ブログ | 弁護士谷原誠の法律解説ブログ 〜日常生活・仕事・経営に関わる難しい法律をわかりやすく解説〜 - Part 31
東京都千代田区麹町2丁目3番麹町プレイス2階 みらい総合法律事務所
弁護士20人以上が所属するみらい総合法律事務所の代表パートナーです。
テレビ出演などもしており、著書は50冊以上あります。
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  • 医療費回収本

    2008年06月05日

    病院の「医療費回収」マニュアル (New Medical Management) (New Medical Management)

    また、新しい本が出ました。

    現在、社会問題となっている医療費の未収金の回収方法を解説したものです。

    同じ事務所の西尾孝幸弁護士との共著となります。

    医療費未収金問題に悩む医療機関必携です

    なお、先日出版した「するどい質問力」は、すでに5刷りまできました。
    売れています

    するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する

  • 川口園児交通事故判決

    2008年05月01日

    2006年9月に、川口市で保育園児らの列に車が突っ込み、21人が死傷した事故で、死亡した園児4人の遺族が求めた民事損害賠償事件の判決が、2008年5月30日に、さいたま地裁でありました。

    私は、4人の園児遺族側代理人です。

    判決は、おおむね過去の判例の傾向に沿ったものでしたが、慰謝料については、従来の判例よりも高額な慰謝料を認定しました。

    交通死亡事故の損害賠償は、逸失利益、慰謝料そのほか複数の項目に分かれますが、そのうちの慰謝料は、死亡した被害者の家庭での地位により、次のように基準が作成されています。

    一家の支柱              2800万円
    母親、配偶者             2400万円
    その他(幼児、独身、高齢者など) 2000万円~2200万円

    今回の被害者は、その他(幼児)に分類され、2000万円~2200万円が認定されるのが相場ですが、それより高額の2700万円~2800万円が認定されています。

    このような分類がされているのは、扶養的な要素を考慮していると言われています。

    しかし、慰謝料は、「精神的な損害」です。これに対し、扶養的な要素は、経済的な観点のはずです。扶養的な要素を加味するのであれば、経済的な損害である「逸失利益」で加算するか、さらに他の損害項目を追加して加算すべきです。

    慰謝料は、あくまで精神的な損害ですから、純粋に精神的な損害の大きさを尺度にすべきだと考えています。生まれて間もない幼児は、生涯が始まったばかりです。無限の可能性を秘めています。

    しかし、幼児のうちに命を絶たれるということは、成長、学習、恋愛、結婚、出産などの人生の喜びを体験することができないということであり、その苦しみ、悲しみ、そして、自らの命より大切に思う子を奪われた両親の苦しみ、悲しみの大きさはどれほどのものでしょうか。

    他の一家の支柱や配偶者が死亡した場合よりも精神的な損害が小さいと判断される合理的理由を見いだすことはできません。

    今回の裁判では、このような判例基準の見直しを迫る意味もありました。

    結果としては、家族内での最高基準である一家の支柱と同レベルの慰謝料が認められ、その意味では一定の評価はできますが、私たちが目指すところには到達していません。

    今後も適正な賠償額の実現のため、努力したいと思います。

    交通事故被害者のための損害賠償交渉術 (DO BOOKS)
    [弁護士がきちんと教える] 交通事故 示談と慰謝料増額 (暮らしの法律 1)

  • 質問力!

    2008年04月25日

    ついに、私の新刊が出ました!

    するどい「質問力」! 図解問題を1秒で解決する

    章立ては、次のようになっています。

    1章 頭が切れる人の「すごい質問」力
        すぐ効果が出る7つの「スーパールール」

    2章 仕事の成果に直結する「問いかけ方」
        立ちはだかる壁を「1秒で崩す」質問

    3章 相手が思わず「口を割る」質問力
        これであらゆる問題が、即解決!

    4章 議論で絶対負けない「論理的な質問」術
        ここを突っ込まれたら、反論できない!

    5章 人間心理を巧みにつく「質問」のテクニック
        「誘導尋問」「答えを求めない質問」・・の高等戦術

    ぜひ、お読みください!

  • ハゲタカ

    2008年04月21日

    ハゲタカ(上) (講談社文庫)
    ハゲタカ(下) (講談社文庫)
    ハゲタカ2(上)
    ハゲタカ2(下) (講談社文庫 ま 54-4)

    真山仁さんの「ハゲタカ」シリーズをようやく読みました。こんなに面白いのなら、もっと早く読めば良かったです。

    今、私の事務所の弁護士達が皆読んでます。

    内容は、ファンドによる企業買収や債権買取あり、企業再生ありの経済小説です。私も普段、このような仕事にも関わっておりますので、興味深く読むことができました。

    そして、真山さんは、私がたまに行くお寿司屋さんのお友達だそうです。より親近感がわきました。

  • チューリップを引き抜くのはやめよう

    2008年04月21日

    各地でチューリップを切断したり、引き抜いたりしている事件が多発しています。

    時事通信
    毎日新聞

    容疑は、器物損壊罪。

    刑法第261条
    「・・・・・他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

    今回、チューリップを引き抜いただけでも逮捕されていますが、「損壊」したと言えるでしょうか。

    実は、器物損壊罪の「損壊」は、必ずしも「壊す」だけではなく、「物本来の効用を失わしめる行為」を広く含みます。

    したがって、パソコンや携帯電話を川に投げ込んだり、すき焼き鍋に放尿したり、壁や自動車などに塗料で大きく落書きをしたりする行為も器物損壊罪に該当する場合があります。

