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睡眠導入剤でも危険運転致死傷罪
2008年02月27日睡眠導入剤を飲んで車を運転して事故を起こし、2人に軽傷を負わせたとして、山形署は2008年2月26日に、38歳の男性を危険運転致傷容疑で山形地検に書類送検したそうです。
危険運転致死傷罪(刑法208条の2)は、アルコールを飲んだ場合だけでなく、薬物の影響で正常な運転が困難な状態で自動車を運転した場合にも適用されます。
通常の自動車運転過失致傷罪であれば、7年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金ですが、危険運転致傷罪になると、15年以下の懲役になります。被害者の将来も失われますが、加害者の将来も失われます。
睡眠導入罪を服用したときは、決して車を運転しないようにしていただきたいと思います。
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ロス疑惑(三浦和義さん)サイパンで逮捕
2008年02月23日ロス疑惑で妻に対する殺人の容疑をかけられるも、2003年に無罪が確定した三浦和義さん(60)が休暇中のサイパンで殺人容疑で逮捕されたそうです。
日本の法律では、殺人罪を理由とする逮捕はあり得ません。理由は2つ。
1つ目。憲法第39条は次のように規定しています。
「・・・既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。・・・・」
三浦さんは、殺人罪について、日本においては、既に無罪とされているからです。したがって、憲法第39条により、刑事上の責任を問われません。
2つ目。事件が起こったのは、1981年であり、事件から既に27年ほどが経過しています。1981年当時の刑事訴訟法によると、殺人罪の場合、犯罪行為が終わったときから、15年を経過すると、罪に問えなくなります。したがって、日本では、やはり殺人罪として起訴することはできません。
(ちなみに、現在は、刑事訴訟法が改正されて、公訴時効は25年になっています。刑事訴訟法第250条)しかし、それは日本での話。サイパンには、日本国憲法も、日本の刑事訴訟法も適用されません。それぞれの国が、それぞれの国の法律により、国を治めています。今後、どうなるのか、注目です。
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新人弁護士の年収減少
2008年02月22日日本弁護士連合会(日弁連)の調査によると、新人弁護士の年収が減少傾向にあるそうです。
調査結果によると、新人弁護士の平均年収(2006年)は、次のとおり。
600万円台 59・62%
500万円台 14・56%2007年は、次のとおり。
600万円台 36・15%
500万円台 27・1%
出来高払い 7・85%平均年収ということですが、新人からいきなり独立する方はほとんどいない(できない)ので、給与とほぼイコールだと思います。
私の事務所では、今のところ新人弁護士の給与を下げていませんが、マクロ的には、給与は需給で決まりますので、今後も司法試験の合格者が増えれば、それに伴い平均給与は下がってゆくでしょう。
聞いた話では、年間給与300万円でも働きたいという新人弁護士もいるそうです。厳しい時代になってまいりました。
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28億6000万円脱税事件
2008年02月20日大阪市生野区の姉妹が、相続税28億6000万円を脱税した疑いで、大阪地検特捜部に逮捕されています。
遺産総額は75億円以上にのぼるも、相続税の申告ではそのうち16億円のみを申告し、59億3000万円の相続財産を隠した、との容疑です。
手口としては簡単で父親の生前から預金などの相続財産を解約換金し、現金を自宅のガレージに隠しておいた、というもの。ガレージは一万円札であふれかえっていたことでしょう。
相続税は累進となっており、相続財産が多ければ多いほど相続税も高額となります。
基礎控除後の各法定相続人の取得金額に応じて、以下の税率が適用されます。
1,000万円以下 10%
1,000万円超3,000万円以下 15%
3,000万円超5,000万円以下 20%
5,000万円超1億円以下 30%
1億円超3億円以下 40%
3億円超 50%ただ、正確な相続税額は、課税標準額の計算や相続分に対応した計算、各種加算・控除などを経た上で計算されますので、一応の目安といったところです。
上記姉妹が仮に有罪になった場合には、実刑となるでしょう。ガレージのお金すべてが相続財産と認定されるかどうか別として(明確な証拠がないため)、これほどの相続税巨額脱税事件は聞いたことがありません。
脱税のススメ―バレると後ろに手が回る
脱税―元国税調査官は見た (祥伝社新書) -
恐喝
2008年02月20日資生堂の名古屋支店長(46)が、20歳代の女性への恐喝未遂容疑で愛知県警中署に逮捕されたそうです。
恐喝の内容は、支店長は20歳代女性に「プライバシーをばらすぞ」などと脅迫する電話を数回にわたりかけたうえ、女性から約20万円を脅し取ろうとした疑いだそうです。
その20万円を受け渡す現場で、警察が支店長を緊急逮捕したとのこと。恐喝
刑法第249条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。恐喝とは、相手の反抗を抑圧しない程度の脅迫で、財物・財産上の利益を得るために用いられるものをいいます。(最高裁昭和24。2.8)
脅迫が相手の反抗を抑圧する程度に至っていれば、「恐喝」ではなく「強盗」になります。たとえば、包丁を突きつけて「金を出せ」と言えば、反抗などできませんから強盗です。
今回、どんなプライバシーをばらそうとしたのかは気になるところですが、ばらされたくないプライバシーをばらすと脅し、口止め料として20万円を要求するのは恐喝の実行行為になります。
脅迫を受けた時は、1人で悩まず、すぐに警察に相談するようにしましょう。
恫喝と脅迫の心理戦術―思いのままに相手を操る言葉のレトリック (パンドラ新書)
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車はぶつけるもの!?
