ブログ | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 57
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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  • 古本窃盗

    2005年06月11日

    岩手県北上市の古本屋で、6月10日昼、漫画本45冊(計1万6700円相当)が盗まれたそうです。同店では、夕方になって気付き、店内を探し始めたとのこと。
     
    その直後の午後5時ごろ、なくなったのと同じ漫画本を持って男が売りに来たというのです。店員は、警察に通報し、警察官が駆けつけて逮捕したそうです。
     
    窃盗罪(刑法235条・10年以下の懲役)です。
     
    どうして同じ店に売りに行ったのでしょうか。
     
    1 本が盗まれたことを気付かないと思った。
    2 古本屋がここしかなかった。
    3 盗んだ男と売りに来た男は別人だった。
     
    わかりません。。
     
    ちなみに、盗品等を情を知りながら有償または無償で譲り受ける、運搬する、保管する、等の行為をすると、それだけで犯罪となりますので、ご注意ください。

  • 性別変更の申立

    2005年06月10日

    大阪拘置所に拘留されている20歳代の被告人(覚せい剤取締法違反の罪で公判中)が、戸籍上の性別変更を大阪家裁に申し立てて認められ、5月に女子用施設に移されたそうです。
     
    ニュース記事によると、被告は「ニューハーフ」として飲食店で働いていたそうです。

    実刑判決を受け、刑務所に入る場合には、男性の場合、坊主頭にしなければならず、男性用の下着も着用しなければならないことから、「精神的に計り知れない苦痛を受ける」として、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」による性別変更を申し立てたとのことです。
     
    この法律は、平成16年7月16日に施行されたもので、カルーセル麻紀さんもこの手続を取ったと記憶しています。
     
    性別変更が認められる要件は、
     
    1 20歳以上であること
    2 現に婚姻をしていないこと
    3 現に子がいないこと
    4 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
    5 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
     
    です。4、5の要件があるので、実際には性別適合手術を受ける必要がありそうです。
     
    心理学で「認知的不協和解消理論」というものがあります。自分の心に矛盾する考えが発生した場合には苦痛を感じ、食い違いをなくすようにどちらかを変更または排斥してしまう行動に出るというものです。
     
    たとえば、妊婦にタバコが良くないと聞きますが、それでも吸っている人がいます。その妊婦は、「タバコを吸いたい」という気持ちと「タバコを吸うと子に悪影響が生ずるから、吸ってはいけない」という矛盾する考えが心に生じ、苦痛を感じます。
     
    そこで、その矛盾を解消するため、タバコをやめるか、「少しだったら大丈夫」というように、どちらかを排斥または変更して矛盾を解消するのです。
     
    性同一性障害の場合には、現に存在する自分の身体と、自分の性は男性と女性のどちらであるかに関する確信(性自認)との矛盾であり、単に内心の操作ではその矛盾は解消せず、その苦痛ははかりしれないものがあると思われます。

  • 平成17年6月度のアクセス数

    2005年06月09日

    平成17年6月度の本ブログのアクセス数を集計してみました。
     
    平成17年6月1日~同月30日までの総アクセス数は、18,686でした。
     
    1日平均622です。
     
    ライブドアのブログでは、サイト上にはアクセス数が出ませんが、管理画面で見ることができるようになっています。

  • 平成17年1月から6月までのアクセス数

    2005年06月09日

    ついでに平成17年1月から6月までのアクセス数を集計してみました。
     
    平成17年1月度  7,438
    平成17年2月度 12,005
    平成17年3月度 25,787
    平成17年4月度 15,458
    平成17年5月度 16,650
    平成17年6月度 18,686
     
    平成17年1月1日~同年6月30日まで 総アクセス数 96,024
     
    1ヶ月平均アクセス数  16,004
     
    ちなみに平成17年3月度が突出しているのは、メルマガからこのブログへ誘導した時に1日に数千アクセスがあったためで、それがなければ同じくらいのはずです。

  • ニート増加

    2005年06月05日

    ニート(NEET)とは、高校、大学を卒業した後、仕事も進学も職業訓練もしない若者を示す概念だそうですが、総務省の労働力調査によると、2年以上の長期失業男性は、今年1-3月期で46万人。このうち約33%にあたる15万人が25歳-34歳だそうです。
     
    厚労省は「働く意欲のない人が急増すると、日本経済の成長が鈍る。損失は甚大だ」と言っているそうです。
     
    色々な事情があり、価値観があるのだろうと思います。働かなくても生活ができてしまう(経済的にも精神的にも)ということも理由としてあるのだろうと思います。
     
    ちなみに、私は仕事をしている時間が、自分にとって、とても大切です。1日は24時間ですが、増やせるものなら増やしてもっと仕事に時間を使いたいと思います。

  • 花田勝氏相続放棄

    2005年06月05日

    故二子山親方の長男、花田勝氏が、6月29日に、東京家庭裁判所に相続放棄を申し立てたそうです。
     
    故双子山親方には、花田勝氏と貴乃花親方の2人の子がいますが、子が複数いるときの相続分の割合は平等なので、本来であれば、2分の1ずつの相続となります(遺言書がない場合)。
     