    また、飼っている動物も「器物」となりますので、他人の飼い犬などペットを殴って怪我を負わせたような場合には、「傷害罪」ではなく、この「器物損壊罪」が成立します。

    TULIP BEST 心の旅

  • JR労組事件で控訴期間徒過

    2008年04月19日

    JR西日本の金沢支社の金沢運転所で1994年、JR西日本労働組合の組合員の運転士2人が、ストライキを危惧した上司の運転科長らから、転勤を示唆するなどして組合脱退を働きかけられたことに対し、中央労働委員会は2006年5月に、「会社側による組合運営への支配介入」として不当労働行為と認定し、救済命令を出しました。

    これに対し、JR西日本は同年7月、命令取り消しを求めた行政訴訟を東京地裁に起こしたところ、東京地裁は、2008年2月6日、訴えを棄却。そこで、JR西日本は、控訴しようと控訴状を提出したところ、弁護士が控訴期間を間違えていたとのことで、控訴が却下され、判決が確定してしまったそうです。

    控訴期間とは、東京高等裁判所に対して判決を不服として控訴できる期間のことで、判決を受け取ってから14日間と定められており、延長はできません。今回は15日目に出した、ということでしょう。

    私たち弁護士は、控訴を依頼されたときは、裁判所に確認するなどして、控訴期間を経過しないよう細心の注意を払っています。このニュースを教訓とし、今後も気を引き締めて業務を行っていきたいと思います。

  • 経験弁護士加入

    2008年04月09日

    みらい総合法律事務所に、経験弁護士が加入しました。

    大菅剛弁護士です。

    これまで「あたご法律事務所」にて経験を積んだ弁護士であり、当事務所でも即戦力として期待しております。

    ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

  • ミルコ氏ら消費税修正申告

    2008年04月09日

    旧「PRIDE」のミルコ・クロコップ氏、バンダレイ・シウバ氏、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ氏、マーク・ハント氏らが、ファイトマネーやテレビ出演料にかかる消費税の申告を適正にしていなかったとして東京国税局の税務調査を受け、少なくとも5人が平成18年までの3年間で計約2000万円の申告漏れを指摘されており、修正申告に応じたとのことです。

    ニュース

    彼らの住居は外国にあります。しかし、消費税は、今回のように日本国内で取引を行った場合には、日本国内で納税義務を負います。

    ただし、納税義務があるのは、課税期間の前々年の課税売上高が1,000万円を超えた場合です。彼らの課税売上高は、余裕で1,000万円を超えているでしょう。

    ニュースによると、消費税の仕組みが外国人に周知されていなかったもので、選手の代理人ら関係者は同国税局の調査に対し、「(制度を)知らなかった」などと話したとのことです。

    しかし、ニュースのように「修正申告」をした、ということであれば、すでに一旦申告をしたということなので、「制度を知らなかった」のではなく、「申告したけれども一部漏れてしまった」ということでしょう。

    消費税課否判定ハンドブック 平成19年版 (2007)

  • 銀座のクラブで脱税

    2008年04月08日

    銀座の高級クラブで脱税だそうです。

    東京地検特捜部は、2008年4月3日、銀座の高級クラブの女性経営者とホステスを所得税法違反(脱税)で在宅起訴したそうです。

    女性経営者は、2005年~2007年にかけて、銀座の3店舗のクラブ在籍100人を超えるホステスから源泉徴収した所得税約2億4600万円を納付せず、ホステスの方は、2004年~2006年までの3年間の所得約2億1400万円を隠し、所得税約3600万円を免れたとのことです。

    給与に対する源泉徴収というのは、所得税法第183条以下に定めれています。会社員も同様ですが、国内において給与を支払う者(経営者、会社等)は、給与を支払う時に、所得税(本来、給与をもらう人が納めるべき所得税です。)を徴収して、翌月10日までに納税する義務を言います。

    今回、女性経営者は、この源泉徴収したはずの所得税の支払いをしなかった、という疑いがもたれているわけです。

    「源泉徴収を知らなかった。」という法律の不知では逃げられませんので、経営者は気をつけていただきたいと思います。

  • 田中弁護士、逮捕

    2008年04月08日

    石橋産業の179億円という巨額の手形詐欺事件で懲役3年の実刑が確定した田中森一弁護士が、また逮捕されました。

    容疑は詐欺。

    ニュースによると、田中弁護士は、2002年10月上旬ころ、出資法違反事件で福岡県警の取り調べを受けていた男性から相談を受けた際、「捜査が落ち着くまで預かり、後日返す」などとうそをつき、9000万円をだまし取った容疑だそうです。ニュース

    詐欺ということは、お金を受け取った時点で、相手を騙す故意があったことが必要となります。「相手に説明したとおり、預かっただけ。返すつもりだった。」と言えば、故意を立証することが難しくなります。

    そして、実際に弁護士の預かり金口座にお金が眠ったままであれば、起訴は難しいでしょう。

    ところが、ニュースによると、田中弁護士は、「5000万円は私の弁護士報酬、4000万円は仲介人への紹介料として預かった。詐欺ではない」と否認しているそうです。

    ということは、推測にすぎませんが、そう説明せざるを得ない状況に陥っているのかもしれません。つまり、9000万円を預かってすぐに他の目的に使ってしまったこと、返す目処がついていなかったことの客観的証拠が揃っており、「返すつもりだった。」とは言えない状況なのかもしれません。

    田中弁護士が書いた書籍はとても面白く読ませていただきましたが、この事件に関係することには触れていなかったように思います。この事件の行方や真相もいつか書籍化されることを期待します。

    反転―闇社会の守護神と呼ばれて
    バブル
    必要悪 バブル、官僚、裏社会に生きる