逃げをして、被害者を死傷させた場合は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されます。(第117条2項)

自転車の場合は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処されます。(第117条の5)
3.重過失傷害罪とは?
「重過失傷害罪」とは、過失致傷に重過失、つまり重大な過失により人にケガをさせた罪です。
「注意義務違反」の程度が著しいことをいいます。

自転車の運転で重過失があった場合には、この規定が適用されます。

法定刑は、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金です。

4.書類送検とは?
テレビや新聞などのメディアで「書類送検」という言葉を見かけますが、逮捕と何が違うのでしょうか?

書類送検とは、刑事事件の手続きにおいて被疑者を逮捕せずに、または逮捕後保釈してから身柄を拘束せずに事件を検察官送致することです。
被疑者の逮捕や拘留の必要がない場合や、送致以前に被疑者が死亡した場合などで行われます。

今回の事故の場合、被疑者である女子大生は家族に付き添われて自首したということで、逃亡する可能性も低いために書類送検になったのだと思います。

近年、自転車による重大事故が増えています。

警察庁が公表している統計資料「平成26年中の交通事故の発生状況」によると、自転車関連の事故は10万9,269件で、交通事故全体に占める割合は約2割です。
また、自転車同士の事故は2,865件起きていて、そのうち2件が死亡事故となっています。

こうした事態を受けて、自転車による交通事故も厳罰化の方向に向かっています。
詳しい解説はこちら⇒「自転車の危険運転に安全講習義務づけに」
https://taniharamakoto.com/archives/1854
報道内容からだけでは詳しい状況がわかりませんが、事故を起こして相手がケガをしたにも関わらず、「お互いさまと思った」という女子大生の感覚は、交通事故の危険性、重大性を理解していない浅はかで軽率なものと言わざるを得ないでしょう。

自転車は気軽で日常使いだからといって、けっして他人事と軽くとらえずに、細心の注意を払って運転してほしいと思います。

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