    相続は、死亡により当然に発生します。つまり、法律上は、すでに花田勝氏にも相続が発生していることになります。
     
    ここで、相続放棄という手続が出てきます。相続放棄とは、相続する本人の意思によって、一旦発生した相続について、相続しなかったことにする制度です。相続の開始を知った時から3ヶ月以内に行わなければなりません。
     
    相続放棄をすると、相続開始の時に遡って、全てを相続しなかったことになります。相続は、プラスの財産と、借金等のマイナスの財産がありますが、相続放棄をすると、プラスもマイナスも全て相続しなかったことになるのです。
     
    相続放棄の対象は、相続財産のみです。生前にもらったものがあれば、それは相続放棄の対象にはなりません。そのようなものがない限り、今回の相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されれば、一応今回の相続騒動は解決したと考えて良いのではないでしょうか。

  • 線路に置き石

    2005年04月30日

    阪急電鉄神戸線の線路に置き石をしたとして、4月30日に、2人の会社員が往来危険罪の容疑で逮捕されました。
     
    線路に置き石をすると、脱線事故等の重大事故にもつながりかねない大変危険な行為です。そこで、置き石等の行為により電車の往来の危険を生じさせた者は、往来危険罪(刑法125条)として、2年以上15年以下の懲役刑が定められています。
     
    仮に、運転士や乗客がいる電車を置き石等で脱線させ、転覆させた場合には、刑法126条により、無期懲役刑または3年以上15年以下の懲役刑となります。
     
    更に、それによって死者が出た場合には、死刑または無期懲役刑となります。それほどに重い罪だということです。
     
    今回は、幸い未然に事故が防げたから良いのですが、酒に酔って冗談半分でレールに置き石をし、その結果人が死亡して、更に自分も死刑になってしまうということも生じうるのです。
     
    自分の行動の結果を論理的に予測すれば、このような行為はしないはずです。考えることを放棄しないよう改めて努力したいと思います。

  • 脱線事故と損害賠償の法律構成

    2005年04月29日

    兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故では、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。
     
    今後JR西日本の遺族や被害者に対する補償問題(損害賠償問題)が出てきます。
     
    民事上の責任としては、運転士の過失に基づいて脱線したならば、運転士に不法行為に基づく損害賠償義務が発生します。
     
    その場合、JR西日本は、運転士を事業のために使用していたものですから、使用者としての損害賠償義務が発生します。また、JR西日本は、乗客との間で旅客運送契約を締結していますが、安全に運送するという債務も契約に含まれていますから、債務不履行に基づく損害賠償義務も発生します。
     
    運転士に過失がなかったとしても、線路に何らかの瑕疵があった場合には、土地工作物の所有者・占有者としての損害賠償義務が発生する可能性があります。
     
    また、列車は動産ですから、列車が通常有すべき安全性を欠いていた場合には、製造物責任法も検討する余地があります。
     
    マンションの住民側からは、マンションの瑕疵があったかどうかも検討することになるでしょう。
     

  • 脱線事故と補償問題

    2005年04月28日

    兵庫県尼崎市のJR福知山線塚口と尼崎間で快速電車が脱線した事故は、死者は106人(男性59人、女性47人)に達したようです。
     
    復旧工事が落ち着いた後は、補償の問題が出てきます。運転士が死亡してしまいましたが、JRは、使用者責任を負担し、死傷者に対して損害賠償をしなければなりません。
     
    死傷者1人1人には、それぞれ仕事があり、家族があります。「死者1人につき〇〇円」とかという画一的取扱いではなく、1人1人の事情に応じ、十分な補償をして欲しいと思います。

  • 交通事故で目撃者探しだし略式命令

    2005年04月28日

    2001年11月3日午後6時半ごろ豊橋市で、79歳の女性が交通事故で亡くなった業務上過失致死被疑事件について、名古屋地検は2002年3月、男性が静枝さんに気付くのは困難だったと判断、嫌疑不十分で不起訴にしました。

    ところが、死亡した女性の長男が、事故の目撃者を捜し出して再捜査につなげ、いったんは不起訴処分となった加害者が一転して略式起訴されたそうです。加害者は、は今年3月に略式命令を受け、事故から3年半を経て罰金刑が確定したそうです。

    警察でも目撃者を捜し出すことができなかったのに、よく見つけました。どうしても許すことができない無念さが可能にしたのでしょう。

    ところで、略式命令とは、正式な裁判手続である公判手続を経ずに、50万円以下の罰金または科料を科す簡略化された刑事手続のことを言います。検察官が被疑者の処分を決める際に、罰金刑の場合、被疑者に略式命令にしても良いかどうか、意思確認をし、異議がない時だけ行うことができます。

    手続は、簡易裁判所で簡単な手続で終わります。死亡事故を起こしておいて罰金で済ませて良いのか、という感じ方もあるでしょうが、事件ごとにそれぞれ事情がありますし、これまでの裁判例の集積により量刑が定められていますので、一概に評価することはできません。