2008年02月19日ボクサーの亀田大毅(19)さんが、2008年1月27日に、他の自動車に衝突事故を起こした件で、ニュースによると、「車っちゅうのはぶつけるもんや。運転せんとうまくならへんからな」などと発言したそうです。
この発言が、「車の運転は、たくさん運転して、その過程で事故を起こしながら上手になるものである(だから、事故を起こしてもよいのだ)」という趣旨だとするならば、交通事故の被害者側に立つ者として、容認できない発言です。
今回は、たまたまケガがなくてよかったと思います。しかし、追突事故は、追突された方の首にむち打ちの危険があります。頸椎捻挫で済んでも神経圧迫すれば後遺症です。追突の衝撃が強ければ、脊髄損傷の危険だってなくはありません。そうなれば、四肢麻痺の可能性だってあります。
四肢麻痺になれば、本人の人生における夢も希望も断絶します。周りの親族も介護に追われ、人生がくるってしまいます。
ほんの一瞬の不注意により、一生涯後遺症に苦しむ人がいる、それが交通事故なのです。そして、そのような被害に遭った人は、この発言を聞いてどう感じるでしょうか。それが心配です。
もちろん、亀田さんは、そのようなことをすべて容認しての発言であるはずはありません。それはわかっています。しかし、聞く人は、話す人の意図どおりには受け取ってくれません。倖田來未さんの「羊水」発言もおそらくそうでしょう。
自己の発言が多くの人に影響を与える立場にある人は、そのことを自覚しなければならないものだと思いました。
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七人の侍
2008年02月17日黒澤明監督作品の中でも傑作です。
七人の侍が、野武士軍団から村を守る、という物語です。白黒ではありますが、画が綺麗です。また、ストーリー構成がすばらしく、ひきこまれます。
ストーリーとしては、野武士軍団への恐怖が切迫し、その恐怖を解決するための案が提示されますが、試練があり、なかなかうまくいきません。そのうち仲間が集まり、結束して戦いに挑みます。しかし、またもや試練があり、ハラハラします。
その過程で、若干の恋愛もあります。しかし、その恋愛にも試練があります。このようなストーリーのアップダウンにより、観ている方の感情もアップダウンしますので、長時間の映画ですが、飽きることがありません。
また、優れた作品では、主人公に強い部分と弱い部分など、相反する部分が同居していますが、この映画では、七人の主人公がいますので、精神的に強い部分、弱い部分、未熟な部分、抜けた部分など、様々な要素が七人のキャラクターに反映されており、共感するところがあります。(たとえば、水戸黄門でも「うっかりはちべい」が良いポジショニンにいます。)
おすすめ作品です。
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自己破産件数4年連続減少
2008年02月16日最高裁の調査によると、2007年の個人による自己破産申立件数は、14万8252件だそうです。2006年から焼く1万7000件減少し、4年連続で減少傾向にあるということです。
債務整理専門の弁護士や司法書士が、インターネットや電車などに大々的に広告を出し、多重債務者の救済に努めてきたことも大きいと思います。
今後も減少すればよいのですが、まだまだ多重債務に苦しむ方々は後を絶ちません。支払が辛くなってきたら、早め早めの相談をなさることをお勧めします。
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南極法
2008年02月14日2008年1月に、日本人女性として初めて南極点に到達した登山家の続(つづき)素美代さんと、石川富康さんが、南極環境保護法に基づく環境省への事前届け出をしていなかったとのことで、環境省が、2人から事情聴取をするそうです。
この法律によると、南極に上陸する場合、事前に活動計画を申請し、環境相の確認を受ける必要があり、違反の場合には50万円以下の罰金となるようです。
この法律は、ほとんどの人が知らないと思います。しかし、法律の世界では、「法の不知は許さず」という格言があります。「そんな法律知らなかった」という言い訳は通じないということです。
よくよく注意しなければなりません。
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不動産賃貸本
2008年02月14日新しい本を出版しました。不動産賃貸トラブルに関する本です。
私を含め、当事務所の水村弁護士、吉田弁護士、吉岡弁護士の4人で執筆しました。
できるだけわかりやすく、かつ様々な問題を網羅することに心がけています。
不動産賃貸に関与する方は是非ご一読を!